中川内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成24年2月28日

(平成24年2月28日 9:20~9:36  於:合同庁舎第5号館3階特別会議室)

1.発言要旨

 おはようございます。私の方から2点お話をさせていただきます。
 一つは、自殺対策強化月間の実施についてであります。
 本日の閣議において、私の方から、3月1日から1カ月間、自殺対策強化月間を実施することについて発言をいたしました。我が国における年間の自殺者数は、平成10年度以来14年間連続して3万人を超えているという厳しい状況にあります。政府では、例年、自殺者数が多い3月を自殺対策強化月間と定めまして、地方公共団体、関係団体等とともに連携して重点的に広報啓発活動を展開するとともに、関係者と強力に推進しております。本年度の月間では、全員参加をテーマとしまして、一人一人がそれぞれの立場で悩みを抱えた人に声をかける、進んで行動を起こしていくことを標語、タイトルとしまして、「あなたもゲートキーパー宣言!」というキャッチフレーズで全国民に呼びかけることにしております。一人でも多くの方の命が救われるように、本月間における皆さんの御協力をお願い申し上げたいと思います。
 それから、先般、大雪対策についてお話を申し上げましたが、その中で、状況が非常に深刻な地域もあるので、自衛隊の出動について弾力的に是非対応をお願いしたいということを防衛省にお願いしておりました。防衛省の方からは、そのことを受けて、より的確に対応するということを言っていただきまして、特に、自衛隊が出動する場合には緊急性、代替性、公共性、この三つを中心に考えていくということなのですけれども、この公共性という中に、「公共の秩序を維持するために人命または財産を社会的に保護する必要がある」という項目をつけ加えて弾力的に運用する、人命または財産を社会的に保護する必要があるところが出てきたときには、総合的に勘案して弾力的に判断をしていくことで対応を考えていただいたということであります。地方自治体の方にそのことを伝え、周知して、必要とあらば自衛隊の方にお願いをするようにということで、私たちの方も発信をしていきたいと思います。
 私の方からは以上です。

2.質疑応答

(問)朝日新聞、岡本です。
 今、大臣がおっしゃったことで確認をしたいんですが、大雪対策の自衛隊の出動について、人命、財産を社会的保護をするというのを追加したから、以前と比べて具体的にどういうふうに自衛隊が出動しやすくなったと言えるのかということなんですが。
(答)恐らく具体的には、過疎地で住民、お年寄りが孤立したりしているような地域で、なかなかそこに入っていくことが困難なところで、自治体として、例えば、普通であれば土木関係業者とか、あるいはボランティアと工夫しながら雪かきをやって屋根から雪も下ろすというような対応をするんでしょうけれども、なかなかそういうことが十分に確保できないというようなところまで、過去のそうした状況に応じて、これは人命に関わるというような判断があれば自衛隊の出動も前よりも容易にお願いできるということだと思います。
(問)これまでは、こういう場合はなかなか出られなかったということですか。
(答)公共の秩序を維持するためということ、いわば、公共施設といったらインフラですよね、道路なんかを中心にして大きく持っていく出動、ひょっとしたら公共施設等々も含めたそういうところに重きを置いた出動だと思うんですけれども、個人の人命といいますか、そういうところにも広げてやっていくということを判断していただいたと思います。
(問)日経新聞の持木と申します。
 関連して確認なんですけれども、今回の措置というのは、今後も恒久的に続いていくということで。
(答)そのように解釈しています。
(問)毎日新聞の池田と申しますけれども、具体的に自衛隊にどういった作業に当たってもらおうというふうにお考えなのでしょうか。
(答)それはそれぞれ地方自治体のニーズによってということだと思うので、首長さんがそこで判断して、これはどうにもならないというところを自衛隊に出動を要請しようということです。だから、首長さんの方も、こういう個々の対応について自衛隊は少し無理かなと考えていたところを、もっと弾力的にお願いしようということで、一歩踏み出してもらうということだと思います。
(問)それは除雪作業以外のこともということなのでしょうか。
(答)これは大雪の災害に対してということですから、それ以外のものについては、またその都度そうした対応があるのだと思うので、まず大雪です。除雪です。
(問)これまで、そういった大雪に対して自衛隊が出動したことはよくあることなのでしょうか。
(答)あります。今年は特に山間部地域での生活道路等の支援ということで、人員約1,340名、車両約560輌、航空機1機になっていまして、具体的には滋賀県の高島市、北海道の三笠市、これは道路関係ですが、このほか岩見沢で、さっき申し上げたように高齢者世帯の除雪を実施しています。これまで全く個人的な高齢者に対しての救援活動というのはなかったということではなくて、あったのですけれども、それをさらに弾力的に考えていただくということであります。
(問)NHKの加藤ですけれども、雪自体は恐らくここ50年ぐらいですごく量としては、実態の傾向としては減ってきていて、その年によって単年度ですごく大きくなったりするようなところが多分単発しているんだと思うんです。雪の量からすると、平成18年豪雪よりも今回は少なくて、被害は結果的に多いわけですけれども。そうなると、何でもかんでも自衛隊が出動するというわけにもいかないでしょうし、もっと根本的、抜本的なところで雪にどういった対処をするかという考え方みたいなものを検討する必要もあろうかと思うんですが、これについては大臣。
(答)そこは言えると思うのですね。年間の降雪量が基準になるのではなくて、一時的にどかっと降って、さらに局部的に孤立をするとか、あるいは家屋がもう雪かきができずに倒壊するとかそういう被害、あるいはこれからは雪解けで雪崩につながってくる、そういう被害が局部的に起こってくることに対しての対応と私も理解しています。
 そんな中で、特に東北あるいは日本海沿岸というのは年々過疎化が進んできている。言いかえれば高齢化してきているということがありまして、それに対して十分に昔のように公共事業でマンパワーが土木関係会社を中心にあったわけですけれども、これまた公共事業が変化してきているという中で、このマンパワーが十分に確保できないということ、あるいはコミュニティ自体が過疎化の中で崩壊して、例えば、消防団の構成がなかなか若い人たちでできないということ、こういう社会的要因というのがありまして、それを何とか克服していく、あるいは工夫をして雪の災害に対して考えていかなければいけないという局面に来ているのだと思うのです。そんな中で、年々こうした自衛隊のマンパワーに頼っていく、あるいは機材ですね、こういうものに対して頼っていくということも必要になってくるという状況が生まれてきているのだと思うので、そんなところも考慮しながら、今回の大雪を踏まえて基本的な対応をしっかりと考えていきたいと思います。
(問)共同通信の小野塚ですが、すみません、自衛隊の災害派遣の要件に当たる非公共性とか三つの要件に書き加えてもらったという話をされたんですけれども、それは何かの規約の書きかえをしたという趣旨なのでしょうか。
(答)私の方はメモをいただいているだけなので、詳しくは防衛省の方で確認をしていただきたいと思います。
 さっきお話ししたように、自衛隊はやむを得ないか否かということについて、さっきの緊急性とか公共性という三つの項目があるのですけれども、それの中身について少し弾力的に考えていただくということ、それが特に人命または財産を社会的に保護する必要があるということですね。
(問)ちょっと話題を変えるんですが、朝日新聞の岡本です。
 年金交付国債というのが、今後の年金法改正で国債を出そうとされていますが、将来の消費増税を見込んだ手法というものに、与野党間問わず疑念の声が上がっているんですが、これに対する大臣の見解を教えてもらってもいいですか。
(答)予算はトータルで出していると思いますから、前提として消費税を国民の理解を得ながら上げていくということ、これはそういう前提で予算を編成したということだと思います。そういう中では整合性はあるんだというふうに思うのですが、この消費税の議論について、賛否いろいろある、あるいは、私たちはどうしても、日本の国の構造的な問題というのを克服していくために、その前に無駄遣いを徹底的に洗い直していくということは当然あるのですけれども、それにしてもやはり消費税というのはお願いしていかなければいけないということなのですが、それについて見通しがなかなか現在の状況で立つことができないということです。そういうことがあるとすれば、それを見込んで交付国債ということになると、そこは最終的には考えていかなければいけないのかなというふうに思います。だから、これからの議論の運び方によってそこは変わってくるのかなというふうに思います。
(問)考えていかなければいけないというのは、要するに、年金交付国債をとりあえず本年度は取り下げてでもということもあり得ると、そういう意味合いですか。
(答)それはいろんな選択肢があると思うのです。予算の中身を野党との話し合いの中で変えていくということも必要になってくると思うし、ただ、それを外すということだけではなくて、トータルで予算の中身も話し合いによってそういうことがあると思います。そこは最終どうなってくるかということかと思います。

(以上)