小宮山内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成24年8月31日

(平成24年8月31日(金) 8:51~9:05  於:厚生労働省内会見室)

1.発言要旨

 今日は冒頭私から1点申し上げます。
 7月の完全失業率は前月と同水準の4.3%、有効求人倍率は0.01ポイント改善して0.83倍で、現在の雇用情勢は持ち直しているものの、依然として厳しい状況にあると認識しています。今後とも、被災地の雇用情勢や円高の雇用への影響について注視していくことは必要であると考えています。「日本はひとつしごとプロジェクト」や、今実施している雇用対策に加えまして、平成25年度概算要求に必要な事項を盛り込んで、厳しい雇用情勢の改善に全力で取り組んでいきたいと考えています。
 以上です。

2.質疑応答

(問)高年齢者雇用安定法の改正案が成立しました。経済会からの反発や、あと若者へしわ寄せがくるのではないかという懸念があるのですが、これにどのように対応されていくおつもりでしょうか。
(答)今回の高年齢者雇用確保法はご承知のように、年金の受給開始年齢が1歳ずつ上がっていくに従って、雇用のほうも継続されていかないと無年金・無収入の高齢者がでてしまうと。それを避けるために今回法改正を行いました。(国会の)委員会の審議でもずいぶん色々議論されましたが、企業の負担を軽減する意味合いについては、老齢厚生年金の支給開始年齢にあわせて、徐々に1歳上がるごとに、その少し前に雇用が継続されていくように、12年間という経過措置をとっているということ、それから、継続雇用制度の対象者を雇用する企業の範囲を、これまでより広くグループ企業に拡大したということ、また、それ以外のところにも労働移動を支援する場合の助成金を新設するという措置をとって、企業の負担をなるべく軽減することを考えています。それから、今回、高齢者の雇用を確保する上で、今の厳しい雇用情勢の中で若者のほうへのしわ寄せが行かないようにすることは、いちばん私も課題だと考えています。ただ、これはヨーロッパなどの例をみても、高齢者の雇用と若者の雇用というのは種類が違うので、置き換わるものではないということが、フランスなどの例からも実証されているし、マクロでみれば超少子高齢社会の中で、団塊の世代が退職していくこととか若者の数が減っていくことから見て、そんなに心配はないと言われてはいます。しかし、今の就職の状況とか若者の雇用の厳しい状況を考えると、これまでも厚労省としては、若者の雇用には相当力を入れてきて、これまであまりハローワークは若い人は行かなかったのを新卒のためのハローワークの窓口をつくったり、ジョブサポーターが寄りそって支援するというようなことをしてきましたし、今年度から大学にもジョブサポーターが常時いて、出張相談などが出来るような体制をとるとか、あるいはトライアル雇用に奨励金を出したりとか、可能なことは色々していきていますが、高齢者雇用の確保とあわせて若年者の雇用確保についても、一層力を入れて行かなければいけないと考えています。
(問)出生前診断についてですが、より安全で確実性の高い診断が9月にも臨床研究で始まりますが、これについての大臣の受け止めをお願いします。
(答)確かに高齢で出産される場合に、その子どもに障害がないかを知りたいというご希望があることはよく分かりますし、成育医療センターなどの研究者が研究をして、今回血液で簡便にというか検査が出来る方法が見つかったということ。これは報道されています。本当はその報道とあわせて、やはりこれは日本産科婦人科学会が、自主規制としてこういうことに対してはどういう場合に使うものなのかということを定めていますが、本当はそれが同時に発表されれば良かったのですが、こちらのほうが先に報道されてしまったので、今なるべくガイドラインというかやり方を示している学会のほうにはそれを出していただきたいというふうに思っています。これは生命倫理に関わることで、私もずっとこのことは色々と今医療が高度化してきている中で、生命倫理と関わる、あるいは生殖医療と関わることというのは、非常に法整備などが遅れている面もあるので、これが命の選別になるというようなことにならないようにという懸念は私も強く持っているので、ここはなるべく早く学会のほうに自主規制の方針を示していただきたいと思っています。
(問)出生前診断に関してですが、そもそも出生前診断というのは選択的中絶になるもので、要は、異常が分かった場合に中絶に繋がるというものですが、日本の中絶について定めた母体保護法は、胎児の異常を理由にした中絶は認めていない。母体の健康を害する恐れがあるという場合に、中絶を認める条件を拡大解釈しているのが実情かと思いますが、その点について大臣はどのようにお考えでしょうか。
(答)やはり生命倫理とか生殖医療に対する基本的な法律は日本にはないと。その中で、不妊治療の問題とか色々な問題が具体的に事例のほうが先行してしまっているので、そういう意味では、やはりベースになる法律が必要だと思っています。議員になってからも、すぐにそういう取り組みはしてきました。ただ、ここは非常に生命に対する考え方という根源的なことに関わるので、なかなか例えば不妊治療で出生した子どもの法的な地位をどうするかということだけでも先にしようと思っても、やはり元になる、この生殖医療とかをどれだけすることを認めるかということがないと、そこは出来ないということで、なかなか解決策が見つかっていないのです。そういうことと、今回のダウン症などを早期に発見する出生前診断ということとは多分共通のベースがあることだと思っているので、私はやはり生命倫理については民主党としてもこれは憲法に入れたいと言っていて、スイスなども憲法に入れていますし、やはり生命倫理とか生殖医療に関わる基本的な法律を各国は色々な憲法や個別法という形で持っていますので、日本もやはりこれはでも国会だけで議論してもなかなかあれなので一応問題提起をして、これは国民的な議論が必要なことで、なるべく早くそういうものが出来るように私も今政府の人間になっていますが、一議員としても努力をしていきたいと考えています。
(問)母体保護法についてはどういうご認識ですか。
(答)そこを話し出すと長くなるけどね。本当はDV防止法をつくった後、リプロに関する法律を超党派でつくろうと話をしていましたが、それがまだ出来ないでいると。母体保護法というのも、あれは優生保護法の部分は国際的批判もあるということで切り離して、母体保護法という名前はとっていますが、結局は中絶の条件を書いてある法律ということなので、これは女性の生涯に渡った健康、権利ということを定める法律に変えるのが良いというふうに超党派の議員で勉強会などをしてきています。その考え方は基本的には変わっていません。
(問)野田政権になって大体1年になりましたが、1年の成果や評価などをお聞かせください。
(答)私も野田政権が出来た時から厚生労働大臣をやらせていただいていますので、評価というのは国民の皆さんがされることですから、私が自らすることではないと基本的には思っています。ただ、政権交代から3年、野田政権になって1年、政権交代の後もう少しその例えば政府と与党の在り方とかですね、色々な形がもう少し基本になることがもっと早く出来てくればもっと良かったと思いますが、少なくともこの1年は社会保障と税の一体改革が成立したということは、本当に動かない政治の中で、今暮らしている皆さんプラス将来の子どもたち、次の世代のための責任という意味でも、大きな仕事がやはり出来たと思っていますので、そういう意味では野田総理の、一つ一つ乗り越えていくという現実的な路線は、しっかりと行われてきていると思います。ただ、今もう総裁選、代表選を前に政局中心になってしまって、せっかく三党で合意をしてやったのに、これから先の中長期的なことを考える国民会議ですとか、まだ先やらなければいけないことがあるのが、一体改革をつくったところまでということになっているのは残念だと思っています。そういう意味では、政府与党としても、更にそこが進むような努力も必要だと思うのですが、当面は代表選、総裁選が終わらないとなかなか良い解決策が見つからないのかもしれませんが、選挙があったとしても、参議院のねじれは変わらない訳ですから。そういう意味では、待ったなしの色々な課題をどうやって解決していくかということは、これは、党派を問わずに知恵を出さないと、今の国政全体がだめだということになりかねないので、そういう危機感は持っています。
(問)関連で民主党代表選ですが、代表選はどうあるべきかという点についての大臣のお考えと、現時点での支持というか大臣のスタンスをお願いします。
(答)代表選という仕組みがある訳ですから、やはり20人の推薦人を集めて立候補される方が出て、しっかりと代表選をやることが私は良いと思います。ですから、主義主張がある方は代表選の候補になって、そこで意見を戦わせてしっかりと代表選が行われることが良いと思っています。それで、私としては、毎年毎年総理が代わるということは、やはりこれは腰を据えて出来ない。それで今野田政権の1年も総理のぶれない1歩ずつ前進していくという中で、大きな法案も仕上げることが出来ました。でも、課題がまだたくさんあるので、私は引き続きこの体制でやっていくことを私は支持したいと思います。
(問)先ほど大臣からも国民会議がちょっとこう進まない状況だとお話ありましたが、代表選とのその後解散ということになれうやむやになる訳にいかないですし、どういうふうにしていったら良いと思われますか。
(答)三党でちょっと今それがどうなったとか、有効なのかどうなのかとか色々言われていますが、これは三党で合意をしたということは有効なことで、別にこれが元へ戻るという話ではないので、国民会議をつくるのにもやはりそこでの意見がしっかりと今後に反映されなければいけないという意味も含めて、三党でやはりそこは話し合いをした上で、スタートをするべきだと思っていますので、岡田副総理などをはじめ、関係の皆さんが最大限努力をされていると考えています。
(問)大臣はそこで何か他の党と水面下で何か。
(答)いえ、これは最後の社会保障の推進法案の時も担当大臣は岡田副総理でしたので、岡田さんのところを中心に今努力をしているということです。

(以上)