中川内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成24年9月25日

(平成24年9月25日(火) 10:18~10:37  於:合同庁舎第5号館3階特別会議室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 今日は私の方から一つ、残念なお話ですけれども、第三国定住で第三陣の難民の受入れの準備をしていたのですが、予定していた家族が辞退をするということになりました。
 本年の9月末にタイの難民キャンプから3家族16人を受け入れるということにしていたのですけれども、2家族については、キャンプに留まる親族の反対、おばあさんなどが反対ということで、なかなか説得できずにあきらめるということになりました。それから、残る1家族については、1家族だけになってしまったということで不安になってしまいまして、結果的には3家族とも来日を辞退するという申し出がございました。
 非常に残念なことでありますが、このパイロット事業は、3月29日の難民対策連絡調整会議において平成26年度まで2年間延長して行うということにしており、来年度分は、今年度欠けたものもあわせて募集して準備していきたいと思っております。
 私の方からは以上です。

2.質疑応答

(問)共同通信の堀口といいます。今の第三国定住の受け入れ、今年度ゼロになった、3年目でゼロになったということなんですけれども、国内の受け皿の体制がまだ十分でないとか、あと、日本に受け入れる際に条件が非常に厳し過ぎるのではないかというような意見、声があるんですけれども、それについてはどのようにお考えでしょうか。
(答)いろいろ見直しはしていかなければならない要素というのはあると思います。ただ、全てをスムーズに受け入れるということが、どういう状況を言うのかはなかなか難しいと思うのですね。前提として、例えば中国からの残留孤児などの受入れは、ある程度生活の保障を国としてやっていくという前提で受け入れるわけですけれども、難民や第三国定住というのは、基本的には、最初の部分でそうした国の基本的な保障はあるのですけれども、それ以降は自立をしていくというプロセスを是非作っていきたいということなのですね。
 ですから、日本へ来た本人たちも、それぞれ職場に適応していくというプロセスの中で苦労していきますし、子どもを前提にした受入れになっていますので、共働きで子どもが4人、5人という形で支えていかなければならないという環境があります。そういうものを乗り越えながら、私は今、一陣、二陣の家族はしっかり頑張っていると思っていまして、そういう意味では、成功していると言いますか、まだもうちょっと時間の経過が必要ですけれども、独立に向けて、あるいは自立に向けて、家族はそれぞれ力強く歩み始めているということだと思っています。
 ただ、どういう構成で受け入れるかというのは、もう少し有識者の皆さんも含めて議論してもらおうということを考えています。もっと幅広く、いろいろなタイプの難民を受け入れるということも選択肢としては必要なのかなと思っています。
(問)毎日新聞の池田です。今の第三国定住なんですが、2家族が取りやめをしたとか反対したとか、その理由については聞いていらっしゃいますでしょうか。
(答)家族が別れるのが嫌だということなのです。おばあさんが取り残されるということになってしまうものですから、それにやはり抵抗があって嫌だということで、なかなか説得ができなかったということだと思います。
 今回の準備が第一陣、第二陣と違うのは、キャンプも違うところからの受入れだったのですけれども、キャンプの中で事前の研修をやるということではなくて、キャンプから離れた別なところで、街に出てきて研修をやっていたものですから、余計にキャンプを離れる、あるいは家族がばらばらになるということについて考える余裕があったということがあろうかと思うのですね。一陣、二陣のメンバーはキャンプの中で研修をやって、そのまま日本に直接来たということだったものですから、その辺の状況が違っていたということだと思います。
(問)朝日新聞、岡本です。そのおばあさんも一緒にこっちに連れてくる方策はなかったんですか。
(答)そういうことも考えて、受入れ条件をこれから見直していくということも必要なのだろうと思いますが、おばあさんは行きたくないと言っているということです。
(問)おばあさんは行きたくないと。
(答)そうそう。
(問)もしそのおばあさんが一緒に行きたいわと言ったら、別にそれを妨げる何かがあるわけではないと。
(事務方)今のところ家族構成が核家族なものですから、御両親はちょっと条件的には入らないということにはなっています。
(答)そこがちょっと硬いのですね。パターンとして、子どもを中心に閣議了解で決めた枠組みを考えているので、子どもの将来を考えると、やはり日本に来て育てていくことで子どもの将来を保障していきたいという、そういう意図がまず第一義的にあるので、夫婦と子ども、要するに核家族単位ということになってしまっているのですね。 
 具体的に定住許可条件というのを閣議了解に基づいて作っているのですが、二つ項目があって、一つは、「UNHCRが国際的な保護の必要な者と認め、我が国に対してその保護を推薦する者」。二つ目が、「日本社会への適応能力がある者であって、生活を営むに足りる職に就くことが見込まれるもの及びその配偶者又は子」としかないものだから、それ以外の枠組みを作っていないのですね。これでいいのかというのは一度有識者会議の中で議論してもらおうということで、枠組みについての見直しは始めていきたいと思います。
(問)またまた朝日新聞、岡本です。ちょっと話題は変わりますが、来週、内閣改造が一応予定されております。一応の節目ということで、大臣は続投の意欲はお有りでしょうか。
(答)何にするにしても、意欲はあります。あとはどうなるかです。
(問)あと、今、防災大臣と今兼務されている大臣をやってきて、大臣だからこそできたというものがあれば教えていただきたいのと、ここがちょっとできなくて反省点だというところをちょっと節目ということで聞いておきたいんですが。
(答)まだ節目は早過ぎるようには思うのですけれども、一つは、それぞれ私の管轄している範囲は非常に広いのですけれども、多岐にわたっているようには見えるのですが、共通したポイントというのがあると感じました。 
 それは、一つは防災で、国のこれからの災害というものに対していく、基本は東日本大震災の検証をしっかりして、その反省をもとにやっていくという仕事ですけれども、それからもう一つは、男女共同参画にしても、あるいは社会的包摂ですとか、多文化共生、あるいはこの第三国定住ということにしても、それこそ中長期的に見たこの国の形、どういうふうに国のアイデンティティを作っていくかということに密接に関わっていまして、そういう意味では、根本的な問題、課題なのだと感じました。 
 ですから、全部一つずつプロジェクトはばらばらになっているのですけれども、本当は根っこは一つで、基本的に国としてどういう国づくりをしていくのかという議論に収束していくというか、固めていくというような、そんなことをやりたかったということなのです。まだそういう意味では道半ばなのですけれども、そういう意味では、しっかり今コミットを始めていると思っています。
(問)何か胸を張れるような何か実績を一つ挙げろと言われたら何を挙げますか。
(答)胸を張れるといいますか、まだ実績までいっていないのですけれども、防災という観点からいけば、南海トラフだとか首都直下ということを中心にして、具体的な防災計画に結びつけていくようなプロセスというのが出来てきたと思います。特に地方自治体が大切なので、地方自治体と国が協同してこの対策を作っていこうという、いわば参加型のプロセスというのが大事だということで、それぞれ協議会を作って、民間も含めた体制というのを作り上げていく、こういう流れは非常に大事だと思います。 
 もう一つは情報ですね。これは、東日本大震災の状況を見ていると大混乱して、危機管理体制というのがしっかり構築できていないということが分かったということだと思うのですが、その基本は、危機管理体制の中で情報をまずどう整理していくか、それをどうシステム化して情報を共有しながら、危機管理に責任を持つ人間がそれに対してしっかり対応ができるような状況を作っていくかということと、それで、今、GISなどを中心に地理情報システム、総合情報システムを中心に、内閣府が中心になってそれを作っていくというプロセスに入っています。 
 ところがよく考えてみると、これは防災で始めているんですが、防災ということをきっかけにして、本当はトータルな情報管理システムというのを作っていかなければいけないということになっていくだろうと思います。そんなことにも気づき始めてきたので、防災ということをきっかけにしながら、そういうような動かし方もできるのではないかと思っていますね。そんな作業を今始めています。
(問)NHKの加藤ですけど、今のお話にも関連するかもしれませんけれども、内閣改造が言われている中で、防災担当大臣にいろいろな職務が兼務になるということについては、大臣自身はこれまでやってこられて率直にどのようにお感じになっているでしょうか。 
 結構これから南海トラフだけじゃなくて首都直下だとか、あるいはそれ以外の地震とか、大臣のお話にもあったように、地方にも関係するような、全体としてどういうふうに防災を考えていくんだということが具体的に進む時期になってくると思うんですけれども、その時期にいろいろ兼務されるということは問題というか、課題みたいなものにはならないのか、あるいはそれはやれるという御判断なのか、あるいはそれはもっと特化すべきなのか、具体的な御実感を含めてちょっとお話を伺いたいと・・。
(答)やっていけると思いますよ。仕事量からいっても、それぞれ私自身が細部の仕事をするということではなくて、内閣府の体制がどうなっているかと、こういうことだと思うのですね。 
 これから特に防災は法案の改正に向けて準備を進めていくわけですが、それに対しての充実というのはしっかりできてきましたし、更に、これは私の一つの思い入れですが、危機管理対応ができる人材というのを地方で作っていくということもあって、その地方の人材というのをこの内閣府に集めてきて、それでまたもう一つ研修しながら、あるいはトレーニングしながらその人材を生かしてやる企画立案部門というふうな形のものもできてきますので、そういう意味で、確実に動き始めてきていると思います。 
 あと、先ほど申し上げたように、他様々な担当をしています。そこの部分については、先ほど申し上げたように共通項があって、それをいかに統括していきながら、一つの議論、国の形というものの議論に高めていくかということでありまして、その体制というのは内閣府の中にも、あるいは内閣官房も関わっているのですけれども、できてきていると思います。 
 あと、課題は、それぞれの省庁で取り組んでいるものを内閣府へ持ってきて、ホチキスで留めてこれが政策ですよという形にするのではなくて、内閣府の方から、そうしたプロジェクトに対して主体的に企画立案しながら、各省庁を動かすというところまでしっかり持っていくということだと思います。その辺についての、あとは頑張りだと思うので、両方合わせてできるのではないかと思うのですけどね。
(問)また全然話題は変わりますが、昨日、民主党役員人事がありました。輿石幹事長が続投ということになったんですが、自民党や公明党からは三党合意路線というのが本当に続くのかとか、解散先送りの布陣じゃないかというような警戒感が広がっていますが、この人事に関して大臣の評価をお聞かせいただきたいんですが。
(答)総理自身も言っているように、三党合意については、しっかりこれを前提にして進めていくということ、これは意思がはっきりしているわけですから、その上での今回の人事だと受け止めていただければ、それぞれに意味合いが出てくると思います。 
 いずれにしても、総理のリーダーシップの中でこれからもやっていくということですから、今回の人事、そういう意味では生きてくるのではないかと思います。

(以上)