岡田副総理記者会見要旨 平成24年9月18日

(平成24年9月18日(火) 15:06~15:30  於:合同庁舎4号館1階108会議室)

1.発言要旨

 私からは、まず日中関係。
 まず、西宮大使が日曜日、逝去されたということで、私も若い時代からよく存じ上げてきた方で、年齢も入省年次も同じということですから、しかも非常に有能な人材で、突然の御逝去に対して、慎んで哀悼の意を表したいというふうに思っております。
 それから、日中の関係、様々反日デモが起こり、その一部が暴徒化して、日系企業などに損害が生じているということに対しては、まことに遺憾なことだと思っております。もちろん、一定の政治的な主張を持ってデモをするということは、それは中国の法律に基づいて行われている限りにおいて、それに対して何か口を挟むべきものではないというふうに考えますが、それが制御ができなくなって、違法な行動に出るということであれば、それはやはり法律に基づいて、しっかりと中国政府に対応していただきたいというふうに思っているところであります。
 政府としては、外務省を通じて、特に邦人の保護、そしてそういった違法な行為が今後起こらないように、中国政府に対して引き続き強く要請していかなければならないと考えております。
 もちろん、日中関係は、経済、政治、その他非常に多くの面にわたって重要な2国間関係でありますので、冷静に両国政府が対応をし、こういった緊張状態というものを早く解消できるように、双方がしっかり努力をしていかなければならないというふうに考えております。
 それから、お手元に資料をお配りさせていただきましたが、内閣府で年1回、「国民の声」の一環として、規制・制度改革の「集中受付」を行ってまいりました。そのことが規制・制度改革の重要なエンジンの一つとなっているわけであります。今年は日本再生戦略に示されているグリーン、ライフ及び農林漁業の発展、あるいは経済活性化について重点的に御意見、御提案をいただきたいというふうに考えております。
 事務的な細かいことは、担当のところにお問い合わせをしていただきたいと思いますが、10月15日から11月30日までを予定して受付を行いたいということでございます。
 私から以上です。

2.質疑応答

(問)【日中関係関連】
 朝日新聞の河口です。今の日中関係のことでお伺いします。
 まず、今回の反日デモというのが尖閣の国有化に端を発するものですが、改めて尖閣の国有化についての日本政府の判断は正しかったか、またこのタイミングでよかったのかという点と、この反日デモといいますか、こういったある程度の摩擦というのは、想定されていた範囲内であったかどうかというこの辺りをお願いします。
(答)尖閣の国有化というよりは、尖閣を巡る一連の出来事というふうに考えております。
 そういう中で、国が、都が購入するという話もありましたし、それからそもそも個人が持っておられるわけですから、どこか売ろうとすれば、ある意味では個人の自由と、それを法律上規制するということは、非常に難しいという中で、国が保有することが最も安定的であるということで、国有化という道をとった上で、そういったことは中国側も分かってはいるものの、しかし国民感情もあり、あるいはいろいろな報道もあり、現在の今日の事態になっているということだと思います。
 ある程度緊張するということは、当然想定しておりました。しかし、そういうことがなるべく過度にならないように、これからも努力していきたいというふうに考えております。
(問)フリーランスの上出です。今日、岡田副総理だけが記者会見ということで、外務大臣に本当は聞きたいことなのですが、御経験されているので、一般論でも結構ですが、いろいろなメディアで一触即発、非常に軍事的なところまで衝突するのではないかと、率直に言ってそういう報道、特に週刊誌なんかを中心に流れています。その辺の国民の漠然としたそういう不安に対して、今の段階で政府として発信できるもの、見解、示していただきたいのですが。
(答)いろいろな報道はそれぞれありますが、それは別に根拠があって言われているものばかりではないということは、国民の皆さんもよく分かっておられるというふうに思います。日本政府としては、これは冷静に対応しなければならないということで、日中両国政府間での意思疎通もしております。意思疎通しているから、それで分かったということでは必ずしもありませんが、日中両国関係が非常に重要であるという前提の中で、意思疎通はしているということです。
 ただ、政府が全部制御できるわけではありませんので、そういう中でいろいろなことが起きているということかと思います。
(問)補足です。他のほうでも質問が出ているかもしれませんが、日米安保条約の範囲内に尖閣列島は入るのだということをアメリカは明確にメッセージしていますが、一方で領土に関しては中立の立場であるということを言っています。
 現実に、さっきのと関連しますが、一応公式的にどこまでどういう状態になったときに、安保条約の範囲内で米国はこの問題について関与できるのかという御見解というのは、示していただけますか。
(答)日米安保の範囲の中であるということは、アメリカ政府は繰り返し言っているわけであります。ただ、同時にこういう問題について、両国間でよく話し合って貰いたいという、そういうメッセージだというふうに私は受け止めております。もちろん日本政府としては、領土問題はないという考え方ですが、そういう前提の中で、基本的には日中両国間の問題ですから、その間で話し合うというのは、それは当然のことだというふうに思っています。
(問)共同通信の蒔田ですけれども、尖閣諸島周辺海域の接続水域に中国の漁業監視船が入ったという情報があり、また大量の漁船が尖閣のほうに向かっているという一部報道の情報もあります。
 領海、領土の警備の観点からは、日本政府としてはどう対応していくべきでしょうか。
(答)いろいろな情報があります。これもまた憶測に基づくものも含めて、様々な情報があるということですが、政府としてはきちんと事態を把握をして、そしてしっかりとした対応ができるように準備はできているということです。冷静に対応していかなければいけないというふうに思っています。
(問)NHKの田村です。この尖閣の問題を巡って、先の香港の活動家が行ったときは、比較的、政府間ともクールに対応することができたという趣旨のことを前、副総理はおっしゃっていたと思うのですが、今回その後、漁業監視船等が尖閣の近くに来たりしているのですが、引き続き中国政府の対応は、日本政府が求めるような冷静な対応というのは、政府間ではできているという御認識でしょうか。
(答)それぞれ政府、国民もありますし、いろいろな反応がありますから、現時点で日中間で全部合意の上で物事を進めているということは、もちろんありません。意見の違いはあります。ただ、会話はきちんとできていると、そういうふうにお考えいただければと思います。会話というより、対話ですね。
(問)月刊誌のFACTAの宮嶋です。ジャスコの青島の店が焼き討ちに遭って、ジャスコ自体は30店舗以上出ていたと思うのですけれども、元々、岡田さんの正にお父様が創業されて、ずっと中国とは北京の万里の長城に木を植えたり、いろいろなことをされていて、非常に事情に通じておられると思うのですけれども、この休日に御両親含めまして、中国の情勢について何か聞かれたり、生を一番御存じなのではないかと思うのですけれども、そういうのがあればよく聞いておられると思うのですけれども、少し教えていただきたいのですけれども。
 併せて、日本で商売をやっている人たちの被害状況などをこれから調査して、どういう賠償というのでしょうか、何か回復措置というのができるのかどうか含めて、政府はどういうふうに対応するのかも伺いたいのですけれども。
(答)特に会話はしておりません。今後の対応については、基本的にはこれは中国側の問題ですから、まず略奪とか破壊とか、そういう法に明らかに反することを行えば、それは中国側で法に基づいてしっかり対応してもらいたいというふうに、日本政府としては考えております。
 ただ、かなり過激な行動もありましたけれども、これは中国どこの場所も、北京も含めてそうなのですが、全体としてそういう非常に緊迫した雰囲気になっているかということは、言えばそういうことではなくて、一部のそういうデモ隊の介在しているところが非常に緊迫していますが、全体は落ちついていると。
 私は大半のというか、圧倒的多数の中国の国民は、中国の人々は、今回の一部の違法な行動に対しては、それは決して賛同していないというふうに考えております。
(問)【その他】
 FACTAの宮嶋です。9月14日、いわゆるエネルギー・環境戦略の出された後、主要メディアでは、かなり空理空論というのでしょうか、そういうようななかなか実現性に対してのその批判と、それから総選挙を前に脱原発アピールというのですか、人気取りだと、そういう批判が目立つのですけれども、改めてこの2点について、副総理としてやはり反論があると思うのですけれども、大きな決断をしたとこの間もおっしゃっていたのですけれども、どのように誤解もあるとお考えになるのか、そのことについてお話を伺いたいのですけれども。
(答)確かメディアの取り上げ方は、そう批判的ではなかったというふうに受け止めているのですが、非常に難しい問題、様々な要素があるということを前提に、今回の結論が導かれたということについて、国民も含めて、かなり理解は進んでいるのではないかというふうに思っております。
 ですから、一方的に批判しているようなメディアというのは、あまりなかったのではないのかなというふうに思っています。
(問)ちょっと私の勉強不足かもしれません。この戦略会議のこれというのは、戦略会議に出て、その後、基本的にこのほぼ状態で閣議決定まで持っていくと、そういう理解で、要するに政府として全省庁にある種の法律に準ずる形で閣議決定をするようなものなのか、それともただ閣議了解ですとか、いろいろなのがあると思うのですけれども、どういうふうな形でこれを持っていかれるお考えなのか、伺いたいのですけれども。
(答)明日は閣議がありますので、そこで明らかになるというふうに思いますが、ちょっとこれ以上のことを私の口から申し上げるのは如何かというふうに思います。ただ、通常であれば重要なことは、それは閣議で決定されるということが普通であります。どういう形で閣議決定するかということについては、それは明日を待っていただいた方がいいのかなというふうに思いますが。
(問)朝日新聞の河口です。日中のお話にちょっと戻りますけれども、先程おっしゃった国が持つことが最も安定的な管理になるということをおっしゃって、そういったことについては、中国側も分かっているというふうにおっしゃりましたけれども、具体的にはどういう御説明をなさって、中国側がどのように理解していると思われるのか。
 もう一つは、分かっているとするならば、例えば共産党大会も控えておりますが、ある程度どのぐらいの時期になったら収まってくるのかなという予想をされているのか、この辺り。
(答)やり取りの中身を申し上げることはございません、両国間のですね。
 いつ収まるかとかというのは、これは我々に聞かれても分からないわけで、もちろん中国政府も完全に掌握しているわけではない。中国の国民の一部が過激な行動をとっているわけですから、これはどういうタイミングでどうなるかということを今、見通しを申し上げるというのは、非常に難しいと思います。
(問)朝日新聞の河口です。ちょっと古い話になって恐縮なのですが、今、代表選で赤松候補が消費税の関係で、多数決を取るというのも一つの意思決定の仕方だったのではないかということをたまにお触れになるのですけれども、一部民主党内には、両院総会で消費税についての賛否を取るべきだという意見もあったのですが、結局、党の執行部といいますか、野田政権としては、そういう判断をされなかったと。
 ちょっと今回そういうところも争点の一つに、意思決定の仕方というのも争点になっているので、この辺りなぜあのときそういう選択をされなかったのかというのを教えていただければと思います。
(答)まず、十分議論を尽くしたというのが一つあるのですね。長時間、皆さんも御存じのとおりにであります。あれだけ議論してきたということで、最後の場面で改めて両院議員総会ということですが、両院議員総会は政策を決める場ではありません。そのことは規約上明らかであります。そこで、言うのは、ちょっと私には理解できないことで、いずれにしても代表選挙は、是非将来のことについて大いに議論していただくということがいいのではないかと、既に決まってしまったことをいろいろ言われても、それはあまり国民の皆さんにも前向きな印象を与えることにはならないのではないかと、そういうふうに思っています。
(問)朝日新聞の河口です。岡田副総理は政調会長もお務めだったことがあるわけですけれども、政党の意思決定として、多数決というものを意見を決めるスタイルというのがそぐうのか、そぐわないのかと、この点について如何ですか。
(答)それは場合によりますね。非常に内閣の命運を決めるような重要な問題であれば、ある意味ではリーダーが引っ張っていくということもあると思いますし、それは物事によるのだろうというふうに思います。一概には言えません。
(問)(月刊誌FACTA・宮嶋氏)野田政権ができて1年というか、野田さんが最初におっしゃったときに印象的だったのは、「福島の再生なくして日本の再生はない」という言葉で始まったと思うのですけれども、明日、遅れ馳せですけれども、ようやく規制庁もできる。あるいは原発についてもある方針を出すと、タイミングというのは、それなりに評価できると思うのですけれども、改めて民主党政権のいわゆる福島のというのですか、エネルギー政策を含めた福島の再生なくして日本の再生なしという、その最初のことからして、今の進捗状況について、副総理はどのような御評価をされているのか、伺いたいのですけれども。
(答)被災地からは、もっと早くという声が上がっていることは承知していますし。それはある意味では当然のことだと思います。大変な御不便をおかけして、仮設にお住まいいただき、あるいは生活の再建も十分にままならない状況ですから、一日でも早くという、そういう声に対して、我々は真摯に耳を傾けなければならないというふうに思います。
 ただ、一方で、例えば高台移転一つとってもですね、それをやるのかやらないのか、これは当然地元でも意見が分かれます。そういったところをある程度議論していただいて、納得していただいて物事を進めていくということは、時間もかかってしまいます。そのことを早くできれば、それに越したことありませんが、しかし、まさしく意見が分かれている中で、一方的に進めるというわけにもいかないと、そういう問題でもあるということは、御理解いただきたいというふうに思います。
 あと、この前のちょっとNHKのテレビを観て思ったのですが、ただグループ補助金について、それが採用されなかったということで、そのことが取り上げられていたのですが、実はグループ補助金の全体のボリュームは非常に大きなものですね。しかもそれは第1回目ということですから、そこで確かに全部を採用することはできなかったわけですが、相当ある意味では、思い切って出している補助金ですから、そのことはきちんと評価した上で、しかも全部取り上げるというのは、それは実際には国民の税金ですから、ある程度優劣をつけて物事を進めていかなくてはいけない。別に将来つけないということではなくて、熟度が高いもの、あるいは緊急度の高いものからつけていくというのは、それは国民の税金である以上当たり前なので、外れたものがあったからといって、それだけで批判をされるというのは、私はちょっと違うのではないかというふうに思っております。かなり政府としては、思い切ったことはやってきているということは、申し上げておきたいと思います。
 19兆という予算は、一般歳出52兆ですか、今、年間92兆のうち、国債と地方除くと。19兆というのは1年間ではありませんが、2年間で19兆というお金の大きさというのは、相当のものがありますね。
 もちろん、その中で、使い方についていろいろ御意見いただいてますし、私は問題がないわけではないと思いますが、相当思い切って、被災地の復興のために予算を出しているということは、それは是非御理解いただきたいと思います。

(以上)