古川内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成24年8月31日

(平成24年8月31日(金) 9:31~9:51  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

おはようございます。
今日は、いくつかの分野について、皆さんに御報告があります。
まず、本日、中期財政フレームの改訂につきまして、先週国家戦略会議で御議論いただいた骨子をもとに与党でも御議論をいただいた上で、国家戦略室で案を策定し、今朝の予算編成閣僚委員会で検討した上で、閣議で決定をいたしました。また、この中期財政フレームを踏まえて、経済財政の中長期試算の改訂を行い、予算編成閣僚委員会及び閣議で配布をさせていただきました。予算編成閣僚委員会におきましては、総理より、税制等の歳入面の改革と併せて徹底的な無駄排除、歳出削減は必ずやり遂げなければならない改革である。また、中期財政フレームの改訂は、様々な歳出増要因がある中で、歳出の枠71兆円を2015年度まで継続するという歳出面での極めて重要な指針である。こうした取組をしっかり進めることで、2015年度における基礎的財政収支の赤字半減という目標の達成が展望できることになる。今後この目標の実現に向け、中期財政フレームを堅持して市場の信任を確保するとともに、併せてこの枠組みのもとで日本再生戦略に定めた重点分野に財政資源を投入するため、省庁の枠を超えた予算の組替えを実施し、経済の再生に全力を挙げていかなければいけないとの御発言をいただきました。中期財政フレーム及び経済財政の中長期試算の内容の詳細は、資料を配布いたしておりますので、お読みをいただきたいと思います。
また、閣僚懇談会におきましては、グリーン成長戦略関連予算につきまして、私から日本再生戦略を取りまとめ、グリーン成長戦略を今後グリーン政策大綱へとまとめていく、策定していく立場として横串の視点で必要な調整を図るため、国家戦略室に関係府省の要求予定内容を把握するよう指示をした旨お話をし、関係閣僚の御協力をお願いいたしました。
2点目は、ITの関係でございます。防災の日、防災週間に合わせまして、パソコン、携帯電話、スマートフォンを活用し、災害時に活用できる様々なサービスを体験できるポータルサイトを本日試行的に立ち上げ、国民の皆様に体験利用を呼びかけていきたいと思っております。IT戦略本部では、東日本大震災の教訓を踏まえ、官民連携のもと、情報通信技術を活用した防災ライフラインの検討及び普及を進め、官民の取組についての情報共有と連携を図るため、今年3月にIT防災ライフライン推進協議会を設置いたしました。この協議会が今年6月に取りまとめた「IT防災ライフライン構築のための基本方針及びアクションプラン」では、IT防災訓練の徹底が柱の一つとなっております。このポータルサイトを通じまして、安否確認や避難所情報の収集といった災害発生時に役に立つ様々なサービスを多くの国民の皆様に体験をしていただき、災害時におけるITの活用の有用性を実感していただきたいと考えております。
この後、大臣室におきましてポータルサイトのデモンストレーションを行いますので、御関心のある方は、是非御参加をいただければと思っております。
3点目は、宇宙に関してでございます。カンボジアで開催されました日本・ASEAN経済大臣会合におきまして合意された宇宙分野における協力の拡充につきまして、一言申し上げます。今回の合意は、防災管理にとどまらず、広範囲な産業分野での衛星利用や関連する人材育成についての協力を拡充していくこととしたものであります。このような協力の拡充が合意されたことを歓迎いたします。日本の宇宙産業は、海外において衛星利用が増大している中で、このようなニーズを取り込みながら発展していくことが極めて重要であります。今回の合意は、ASEAN諸国における産業の高度化に向け、我が国が大きく貢献するものであると認識いたしております。また、我が国の企業の宇宙分野におけるプレゼンス向上やパッケージ型インフラ海外展開の観点からも喜ばしいと考えます。宇宙政策担当大臣として、今後も宇宙開発利用に関する取組を積極的に推進してまいりたいと思っております。
最後は、エネルギーの関連で、今日の視察について申し上げます。今日午後1時より、横浜市磯子区にあります電源開発の磯子火力発電所を視察いたします。これは最新鋭の高効率の石炭火力発電所であり、CO2の排出も通常の発電所より少ないと聞いております。原発からグリーンへという方向性のもとで原発の依存度を下げていき、一方で再生可能エネルギーをフルスロットルでその普及促進を図っていくということでありますが、その間、安定的な電力供給を行うためには、化石燃料を利用していくということが必要になります。その際に、この化石燃料をいかに効率化し、そしてクリーン化するかということがエネルギー・環境戦略を考える上で極めて重要な課題でありますので、今日視察で見せていただいた知見も、今度まとめるエネルギー・環境戦略の策定に生かしてまいりたいと思っております。
私からは以上であります。

2.質疑応答

(問)今日配布されている経済財政の中長期試算についてお伺いします。15年度の目標は達成するけれど、20年度のプライマリーバランス黒字化という目標には非常にまだ遠いように見えますが、これを達成するには、消費税率で6%程度上げなければいけないと思うのですが、大臣、このプライマリーバランス黒字化、20年度の目標達成というのは無理でしょうか、あるいは無理でないなら、どうふうにしていったらいいでしょうか。
(答)まずは、15年度の目標を達成することが極めて重要だと思っております。その上で、20年度の目標達成に向けてやるべきことは更なる歳出削減と成長の実現、そして必要に応じて歳入の改革も行わなければいけないということになってくると思いますが、やはり大事なことは、歳出削減を徹底的に行っていく。今回も、歳出の大枠71兆円を決めさせていただきましたけれども、これは社会保障の自然増もこの中でのみ込んでいく。そういう意味では、予算の組替えを行って1兆円を超える自然増があるものを、71兆の枠の中で賄っていくということでありますから、このような形で歳出を更に膨張しないようにしていく、更なる歳出の抑制を図っていくということが大事だと思いますし、そして何よりも、成長を実現していかなければいけない。経済成長なくして、歳出削減あるいは増税だけで財政の健全化ができるということはございません。やはり経済の成長を実現していかなければいけない。ですから、経済の成長をしっかり行っていくということ。
また、歳入面のところで考えれば、社会保障に関する国民会議で、これからの持続可能な社会保障制度のあり方について議論が行われるわけであります。やはりこのもとで、持続可能な社会保障制度のあり方をしっかり考えていく。そして、社会保障制度を持続可能なものにするためには、今の、そしてこれからの日本の人口構造あるいは高齢化の状況の中で、更なる社会保障制度の効率化、重点化というものを行っていく。その上で、できる限り社会保障の歳出が増えないようにしていく努力をしっかりしていくということが大事だと思います。そういう努力を徹底的にやっていく中で、どうしても必要な経費ということであれば、そのときには国民の皆様方にも御理解をいただく形で負担もお願いすることはあろうかと思いますが、まず今やらなければいけないことは、先程から申し上げておりますように、15年度の目標を達成して、その先については歳出の削減や成長戦略、経済成長の実現であり、更には持続可能な社会保障制度のあり方はどういうものであるかということを早くまとめて、実行に移していくということが大事なことだと考えております。
(問)今言われたそういう努力を全部行った上で、御理解いただく形で負担をお願いすることもあり得るということですけれども。
(答)それを否定するものではありません。
(問)これは消費増税のことを指して言われているのですか。
(答)税制改革というのは、何も消費税だけではありません。税制というのは、所得、消費、資産、どういう形で御負担をいただくかというのは、税制改革全体の中で考えていく話であって、何も消費税だけで御負担をお願いするものであるとは考えておりません。
(問)エネルギー・環境戦略の策定に向けてのプロセスなのですが、この前終わった検証会合では、近いうちに大臣がエネルギー・環境会議に報告するとおっしゃっていたかと思うのですが、このエネルギー・環境会議を開く日程感について、近くというのはもうそろそろだと思うのですが、報告と決定というのはまた別の回になるかと思います。1回ではなかなか決まらないかと思うのですが、それも含めた今後のスケジュール感と、民主党の代表選より前というのが一つの区切りかと思うのですけれども、代表選が終わった後に決めるということもスケジュール的にあるのかという、その2点をお願いします。
(答)エネルギー・環境のこの前の取りまとめ、有識者の先生方からいろいろ御意見もいただきましたので、そういうものも踏まえて、今、私のところで最終的な取りまとめの整理をさせていただいておりますけれども、来週早々にでもエネルギー・環境会議を開いて報告をして、これは閣僚の会議でございますので、参加をされる閣僚の皆さんから御意見も伺いたいと思います。それを踏まえて戦略の取りまとめを行っていきたいと思っておりますけれども、この戦略の取りまとめにつきましては、党と連携をとって一体となって行っていきたいと思っております。したがいまして、党も来週を目途に議論を取りまとめる方向かと伺っておりますので、それと足並みを揃えつつ、政府としても最終的な戦略を決めてまいりたいと思っておりますので、代表選挙の後になるということはないと考えております。
(問)中長期試算の件ですけれども、大臣、まず2015年の目標達成が大事なのだということを先程おっしゃいましたけれども、2015年までの目標についても、特に2013年度から名目が実質を上回って、デフレ脱却がそこから本格的にずっと続いていくということですが、過去10年振り返っても名実の逆転というのはできていないわけで、慎重シナリオと言いながら、中身は非常に楽観的な見通しだと思います。そういう楽観的な見通しのもとに、目標を達成するなど言っても、逆にミスリードなのではないかと気がするのですが、如何なのですか。
(答)これはきちんとしたデータに基づいて試算をさせていただいているものでございますので、そのような御指摘は当たらないと考えております。
(問)きちんとしたデータというのは、どういう意味ですか。どういうデータですか。
(答)皆様方にもお示しをさせていただいていると思います。
(問)だからそのデータが、我々が今見ているデータそのものが楽観的なのではないかと聞いているのですけど、どういうメカニズムで来年度以降、名実逆転がずっと続いていくと考えているのですか。
(答)それは試算において数字をお示しさせていただいています。
(問)数字を示した根拠を聞いているのです。
(答)その数字を見ていただければと思います。
(問)いや、見ても全然分からない。
もう一つ、昨日デフレ脱却等経済状況検討会議で、復興需要が一段落した後も、雇用・所得環境、企業収益の改善を背景に、民需中心に堅調に推移すると書いていますけど、雇用・所得環境や企業収益の改善等を背景にという、これはどういうメカニズム、どういう根拠でそうなると見ているのですか。
(答)現在そういう動きがあるというところから、そのように考えている。
(問)そういう動きがあるところから、それがずっと続くと見る根拠は一体何ですか。
(答)経済というのは、その時々の状況からその先を見ていくわけであります。当然、その先のところで様々な要因、下振れの要因もあるわけでありますから、そういったものは常に注視しながら見ていく。しかし、現在の動きから見れば、そういう方向性が想定をされるということであります。
(問)今日の鉱工業生産を見てもマイナスが続いていますし、CPIもマイナスなわけですよね。大臣のおっしゃっていることは、今のちょっとした楽観的な良い材料をそのまま将来も続くのだという非常に根拠が薄弱な中で、ものすごい強気の見通しをつくっているのではないかと。これは消費税を上げることを合理化しようという、基本的な考え方が前提にあるとしか思えないのですが、如何なのですか。
(答)そのような意図は全くございません。
(問)では、一つだけ、根拠をもう少し具体的に教えていただけますか。
(答)事務方にお聞きください。
(問)事務方ではなくて、経済財政担当大臣としての責任を持った発言が必要なことではないのですか。一番ポイントになることを事務方に説明を任せるのでしたら、政治主導なんて言えないでしょう。
(答)繰り返し申し上げておりますけれども、データに基づいて試算をさせていただいて、お示しをさせていただている。それ以上でもそれ以下でもございません。
(問)根拠はないということがよく分かりました。
(問)東京電力が電気料金を9月1日から値上げするのですけれども、この電気料金の値上げが、まず景気に与える影響についてどういうふうに考えられるか、お願いします。
(答)今回の値上げは東京電力管内に限ったものでありますので、我が国全体の景気に与える影響は限定的であると見込んでおりますけれども、こういう電気料金の引上げがマインドに与える影響等を含め、今後の経済動向には注視をしていかなければいけないと考えております。
(問)もう一つ、東京電力で平均8.46%の値上げということで物価の上昇につながると思うのですけれども、消費の盛り上がりの結果ではない物価上昇ということについての評価はどういうふうに考えていますか。
(答)こういう物価上昇が良い物価上昇だとは思っておりません。これは、言ってみれば海外にお金が出ていってしまうのと同じで、東京電力の値上げの背景にも、化石燃料の費用が上がっている、かさんでいるということもありますけれども、可処分所得を減らすことにもなるわけでありますから、そういう意味では、好ましい物価上昇であるとは考えておりません。ただ、今回の東電の電力消費が全国に占める割合、そこから全国の消費者物価に対する影響を機械的に求めますと、9月以降、前年比で0.10%ポイント程度プラス、24年度への影響は0.06%ポイント程度プラスと見込まれますので、物価に大きな影響を与えるものとは考えておりません。
(問)今のCPIというのはコアの部分という認識でいいですか。
(答)はい、消費者物価、コアに対する影響です。
(問)全国でという意味ですね。
(答)全国でということです。

(以上)