古川内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成24年9月28日

(平成24年9月28日(金) 10:42~10:57  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

おはようございます。まず最初に、私から2点御報告がございます。
まず1点は、今日の午後、和光市の理化学研究所を視察いたします。今回は、太陽光を高効率でレーザーに変換する技術を活用した再生可能エネルギーに関する研究、そして、将来的に消費電力を革命的に低減する究極の省エネ技術に関する研究、さらに、113番目の元素合成に関する研究について視察をいたします。
前者の2つにつきましては、グリーンエネルギー革命の実現に向け、今後、年末に向けてグリーン政策大綱を策定する、その検討の一環として知見を深めてまいりたいと思っております。特に、最初の太陽光を高効率でレーザーに変換する技術の活用につきましては、実用化までかなり近い段階まで来ている。実証実験も行われるというふうにも伺っております。グリーンエネルギー革命を実現するためには、こうした科学技術分野でのイノベーションは大変重要なこととなってまいります。そういった意味でも今回の視察を大変楽しみにいたしております。
また、最後の項目に関連いたしまして、昨日、理化学研究所の森田浩介研究員を中心とする研究グループによりまして、元素周期表の中の113番元素の合成に成功したとの報告を受けました。この成果は、113番元素が実際に合成されたことを決定づけ、それによって我が国に優先権が認められるとともに、命名権が与えられるための極めて重要な研究成果と伺っております。この成果によりまして、我が国初の名前が元素周期表に初めて記載され、教科書が書きかわる可能性がある画期的な成果でありまして、日本の若い世代の皆さんを元気づける上でも大いに意義があると考えております。今日午後の視察でも、この研究が行われていた研究現場を訪れるとともに、研究現場の方々と意見交換することを予定いたしております。
もう一点、休眠預金に関しますフィージビリティ・スタディ結果の公表について申し上げます。
休眠預金につきましては、今日の夕刻、事務態勢並びにコストについて、外部の専門家による調査結果を公表する予定であります。これは成長ファイナンス推進会議取りまとめに基づいて行ったものであり、具体的な制度設計の前提となる基礎調査であります。調査結果は、資金管理のための一元管理機能を設けつつ、預金者への休眠預金の払い戻し等の事務については、移管元金融機関に委託する分散型のコストが最も低く、評価が高いという内容でありました。今後は、分散型を基本にしつつ、金融庁と協力して、関係業界とも議論しながら、具体的な仕組み、制度の検討を今年度中に完了する予定であります。また、この休眠預金の使い道についても議論を深めていきたいと考えております。
このフィージビリティ・スタディ結果の詳細については事務方にお聞きいただければと思っております。
私からは以上であります。

2.質疑応答

(問)来週、内閣改造があると言われているのですけれども、経済財政大臣と国家戦略大臣としての1年を振り返っての感想をお願いします。
(答)この1年間、私も大臣としてさまざまな分野、かなり幅広い分野について取り組ませていただきました。多くの分野が3年前の政権交代のときに国家戦略室長あるいは副大臣として取り組んだ分野、そしてまた、医療イノベーションなどは副長官時代に手がけてきたものでありますので、大臣として今回、そうしたこれまでやってきた政策をさまざまな形で進めていく、そうした取り組みをさせていただいてまいりました。
私は、もともと日本社会が大きく転換する中で政治も経済も社会もやっぱり変わっていかなければいけない、まさにその変化を促すということが3年前の政権交代を実現する大きな原動力になったのだと思います。世の中の変化に合わせた政策の転換というものも行っていかなければいけないということで、3年前から手がけてまいりました。
そこに昨年の大震災、そして原発事故が起きて、改めて日本社会の構造が変わっているだけではなくて、我々のそれまでの価値観や生き方、そうしたものまでも変えていかなければいけないということを多くの国民の皆さん方が気づくきっかけにもなったのだと思います。そうした今日本が抱えている人口減少社会、そして超高齢社会という、世界に先駆けて突入している新しい社会構造、そしてまた経済構造も大きく転換しようとしている中で、そこに今回の震災や原発事故でこれまでのエネルギー社会のあり方も根本から見直す大きな転換の中で、そうした方向に沿った日本再生戦略であり、あるいは革新的エネルギー・環境戦略であり、こうしたものがまとめられたということの意義は私は大きかったと思っています。
もちろん、これは大きな方向転換でありますから、一日にしてそうしたことができるわけではありませんけれども、例えば日本再生戦略、皆様方は個別の戦略のところに目が行きがちでありますけれども、総論のところにあります、これまでの経済成長のあり方とは根本的に発想を変えていく。新しい成長概念を模索していく。量的な成長だけではなくて、質的な成長、国民の皆さん方の幸福度の向上につながるような成長を目指していくのだと。だからこそグリーンエネルギー革命の実現を目指していく。だからこそライフ成長戦略、医療イノベーションを目指していく。まさにこうした成長戦略を実現していく過程の中で、国民の皆さん方がより幸せに感じられるような、幸福度の向上につながるような成長戦略をとっていくということも決めさせていただいたわけであります。
また、革新的エネルギー・環境戦略についても、従来の原発推進という方向を180度転換して、原発のない社会を2030年代に実現できるように、あらゆる政策手段を講じていくという、そうした大きな方向性というものも示させていただきました。
今、日本社会が陥っているこれまでに経験したことのない状況をまだ多くの皆さん方はしっかり受け入れてられない部分があるのではないかと思います。そうしたことがこうした私がこれまで取り組んできたさまざまなものに対して、いろいろ御批判や御意見をいただいている部分だと思いますけれども、今、日本社会が直面している現実の姿というもの、そして、これから将来というものを見据えれば、やはりこの日本再生戦略や革新的エネルギー・環境戦略でまとめた大きな方向性というものは、私は間違ってはいない。いつか必ずこうした方向性が、これから日本がどんどん進んでいく社会の構造の変化の中、そして人々の価値観や考え方の変化の中で受け入れられていくものだと思っています。
これまでまとめてきたこうした大きな方向性のもの、私はこの前、筑波の宇宙センターに行ったときに、将来的には日本人による、国際協力による火星への有人惑星探査をぜひ実現をしたいという、大きな目標を立てていきたいということを申し上げましたけれども、そういう大きな目標を立てつつ、しかし、足元のところから、その夢の実現のためには一つずつ着実な足取りをとっていかなければいけない。私は「夢高くして、足は地にあり」という言葉を自分のモットーといたしておりますけれども、大きな目標を立てること、そのことはやはり目標を立てずしてそれを実現することはできませんから、しっかりそうした意味では大きな方向性、目標というものを立てて、しかし、それを実現するためには、一足飛びにその目標に到達できるわけではなくて、足元から現実的に着実に積み上げていく。そうした道のりが大事だと思っています。そういった意味では、この1年間取り組んできた大きな方向性というものを示したわけでありますから、そうしたものについてはしっかり具体化していく作業を今後ともやってまいりたいと考えております。
また、今、この日本再生戦略や革新的エネルギー・環境戦略について申し上げましたが、国会に提出した段階で、まだ成立をしていない、日本社会のこれからの時代を考えれば、必要不可欠な社会的・制度的なインフラとしてマイナンバー制度があります。これについては、野党の皆さん方ともかなりの部分の意思の疎通、共通認識は出ているわけでありますから、新しい社会に向けて、新しい社会保障制度あるいは給付付き税額控除を初めとして、新たな税制を実現する。そして、国民の皆さん方の公平・公正な、そうした社会保障制度や税制に資するという点でも極めて重要なものでありますので、こうしたマイナンバー法案についても、あと一歩のところまで来ましたけれども、成立をしませんでした。ぜひ来るべき臨時国会で一日も早く成立をさせていきたい。そのために私も努力をしてまいりたいと考えております。
(問)エネルギーの関係で、冬に向けた節電目標の設定なのですけれども、また去年のようにそういう節電目標が数値目標を伴った形で必要になりそうかというあたりの見通しと、それに当たっては原発の再稼動をどうするかということも判断が必要かと思うのですが、原発の再稼動や今建設中の大間原発については、枝野大臣も継続を認める発言をなさっていると思うのですが、将来的な方向性も含めて、原発のあり方についてどうお考えか教えていただけますでしょうか。
(答)この冬の需給については、また10月に入れば、需給検証委員会というものをつくってしっかり検証していかなければいけないと思っています。
原発の再稼動については、規制委員会ができたわけでありますから、そこで安全性がきちんと確認をされなければ、それなくして再稼動することはないと考えております。
また、原発の政策全体については、まさに革新的エネルギー・環境戦略で、2030年代に原発稼動をゼロとするようにあらゆる政策手段を投入していくことを決めたわけであります。そこに向けての三原則というものを決めました。この三原則をどう実質的に担保していくかということは、これからしっかり考えていかなければいけないことだと思っていますし、30年代の原発稼動ゼロを可能とするためには、グリーンエネルギー革命を一日も早く実現をするということ、また、電力システム改革をしっかりやっていく、さらには火力発電の高効率化、こうした措置もやっていく。さまざまなこと、足元からしっかりやっていくということが大事だと思います。
そういった意味では、これも大きな目標の実現に向けて、足元で一つ一つしっかりとやれることを最大限やっていく。そうしたことをやっていくということが、一日も早く原発に依存しない社会を実現するという、この革新的エネルギー・環境戦略の最初の大きな柱を実現することになると考えております。
(問)今のお答えで、10月に入れば需給検証委員会をつくって検証していかなければならないとおっしゃいましたが、これはこの夏の節電のときにつくった組織と同じ組織で再び冬の節電を検証、需給を見通すということなのでしょうか。
(答)まだ具体的にどういう形でということは決まっておりませんけれども、基本的にはこの冬の需給の見通しというものをしっかり検証してまいりたいと考えております。
(問)再び需給検証委員会が動き始めるという捉え方でよろしいですか。
(答)具体的にどういう形になるかわかりませんが、需給については見通しをしっかり立てていかなければいけないと思っております。

(以上)