岡田副総理記者会見要旨 平成24年4月10日

(平成24年4月10日(火) 16:50~17:42  於:合同庁舎4号館4階408会議室)

1.発言要旨

 お待たせをいたしました。まず、夕刊各紙を飾ったダルビッシュの出来ですが、勝ったからいいかという感じですね。これから大変な試練が待ち受けていると思いますが、日本を代表してしっかり頑張って貰いたいというふうに思います。
 さて、私からは冒頭2点。一つは先程までやっておりました「規制・制度改革に関する分科会」についてであります。
 今日はちょっと気分を変えてといいますか、官邸で開催をいたしました。
 エネルギーについては、委員の先生方に大変頑張っていただいて、いい案をまとめていただきましたが、引き続き、私は規制改革、極めて重要だし、成長戦略の一環としても規制改革を前にどんどん進めていきたいと考えておりますので、今日はそういう思いを込めて、委員の先生方にいろいろお話をさせていただきました。
 今日は、これまで分科会でフォローアップヒアリングを行ってきたことについて、議論を少し深めるということで行われたわけでございます。特に農業分野と医療分野が中心です。
 農業分野については、農協に対する金融庁の検査・公認会計士監査の実施、それから農業生産法人の要件の更なる緩和、農業委員会の在り方の見直し、医療分野では保険外併用療養の範囲の拡大、ICTの利活用促進、ドラッグラグ・デバイスラグの更なる解消というような案件であります。
 それぞれ非常に重要な問題で、既に閣議決定されたことについて、各省庁がどのようにそれを閣議決定に基づいて前に進めているかということについて、それをヒアリング結果などに基づいて議論を行ったところであります。
 今日、いずれも重要な案件なのですが、率直に言って、果たして閣議決定されたことがちゃんと前に進んでいるのかと言うと、必ずしもそうは感じられない、そういう案件も見られますので、これからしっかりフォローアップして、そして決めたことが実施に移せるように努力していかなければいけないというふうに思います。
 会議の場でも申し上げたのですが、一例を申し上げれば、農協に対して公認会計士監査の実施ということがあります。閣議決定の中では、適正なガバナンスの確保及びコンプライアンス強化に向け、農協に対する監査の独立性、客観性、中立性の強化を図るということが書かれているわけであります。
 それに対して、実際行われているのは、中央会に公認会計士を確保して、そこが農協の監査を行っているというものであります。そのことについて、今日ではなくて、分科会のメンバーが農水省に対してヒアリングをしたところ、中央会が農協に対して実施する監査というのは、公認会計士の資格を有する者が行っていたとしても、内部監査の範囲にすぎないのではないかという質問に対して、中央会と農協は別法人であって、法律上独立した別法人が行っている監査であると、こういう答えであります。
 勿論、別法人であることは事実ですが、本来の監査というのは、それは完全に独立して行われなければいけないというのが閣議決定の趣旨だとすれば、果たして中央会の職員といいますか、そこに籍を置く公認会計士が行っている農協に対する監査というのが独立性があるものと言えるのかという疑問が当然出てくるわけであります。
 いずれにしても、一つ一つしっかりと従来の閣議決定の趣旨に沿って、物事が前に進んでいるかどうか、厳しく見ていかなければいけないというふうに思っております。6月頃までに最終的には結論を出す。最終的な結論については、行政改革実行本部ないし閣議において、再度決定をするということにしたいと考えております。
 それから、もう1点は前回御質問をいただいた件に関するものでありまして、政権交代以降の財源確保の状況ということであります。
 これは私は幹事長のときに中間検証という形で、党としては数字を出しておりますが、今回もう一度確認をいたしまして、私、行革担当大臣として数字を申し上げたいと思います。
 まず、22年度は歳出削減は2.3兆円です。これは中間検証と同じですが、そのうち公共事業関係費で1.3兆ということであります。
 税制改正、これは年少扶養控除の廃止等でありますが、1.1兆円です。
 税外収入は10.6兆。財投特会の積立金の取崩し4.8兆、外為特会の剰余金0.4兆、それから事業仕分けを踏まえた返納等1.1兆。中間検証はここまでなのですが、それ以外にも前年度分からの外為特会の剰余金、その他を含めますと14兆(補足:歳出削減、税制改正、税外収入を合算した数字。税外収入のみの合計は10.6兆円)という数字になります。
 23年度は、これは21年度比、前年度比ということでありません。21年度比でありますが、歳出削減で2.6兆、これは公共事業等、前年と同じだけの削減は継続しておりますことに加えて、事業仕分けを踏まえた歳出削減0.3兆を加えたものであります。
 それから、税制改正は前年度より1.1兆は、これは継続であります。それ以外に0.2兆の成年扶養控除の見直しを一旦は決めたわけですが、これは与野党協議の中で結局認められませんでしたので、そういう意味では前年と同じ1.1兆ということであります。
 税外収入は7.2兆、この中には鉄建機構からの1.2兆も含まれております。
 それから、24年度は歳出削減が2.9兆、それから税制改正が1.1兆、税外収入が3.7兆であります。
 その意味で、これは足し算しますと22年度は14兆、23年度は10.9兆、24年度は7.7兆ということになります。
 勿論これ以外に既に決まった公務員人件費を7.8%引下げなど、当初予算には含まれていないものがありますので、そういうものは別であります。
 こういう形で政権交代以降、歳出削減や、あるいは税制改正、増税ですね、控除の廃止と言うべきか。それから税外収入ということで進めてきたということを申し上げておきたいと思います。
 もちろんマニフェストに書いた16.8兆、これは4年度目という、そういう意味で書いたつもりですが、それから見ると開きはあるということであります。その中には、例えばガソリンの増税、減税、暫定税率の廃止を止めたこととか、そういったものが更にチャンスはなかったわけではありませんが、大震災等を考えて、そういったことは見送ったわけでありますので、いろいろな状況の変化の中で、実現してないものもあるということは、マニフェストにもそう書いたとおりであります。
 私から以上です。

2.質疑応答

(問)【規制・制度改革に関する分科会関係】
 月刊誌のFACTAの宮嶋ですけれども、農業分野で閣議決定について、進捗状況がというのは今御説明ありましたけれども、医療分野でもやはり同じように遅々として進まない分野があるのだと思うのですけれども、幾つか御紹介いただけないでしょうか。
(答)今日議論しましたのは、農業で3分野、それから医療で6分野、でその他、1分野ということであります。
 医療分野では保険外併用療養の範囲拡大、それからICTの利活用促進、つまり遠隔医療とか特定健診保健指導という問題であります。それから、一般医薬品のインターネット等販売規制の見直し、訪問看護ステーションの開業要件の見直し、ドラッグラグ・デバイスラグの更なる解消、これは医薬品、医療機器の審査手続の見直しということであります。それから、再生医療の推進、こういうことでございます。
(問)【財源確保の状況】
 朝日新聞の尾形ですが、歳出カットのところで御紹介いただいたのは、これは21年度との比較にいずれもなるわけですね。とすると、22年度は2.3兆円で、そこからダブルカウントしなければ23年度はさらに0.3兆円、24年度は更に0.6兆円というふうに数えて、足し合わせると3年間で3.2兆円と考えればいいのでしょうか。
(答)いや、私が申し上げたとおりです。どういうふうに数えるかというのは、それぞれの考え方あると思いますが、マニフェストの中でも公共事業の1割削減ということを申し上げたと思うのですが、それはずっと1割ずつ減らしてということではなくて、基準年度に比べて、政権交代前に比べて1割削減ということですから、この中の例えば公共事業関係費で1.3兆円削減というのは、22年度も1.3兆円削減しているし、23年度も政権交代前と比べれば1.3兆円削減していると、こういうふうに考えれば、その分をカウントしないというのは、マニフェストの考え方とは異なるということだと思います。
(問)いずれにしても、確認ですけれども、24年度の2.9兆円という歳出カットは、22年度時点の2.3兆円も含んでいるということでよろしいのですよね。
(答)重なる部分はございます。ただ、公共事業を毎年、毎年1割ずつ削るというふうに我々は言っているわけではありませんので、基準年度、政権交代前に比べて1割カットするということですので、マニフェストの考え方から言うと、そういう数え方は私はおかしくないというふうに思います。
(問)日本経済新聞の中島と申します。
 今の関係で、ちょっと細かい確認で恐縮なのですが、そうしますと歳出削減と税制のところは21年度比で、恒常的に確保した財源と言えるかと思うのですけれども、税外収入のところはその1年間でフローで確保したお金という考え方になるわけですね。
(答)基本的にそうですね。
(問)そうすると、09年のマニフェストで確保するとしていた16.8兆円との対応が取れる数字というのはあるのでしょうか。
(答)基本的に私が今申し上げた22年度14兆、23年度10.9兆、24年度は7.7兆なのですが、これがマニフェストで述べた数字に対応するというふうにお考えいただければいいと思います。
(問)一時的に確保する税外収入のところは、どういうふうに考えればいいのでしょうか。
(答)税外収入も、ですから16.8兆というのは4年度目というふうに私は理解しているのですが、そこでそういった税外収入も含めて16.8兆ということですから、同じことだと思います。
(問)(月刊誌FACTA・宮嶋氏)戻って先程の規制改革ですが、民主党の規制改革というのは、あまり今までどこまでという疑問もあるのですけれども、6月にこれだけは副総理として進めたいというような規制改革の目玉みたいなものがあるのか、今フォローアップということだと思うのですけれどもね。それは何か先程の薬の話でも、いろいろ具体的にやらなければいかんことがあると思うのですが、何かあれば、あるいはそれを各省大臣に指示を出されていることとか、そういうのがあれば教えていただきたいのですけれども。
(答)基本的にこれは旧政権時代からですけれども、今まで議論して閣議決定されてきたものが項目としてはかなりあるわけですね。そういうものを今もう一回総ざらいしているわけです。
 一旦閣議で閣議決定したということは、それはやるということで決めているわけですから、それが確実に実施されているかどうかということをきちんと見直しをして、そして確実に進めていくということは重要だと思います。
 沢山あるそういった閣議決定事項の中で、特にこの分科会の中で注目しているのが農業と医療ということですから、この両分野、今申し上げたような項目を中心に、しっかりと果たしてどこまでできているかということを見直し、そして更に前に進めるために、各省とも折衝していかなければいけないというふうに思います。
(問)(朝日新聞・尾形記者)先程の関連で前回もお聞きしたことですけれども、今回のそうしますと24年度で2.9兆円の歳出カットという数字を踏まえて、今後増税で考えられているのは、13兆円レベルぐらいの歳入増を見込むべく、5%というのを考えているのだと思いますけれども、13兆円という数字と3兆円という現時点ですけれども、数字、かなり規模感に違いがあると思いますが、今後歳出カットを更に深掘りするなり、そういったお考えはないのかどうか。この前は不断の行政改革努力を続けていくというお考えでしたけれども、何かそれを超えて、きちんと歳入の規模感に合うような歳出カットについてもやってくお考えがないのかどうか、お聞かせください。
(答)まず、これは歳出削減だけではなくて、16.8兆といったときも、歳出削減プラス増税と言いますか、今回の例で言えば年少扶養控除を廃止するという控除の廃止ですね。そして税外収入と、これは全体ひっくるめて言っているわけですから、歳出カットだけで16.8兆とか、そういう趣旨は全くございません。全体での問題だというふうに思っています。そのことが1点です。
 もう1点は、今回消費税を上げますが、その分歳出をそれに見合って減らすとか、あるいはその他の税外収入なども含めて、その分を減らすというふうには勿論、考えてないわけで、増税、痛みをお願いする以上、あらゆる努力は必要です。あらゆる努力が必要ですけれども、他方で今のこの財政というのは半分赤字国債、国債の発行で賄われているという現状を見れば、これは社会保障を持続可能なものにするために、消費税のアップはお願いせざるを得ないというふうに考えております。
 それから、歳出削減を増税の条件というふうには考えておりません。不断にこれは努力していきたいし、それから行政改革という観点では、これからも与党でお作りいただいた法案もありますから、そういった法案に基づいて、いろいろな分野で、歳出のいろいろな分野で改革をしていきたいというふうに考えております。
(問)フリーランス記者の上出です。
 これまで国民が感じてきたこと、今のに関連しまして、例えばこれは自民党時代のことなのですが、健康保険の負担額がかつては1割だったのが2割になり、3割とあっと言う間になってしまって、実はこれはメディアでも報道しなかったこともあるのですが、一般の人たちには議論をする場もなかったと。今回の税の控除も同じような問題で、一般の人がどういう形でこういう問題に声を上げたらいいのか、議論の方法とか、消費税のことは皆さんある程度分かると思うのですけれども、気がついてみたら外堀が埋められていた、税の仕組みが非常に負担が重くなっていた。この辺の議論の方法というのは、今回の一体改革全体にも関わることですけれども、特に細かい点では非常に国民が知らない間にどんどん変えられていくという感じもあるのですが、どうお考えでございましょうか。
(答)今、健保の自己負担のお話をされたと思いますが、国会では随分議論したのですね。私は今から小泉厚生大臣の時代ですから、大分前になりますが、このときに負担割合を引き上げるということで、厚労委員会、当時は厚生委員会と言ったのですが、大議論をいたしました。私は野党でしたが、最終的にはこれは法律は成立したわけですが、ですから税の議論と比べていつの間にか決まってしまうということではありません。当然、法律事項ですから、その法律を改正することについて、真剣な議論が国会では行われたということです。
 最初の1割とか、健保国会などとか言って、相当与野党で対立の構図になって、あわや乱闘かというところまでいったんではなかったかと思いますが、それはかなり我々の先輩の時代ですが、いろいろな議論にはなっているということだと思います。
(問)(朝日新聞・尾形記者)先程の関連で、歳出カットと歳入のバランスですけれども、諸外国、欧米では基本的によく今言われているのは、財政再建がうまくいくときの比率として、7.3とか6.4とか、そういった黄金率とかということが言われていて、歳出カットのほうが基本的に大きいほうがうまくいくというのが共通認識だと思うのですけれども、それと比較して日本の今の増税論議というのは、問題はないのでしょうか、成功できるモデルになっているのでしょうか。
(答)いろいろな議論はそれはあり得るのだと思います。今おっしゃったような議論もありますし、また違う議論もあります。
 2005年ですか、私が民主党の代表をしておりましたときに、当時のカナダの首相が来られまして、彼が言ったのは移民だったのですね。こういう財政状況で、移民せずして財政再建なんか絶対無理だというふうに断言されまして、カナダはそれをやったのだと言われて、ややちょっと違和感を感じたわけであります。しかし、経済成長が必要だという意味では、そういう議論もあるのかもしれません。
 それから、おっしゃるように、まずは歳出カットをしっかりすべきだという議論は、それは一理あるとは思いますが、ただ例えばイギリスの今の行財政改革、かなり大胆にやっていますが、消費税は既に非常に高い税率になっているわけですね。そして、政府の規模もGDP比で見ればかなり大きいと思います。そういったところのカットの話と必ずしも一律には論じられないというふうに思います。
 歳出カットも小泉さんのときには随分やりましたが、そこの限界というのもあった。地方に対しては、三位一体改革の中で地方は相当悲鳴を上げました。それから、社会保障分野でも毎年、毎年2,200億でしたか、そのぐらいの削減をした結果、私は特に削減する分野を間違えたと思うのですが、弱いところに非常にしわ寄せがいくような切り方で、母子加算の廃止とか、そういったことで相当悲鳴が上がったということはあると思います。
 社会保障分野も私はまだ見直すことは十分にできるというふうに思っておりますし、そういうことをこれから取り組んでいきたいとは思っていますが、7割歳出削減で、残り増税でというのは、日本の現状から見ると、ちょっとあり得ないことではないかというふうに思っております。
(問)1点今の関連で、移民の話ですね、カナダの首相がおっしゃったという。外国の学者なり、そういう人たちと話をしていると、日本はなぜ移民を入れないのかと、潜在成長率が下がっていく中で,そこを支えなければどうにもならないんではないかという議論は非常によくある議論なのですけれども、副総理御自身、移民の問題についてはどのようにすべきだとお考えでしょうか。
(答)これは私自身の個人の意見を申し上げるべきではないのですね、今閣僚をやっておりますので。勿論、今でも一定の技能がある人については、日本で働くことを認めていると。しかし、単純労働的なものは、日系人以外は研修期間、3年間勤めたら帰っていただくと、そういう考え方でやっております。それを大きく変えるというのは、私は国民的な議論が必要だし、直ぐにできることではないというふうに思います。
 ヨーロッパでは、移民について、今、政治的にはいろいろな摩擦も起きているというふうに思うのですね。イギリスもそうだし、フランスもそうだと思います。カナダはちょっと私はどうなのか分かりませんが、大統領はたしかハイチの人ですよね、女性の大統領というか、大統領でしたかね。カナダの国家主席でしたか、ちょっと忘れてしまいましたが。そういう意味では非常に移民が進んでいるという感じはしますけれども、日本にとっては容易なことではないなというふうに思っています。
(問)テレビ朝日の平元です。
 先程の発言で少し確認をさせてください。
 私の聞き間違えでなければ、3問程前に社会保障を持続するために消費税アップはお願いせざるを得ないと考えているとおっしゃった後に、歳出削減を増税の条件とは考えていないというふうに、岡田副総理はおっしゃったと思うのですけれども、私自身の考えでは、やはり身を切る改革というのが歳出削減のことで、身を切る改革が消費増税の前提だと理解していたのですけれども、そうではないというお考えなのでしょうか。
(答)私は車の両輪だと申し上げております。
(問)毎日新聞の赤間です。
 昨日、自民党が新しいマニフェストの原案を発表しまして、その中で社会保障については、年金制度については、民主党の主張と隔たりがあるのですが、税制分野では消費税率を当面10%というのを明記しました。
 まず、この自民党のマニフェスト原案に対する評価と、この税制分野の10%で足並みが揃ったことを受けて、今後の国会議論にどういうふうに活かしていきたいと期待しているか、2点教えてください。
(答)その前にちょっと誤解があるといけませんので、先程の7割歳出削減、3割増税という御質問でしたから、そういったことが私は前提だとは考えていないということを申し上げたわけです。
 それから、自民党のマニフェストと言うべきか、マニフェストという言葉はたしか使われてなかったと思うのですが、そういう中で消費税10%というふうに言及されたことは、勿論、参議院のマニフェストからの継続ではあるとはいえ、方向性は一致だと、同じであるということは、確認できて私は非常によかったというふうに思います。同じ方向性であれば、是非、率直に話合をして、そして法案をベースに、我々の出した閣法をたたき台にして、是非議論していただきたいと、そういうふうに思っております。
 他のところは、これから議論されるのでしょうから、私は個別にはコメントをいたしません。ただ、2009年の自民党のマニフェストでは、年金制度について、年金制度の抜本改革については、法律によって超党派の協議機関を早期に立ち上げますと、こう言われているのですね。是非この表現は残して貰いたいと、勿論、現実的に今立ち上げればそれが実現するわけですが。
 それから、もう一つは世襲について、それは推薦、公認はいたしませんと、いうふうに言われております。こういった点は、これからどう扱われるのか、私としては関心を持って見守りたいというふうに考えております。
 世襲については、引退する議員が配偶者と三親等内の親族が同じ選挙区で立候補する場合は次回の総選挙から、ということは、これは2009年のときのマニフェストですから、次回のというと、今度の総選挙ということになるわけですね。次回の総選挙からは公認または推薦せず、世襲候補を制限しますと、こういうふうに書かれていますので、そういったところは、私は非常に注目をしているところです。
(問)東京新聞の生島です。
 世襲の制限を関心を持たれているのは、どうしてですか。
(答)これは野党でもできることなのですね、自分の党のことですから。ですからマニフェストに書かれたことが果たして引き継がれていくのか、あるいは守られるのかということについては、私はマニフェストを大事にする政治家として関心を持っております。
(問)【その他】
 (フリーランス・上出記者)直接副総理には分野ではないのですが、今日、枝野大臣が例の大飯原発について、最終的にまだ決めてないと、もう一度になるかどうかも分からないけれども、これが最後ではない、さらにやるということを言っておられたのですが、昨日やった記者会見、実は内閣記者会に入っている社だけが参加できて、普通、経産大臣の会見の場合、フリーランスも入れるのですが、そのことをお伺いしましたら、政府が仕切っていると、内閣官房が仕切っているので、経産省としてはどうにもならないということで、岡田大臣は外務大臣のときに一番早くオープン化をして、そういう問題に特に御関心が強いと思うのですが、この辺の問題、政府の中で調整して、透明性が高いというのが原子力政策の問題での基本だと思うので、この辺、副総理のお立場でどういうふうにお考えなのか、改善する余地はあるかどうかということなのですが。
(答)場所は官邸で、そこの難しさはあったのだと思いますね。もちろん官邸でやっても、記者会に入っていない方が入れる場合もありますよね。ただ、経産大臣が官邸でという新しいシチュエーションですから、そういう中で恐らくおっしゃるようなことになったのかなというふうに思います。それ以上ちょっと私コメントできません、当事者ではありませんので。
(問)朝日新聞の伊藤です。
 一体改革の関係で、前回の岡田さんの会見の際に、簡素な給付措置について、社会保障とは違う話なので、消費税の5%の枠の外として考えていると、金額はこれからだというお話をされましたけれども、枠の外だとしますと、かえって例えば教育費とか防衛費とか、その他むしろもうちょっと削減をしてくれというほうにも関わってくると思うのですけれども、その際にむしろ最初言っていた4,000億の規模でさえ確保できない可能性もあるのかなと思うのですが、ここら辺の整理をどういうふうにお考えでしょうか。
(答)それはこれからの議論次第です。どのぐらいの規模が求められるかというのは、枠の外に出たことによって、4,000億という、そういうある意味での枠はなくなったと、それは上も下も含めてなくなったということだと思います。
 ただ、勿論そういった枠の外で、つまり増税以外の歳出と、歳入の中で賄うということになれば、他の歳出との比較といいますか、そういうことは当然必要になってくるということだと思います。
(問)朝日新聞の河口と申します。
 本日の公文書管理委員会の関係でお尋ねします。
 副総理が原子力発電所に関する4大臣会合の例を引かれまして、文書で残すべき会議の範囲というものの整理というところを委員会にお願いをされていましたけれども、この辺り現状としてやはりそういった線引きというのがかなり難しいものという御認識なのか、なかなか、かなり政府の恣意的な運用になるという懸念は、我々から見るとあるように思うのですが、その辺りどのようにお考えになっているか。
(答)私は若干の曖昧さがあると思いますね。閣議、これはいいですよね。省議、その他これに準ずるというような書き方がしてあったと思いますが、その省議自身が各省によって位置付けが違うのですね。ですから、もう少し明確にしたほうがいいと。そうでないと、どうしてもそれを狭く、狭くと、そういうことが無きにしも非ずではないかというふうに思っています。基準は明確にしたほうがいいというふうに考えています。
 他方で、これは何でもかんでも記録に取るということになりますと、それはそのため手間も大変ですし、それからある意味ではそれは公式な会議は記録に残るということで、非公式に別の場で議論するというようなことにもなりかねないので非常に難しい、折り合いをつけるのが難しいところですが、しかしそういった基準が法律上、もう少しはっきりしてないと、いろいろな場面で混乱が起きるだろうというふうに思っています。
 これは最低限という意味で言っているのですよ。ですから、それよりも今回の4大臣会合のように、法律が仮に求めていないとしても、しかし、その会議の重要性からいって、公文書管理法の適用をすると、いうふうに当事者が決めると、そういうことは別に排除されてないのですけれども。
(問)(読売新聞・足利記者)今の質問に関連してなのですけれども、副総理がおっしゃっている問題意識というのは、公文書管理法のガイドラインを見直すことで対処できるというふうにお考えなのか、公文書管理法そのものを改正する必要があるというようなお考えもあるのか。
(答)それは分かりません。議論してみないと、ガイドラインで済むのか、あるいは法律でしっかりと、あれは2号でしたか、3号でしたか、そこをきちんとより明確に書くということなのか。
 それから、あの後もちょっと言ったと思いますが、そもそも省議というものの位置付けも各省によって、法律上規定されていたり、されていなかったり、中身もはっきりしなかったりするわけですから、各省そういった重要な会議の位置付けはなるべく揃えたほうがいいのではないかと、同じ言葉で全然違う会議が省ごとにあるというのは、いろいろな混乱の基にもなりますから、閣議というのははっきりしているのですけれども、省議というのはそれに次ぐ、各省庁にとっては最も重要な会議のはずですが、それすらはっきりしてないというのは、如何なものかと、そういう議論まで戻って、しっかりとした議論が必要なのかもしれません。
 私の外務大臣の経験で、省議というのは開かないのかと聞いたら、省議は2回開きますと、事務当局から言われまして、大臣が来られたときと大臣が去られるときですと、確かにそのときには次官以下、局長みんな集まって、私を迎えていただいたのですが、外務大臣になったときに。あとは辞めるときにと言われて、それはないだろうということで、外務省の中で省議を週1回開くことにしましたが、そういう最も重要な会議すら位置付けがはっきりしないというのは、決して好ましいことではないというふうに思います。
(問)(朝日新聞・河口記者)本日、改善策のたたき台が示されましたが、この中で「意思決定型の会議」という定義付けがなされていまして、例えばですが、今回の原子力発電所に関する4大臣会合、こういったものについては、こういった意思決定、こういうものが実現した場合ですけれども、含まれるのかどうか、類型として含まれるのかどうかという点と、仮に含まれるとした場合ですが、昨日、公表されました議事概要については発言者氏名が殆ど書いていないというか、どういう方がどういう発言をされたか全く分からないような状態になっているのですが、こういったたたき台、改善策が導入された場合には、そういったものもはっきり出てくるようになるようなものなのでしょうかという、ちょっとまだ決まっていないところで恐縮なのですが。
(答)個別のことはあまり、今言わないほうがいいと思います。
 どういうことで発言者の名前が書いていないのかも私は承知しておりませんし、あの会議が決める場と言われれば、それは公文書管理法の適用対象という議論も出てくるかと思いますが、やはり基準が私の立場からすると、やはり法律、公文書管理法、そしてそこに基づく条文、あるいはガイドライン、そこが明確でないということがいろんな混乱を呼んでいるので、そこをきちんとしたいと、こういうことです。
(問)(朝日新聞・尾形記者)公文書の管理の関連で、「具体的なことは」というお話でしたけれども、今回、原発対応で非常に明らかになったのは、日本には殆どメモらしいものが残っていなくて、一方で当事者でないアメリカは、NRCの細かいやりとりが全て出てきていて、日本とアメリカの対応に非常に大きい差があるように思ったのですけれども、何か個別のことは別にして、そういったことが今後起きないように、できるだけ細かい意思決定に至るものは全て残すといったような、そういうアプローチで臨まれるわけではないのでしょうか。
(答)基本はそういうことですが、ただ、物理的にそれが対応はどこまで可能かということもあります。相当、手間暇かかります。例えば記録、議事録とか議事要旨を作るとなれば参加者の了解もとらなければいけないとか、かなりの事務量にはなるわけですね。
 アメリカのお話は、例えば私の知る限りでは、ホワイトハウスでのいろんな議論も、以前は録音に取って残していたと。しかし、今はもうそれはやっていないということで、そこは様々な議論があるのだと思いますね。全部やればいいということでも、必ずしもないと思います。
 それから、先程言いましたように、それをやり過ぎることで、結局、非公式の議論というのが増えて、それをすり抜けるようなことになっても意味がないわけですから、その辺の折り合いをどうつけていくかという問題だと思います。
(問)東京新聞の生島です。
 先週末、地方でちょっとお話になっているとは思うのですけれども、自民党が提案している交付国債を取り下げて、つなぎ国債にするという提案について改めてちょっとお考えを伺いたいのが1点と。
 それに関連してですけれども、野田さんが国際舞台を始め、民主党政権の総理としては財政再建の道筋というのは随分国際舞台、財政再建についてですね、国際舞台でいろいろ発言されているのですけれども、今回つなぎ国債が赤字国債のほうに還付されるとなると、そういった部分で国際的にどうなのかと。国際的な舞台で約束したにも関わらず、それを破ることになるのではないかという見方もあるようなのですが、そこら辺についてちょっとお考えを伺わせてください。
(答)これは具体的には、これから与野党の話合だと思うのですね。野党のほうは、確かに交付国債はだめだという議論は、野党の側にあります。それに対して我々も、それをはねつけるということではなくて、やはり真摯に受け止めて、いろんな議論をしていかなければいけません。
 それから、これは交付国債の話だけではなくて、公債特例法の話でもあり、いろんなことが絡む話でもあるわけで、そういうことは、これから与野党間でいろんな協議が進んでいけば議論されるということで、現時点で、これは是非やるべしとか、そういう方向性を持っているわけではありません。
 ただ、野党がこれだけ強く御主張される以上、我々もその議論には対応することが必要になると。どういうふうに対応するかということは、これからであるということです。
(問)朝日新聞の伊藤です。
 今の関連なのですけれども、対応はこれからだ、ということですけれども、例えば復興債のように、44兆円の枠の外にするという交付国債ではなくて、つなぎ国債であっても枠の外にするというアイデアというのはありそうでしょうか。
(答)あまり各論は言わないほうがいいですよね。我々は、現時点では交付国債ということでお願いしているわけですから、それを交渉の前から、これはこういうのがある、ああいうのもあるということは、言わないほうがいいというふうに思います。
 ただ、野党の皆さんの賛同も得て、しっかり交付国債の問題は、これはいつまでも放置できません。それから、特例公債法の話もあります。今回の消費税の増税の話もありますから、そういうことで率直に意見交換できれば、大変ありがたいことだと思います。
(問)その44兆円の枠を守るのと野党の主張を聞くのは、どちらが優先されるのでしょうか。
(答)それは二者択一ではなくて、全体の大きなパッケージの中での議論ではないかというふうには思います。
(問)朝日新聞の尾形ですが、その関連ですけれども、具体な話はこれからというお話でしたけれども、一方で「野党の言っていることを真摯に受け止めていろんな議論をしていかないといけない。野党がこれだけ強く御主張されているから、それに対する対応も必要である」ということもおっしゃっていて、今日、安住財務大臣が午前の会見の中で、「やはり通らないものを、幾ら国会の中で『すばらしい』と言って主張しても、日本の政治は動かない」といったこともおっしゃっていて、基本的に野党に対応する場合に、交付国債という今の枠組みの撤回も含めて応じるという御趣旨なのかなと思うのですけれども、そういった撤回というのも、その選択肢の中には含まれているという理解でいいのでしょうか。
(答)安住財務大臣と私は、昨年は国対委員長、幹事長でしたから、そのときの実感からすると、やはり我々が4、野党の皆さんが6という形で交渉していかないと、それはまとまらないのだろうなというふうに思います。
 ただ、今おっしゃった具体的な話は、先程言いましたように、これから話合が恐らくなされると思いますので、事前にいろんなことを申し上げないほうがいいというふうに思います。
(問)すみません関連で。先程の質問にも出ていた、国際的に見て44兆円の枠というものについて、市場は非常に見ているわけで、この間、交付国債を撤廃するかもというメッセージは政治から出ていて、そこは一定程度説明は必要だと思うのですけれども、その44兆円という国債の発行枠を超える、超えないについての懸念はないのでしょうか。そこはどうお答えをされるのでしょうか。
(答)ですから、総合的な判断が求められるということだと思います。
(問)月刊誌のFACTAの宮嶋ですが、先生のホームページの週刊ビデオで、昨日、第2ステージだというか、重要法案について幾つか御紹介もあったのですけれども、この重要法案の中での取組の中での優先順位というのでしょうか、考え方というのでしょうか、なかなか全て重要だと一括りにできるものでもないと思うのですけれども、そういうところに取組の考え方があったら教えていただきたいと。
 それから、一体改革法案については、野田総理は勿論、「命を懸ける」とまでおっしゃっているわけなのですけれども、政治生命を懸ける、命を懸けるというような意味では、岡田さんもやはり同じ言葉で表現できるような思いなのかどうかを、この第2ステージに当たって伺いたいのですけれども。
(答)表現は、それぞれ政治家によって使う表現が違いますから、私は「政治生命を懸ける」とか「命を懸ける」という言葉は使わないのですね。ただ、基本的な、この法案を何とか成立させなければいけないという強い思いは、私は総理と共有しているつもりであります。
 それから、最初何でしたっけ……。
(問)幾つか重要法案というのがメジロ押しだというお話がありましたね。それは十把一絡げではなく、少し御説明いただいたほうが分かり易いのではないかという……。
(答)どういう順番でということは、基本的に国対、党のほうで判断してやっていくことですので、私があまり言わないほうがいいと思いますが、ただ、私は担当大臣として、社会保障と税一体改革の関連法案は、これは是非、早い機会に成立をさせたいと。だからこそ、我々は党内議論も3月いっぱいまでということでやってきたし、いろんな意味で急いできたわけですから、もう国会に今、法案が出ていますので、関連法案が殆どですね。是非それを審議していただきたいというふうに思っています。
(問)勿論、国対の話だと思うのですけれども、いわゆる特例公債の法案がありますよね。この二つは、ある種の、どちらかというのはあるとは思うのですけれども、それについての考え方ですね。手順と順序ということになると思うのですけれども、その辺について御担当としまして、どんなふうにお考えでしょうか。
(答)走りながら考えるしかないですね。
(問)テレビ朝日の平元です。
 先程、「社会保障・税一体改革の法案は、なるべく早い段階で成立を図りたい」ということでしたけれども、その審議の仕方で今、特別委員会にするのかどうかという話が出ていますけれども、野田総理は先程、内閣記者会のインタビューに対して「特別委員会は有力な選択肢だ」というふうにもおっしゃっているのですが、岡田副総理はこの審議の進め方、特別委員会についてはどのようなお考えをお持ちでしょうか。
(答)私は総理がどういうふうに言われたかは分かりませんが、総理と私の間で意見の相違は全くありません。

(以上)