古川内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成24年7月20日

(平成24年7月20日(金) 9:38~10:07  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

おはようございます。
本日は、月面着陸の日であります。1969年のこの日にアポロ11号が月面に着陸して人類が初めて月面に降り立ちました。ときを同じくして、日本に新しい宇宙政策の司令塔ができたわけでございます。また、明日は、「こうのとり」のロケットの発射もございます。今日は、先に成立いたしました政府の宇宙開発利用体制の見直しを行うための内閣府設置法の改正におきまして、内閣府に宇宙政策委員会を置くこととされておりますが、宇宙政策委員会の委員が内定いたしましたので発表いたします。
お手元の資料にありますとおり、50音順に御紹介をいたします。
青木節子、慶応大学総合政策学部総合政策学科教授。
葛西敬之、東海旅客鉄道株式会社代表取締役会長。
中須賀真一、東京大学大学院工学系研究科教授。
松井孝典、千葉工業大学惑星探査研究センター所長。
松本紘、京都大学総長。
山川宏、京都大学生存圏研究所宇宙圏航行システム工学分野教授。
山崎直子、宇宙飛行士。
以上の7名であります。
この宇宙政策委員会は、内閣府の宇宙開発利用に係る司令等機能をより実効的に発揮させるとともに、全大臣で構成される宇宙開発戦略本部の機能を補完するもので、宇宙開発利用に関する重要政策や経費の見積もりの方針などの重要事項について調査審議していただくこととなります。
具体的な任命手続を経て、できる限り早期に開催し、まずは平成25年度の宇宙予算の見積もり方針を審議いただく予定であります。
なお、法改正後も、引き続き宇宙開発戦略本部事務局が内閣官房に置かれておりますけれども、事務局長には今回宇宙政策委員会の委員に就任されます山川事務局長にかわって、新たに川口淳一郎独立法人宇宙航空研究開発機構シニアフェローが就任する予定であります。
次に、宇宙の関連でございますけれども、明日に予定されておりますH2Bロケット3号機によります宇宙ステーション補給機「こうのとり」3号機の打ち上げを視察するため、本日午後から種子島に出張する予定であります。
この「こうのとり」3号機は、国際宇宙ステーションに様々な物資を届けることとなります。また、同ステーションには、去る17日から滞在中の星出宇宙飛行士が「こうのとり」3号機による物資補給ミッションを担当いたします。打ち上げが無事成功し、我が国が国際宇宙ステーションの運用に大きな役割を果たすことを期待いたしております。
3点目でございますが、エネルギー・環境の選択肢の国民的議論の件でございます。
御承知のとおり、先日、総理の御指示を受けて、意見聴取会へのいささかの疑念も生じさせてはならないことから、この意見聴取会におけます意見表明者として、電力会社社員の方々に意見表明していただくことについては、お断りをさせていただく。意見聴取会に参加する、あるいはそこでアンケートを書いていただく、また、パブリックコメントで意見を出していただくことは、もちろん否定するものでも、排除するものでも全くございませんが、意見聴取会における意見表明者としては御遠慮いただくという形をさせていただいたわけでございます。その一環で、運営についても見直しを行いまして、その見直した運営改善後の意見聴取会が今週末に大阪と札幌で開催される予定であります。私は大阪で行われる意見聴取会に出席いたします。
また、8月1日に福島県で予定いたしておりました意見聴取会につきましてでございますが、福島県は原発事故が起こった地であるという事情がございます。したがいまして、他地域の意見聴取会とは異なる形で開催をいたしたいと考えており、本日から参加者について公募を開始したいと思っております。
具体的には、福島県民と福島県から他県に避難されている方々のみを対象といたしまして、できるだけ多くの方の思いを伺うべく30人の方から意見表明をしていただくこととしたいと思います。
また、エネルギー・環境のどの選択肢を支持するかをあらかじめ伺うことはせずに、選択肢について幅広い御意見を伺う形としたいと思っております。
最後に、今日、閣議前にありました「物価問題に関する関係閣僚会議」で私の発言したことを御報告させていただきたいと思います。
今回、東京電力の料金改定について、厳正な査定を行った結果として、経済産業省による査定方針を認めることとなったわけでございますが、私からは、我が国の景気は緩やかに回復しつつあるが、欧州債務危機の影響など様々な景気下振れリスクが存在している。
したがって、こうした中での電気料金の値上げは、家計マインドや消費、企業の生産活動などへの影響を通じて、経済にマイナスの影響を与える恐れがあります。
しかも、今回の値上げは、東京電力管内の事業者にとっては、ほとんど選択の余地がない。そうしたことから、東京電力においては、国民の理解が得られるように電気料金に関する説明責任をしっかり果たしてもらいたいということをお願い申し上げました。
また、東京電力が電力の安定供給を確保しつつ、一層の経営合理化努力によるコスト抑制に全力を尽くしてもらいたい。そのことも申し上げました。
さらには、こうした選択のできない状況を変えていくために、今、取り組んでおります一人一人の国民の皆さんが様々な選択肢を選べる、そして、需要家が自らエネルギーを作り出したり、あるいは貯めたりすることができる新しいエネルギー構造改革や発送電分離を初めとする電力改革に政府としてもしっかり取り組んでいきたい。そうした意見を表明させていただきました。
私からは以上であります。

2.質疑応答

(問)2点あるのですが、まず、1点目は福島の意見聴取会の関係なのですが、先程福島原発事故が起こった地という御紹介があったのですが、改めて福島だけこういう形で行うねらいをお伺いできれば。
(答)他の地域における意見聴取会はそれぞれの立場の皆様方の意見を一斉に同時に聞くことによって、選択肢を考えていただくための頭の整理や、様々な意見を聞く中で国民の皆さん方にも考えていただきたいということで、それぞれの立場の皆さん方に事前に立場を表明していただいて、表明していただいた皆様方の中から選んで意見表明していただいて、それを来ていただいた皆さんに聞いていただく形とさせていただいております。
正に国民的な議論は、こういう形でやっていただきたい一つのモデルをお示ししているつもりでございますが、福島は、やはり原発事故が起きて、まだ多くの皆さん方が避難生活を余儀なくされ、また不安を持って生活しておられる。福島については選択肢のどれがいいですかということではなくて、エネルギー・環境の中長期の日本のエネルギー政策に関する選択肢として今回提示したものについて、率直に幅広い様々な視点から御意見をいただければということです。他の意見聴取会とは全く性格の異なるものとして、今回、開催させていただく形にさせていただいたものであります。
(問)もう一点、別件で冒頭であった宇宙の関係なのですが、特に宇宙開発戦略本部の事務局長に川口さんを起用されたねらいをお伺いできればと思うのですが。
(答)川口さんは、「はやぶさ」の正にプロジェクトリーダーでもいらっしゃって、日本のこれまでの宇宙政策の中心を担ってきた方でもございます。
宇宙の問題については、宇宙の利活用という部分と、当然に人類のあるいは宇宙の起源を探っていくなどの惑星探査、そういう部分とをうまくバランスをとっていくということが非常に大事だと思っております。ちょうど、今、星出飛行士が宇宙にいらっしゃいます。国民の皆さん、特に子供たちの宇宙に対する関心も非常に高まっておりますし、そうした次の世代が宇宙に対する関心を高めていただくことが、日本の将来の宇宙開発、そして、この分野での技術を進めていくことにも非常に大事なことになっていくと思います。そういった意味では、はやぶさに多くの国民の皆さん方が勇気づけられ、元気づけられ、宇宙に対する関心を高めていただく大きなきっかけにもなりました。
総理も宇宙政策については、並々ならぬ思いを強く持っておられます。政府として、政権として宇宙政策にしっかり取り組んでいく視点から川口さんに宇宙開発戦略本部の事務局長として御尽力いただくことがふさわしいと考えたからでございます。
(問)1点だけ追加です。そういう事務局長になってもらって、特に川口さんを入れることでどういう役割を期待したいと思われますか。
(答)宇宙に関しては、国民の皆さん方の理解とサポートが非常に大事であります。宇宙の開発は、いろいろ私たちの生活の中でも非常に活きているものがあるのです。例えば、皆さんも飲まれると思いますけれども、特定のメーカーを言ってはいけないのですけど、ツルッとした缶ではなくて、いろんな多面体をしているような、氷の名前のつく、皆さんもイメージが分かるかと思いますが、少し特殊な形をしている缶は、宇宙の技術を使ったものであったりなど、宇宙用に開発されたものが、私たちの生活の中にも活きてきているのがたくさんございます。
宇宙開発というものは直ぐには目に見えてこないけれども、そういったいろいろな形で波及効果もあります。
そういった意味では、宇宙にかける費用は、国民の皆さん方の理解をいただいた上で予算化もしていかなければいけないと思います。川口さんがこうして事務局長になっていただくことで、より一層今まで以上に宇宙に対する国民の皆様方の関心や理解が深まっていくことを是非期待したいと思っております。
(問)宇宙についてお願いします。新しい体制ということですけれども、この宇宙政策委員会の名簿を見せていただきますと、かつての宇宙専門調査会、廃止になりましたけれども、ここの方たちが大半で、あまり新しい感じはしないと受け止めているのですが、この人選の理由、顔ぶれを決めた基準みたいなものを教えてください。
(答)今回の体制の見直し、あるいは今後の方向性について、専門調査会等でもこれまでも議論もされております。そうした議論を踏まえて作られたものでありますので、これまでのことの継続性も持っていかなければいけないだろうと考えております。既に専門委員会のメンバーを選ぶときにも、現在の我が国の宇宙開発利用を推進するメンバーとして適切という形で選ばせていただいているわけでございますから、そうしたメンバーが引き続き今回の中でもやっていただくのが適切だと判断をしたことでございます。
(問)先程の川口先生の件ですけれども、大臣の御説明を伺うにつけ、なぜ川口先生はこの政策委員ではなくて、事務局長なのか、むしろ政策委員に入られたほうが良いのではないかと思うのですが、その辺はどうでしょうか。
(答)川口先生はまだ今実はJAXAのシニアフェローでいらっしゃいます。政策委員は正にJAXAに関わることも議論していくわけであります。直接政策の具体的なところに関わるので、利害関係も生じてまいりますので、政策委員とは一線を画したところで、大所高所から是非御参加いただきたいということで、川口先生には事務局長ということでお願いをさせていただいたということであります。
(問)先程大臣は、宇宙開発は国民の理解が大事だということをおっしゃられました。宇宙基本法ができてから、ここに新しい体制ができるまで、4年間にわたって宇宙専門調査会でいろいろ政策を議論してきましたけれども、一貫して非公開でありました。特に我々マスメディアだけではなくて、宇宙産業界、それから学術界も含めて、宇宙専門調査会が何をやっているか分からないということがかなり問題になってきましたけれども、新しい体制になられて、これからこの宇宙政策委員会に関しては、どのように公開をされていこうと考えていらっしゃいますか。
(答)記者さんからも御指摘もいただいたと思います。議事録は今までも出していましたし、議事録についても、公開が2週間だと遅いという御指摘をいただいて、とにかく1週間で出すようにということで、出させていただいたわけでございます。議事録という意味では公開をさせていただいておりましたので、非公開でやっているという御指摘は当たらないのではないかと思っております。
今後の政策委員会につきましても、議事内容については、原則として公開することを考えておりまして、もちろんどういう形でということについての具体的な公開の方法につきましては、宇宙政策委員会の審議を踏まえて決定されることになると思っておりますけれども、原則として議事内容を公開することは引き続きやってまいりたいと考えております。
(問)その議事録なのですけれども、今まで専門調査会、古いところから含めて、21回ばかりやっているのですけれども、その中で確かに議事の要旨という形にはなっているのですが、どなたが発言されたかというようなことは最近の2回しか行われていないので、是非ともその辺のところの公開の仕方に関してもお考えいただきたいと思うのですが。
(答)はい、御要望として承って、またしっかり宇宙政策委員会にもお伝えをしたいと思います。
(問)2点、お願いします。宇宙政策委員会なのですが、今回委員を発表されたことで、改めて伺っておきたいのですが、委員の方のお話の中で、これまでの日本の宇宙政策のどのような点を改善、変えていっていただきたいとお考えなのかということが1点。
あと、少し事務的なことになりますが、この委員の方々の任期であったり、例えば一月に1回など、開催のスパンがもし決まっているのでしたら教えてください。
(答)適切な方ということで選ばせていただいたわけでございますので、この皆様方が中心になって宇宙政策についての方針をここで御審議いただいて、答申をいただくということだと思っております。
開催時期や開催頻度や任期等については、これから開いた中で、必要に応じて決めていく形になろうかと思っております。委員の任期は2年です。
(問)冒頭にもおっしゃった司令塔機能を発揮することは、すなわちこれまでこういう状態であったのをこれからはこうしていきたいという、何か目に見える改善点みたいなものを知りたいと思ったのですが。
(答)内閣府に宇宙戦略室を設けて、一元的に宇宙政策を取り扱う。さらに、実用準天頂衛星の整備、運用などについても行う。その司令塔機能をしっかり発揮させるための、いわば担保するものとして、この宇宙政策委員会を発足させるものでありますから、今までと体制の異なる中で、宇宙政策委員会での議論が中心になって、今後の日本の宇宙政策の方向性を決めていく。また予算についても見積もりの方針を出すことになっておりますので、そのことによってここがリードしていく形になっていくことであります。
(問)先程記者さんからも御指摘のあった公開の件は、是非ともお願いをいたします。
(答)はい、承っておきます。
(問)日本再生戦略についてなのですが、現在、昨日も党のPTとの意見の交換会もあったと思うのですが、その中で話として出てきたのが、日本再生戦略内容、あるいはメッセージのようなもの、非常に短い言葉で、キーワード、あるいはキャッチフレーズといいますか、そういうものを示したらどうかというような意見が相当出ているようなのですが、そのことについてお考えがあれば教えてください。
(答)正に今、党と調整をしているところであります。
(問)もう一つ、書きぶりなのですが、修文といいますか、かなりのものになるのかということと、その柱立て、項目が増えるようなものが結構出てきそうなのか、そこら辺はどうでしょうか。
(答)今、調整をしているところであります。
(問)2点あります。福島で開催される意見聴取会についてなのですが、対象が福島県の方と他の地域に避難している方になると思うのですが、これまでのように、他の地域に住んでいる方が意見聴取会に参加してくることに関しては、どういった形で排除していくのかということについてお願いします。
(答)今のお話は、福島で行う福島県民の皆さんの意見を聞く会で、他の地域の人をどう排除するかということですか。
(問)そうです。
それともう一点が、幅広い意見をもらうということで、三つの選択肢というベースは、この福島県での聴取会においては一度忘れるということでしょうか。
(答)まず、皆さんに申し込みをしていただくときに、当然住所等も書いていただきますので、福島県内の方は当然分かりますし、福島から避難されている方がきちんと分かるように、こちらのフォームでやっていきたいと思っています。
2点目は、今までは事前にどのシナリオを選びますかと聞いた上でそれぞれのところから選ぶということをやりましたけれども、福島については、別にどのシナリオということではなくて、この選択肢について意見表明を希望される方を募集して、その中から無作為で抽出して選ばせていただくということであります。
(問)2点あります。一つは東京電力の値上げについては、関係する3大臣で決めている。逆に、エネルギーのベストミックスの議論については、国民的議論を行う。この差について、どうしてその差をつけているのかということと、ベストミックスの議論については8月中に決めるとしているのですけれども、これは別に2030年の話なので、8月中でなければいけない理由はないと思うのですけれども、8月中に決めようという理由についてお願いします。
(答)まず1点目については、やはり今お話もありましたけれども、中長期にわたる日本のエネルギー構造のあり方という大きな問題であります。私も聴取会でも御挨拶をさせていただいておりますように、原発に依存しない社会をつくりたいという多くの国民の皆さん方の思いを受けて、政府として原発からグリーンへという新しいエネルギー構造をつくっていく。さらに、そのエネルギー構造をつくるためには、大きな電力会社任せではなくて、各家庭が需要家として主体的にエネルギーを選んだり、また自らエネルギーを作っていく社会をつくっていかなければいけない。正に需要家の一人一人が、エネルギー選択について、自由もありますけれども、責任も生じてくるものでありますから、国民的な議論を行うべきものだということで取り組んで、今皆さん方にお願いをさせていただいているわけでございます。
電力料金の問題については、今までの仕組み、あるいはヒアリングや意見聴取、公聴会なども行って決めたという報告もございました。様々な専門家が東京電力の今回の内容については、当初の申し出の10%を超えるものから、相当切り込みを入れて、ここまで落とした数字になってきた。これはかなり専門的な目でチェックして落としていかなければいけなかったことだと思います。この中長期のエネルギー構造のあり方と電力料金については、性格が少し違うものではないかと考えております。
選択肢をいつ決めるかについては、私ども政府として8月をめどに考えておりますけれども、今みたいな御指摘があることも私どもは承知をいたしておりますし、このエネルギーの選択肢を考える中で、様々な御意見をいただきたいと思っておりますので、そうした御意見もあれば、私どもはしっかり踏まえさせていただいて、最終的に政府として判断をさせていただきたいということであります。
(問)少しくどいのですけれども、8月中である、急いで決めなければいけないわけではないから、例えば47都道府県で開催することも選択肢としてはとれるのではないかと思うのですけれども、その辺どうお考えですか。
(答)今様々な御意見をいただいているわけでございますから、そういう御意見もお寄せいただければと思っております。
(問)昨日、総合科学技術会議の専門調査会で科学技術政策のアクションプランが決まったのですが、これから予算編成に向けて、担当大臣としてどのように取り組んでいかれるのかという話をお願いします。
(答)この分野、科学技術分野は、それぞれの各省庁が縦割りにならないように司令塔機能をしっかり果たしていくことが大事だと思っております。特に科学技術、イノベーションを一体として実現する、そして司令塔機能を強めていく視点から、科学技術、イノベーションの推進協議会を設けて、産業界、あるいはアカデミズム、いろいろな方々に集まっていただいてこうしたところで視点などを示していただいて、それに基づいてこれから予算編成にも影響力を及ぼしていきたいと思っております。今回のアクションプランが絵に描いた餅にならないように、それに従って各省庁が予算編成を行うようにしっかり指導して行きたいと思っています。
先日もそうした視点から、関係省庁の政務に集まっていただいて、総合科学技術会議の指示のもとに予算編成作業も行うようにとの指示を私からもさせていただいたところでございまして、今後ともしっかりグリップを握ってくようにしていきたいと思っております。

(以上)