古川内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成24年5月25日

(平成24年5月25日(金) 9:20~9:34  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

おはようございます。
昨日までパリに出張して、OECD閣僚理事会に出席をしてまいりました。パリは大変良い天気でありまして、ヨーロッパは春が一番良いと言われますけれども、ちょうど私が着く前の日までは天気悪かったそうなのですが、昨日は初夏のような天気で、昼間だけいまして、夜また帰ってきましたので泊まってはいないのですけれども。もともと6月のヨーロッパは一番気候が良いときだからジューンブライドと言うのですけれども、日本でジューンブライドになりますと梅雨のシーズンになってしまいますから、陽気が一番良い中でOECDの閣僚理事会に出席をさせていただきました。
ちなみに、内閣府の経済財政政策担当大臣が出席したのは2003年以来9年ぶりということだそうでありまして、これまでの歴代の経済財政政策担当大臣などとお話ししていくと、なかなか国会の関係で出席することができなかったことが多いようであります。ある元大臣に聞きますと、その日まで行く用意をしてきたけれども、国会のお許しがいただけなくて出られなかったというような話も聞いたことがあります。
今回出席をさせていただきまして、途中で私は席を立たなければいけなかったのですが、今回の議長のトルコの副首相が主催のディナーの席がありまして、そこのメインテーブルは、閣僚しか座れないという席で、ドイツの経済技術大臣、カナダの貿易担当大臣、カーク通商代表など、そういう方々と一緒の席で、私は最初のスターターだけ手をつけて、それから空港に行くということだったので1時間程しかいられなかったのですけれども、一緒に食事をしながら歓談をする機会を持つことができました。
OECD代表部の日本の大使ともお話をしましたが、こういう席は、副大臣などは座れない、やはり閣僚が行かないと座れないということだそうであります。そういった意味でも、閣僚が大事なところに出ていって存在感を示すことは非常に重要なことではないかなと感じてまいりました。今回も大変な強行軍でありましたけれども、これからも日本のプレゼンスを示していく意味では、こうした海外の場、必要に応じて積極的に出ていくようにしてまいりたいと考えております。
さて、今回の閣僚理事会では、23日に行われた第2セッション「経済的課題に対する新たなアプローチ」及び第3セッション「全員参加~あまねく広がる成長及び雇用のための政策」に参加をいたしました。
第3セッションにおきまして、まず私から発言をさせていただきました。発言の冒頭で、世界金融危機の教訓を踏まえて、OECDを挙げて新たな成長のあり方について検討するプロジェクトを立ち上げたことに関して、多くの国が支持を表明いたしましたが、日本としてもこれを支持することを表明させていただきました。それに続きまして基調発言を行いました。発言では、日本としても国民全体で社会の幅広い人々が成長の果実を享受できるような成長、インクルーシブな成長を実現していく必要性については、OECDと問題意識を共有していることを述べ、我が国における若者の雇用や女性の力の活用、高齢者の力の活用のための取組について紹介をいたしました。
また、各国やOECD事務局からは、男女間の賃金格差の縮小など女性がより社会で活躍できるようにすることは経済成長にとっても重要であるといった意見や、労働者のスキルの向上やミスマッチの解消のため、スキルへの投資を行うことが重要といった意見があり、活発な議論が行われました。今回の閣僚理事会は、「全員参加~あまねく広がる成長及び雇用のための政策」が全体のテーマとなっておりましたが、インクルーシブな成長の必要性、経済活性化に向けて女性の活躍が不可欠であること、若者の雇用問題が重要であること、こうした論点につきましては、現在、国家戦略会議において策定を進めております日本再生戦略の大きな柱の一つともなるものでありまして、今回の会議の議論に参加したことは、今後の日本再生戦略の取りまとめに向けて非常に有意義なものであったと感じております。私からは以上です。

2.質疑応答

(問)先ほど、CPIが発表されたのですけれども、コアで見ますと3カ月連続でプラスになっておりますけれども、やはりこれは物価の下げ止まり感がより強く出ているというふうに見ていらっしゃるか、受け止めをお願いします。
(答)まだ今、日本経済が緩やかなデフレ状況にあるということは言えると思うのですが、徐々に需給ギャップが少しずつ縮小しているということは、これまでの統計でも表れております。そうした流れの一環ではないかと思っております。
(問)少しデフレ脱却に近づいているような感触はあるのでしょうか。
(答)月々というだけではなく、様々な流れのトレンドというものを見ていかなければいけないと思っています。少しずつトレンドは良い方向に向かってきているのではないかと思いますが、今後とも注視をしていかなければいけないと思っています。
(問)昨日からの毎日新聞の報道で、エネルギー・環境会議に報告するために使用済み核燃料の再処理政策を議論してきた原子力委員会が、非公式な会合を開いて再処理の推進派だけに報告書の原案を配付していたということが明らかになったのですが、エネルギー・環境会議議長の古川大臣として、こうした信頼性に欠けるプロセスで策定された原子力委員会の報告書を容認されるお考えなのでしょうか。
(答)今回の報道については、原子力委員会の原子力発電・核燃料サイクル技術等検討小委員会において、核燃料サイクルの政策選択肢の定量評価を行ったわけでありますけれども、コストや廃棄物など定量評価の作業をするため、関係者を集めた会合を開いたと聞いております。その上で、小委員会の報告書案、総合評価については、5月8日、16日の小委員会の場での意見を踏まえて取りまとめたものであって、記事にあるように、会合で出た関係者の意見に沿って再処理に有利になるような報告書案の書きかえが行われたことはないと聞いております。しかし、こうした取りまとめのあり方に疑義を招くようなやり方がされたということは、私は大変遺憾だと思っております。  エネルギー・環境会議においては、ここの問題だけではなくて、他の様々な問題と密接にリンクをしておりますので、全体を見て考えていくことになろうかと思っております。そういった意味では、予見を持つことなく全体の議論の中で考えてまいりたいと思っております。
(問)このままエネルギー・環境会議で報告を受けて議論すると、革新的エネルギー・環境戦略に対しても国民から疑念を抱かれることになりかねないと思うのですが、原子力委員会に対して議論のやり直しを要請するお考えはありませんか。
(答)やり直しといいますか、中身をしっかりまとめていただくことが大事なことだと思っています。ですから、その手続のところに疑念を持たれるようなやり方があったということは大変遺憾だと思っておりますが、そういうものも踏まえてしっかり議論をしていただいて、その上で報告書をつくっていただくことだと思っておりますので、今回そうした報道、御指摘等もいただいたことを踏まえて、しっかり委員会においては議論をしていただければと思っております。
(問)今回の議論は終わっているのですけど、もうあと提出するプロセスだけだと思うのですけど、エネルギー・環境会議に。
(答)ですから、先程申し上げたように、報告書案そのものの書きかえは、そのように再処理に有利な形で行われたものではないと、そうした議論、会合があったということは事実のようでありますけれども、それだけではなくてきちんと小委員会の場で委員の意見を踏まえて取りまとめが行われているわけでありますから、議論はきちんと行われていると理解をいたしております。今後、これに限らず、様々な議論をする場合においては、そうした疑念を持たれないようなやり方でやってもらいたい。これまでやっておりましたコスト等検証委員会や需給検証委員会では、そうした取組を行ってきたわけであります。したがって、そうした私どもがやってきたような取組を他の関係のところでもやはりきちんとやっていただきたいと思っておりますし、エネルギー・環境会議で今後、それぞれのところでまとまってきたものを議論していく際には、当然これまでのコスト等検証委員会や需給検証委員会と同じように開かれたオープンな議論ができるような環境を整えていきたいと考えております。
(問)日銀についてなのですけれども、先日の決定会合で日銀が公表しておりました声明文の中で、これまで入っていた「強力に金融緩和を推進する」という文言を削除しまして、白川総裁は「日銀の姿勢は変わらない」と、その後の会見等で主張はされておりますけれども、発表後の市場では円高や株高が進みまして、その中では、この文言変更について注目する声も少なからずあったようですけれども、大臣の受け止めをお願いできますか。
(答)日本銀行が消費者物価上昇率1%をめどとして強力な金融緩和を進めることについての基本的なスタンスは変わっていない、そこについての認識は政府とも共有して、一日も早いデフレ脱却、そして緩やかな物価上昇の実現に向けて金融、財政両面からの積極的な政策を行っていく立場は変わらないと認識をいたしております。
(問)もう一点関連なのですけれども、昨日の国会で日銀総裁が量で金融緩和の度合いをはかれないという趣旨の発言をされまして、与野党内、市場でも、金融緩和に当たっては、やはり一定の量というのが重要なのではないかと指摘が根強くありますけれども、この問題について大臣のお考えをお聞かせいただけますか。
(答)金融緩和のあり方というのは、金利と量、様々なものがあるのだと思います。そうしたものを組み合わせた中で考えていく話だと思いますが、この点については、強力な金融緩和政策を進める日銀の考え方のもとで責任を持って強力な金融緩和策を進めていただきたいと思っております。

(以上)