古川内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成24年8月7日

(平成24年8月7日(火) 8:57~9:11  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

おはようございます。
最初に、私から2点御報告があります。
まず1点目でございますが、意見聴取会、討論型世論調査を終えてでございますけれども、意見聴取会には約1,300人の方々に御参加をいただき、そして136名の方から意見表明をいただきました。また、討論型世論調査では約6,800名の方々が調査に御協力をいただき、286名の皆様に2日間にわたる討論に御参加いただきました。こうした国民の皆様の積極的な参加や協力に対して、まずは感謝を申し上げたいと思っております。
また、パブリックコメントにつきましては、現在意見を募集中でございます。国家戦略室が開設した特設サイト「話そう“エネルギーと環境のみらい”」におきまして、様々な情報提供を行っております。特に小学校の高学年から中学、高校生まで活用していただけるジュニア向けパンフレットも掲載いたしております。こうした素材も夏休みの機会に是非御活用いただきたいと思っております。
先日も福岡で高校生の方に意見表明をしていただきました。こうしたエネルギーの問題、将来の世代にも影響を与える問題について、若い皆様方の御意見というのも非常に大事なことだと思っておりますので、こうしたサイトや資料を御活用いただければと思っております。
今回の意見聴取会や討論型世論調査は、これまでのエネルギーのあり方、一部の電力会社が集中的に電力をつくって供給していくという集中型のあり方から分散ネットワーク型に、一人一人の国民の皆さん方が電力の供給者になったり、節約をしたり、また蓄電をしたりと、主体的に参加をしていただくことによって、分散ネットワーク型の新しいエネルギー構造をつくり上げていく、そうした視点からこれまでのような専門家の方々だけで御議論をいただいてエネルギーの戦略を決めていくという決め方から、一般の皆さんにも参加をしていただいて自分たちの問題として考えていただく、そうした趣旨で行わせていただいているものでございます。
この意見聴取会に出席をさせていただいて、意見表明や、また皆様からアンケートを通じて様々な御意見をいただきました。私もこれまでの意見聴取会で出されたアンケートなどをすべて読ませていただいていますけれども、いろいろ会場は違いますけれども、その中で御意見あるいは問題意識はかなり集約されてきているのではないかと思っております。
例えば原子力発電の現実性の観点から、原因究明が不十分で事故の再発防止が現実的でない、また事故処理など原発の発電コスト負担は大きい、さらに将来世代に負担を残す核廃棄物の問題などの指摘がされているほか、省エネや再エネのコストが低下するのかというグリーンの現実的可能性の話や、化石燃料の高騰や原発事故に伴う安定供給面へのリスクや、エネルギー安全保障への懸念、さらには産業の空洞化や化石燃料への過度な依存によります経済や生活への懸念、こうした意見をいただきました。
また、中でも福島で行われました意見聴取会におきましては、大飯の再稼働への対応など、一連の政府の姿勢に対する厳しい御意見や、子供に対する放射線の健康被害への懸念など、原発事故の当事者として様々な御意見を伺いました。こうした福島県の皆様の思いをしっかり受け止めていくことが大変重要であると考えております。
また、今行っておりますパブリックコメントにつきましては、幅広い意見や提案を求めるものでございます。
意見聴取会というのは、異なる立場の皆様方、一般の方々から、それぞれ御意見をいただいて、そういう違った視点からの意見をまた聞いていただく中で、皆様方の考えを深めていただく場であったわけでございます。また、討論型世論調査というのは、無作為で選ばれた国民の皆様が学習や討議を経て、最終的にどういう考えを持つかを把握するものであります。
これまでの取組にはそれぞれ特徴がございます。私といたしましては、そうした特徴もしっかり踏まえつつ、どの選択肢、シナリオを支持するか、なぜそのシナリオを支持するかという定性、定量の両面から把握をしていくことが大事であると考えております。
2点目でございますが、休眠預金の活用に係る意見交換会の開催について申し上げます。
日本再生戦略におきまして、休眠預金を成長マネーの供給源として有効活用するための仕組みを構築することを閣議決定し、現在、どういった管理体制を構築すべきかについて政府内で検討を進めているところであります。どういった分野に活用していくかにつきましては、私のもと、国家戦略室で検討することになっております。原資が預金であるということに配慮しつつ、海外の事例も参考にするなどして、活用していくべき分野につきまして、また活用の仕方につきまして有識者から幅広く意見を聞きたいと考えております。今日の午後、企業やNPO、金融など各分野の現場で資金の配分等に実際に当たっている方々をお招きして、休眠預金活用に係る意見交換会を開催することといたしましたので、御報告を申し上げます。
私からは以上です。

2.質疑応答

(問)意見聴取会が終わったということで、昨日、総理も、意見聴取会での意見の表明が原発の比率をゼロにするという方が多かったことを受けて、ゼロにした場合には、その課題を整理するようにという指示を関係閣僚にされていました。政府が新しいエネルギー政策を決めるに当たって、実際、原発ゼロの数が多かったということを覆して、ほかの選択肢を決める、ほかのオプションを選ぶという際には、それなりの説得力が必要になると思うのですけれども、数以外に改めてどういったことを重視されようと考えているのか教えてください。
(答)覆すなどと考えているということではなくて、先程も申し上げましたけれども、今回、実は意見聴取会などでもよく出されたのは、あえてこのシナリオを選んだけれども、こういう御意見があるなど、実は三つの中からどれを選ぶというだけではなくて、いろいろな視点からの御意見をいただきました。
もともと今回、選択肢をお示ししたのは、三つの中から一つを選ぶということを前提にしたわけではなくて、議論をいただく最初のスタート地点として、三つのシナリオを示させていただいたわけであります。そうした視点の中から、今回の御議論をいただいていても、この立場に立つけれども、ここの中ではこういういろいろな問題点、あるいは疑問点があるというお話もいただいています。もちろんそれぞれのシナリオに対する御意見や、あるいはそういった数というものも非常に重要なことだと思っておりますけれども、それだけではなくて、どうしてこういう思いになっているのか、あるいは、こうした疑問点についてはどうなのだろうかなど、そういうものについても、私どもはしっかり受け止めて整理をしていかなければいけないと思っています。
専門家の皆さん方で議論していただいたものをベースにして、今回の選択肢という形で示させていただいたわけなのですけれども、やはり専門家でない一般の方だからこそ持っておられた視点というものも、私はあったと思っています。さらには、福島の原発事故で被害を受けられた皆さん方の思いと、そういう数字にあらわれてこないような国民の皆さん方の思いというものも、しっかり受け止めていかなければいけないと思っています。そういった意味では、数字だけでなくて、そうした国民の皆様方の思いや、あるいは様々な論点、まだパブリックコメントを行っているところでありますので、パブリックコメントが出てきたところで整理をさせていただいて、それを踏まえてお盆明けにもそういった様々な視点を踏まえて、戦略をまとめていく作業に入っていきたいと思っております。
(問)消費税の話なのですが、るる報道されておりますが、自民党が首相に解散してくれないと問責や不信任案を出すと言われていまして、進めてこられた税と社会保障の一体改革が非常に危機に瀕していると思うのですが、どのように対応するべきか、あるいは首相は解散を確約してでも、この大切な法案を通すべきだと大臣はお思いでしょうか。
(答)総理が就任以来、今、日本が直面している様々な問題を政局ではなくて大局に立って解決することが必要だと、そう言って野党の皆さん方にも理解や協力を求めてきたわけであります。三党合意というのは、そうした政局ではなく大局に立って、今現在日本が置かれている状況、そしてまた将来のことを考えれば、やっていかなければいけないことだという、そういう大局に立って合意がなされたものであって、この局面でもそうした大局に立った判断というものを一人一人の議員の皆さん、野党であっても国民の皆さん方から代表として選ばれているわけでもありますから、是非そうした大局に立った御判断を野党の皆さんにはいただきたいと思っております。
(問)自民党が求めている解散要求については、どういうふうに対応するべきだと思いますか。
(答)今申し上げましたけれども、正に政局的なお話ではないかと思っています。やはり、この三党合意が政局ではなくて大局に立って合意をしたものだという、その原点に是非立ち戻っていただきたいと思っております。
(問)昨日、首相から古川大臣含め3大臣に、原発ゼロについての課題の洗い出しを指示されたと思うのですが、それを受けて古川大臣は、具体的に事務方の皆さんにどういう点を特に洗い出してほしいなど、どういう指示を出されているのかを教えてください。
(答)中心的には、枝野大臣のところと細野大臣のところで、どういう課題があるのか、そしてそれを克服するにはどうしたらいいのかということをまずは御検討いただくことだと思っております。昨日、総理のところで枝野大臣、細野大臣も同席のもとで、そういう御指示がありましたので、まず枝野大臣、細野大臣のところでしっかりやってもらうということになったということであります。

(以上)