蓮舫内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年12月9日

(平成23年12月9日(金) 8:43~9:01  於:参議院議員食堂)

1.発言要旨

 おはようございます。
 私からはございません。何かありますか。

2.質疑応答

(問)おはようございます。TBSの岩田です。
 先月の提言型仕分けで、官僚側が発言案の「指南書」を仕分け人に配付していたという一部報道がありますが、これはどういった文書だったんでしょうか。
(答)一部報道があったことは承知をしておりますけれども、随分と穿った見方をする記事を書くんだなと思っておりました。現場におられれば、仕分けが正にディベートであり、その場でどういう方向性に流れていくのかは正に誰も分からない、そういうものだとお分かり頂けると思っています。
 これまでの事業仕分けにおいても、この前の政策仕分けにおきましても、私どもの評価者が言うこと、あるいは担当する向こうの省庁、全ての省庁が言うべきことを行政刷新会議で把握をして、そして予定調和で行ったということは一切ありません。
(問)そういう文書については何か。
(答)「当日の流れ」という形で、コーディネーターと取りまとめの国会議員、あるいは、そのテーマによっては評価者全員が共通して流れというものを持っていることはありました。それはシナリオ案とありましたけれども、シナリオというのは、正にその枠、その政策の枠の中で一番最初にコーディネーターから流れを説明し、フリップがこうあって、担当省に説明をいただくという、正にその流れそのものがシナリオです。「アンチョコ」という言い方も、私もちょっとこれはおかしいと思って注意しましたけれども、それは正に論点、そのテーマで想定し得る論点というのは、勉強会や各省ヒアリング、あるいは財務省の主計から聞いたいろいろな論点と、想定し得る向こう側のいわゆる考え方というものを事前に勉強会をしておりましたから、そのときに出た争点、論点をまとめたものです。これは勉強会を重ねるごとに上書きというか、当然深く厚くなっていくものです。
 取りまとめの方向性が正に一つに収れんしていたら、記事のような御指摘は当たるんでしょうけれども、その政策の恐らく考え得るべき方向性は、消極的なものから積極的なものまで複数全部表示しておりますから、その流れに沿って仕分けを進めて、論点を使うも使わないも評価者の自由。その論点に対して向こう側は何と答えるのか分からない。その返ってきたことに対しての議論が自由に行われて、正に取りまとめの方向性も評価者が自分の判断で書いて、それで自分の意見を付与して出したものですから。また仕分けを見ておられた記者、取材しておられた記者ならばお分かりだと思いますけれども、取りまとめを行っている最中に議論が行われて、この議論は大事だなと思って評価者が自分の取りまとめシートを一度戻して書き直すということもありましたから、全く記事の、あの書いておられる方たちの先入観は、もうちょっと柔らかくしてもらえればと思います。
(問)あと、内容は事務局側の勉強会とかヒアリングで出てきた論点を整理したものということですよね。
(答)全くそのとおりです。
(問)西日本新聞の山口です。
 今のお話ですけれども、例えば政策の背景だとか課題などについて勉強するのは分かるんですけれども、そこに「取りまとめ」だとか「アンチョコ案」という言葉が入ってくると、その方向性に影響を与える可能性があるというふうに考えているんですけれども。
(答)ただ、取りまとめの方向性というのは、正に評価をどうするかという評価シートに書き込んでいただくときに、五月雨的に皆さんが統一したまとめでないものを書くと、恐らく取りまとめの大きな形はその場で、今回の取りまとめも相当時間をとりましたけれども、そこで出すというのが難しくなってくる。仕分けというのは、正にその場でどういう方向性かというのをお示しをしていきますので、恐らくご覧いただいていると思いますけれども、様々な選択肢の方向性を書かせていただいております。一つの大きなくくりの中にも、こういう評価の方向を幅広く出しておりますので、そこは一つの流れに持っていっているものではない。
 それと、「アンチョコ」という言い方は、確かに私も違和感はあります。これは反省しなきゃいけないし、これからこういう言葉は使わないほうがいいと思いますが、正にあそこは論点だし争点だと思います。論点・争点が突飛なものかどうかというのは、ご覧いただければ分かりますけれども、勉強会や各省庁のヒアリングを通じて出てきたものを正にあそこに載せていますし、民間の評価者の専門家の御指摘も入れているし、取りまとめの国会議員と事務局のやりとりで想定し得るものも、あそこから更に増やしていっておりますから。それが、例えば百歩譲って「アンチョコ」というか、争点をたった一つにするとか、その一つに持っていくためにこうするべきとか、そして取りまとめの方向性はこうあるべきだというふうに一つにまとめていくのであれば、御指摘の懸念はあると思いますけれども、そこは私はもっと広くまとめて「当日の流れ」にしているものですから、仕分けは、今までの事業仕分けもこういうふうにしておりましたので、ちょっと、もうちょっと柔らかい頭で見ていただければと思います。
(問)仕分け評価者の方の中に、台本だというふうに見ていらっしゃる方もいらっしゃるようなんですが、その受け止めに関してはどういうふうに…。
(答)台本というのは、正にその「当日の流れ」という形で、限られた時間でありますけれども、冒頭はこういう説明があって、今回フリップを多様化しましたからフリップの流れがこうあって、その後、担当省庁の御主張を聞いて、テーマを、大きなテーマですから、争点を二、三に分けたものを、まずこの争点を議論して、それ以外の争点になったものはその次でやってくださいという形にしていますから、そういう意味では台本だと思いますけれども、おっしゃるような演劇やドラマのような、台詞を全部決めて、相手の省庁が全部言うことを決めている台本ではありません。「当日の流れ」なしにディベートに臨むというのはあり得ないと思いますが。
(問)ただ、勉強会の場で、事務局の側からこういうふうな感じでの発言をお願いしたいというような、示唆するような言葉があったというふうにお聞きしますが。
(答)恐らくそれも、私も出ていたときにもいろいろな発言はありましたけれども、前後をやはり聞かれていないので、どうしても思っておられる絵の中に仕分けを入れて記事にされたんだと思いますけれども。例えば財務省、今回の仕分けというのは9月に閣議決定した24年度の予算の概算要求の組替え基準で、仕分けを使っていくというのがあるので、予算から入った部分には財務省の協力は当然いただきます。ただ、その際に、我々が想定し得る勉強会の方向性でこういう議論だよねというのをしたときに、財務省は財務省で、長年やはり担当省庁とのある種の査定というやりとりをしていますから、向こう側の省庁の見方というのはある種プロです。だから、その部分で、こうなったときにはどういうふうな対応をしてきましたかというのがありますよね。そのときに担当省は自分の経験で、こういうやり取りになるんじゃないかというような話はありました。だから、そこだけ切り取ったら、そういう言い方がいいんじゃないかというような発言になるんでしょうけれども、ただ、実際ご覧いただいて、そのとおりのやり取りになっているとはとても思いません。確かに指摘いただいた論点は出ますよ。出ますけれども、それに対する向こうの返事がありますから、向こうの返事に対してどうこう言うという振りつけは、とてもじゃないけれども、あんな公開の場でやっているもので、いわゆる俳優ではないですからあり得ないと思います。
(問)すみません、もう一点。勉強会とは別の場で、大臣が「社会保障と税の一体改革は野田内閣の最重要課題であります。国民の負担増については、なかなか党の方ではやりにくいので仕分けで。」という、こういうふうな発言をなさったというふうに取材の過程で聞いているんですけれども、その真意とされることは。
(答)それ、全然分かりません。申し訳ないんですけれども。私はこれまでもこれからも、仕分けにおいて外部性、公開性をどこよりも重視していますから、そこにおいて疑いが持たれるようなことは一切やっていませんし、百歩譲って、そんなに財務省の絵に乗っているというふうな思いを持っておられるんであれば、今回の仕分けの当日の流れやヒアリングや全てを財務省がまとめているんであれば、御指摘の懸念は生まれると思います。それはあり得ない。行政刷新会議の事務局の、少ないですけれども私たちの事務局が主導をしてスケジュールを決めて、それで取りまとめの国会議員と打ち合わせをして、最終的に私の決裁を入れて、そして本番に臨んで想定外のまとめ─特に今回は大臣も出ていますからね、最後のディベートは。全く考えていないようなまとめになったものもありましたので、そこ、もうちょっと柔軟な見方を是非していただければと思います。
(問)私が言ったような発言は、もうなかったということで。
(答)ないです。
(問)読売新聞の清永です。
 話は変わりますけれども、国会が延長がない形になりまして、給与削減法案とか喫緊の懸案という課題が今国会中に成立するのが難しい状況になりましたけれども、給与削減に関しては、公務員制度改革を担当されていてこだわりもあると思うんですけれども、国民から見ると、この復興の財源に充てるための給与深掘りという部分で、与党と野党が同じような7.8%という額を出していて折り合いをつけない状況というのは、被災地の方から見ると、もどかしい思いがあると思うんですけれども、その辺、閣僚のお一人として、次期通常国会に向けて、この法案をどのように仕上げていくべきかというお考えをお願いします。
(答)公務員制度改革担当としても非常に関心のある法案です。国民の皆様方にも関心が非常に高いもの、勿論国家公務員当事者にとっても注視しているものでした。ただ、こういう結果になったというのは、国会の運営ですので、ちょっと私は詳細を知る立場にはいませんが、引き続き一日も早い成立をお認めいただくための努力をしてもらいたいと思います。
(問)北海道新聞、小林です。
 仕分けの関係で、周波数オークションの関係で川端大臣と御認識がちょっとずれて、提言の内容と総務大臣がおっしゃられたようなことで、ちょっと世代をどこからやりたいと認識のずれもありましたけれども、民主党のほうの総務部門会議のほうでも、地方財政の提言内容なんかについて、ちょっと地方を軽視しているんじゃないかというような意見も出たりとか、ちょっと閣内、あるいは政府と党の間で御認識についていろいろな意見が出てくるということはあり得ることだと思うんですけれども、野田政権の政策決定過程の中で、各大臣が思っていらっしゃることと仕分けの内容が異なった場合というのは、どういうふうに判断されるものなのか。あるいは、政府で考えていることと、あるいは民主党の中で提言の内容とは違うことで結論がまとまったという場合には、それはどういうふうに取り扱うべきものなのかということについて、大臣として今どういうふうに御認識されていらっしゃいますか。
(答)恐らく前段でおっしゃったお考えは全く共有していまして、仕分けを行った結果、いろいろな議論が出てくるというのは、これまでもそうでした。逆に仕分けを行ったことによって国民的関心が高まった事項もあり、あるいは、国会議員の中でのディベートや議論のある種のきっかけになったという部分では、私はこれは歓迎する方向性だと思っています。
 ただ、今回の提言型政策仕分けは、前原政調会長とも密な連携をとりつつ、民主党政調から国会議員評価者も御協力をいただきましたし、今後、党には行政改革調査会、岡田会長の下でも立ち上がってまいりますので、当然政府として政調会長・党と一緒になって行ってきたものは最大限尊重する。最大限尊重して、形がある意味、仕分けの評価を受けてこういうものになりましたというのは、まず一義的には担当省庁の大臣が納税者に説明をする。その説明をしている内容に、勿論私が納得していないと、その説明は成り立たないとは思いますが、ですから、その結果に至るまでの途中経過をなるべく透明化をしていく努力は、私は今回は特にしていきたいと思っています。
(問)ただ、最終的に提言の中身と、最終的に野田政権が決めたことと最終的な政策の形とが完全に一致していなくても、そこに至るプロセスがきちんと公開されていれば仕分けとしての効果というのはきちんと発揮できているという認識。
(答)そう思っています。
(問)朝日新聞、三輪です。
 もう一度仕分けの話に戻るんですけれども、事前にヒアリングをするとか現地調査に行くということはこれまで聞いていたんですが、勉強会をしていたということ自体はあまり聞いていなかったので、勉強会というのは一体どれぐらい開かれて、メンバーはどういう人だったのかというのを、もう一回、ちょっと事実関係として教えていただきたいんですけれども。
(答)勉強会は、過去の事業仕分けのときにも専門家の方を招いて話を聞いたこともあります。今回もそれと同じようなものです。評価者同士、特に今回は専門性の高い評価者にも、民間の評価者にも入っていただいたので、事前の省庁とのヒアリングを受けて、フリーディスカッションをする勉強会はやっています。そこには行刷、うちの事務局も入っていれば、財務省も入っているときもありました。
(問)ということは、じゃ、国会議員評価者だけじゃなくて、民間評価者、両方入っているわけですね。
(答)はい。
(問)分かりました。  それと、じゃ、いわゆる「指南書」と呼ばれているものを…。
(答)その「指南書」という表現は、もうそろそろ止めたほうがいいですね。「当日の流れ」です。
(問)そうですね。当日の流れを示した文書、資料ですね。それは公開されるお気持ち、お考えはありますでしょうか。
(答)「当日の流れ」の、それは内部資料ではございますけれども、ただ、ちょっと予算に関わることもありますので、公開できる時期はちょっと考えますけれども、検討します。
(問)テレビ東京の岡田です。今日の問責についてお伺いします。
(答)違う角度から来ますね。
(問)いや、実は、先ほど大臣のお答えの中で、関連するいろいろな法案が引き続き一日も早く成立するための努力をというお話があったんですが、ちょっと大変聞きづらいんですが、野党の立場からすると、問責を受けた大臣を更迭させることが、恐らく一日も早い成立に向けた努力というふうに野党側からは映るかと思います。そうすると、先日、大臣は、「政治家の出処進退は自ら判断されるものだ」ということだったんですが、今後消費税の与野党協議も含めて、恐らく自らの判断だけでは済まない事態が今後近く来ることは予想されると思います。そうした中で、まず今出されようとしている問責に対して、野党側の理由は適切なものかどうかというお考えが一つと、もし辞めさせる御判断が総理を含めてないのであれば、どういうふうに野党に協力を求めていくべきかということについてお聞かせいただきたいと思います。
(答)まず、仮定の話には答えられないということに尽きると思います。その上で、私の考えは、これまでと同じように変わりません。出処進退は政治家本人が決めるものです。
 その上で私の立場としては、公務員改革担当、あるいは行政刷新担当として、今、国会に委ねている法案の一日も早い成立のために引き続き努力をする、あるいは政策仕分けの評価をしっかりとした形のあるものにするための努力をする、これは変わらないということです。
(問)1点だけすみません。先程の当日の流れの文書のことなんですけれども、これはいつ頃公開されるというか、御検討いただけるものなんでしょうか。
(答)たしか過去にも公開した文書があるけれど、やはり予算が成立した後だったと思います。
(問)来年度予算が…。
(答)来年度の。ちょっと詳細は調べますけれども、時差が生じたと思います。
(問)成立した後には前向きに検討ということでよろしいでしょうか。
(答)はい。

(以上)