古川内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成24年5月22日

(平成24年5月22日(火) 9:12~9:31  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

おはようございます。
昨日皆さん、金環日食を御覧になられたでしょうか。私は、内閣府本府庁舎の屋上で、東大のカブリ研究所機構の村山理事長や天文学会理事長の岡村先生もおいでいただいて一緒に鑑賞会を行いまして、雲の間からくっきりと見ることができました。その後の懇談の中で、皆さんもよく御存じの天の岩戸伝説は、日食だったのではないかという説があると伺いました。暗闇を開いたのは女性でありまして、今、日本も混迷をしているわけでありますけれども、こういう中で、混迷を切り開いていく大変大きな力は女性が持っているわけでありまして、さきの国家戦略会議における総理からの指示を受けて、中川大臣と私を共同議長といたしまして、今日の夕方、女性の活躍によります経済活性化を推進する関係閣僚会議の第1回会議を開催することといたしております。それに先立ちまして、昨日の朝に、企業経営やメディアでの活躍で知られている女性7名においでいただきまして、私と中川大臣、そして小宮山大臣とで御意見を伺いました。
様々御意見をいただきました。例えば諸外国でも、企業経営が厳しいときにこそ潜在力である女性を生かすという先進的な取組を行っており、価値観論争ではなく、我が国経済の生き残り策として女性の活躍を推進すべきである、女性活用の制度は充実してきているけれども、特に中高年の男性の価値観が不変であって、企業のトップを初め、男性の意識改革を促すことが不可欠である、時限的なものとしてアファーマティブアクション、日本ではポジティブアクションという言葉を使っていますけれども、政府として強力に推進する時期なのではないか、女性に男性化した働き方を求めるのではもたない、男女とも働いて家庭に責任を負うというグラウンドデザインを示すべきではないか、政府として本気でやるという姿勢を示すべきで、そのためにはまず公務員から率先してやってもらいたいなどの御意見をいただきました。
こうした御意見等も踏まえまして、今日の閣僚会議で各担当大臣からも積極的な提案がなされる予定と聞いておりますが、6月までに重点的な推進事項を整理して、日本再生戦略に反映をさせていきたいと考えております。
メディアの世界、特に記者の皆さんは、上の方になると、まだメディアも女性がいないなという感じがいたしますけれども、こうして現場にいらっしゃる皆さん方の間では女性が増えてきております。働いている皆様方の視点もしっかり踏まえて是非議論していきたいと思っておりますので、皆さんも関心を持っていただきたいと思いますし、特に昨日のお話にありましたけれども、男性の意識が変わるということが非常に重要だということであります。女性の話だから自分は余り関係ないというのではなくて、特に男性の意識をどう変えるかということを、是非この中でしっかり議論をしていきたいと思っていますので、男性の記者の皆さん、特にある一定以上の年齢の方々は特に考え方が古いと昨日も言われました。私もそういう部類に入ります。大体今、35歳以下ぐらいの男性と、それ以上の男性とでは根本的に考え方が違うのではないかという御意見もありました。ある一定以上の年齢の方、ここにもいらっしゃるようでありますけれども、そういう方にも是非これからの議論に注目をしていただいて、報道していただくだけではなくて、皆さん自身も意識を変えていく良い機会にしていただければと思っております。私も、この議論に積極的に参加してリードしていく中で、自分自身の意識も変えていくように努力をしたいと思っております。
2点目でございますが、先日立ち上げました「ENJOY JAPANESE KOKUSHU」プロジェクトでございます。今後の取組といたしまして、各省庁協力のもとで政府等主催行事での日本酒、焼酎の効果的活用などを進めていくことを申し上げましたけれども、早速でありますが、メインは海外への輸出を増やすところであります。外務省におきます在外公館や飯倉公館等で、海外のお客様を招いて行事が行われております。そうした行事の際に日本酒や焼酎など、日本食だけでなくて各国料理でも、「これは相性がいい」といった紹介などを是非していただく。今までも乾杯などのときは日本酒などを飲むのですけれども、その後は好きなものをどうぞとなると、外国の皆さんはワインを選ぶことが多いようでありますけれども、食中酒として日本酒や焼酎も積極的にこちらから勧めていくというようにしてもらいたいと、外務大臣あてで要請をいたしました。同じような要請を、他の府省についても行ってまいりたいと思っております。
また、このプロジェクトを推進するため、様々な分野の有識者で構成いたします「ENJOY JAPANESE KOKUSHU」推進協議会を設置することとしておりますが、その第1回の協議会を28日に開催する方向で調整いたしております。幅広い観点から御議論をいただきたい、そして具体的なアクション、プランを打ち出してまいりたいと考えております。
最後に、今日の深夜、正確に言いますと明日の0時40分から木曜日の日程で、OECD閣僚理事会に出席するためパリに出張をさせていただきます。閣僚理事会では、「経済的課題に対する新たなアプローチ」及び「全員参加~あまねく広がる成長及び雇用のための政策」の二つのセッションに参加することを予定いたしております。また、現在バイの会談も調整中でございます。
私からは以上であります。

2.質疑応答

(問)女性の活性化なのですけれども、今までも男女共同参画などで政府としての取組というのはあったと思うのですけれども、今までの取組の何がまだ十分でなかったので、今回こういうものが必要かという点をお願いいたします。
(答)今回は日本再生、特に経済の再生という面から、女性の皆さんに活躍をしていただいて、経済の活性化にもつながっていくのだと、そうした視点を中心に、議論を行わせていただきたいと思っています。 従来、男女共同参画で、女性の社会進出を促してきたわけでありますけれども、今回は、日本の経済を活性化するためには、やはり女性の力が必要である。昨日も女性起業家の方々にも何人かお集まりいただきましたけれども、女性の視点だからこそできる新たなビジネスも生まれてくるわけであります。従来から私が申し上げているイノベーションも、男性が考えて、本当に女性が必要としているようなものがアイデアとして出てくるかと考えれば、購買意欲、消費意欲の旺盛なのは、どちらかといえば私は、家内を見ていても女性ではないかなと思いますから、女性が何が欲しいかというのはよく分からないところがあります。そういうのが得意な男性もこの中にいらっしゃるかもしれませんけれども、一般的に言うと、なかなか女性が欲しいものというのは、女性の皆さんのほうがよく分かっているのだと思いますから、そういう新たな商品やサービスを生み出すという意味でも、女性の力は非常に重要になっていくのではないかなと思います。 今回の閣僚会議においては、経済活性化を推進する視点から女性の皆さんに活躍をしていただきやすい環境づくりに重点を置いて議論してまいりたいと考えております。
(問)もう一点、前回の会見のときにおっしゃっていたフロンティア分科会のことなのですけれども、その際に、多様な意見をいただいているというお話がありましたが、差し支えない範囲で、どういうような多様な意見があるので、その調整の期間を要するのかという点をお願いいたします。
(答)大西座長、永久事務局長のもとで今調整していただいていると伺っておりますので、その報告として、様々御意見をいただいていると伺っております。総理も最初にも分科会のときに申し上げたように、自由闊達に議論してもらいたいということでお話をいただいておりますので、私も基本的に、大西座長、永久事務局長のところで調整、取りまとめをお任せいたしておりますので、そうした報告を受けているということでございます。詳細については、私自身も深く承知をいたしておりませんので、機会がある時に、大西座長や永久事務局長に聞いていただければと思います。
(問)OECDに関連してなのですけれども、今回のテーマで雇用と経済成長というテーマになっているかと思うのですが、ざっくりとした質問で恐縮なのですけれども、何を議論すべきと今お考えなのか、どういう御主張を今お持ちなのかをお聞かせいただけますか。
(答)今、ヨーロッパで起きていることを見ますと、市場から求められていること、特に政府債務危機があって、それぞれの国家に対して緊縮財政、これはいわば市場から求められているものだと思います。一方で、ヨーロッパ各国の民主主義国においては、過度な緊縮政策で国民経済、特に国民生活が相当耐え切れないような状況に至っていることが、ここのところの選挙の結果などにも反映をされているのではないかと思います。 世界の民主主義国においては、市場からのプレッシャーと、そして一般の国民の皆さんからのプレッシャー、全く正反対のプレッシャーの二つを受けている。それを調整してバランスをとって政権運営をしていくことが非常に大事なことではないかと考えています。 国家戦略会議でも、日本再生戦略を作成するに当たっては、緒方議員が一番最初にもおっしゃったダイナミック・インクルーシブ・グロースという言葉がありますけれども、だれかを取り残すのではなくて、みんなを包摂した形の大胆な成長を目指していかなければいけないのだというお話もいただいきました。正に日本再生戦略で目指していく私たちの新しい成長の姿は、だれかを取り残していく、あるいは格差が拡大するような成長ということではなくて、むしろみんなを包摂して次の新しいステップに移っていく成長の姿を模索して、実現していかなければいけない。日本が今、直面をしている課題は、ヨーロッパを初めとする世界においても直面している課題ではないかと思います。そういった点で、今、日本で日本再生戦略に向けて取り組んでいる課題、今日も申し上げましたけれども、特に女性の活躍をどう担保していくのか、また、高齢者の皆さん方にも、完全にリタイヤしてということではなくて、社会の中で役割を果たしていただくのか、またさらには、ヨーロッパで今起きていることを見ても、やはり若者の皆さんの雇用環境が非常に悪化をしていることが欧州などの政治状況の不安定にもつながっている一つの大きな要因だと思います。日本においても、若者の雇用環境は上の世代に比べれば大変厳しいものになっています。だからこそ若者雇用戦略も今、議論しておるわけでありますけれども、女性や若者、そして高齢者の皆さん方に次の新たな成長の中でしっかり役割を果たしていただく、むしろこういう人たちが取り残されないように、中心になって次の新たな成長のリード役をしていただく取組を是非していかなければいけないと思っていますが、こうした日本の私たちが行っている、目指している取組は、ヨーロッパにおいても、お互いに認識を共有できるところがあるのではないかと思いますので、こうした点などについて是非意見交換、またヨーロッパに集まられるOECD加盟国の皆さん方の意見も聞いてまいりたいと思っております。
(問)エネルギー・環境会議の話なのですが、そろそろエネルギーミックスについての議論を始めるかと思うのですが、今後いつごろ議論を始めたいかというのと、国民的議論にかけるというのがこれまでの方針であると思うのですが、それは具体的にどういったことを考えていらっしゃるのかをお聞かせください。
(答)今、中長期の戦略については、エネルギー・環境会議で決めたことでありますけれども、関係府省で議論いただいている、例えば総合エネ調などで選択肢の原案を御議論いただいているわけでございます。総合エネ調等の関係審議会が原案を作成してきたところで、エネルギー・環境会議で複数の選択肢を提示して、その中で国民の皆様方にも是非考えていただく機会をつくってまいりたいと思っております。 既にエネルギー・環境会議では、私のもとでエネルギーの技術革新を主導して産業や雇用を生み出すグリーン成長戦略、この策定についてはグリーン成長パネルを4月の末から設けて、様々なヒアリングや意見交換を始めております。グリーン成長戦略は、エネルギー・環境戦略の中長期の戦略を立てる中での大きな柱になるわけでありますから、この部分についてはしっかり私のもとでリードしてまいりたいと思っておりますし、また、今、それぞれの関係審議会で行われている議論を踏まえて、エネルギー・環境会議で選択肢の策定に入ってまいりたいと思っております。

(以上)