松原内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成24年4月24日

(平成24年4月24日(火) 9:41~9:52  於:警察庁第4会議室)

1.発言要旨

 福岡県では、暴力団の対立抗争、事業者襲撃事件が相次ぎ、更に先週4月19日に元警察官に対する銃撃事件が発生し、市民は著しい不安を覚えております。暴力団対策の更なる強化に取り組む上で、自ら現場に立ち、住民の生の声を聞くことが重要と考え、先の土曜日4月21日に福岡県を訪問しました。
 北九州市と福岡市で3つの事件現場を視察しましたが、いずれも学校、住宅等の周辺で、日中に拳銃で襲撃されたものであり、法治国家である我が国に対する挑戦であると思います。これは、当然許し難いものであります。捜査の徹底はもちろん、保護対策や警戒活動により事件の続発を抑止し、市民の安全確保の万全を図ることが重要であると改めて認識いたしました。
 住民の方々や福岡県知事・福岡市長・北九州市長等と意見交換においては、治安回復に向けた切実な要望が寄せられました。例えば、改正暴力団対策法の一日も早い成立、防犯カメラの設置、通信傍受の拡大、仮装身分捜査、量刑減免制度を始めとする捜査手法の高度化・多様化、政府を挙げての暴力団対策等の要望がありました。これに応えるためには、政府全体として取組が必要であり、このため、本日の閣僚懇談会において、各閣僚に対し、御理解と御協力を御願いしたところであります。
 「長崎県西海市西彼町における女性2名被害の殺人事件」に関する千葉・三重・長崎県警察の対応や千葉県習志野警察署のレクリエーション旅行に関する件について、千葉県警察本部長等の最高幹部を含む多くの警察職員が懲戒処分等を受けるに至ったことを重く受け止めます。昨日、23日、千葉県警察による再検証の結果が公表されましたが、再検証に当たり、千葉県公安委員会は、計7回にわたる会議を開催し、千葉県警察に対し、意見を厳しく伝えてきたものと承知しております。国家公安委員会としても、千葉県公安委員会に対し、千葉県警察を管理する立場から調査がしっかり行われるように点検を徹底することなどを文書で発出して要請し、千葉県警察における調査の信用性の確保に万全を期してきたところであります。
 今回の調査の結果、千葉県警察の幹部による組織管理の不備、被害者・国民の視点の欠如、「警察改革の精神」の不徹底といった組織運営上の問題点が明らかとなりました。千葉県警察においては、千葉県公安委員会の管理の下、これらの問題点に適切に対処していくものと期待しております。
 また、警察庁において、同日23日付け全国の警察に通達を発出し、こうした問題点を自らのものとして捉え、必要な措置を講じるよう指示を行ったものと承知いたしております。
 今後、全国の警察が同通達に基づき、「警察改革の精神」の徹底等に向けた取組を着実に推進し、国民の信頼を確保できるよう、警察庁を督励してまいる所存であります。
 私は、韓国に22、23日と訪問をし、拉致問題について様々な協議等をしてまいりました。22日、日曜日に自由北韓放送において、北朝鮮にいらっしゃる拉致被害者の方々、そして北朝鮮の指導者に向けて、ラジオを通じ、メッセージを送りました。このメッセージは、今後約1か月間放送されるとのことであります。また、脱北者の方々にも直接お会いする機会を持ち、長時間にわたって北朝鮮の現状等について様々なお話を伺うことができました。
 23日、昨日でありますが、北朝鮮自由週間開幕式に日本からの来賓として出席いたしました。そこで、前日のラジオのメッセージの内容に加え、日本、韓国、米国を中心とする国際連携の重要性などを強調させていただきました。また、韓国政府側の然るべきカウンターパートと会談を行い、拉致問題を中心とする日韓の連携を確認し、韓国側の協力を改めて要請するとともに、昨日の会談直前に北朝鮮が発表した挑発的な言動に対する分析等を含め、現在の様々な情勢について、突っ込んだ意見交換を行いました。
 以上の他にも、韓国滞在中には、時間の許す限り多くの方々との意見交換を行うなど、拉致問題の解決に向けての今後の戦略を練っていく上で、極めて有意義な訪問となりましたことを御報告させていただきます。
 以上であります。

2.質疑応答

(問)韓国の訪問で様々な方々とお会いになったと思うんですが、北朝鮮の新政権が拉致問題の解決に対して、どう動くかという見立てについては、例えば、韓国政府当局者の方、あるいは脱北者の方というのはどんな意見の方が多かったんですか。
(答)それぞれの意見がやはり色々と異なっておりまして、1つの大筋の見方ということではありません。中には、ある意味で前の状況よりも更に統制が厳しくなるという議論もあったり、一方においては、この現在の新しい金正恩体制のいわゆる組織に対するグリップが従来ほど強くないのではないかという分析があったり、一方においては、それが新しい金正恩自体の指示によるものではないかという分析があったり、様々な分析が脱北者の中にも分かれて存在しておりました。
(問)政府当局者の方については。
(答)基本的には、そこの部分の認識は同じような認識があったと思いますが、要するに遺訓政治がいつまで続くかという分析に関して突っ込んだ議論をしたわけでありまして、例えば、この4月15日、25日、そしてミサイル発射等、これは遺訓のスケジュール間の中で行われていると思っておりますが、どこの段階で独自色が出るのかということに関して、様々な議論がありました。つまり、体制そのものの一つの方向性というものに対して、トップリーダーがどこまでそれを変えることができるのかということも含めての議論がありました。
(問)昨日、千葉県警の発表した検証の結果、それから国家公安委員会における懲戒処分というのは珍しいと思うんですけれども、その点について大臣の所感をお伺いします。
(答)既に先ほど申し上げたように、千葉県のこの調査の結果に対しては、千葉県警察の幹部による組織管理の不備、被害者・国民の視点の欠如、警察改革の精神の不徹底といった組織運営上の問題点が明らかになったと認識しておりまして、千葉県警察においては、千葉県公安委員会の管理の下、これらの問題点に適切に対処していくものと期待しているということであります。
(問)先週の金曜日に農水省が食品の業界団体に対して、国の基準に基づいて放射線の測定を行ってほしいというような通知を出していますが、一方で、消費者という立場からすると厳しく測ってほしいという声もあるかと思うので、消費者担当大臣としてどのようにお考えでしょうか。
(答)新しい国の基準値は、食品の安全と安心の観点から科学的根拠に基づいて設定したものであります。この新しい基準値の算出根拠等を消費者の皆様に正しく御理解いただけるよう、現在引き続きリスクコミュニケーション等の実施を努めているということでありまして、やはりそういった認識で行っているところであります。
 あくまでも独自基準というものもありますが、国の基準で安全ではないという誤解が生じないように配慮することも必要だろうということです。

(以上)