下地内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成24年10月12日

(平成24年10月12日(金) 10:24~10:50  於:合同庁舎5号館3階特別会議室)

1.発言要旨

  私の方から報告をさせていただきますけれども、10月9日から10日、仙台市で行われました世銀の防災と開発に関する仙台会合に参加をしてまいりました。そこで総括スピーチをいたしまして、大震災を踏まえた災害に強い社会の構築と、国際防災への貢献について決意を述べました。
 その後、福島県沿岸部の被災地を訪れて市長等と意見交換をしてまいりました。相馬市では立谷市長と面談し、その後、井戸端長屋という、非常に市長が肝いりで造られたコミュニティーがしっかりした長屋を視察をして、松川港の郵便局、仮設局舎を視察をして郵便局長の皆さんと意見交換をしてきました。次に、南相馬市で桜井市長と面談をさせていただきまして、小高区の旧警戒区域を訪れて、大半が避難指示解除準備区域に指定されており、住民の住居はまだ許されておりませんが、その中で加藤さんという方が散髪屋さんをやられていたので、そこで昨日散髪を少ししてきました。非常に加藤さんの行動には感動を覚えるものでありました。
 そして、その次の日、11日は神戸市に出張しまして、人と防災未来センターの開設10周年を記念する国際減災フォーラムに出席をしまして、兵庫県の井戸知事と意見交換をしました。そこで挨拶をさせていただきましたけれども、その後、河田惠昭教授の御案内でセンターの展示を見てまいりましたけれども、子供たちが非常に多くて、防災について子供たちが十二分に考えることができるようなセンターだなという思いをさせていただきました。あの阪神大震災の、そのときの揺れから始まって、どんどん厳しい状況になる映像と、それから立ち上がる映像と二つありましたけれども、私も見させていただいて非常に感動を覚える、そういう視察だったと思います。
 あと、土曜日ですけど、静岡県の浜岡原発を明日視察をすることにしております。この浜岡原発の防波堤の状況とか、それと東海地震のことについて知事と意見交換をさせていただこうというふうに思っております。また、焼津市の清水市長とも話をさせていただいて、今回、新たに防災計画を作らなければいけないことになっておりますが、私の担当ではありませんけれども、そのお考えなどもじっくりと聞かせていただきたいというふうに思っております。
 それと、24年度の台風17号の被災者生活再建支援法の適用についてでありますけれども、17号については、鹿児島県において天城町と和泊町と与論町において適用しておりますけれども、このたび沖縄県伊平屋村、10世帯以上が住宅全壊被害が発生したということで、この法の適用を行うことになっております。これで2県にわたって適用が行われましたので、新たに適用がされる自治体が出てくるのではないかということについて確認をしているところであります。
 あと、昨日から全国防災対策費に係るヒアリングを全省庁から行っております。復興予算の中における全国防災がどういうふうな各省庁予算のつけ方をしているのかということについて、各省庁からしっかりと、どういう考え方のもとにこの事業を進めようとしているのかという話をじっくりと聞かせていただきました。事業規模、そして内容について精査をしておりますので、防災大臣として、今、様々な報道がありますから、そのことをしっかりと把握をしておきたいということでやらせていただきました。
 あと、福島県の相馬市の市長から要望がありました。要望として、相馬市の立谷市長からは、弁当の費用の件と、企業誘致の件と、郵便局の再開の件と、災害時のワンストップの窓口の件と、高速道路の無料化の件という、この五つをいただきました。桜井市長からは、常磐道の早期整備と、農地転用の柔軟化と、それと県道の対策についての要望がありましたので、これはお聞きをさせていただいたので、しっかりと答えができるように、各省庁と今調整をしております。
 以上が私からの報告ですけれども、御質問があったらお願いします。

 

2.質疑応答

(問)すみません。NHKの渡辺です。今、ちょっと冒頭でもお話がございましたが、復興予算に関連して、その関連性の薄い事業が要求されているんじゃないかと。自民党も批判を強めていますが、これについて精査されているとのことでしたけれども、具体的にどういった問題意識を持って精査されているのかということと、これまでの精査の中で、明らかにこれはおかしいといったものは出ているんでしょうか。その辺をお願いいたします。
(答)この復興予算に関しては、基本的には被災地であるということと、被災地から出られた避難者の方々の対策と、それと全国防災という、この3点がこの予算の認められている範囲でありますね。その中で、あと緊急性とか即効性とか、そういうふうなものがちゃんと加味されているのかというようなことが一つの基準みたいなものになっているわけでありますから、この基準に乗ってちゃんとやっているかどうかというのはしっかりと見ていかなければいけないというふうに思っています。
 私の見方ですよ、見方でありますけれども、21年とか22年とか、震災前に予算要求をしていたものであって、それが23年度のこの制度が始まってから予算要求するというようなものがあったら、それは少しちょっと違うねと。21年、22年で一般会計で予算要求していて、それがまた23年度のこの予算で要求されるというふうになると、一般会計の枠でなかなか難しいからこれで取りに行ったんじゃないかというような誤解を受けかねないところがあるから、こういうものは如何かなというふうに思うのが1点。
 それと、25年度から急に新規事業だと要望するものがあるんですけれども、緊急性、即効性だったら23年度、24年度からやりなさいと。急にまた25年度になってというのはちょっとおかしいねというようなものがあったら、それもどうなのかなというようなものがありますし、即効性と言っていますから、調査費とか、将来に向けてやるというものは即効性という話じゃないから、そういう調査ものみたいな予算だったらそれもおかしいねというふうになってくると思うので、そういうふうなものなんかをもう一回しっかりと見て、私の範囲において、全国防災というような流れの中ではどうなのかというものがあるかどうか、各省庁とまたしっかりと打ち合わせをしていきたい。ただ、私の感想としては、今申し上げた三つについては少し理解がしにくい部分が出てくるのではないかというふうに思っています。
(問)すみません、関連です。そうしますと、復興大臣は復興大臣で、こういった精査をやっていらっしゃいますけれども、今後政府の中で防災分野と復興分野、様々ありますけれども、結果的に精査した結果出てきたものを、どうやって、より本当に具体的に意味のあるものにしていくかという作業というのは、どういうふうに見ていらっしゃいますか。
(答)これは、私は防災ですから、全国防災に対するメニューの私の見方、考え方というのは示さなければいけないと思うでしょうし、復興大臣は復興大臣でおやりになるでしょうし、そういうふうなものはお互い情報交換しながら、政府の中ではそれが違いが出るということはないようにするというのは、これは内閣にとって当たり前のことですから、そのことは十分に調整をしていきたいというふうに思っております。
(問)共同通信の堀口といいます。そうすると、今のお話ですと、もう当然防災の立場からして必要なものはちゃんとしっかり要求していくと、総合調整を確立化して、必要なものはしっかり要求していくというお考えでよろしいですか。
(答)もちろんそうです。法律がそうなっているから。今言ったように、全国防災も要求できることになっているんです。教訓がありますからね。阪神大震災や東日本大震災の教訓において、南海トラフとか、今被害想定とかをやっているわけですから、そういう意味でも防災予算をつけるというのは、これはもう当たり前のことですし、各自治体もそのことについて要望しているわけですから、今回のような、何か全国防災のメニューが国民から理解されないような報道が出過ぎると、防災に対する意欲がなくなる可能性がある。これは私は心配しますので、だから、そういう意味でも内容を精査させていただいたということなんです。
(問)今の条件の中で言いますと、例えば今、野党から上がっている8項目の中で、沖縄の国道整備。地元だと思いますけれども、あれについては今、どのようにお考えですか。
(答)昨日、国土交通省に聞かせていただきましたけれども、あれは、国道整備といっても道路を造っているわけじゃないんですね。落石防止の金網をつけているというのが、あの事業の一端で、私も見て、この事業で沖縄の国道の予算をつけてやられているのかなと思って、それは少しと思ったんですけれども、昨日聞きましたら、そういうことではなくて、落石防止の防災上の問題だというようなことをやっていますということでありましたから、また、あの道路は、地元だからよく分かりますけれども、北部において1本しかない道路なんですよね。あの落石があると、国頭地区とか、そういう区域が陸の孤島化してしまうので、私が見ている範囲では、この事業が防災に当たらないというようなものではないのではないかなというふうに思っています。
(問)大臣、すみません。毎日新聞の種市ですけれども、その防災事業の総点検ということなんですが、この部署は旧建設省の方が事務方に多くて、防災事業を要求するのも建設省の方なので、いわば身内の方による点検になってしまうんですけれども、そこら辺は甘くはならないんでしょうか。
(答)私は国土交通省の出身ではありませんから甘くはなりませんし、また、昨日は財務省の方々と前もって打ち合わせをして、それでまた財務省の方も横で聞かさせて一緒になってやりましたから、しかし、予算は要求が多いんですよね。削らなければいけないのがもう現実的ですから、その中で最終的には、昨日私どもが要望した予算がそのまま全部つくというようなことにはならないので、現実的に順番をつけなければいけないし、選ばれないものも出てくるということになってきますから、ただ、防災担当としては、やはりしっかりと見て、これが大事だなというものはちゃんと要望しなさいよというような後押しはしていかなければいけないと思いますから、各省庁に全部お任せして「どうぞ、防災だ」と言うんじゃなくて、私どもがしっかりとメニューを見てというのは非常に大事なことだと思っていますから。
 ただ、今おっしゃったように、つけることだけが私たちの役割ではなく、効率よく防災事業を進めなければいけないということがありますから、先程私が言った三つの観点などは、私としては厳しい見方になるだろうと。私はこういう発言をしてやると、各省庁も、その今あった話に関しては事業として要求しにくくなるんじゃないかというふうに思っていますし、今の基準は私はしっかりと守らせたいというふうに思っています。
(問)静岡新聞の内山ですけれども、浜岡原発について、想定東海の震源域にあって、しかも南海トラフ巨大地震でも地震、津波、大津波が懸念されていることが指摘されているんですが、防災担当大臣として、現時点でそのようなところに原発があるということについてどのような認識を持っていらっしゃるかということと、あと、週末の視察、主に確認したい点を教えてください。
(答)原発はあるんですよね。私がつくったわけでもなくてあるんですよ。あって、今こういう南海トラフの問題で被害想定とか、いろいろな災害の危険度が言われているわけですから、それを減災をしていくということが私の仕事になってくるわけですから、しかも福島の原発事故のこともありますので、今回初めてですけれども、状況をしっかりと把握をして知事とも連携しながら、原子力発電所の中において被害が出ないような、減災できるような仕組みというのがどうなのか、意見交換して決めていきたいというふうに思っています。
(問)時事通信の増渕といいます。先程の全国防災の質問についてなんですけれども、今回、大臣がやられている精査の結果なんですけれども、これは今年度予算の執行を止めるとか、あるいは減額させるということを求めるのか、あるいは来年度予算の予算査定に反映させるということなのか、どういう結果を考えていらっしゃるんですか。
(答)まず、一つ目の来年度予算に反映させるのは、もうもちろんですよね。それはやらなければいけないと思っておりますから、その部分ではしっかりと来年度予算に反映できるような考え方を各省庁にも示すということはやりたいと思います。
 今年度予算の執行の停止を行うかどうかは、私はあまり言いにくいね、今の段階だと。これは、今私が唐突にメニューを、これはできないとか、これはおかしいんじゃないかということになると、去年政府として認めた予算ですから、それを減額をするということは、やはり最終的にお決めになった総理がどういう判断をしてくるかということになってくると思いますから。ただ、いろいろなマスコミ報道で出ているものに関しては、もう一回じっくり見るという作業だけはしておきたいというふうに思っています。
(問)すみません。今の件で、毎日新聞の池田と申しますが、中央防災会議の報告の中でも、今後の防災対策、全国防災対策費については確保していくということが有効である。南海トラフの沿岸自治体からも増額してくれという要望がかなり強かったわけですけれども、ただ一方で、今、復興増税を財源に、全国防災に向けて具体的に獲得して事業をしていくということで国民に理解されていると思うんですけれども、その辺をどうバランスをとって、今後どういうふうに防災対策に手をかけていくのかというお考えでしょうか。
(答)一つ目には、私の考えですけれども、財源を確保するために復興債を発行して、その中で防災という、そういう仕組みを作ってありますよね。その仕組みが、復興という名のもとに全国防災をやっているということが理解されていないところがあるので、その復興というのが、二度と同じような災害の被害を起こさないということが大事なんですよということを、もう少しこの府としてアピールしなければいけないというのがありますから、復興というのは全部被災地だけなんだというような仕組みにはなっていないにもかかわらず、そういうふうな概念を持たれているので、そこがちょっと問題だという、直していかなければいけない。
 それで、僕は思ったんですけれども、やはり全国防災という名のもとに予算をつけるなら、やはり私は各省庁が集中的に、やはり南海トラフに関する対策、東海・東南海とかの地域の、今、いろいろと被害が大きく出てくると言われている和歌山県だとか高知県とか宮崎県とか静岡県とか、こういう地域を中心に全国防災という予算獲得をするならば、私は集中的にその近辺に防災の予算を充てていくというのが、私は一つの流れになってくるんじゃないかと思うんです。全部とは申しませんけれども、10の防災予算があるとしたならば、緊急性を問われている被害予想がされているような地域の対策に集中的に各省庁、お金を充てていくという、やはり一つの方向性を出したほうがいいんじゃないかと思うんですよね。
 先程沖縄の話がありましたけれども、ああいうようなものも災害防止するという観点では認めますよ。しかし、全国防災という名のもとでやるには、自分のところの一般会計の予算でやりなさいと。そういうものがあったら、この地域、今、一番被害が想定されている地域とか、そういうものに集中するというような何か方向性が、やはり全国防災の予算ってこういうものなんだよという基準はどこかでつくって示さないと、各省庁が防災という名のもとに全国のものをやり過ぎると、結局は何のために今こういうふうな被害予想を出したり様々なことをやっているのかということになってくると思いますから、その辺はこれから論議していきたいというふうに思いますね。
(問)毎日新聞の種市です。郵政民営化委員会についてお聞きしたいんですけれども、昨日、今日と民間金融機関と保険業界からヒアリングをしているんですけれども、その中で、10月1日に日本郵政が示した中長期ビジョンは具体性に欠けていて、そのようなビジョンだけでは個別事業を具体的に審査するべきではないという意見も多々ありまして、西室委員長も、中長期ビジョンについては、具体的日程やビジネスモデルからしてちょっと不足しているというようなお言葉もありました。大臣として、この郵政民営化委員会の委員長のお言葉をどういうふうに受け止めるのかということと、今後、日本郵政にビジョンを今以上に具体化するよう指示する意向はありますか。
(答)西室委員長の発言は重く受け止めて、絶えず西室委員長の発言のもとに郵政民営化の姿というのはイメージしていかなければいけないと思っていますから、私が委員長の発言に評論することはよくないと思います。
 今、発言があったように、委員長も発言があったし、私が銀行や業界いろいろ回っても、今おっしゃったような、事業の姿が余り見えない中で新規事業の要望はおかしいんじゃないかという、そういうことを皆さん言われますよ。それで、言われていることを説得する、それで理解をさせるということは郵政はやらなければいけない。その中で、やはり説得するというか、理解するとかというふうになったら、新たな資料の提案をするとかされていないというならば、事業内容をもう一回見直してもっと具体的に示すとか、そういう作業は私は真摯に郵政はやるべきだというふうに思っていますね。
 それともう一つ、あらゆるところで株式の売却のスケジュール感が見えないというようなことも言われるんですよね。新規事業を要望しながら、株式の売却に関しては何ら手を打っていないのではないかと。国のこういう株の信頼の恩恵と新規事業とをできるだけ長くやろうとしているんじゃないかとか、いろいろなことも言われているんです、私も一対一で話をすると。そういう意味でも、私は株式の売却のスケジュール感というのも早くやはり示したほうがいいと思っていますから、近いうちにそういうふうな検討をして、株式の売却に際して、いつ頃までにこういうふうな売却をしたいというような方向性は示さないと、新規事業の私は前向きな話について、銀行業界がなかなか理解しないんじゃないかと思っていますから、そのことも、さっき言った事業に対して理解を深めるという作業はやる、株式の売却のスケジュール感も示す。この二つは早目にやりたいというふうに思っていますね。
(問)すみません。朝日新聞の赤井と申します。仙台会合での話題の中で、出席者の中から、どうしても防災というのは省庁を横断する部門なのに、防災を所管するところというのはなかなか権限がなかったりとか、そういう問題があって、今はちょっと具体的なことができていないという話が出てきたと思うんですけれども、今後、どういうリーダーシップをもってして、いろいろ省庁別に分かれてしまっているものを進めていきたいというふうにお考えなのか、改めてお聞きします。
(答)昨日は全省庁を呼んでヒアリングしましたから、防災担当大臣は案外防災に関して権限があるんじゃないかと思います。昨日ヒアリングしたいろいろな省庁のメニューを見ましたけれども、私の方で「このメニューはだめだ。やるべきじゃない」というようなことを発言したら、それは各省庁も進められないんじゃないかと僕は思うんですよ。全国防災と言って予算をつけてメニューを出しているにもかかわらず、防災担当大臣が「これはおかしいね。これはちょっと認められませんね」と言えば、それを無視してまた防災の予算を各省庁がつけるということは私はあり得ないと思うので、今のこの職の中でも十分に各省庁に対して影響力を発揮できるというふうに思っていますから、何か大きな予算を持つことが権限というような、自分のところで予算を持って、それを執行するということが大きな権限じゃなくて、やはり私たちは各省庁に防災の主流化ということを言っていますので、主流化をしていただけるように、どんどん防災に関してはアドバイスをしたり、時には忠告をしたりということができる立場ではないかと思っていますから、この職でも私は十二分に役割を果たせるというふうに思っていますから、これ以上の権限を持ちたいとか、そんな思いは全くありません。十分にできると思っています。

(以上)