古川内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成24年5月8日

(平成24年5月8日(火) 10:28~10:42  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

おはようございます。今日は何点か皆さんに御報告をすることがございます。
まず1点目、電子の性質や振る舞いを数々の実験で証明され、物理学分野でノーベル賞候補とも報じられた外村博士が、5月2日に御病気のためお亡くなりになりました。我が国の科学技術の発展上、痛恨の極みではございますが、博士のこれまでの業績に改めて敬意を表するとともに、心より御冥福をお祈り申し上げたいと思います。
次に、今日閣議前に開きました成長ファイナンス推進会議の第2回会合について御報告いたします。
現在、国家戦略会議におきまして日本再生を図っていくためには、イノベーションの推進、人材の育成、お金の流れをよくしていくことが必要との観点から議論を行っているところでありますが、この成長ファイナンス推進会議におきましては、このうちお金の流れをよくしていくという点について重点的に検討を行っております。これまで推進会議のもとに設けました政務官級会合であります実行会議におきまして、5回にわたって議論を行ってまいりました。その上で、今般、中間報告を取りまとめたものであります。
中間報告のポイントといたしましては、休眠預金につきましては実態調査が報告され、今後については、年央の取りまとめまでに休眠預金を活用するための具体的な仕組み案を提示することとなりました。
確定拠出年金につきましては、自助努力によります老後資産の形成を促すものとして導入されましたが、いまだ小規模にとどまっております。このため、拠出規模を拡大する方向で見直すほか、分散投資の促進に向けた施策について具体策の検討を進め、取りまとめまでに結論を得ることといたしました。
また、産業革新機構につきましては、ベンチャー企業への投資を一層強化するため、機構の体制整備の検討を進め、取りまとめまでに結論を得ることといたしました。
さらに、第三者保証の原則不要化を徹底するほか、本人保証について創業支援の観点から検討し、その結果を取りまとめに反映することとしたほか、日本企業の海外拠点と他国との取引の支援といった海外ビジネスを後押しする制度金融につきまして、具体策の検討を進め、取りまとめまでに結論を得ることといたしました。また、党から御提言をいただいておりますが、これにつきましては、政府としてしっかりと受け止めて、集中討議期間を設けて精力的に議論をした上で年央の取りまとめに向けて検討を進めていくことといたしました。詳細につきましては、この後、事務方より資料配付の上、ブリーフィングをさせていただきますので、ご確認いただければと思います。
最後に、私の連休中のブラジル及び米国出張について申し上げます。
4月28日から30日にブラジルのサンパウロ及びブラジリアを訪問しブラジル政府関係者と会談したほか、現地日系社会関係者等と意見交換を行いました。また5月1日及び2日には、米国のシリコンバレー及びサンフランシスコにおいて、ITを初めとするベンチャー企業関係者等と意見交換をしました。その御報告を簡単に申し上げさせていただきます。
まず、ブラジル政府関係者との会談におきましては、パトリオッタ外相等に対し、リオ+20に向けた我が国の方針や、この会議の成功に向けた我が国の貢献につき説明したほか、今後の日本とブラジルの協力のあり方について幅広く意見交換を行い、戦略的に重要な日伯関係のさらなる強化について一致をいたしました。
また、日系社会関係者等との意見交換におきましては、現地情勢や日伯関係の現状及び今後の見通し等について意見交換をいたしました。
さらに、その後訪問したシリコンバレー及びサンフランシスコにおきましては、ベンチャー企業関係者やIT産業関係者により、20年にわたり起業家を生み出し続ける理由や、そうした環境整備における政府の役割について聴取するとともに、我が国における起業家の育成の促進について様々な助言をいただきました。今後、今回得られた提言やこうした有識者とのつながりも最大限に活用して、年央に策定予定の日本再生戦略や次期IT戦略の取りまとめに生かしてまいりたいと考えております。
ブラジルについては南米の雄でありますし、資源も大変豊富、かつ親日である。そういった意味では、この21世紀を見据えて、新興国の中でも日本と中長期的に関係を強化していく、まさにこれは国家戦略的な観点から関係強化が必要であるということで、閣僚としては昨年の松本外務大臣以来ほぼ1年振りとなりましたけれども、訪問をさせていただきました。
また、シリコンバレーにつきましては、日本においても創業・起業をどう促進をしていくのか、これがデフレからの脱却、そして経済の活性化のためには極めて重要なカギになる。そうした観点から、次々に新しい創業が生まれている、シリコンバレーの現状、そして秘訣というものについて、直接向こうの方々と意見交換をさせていただく中で、その秘訣を伺いたいという思いで訪問させていただきました。一言で申し上げれば、失敗を誤りではなくて次への学びである、また失敗をむしろこれを祝福すると、セレブレイトという言葉を使われておられましたけれども、そういう環境が創業を生んでいる。アントレプレナーというものが生まれてくるには、失敗をマイナスではなくて、むしろ未来につながるものとしてポジティブにとらえていくことが極めて重要であることを実感いたしました。
なお、ブラジルも、そしてまたアメリカ・シリコンバレーもともに日本に対する期待というものが大変強いし、また日本の現状については、私たち日本人が思っているほどそんな悲観的なものではなくて、もっと自信を持っていいのではないかと、むしろもっと日本は世界に対して貢献もできるし、そうした役割を果たすことを期待している声が多くの方々から聞かれました。そういった意味では、私たち自身の自己認識というものを、余り自分たちを悪くネガティブにとらえるのではなくて、自分たちのいい面、そしてまた世界が日本に求めているものと、まさにそうした外部の視点なども取り入れて、私たち自身の自己認識をもう一度正していく必要があるのではないかと、そういう思いを強くして帰ってまいったということであります。
私からは以上でございます。

2.質疑応答

(問)成長ファイナンスのところで2点お伺いしたいと思いますが、今回まとめておられるいろいろな政策は、政権が最重要課題に掲げているデフレ脱却という視点から言うとどういう効用・効果があるのかという点をわかりやすく御説明お願いします。
(答)先日のデフレ脱却等経済状況検討の関係閣僚会合におきましても、4原則をまとめさせていただきました。その一つが、お金を動かすことであります。まさにお金を動かす、この成長ファイナンスは、お金を必要としている分野、特に成長につながるそうした分野に必要な資金を動かしていこうというものでありますので、そういった意味では、こうした取組がデフレ脱却にもつながっていくものと考えております。
(問)その中の休眠預金なのですけれども、以前、全銀協の会長さんがいらしたときに、調査には協力するけれども、その先については余り肯定的な感じではなかったというような対談をされていたと思うのですけれども、その後、ここについての金融機関の御協力は得られそうなのか、どういうふうに見ていらっしゃるのでしょうか。
(答)今回実態調査をさせていただきました。具体的な数字については後から事務方に説明をさせますので聞いていただければと思いますけれども、今回の実態調査を踏まえて、今後法的な論点の整理やコスト面等からの検証を進めて、年央の取りまとめまでには休眠預金を活用するための具体的な仕組み制度案を提示してまいりたいと思っています。その上で金融機関の皆さんとも意見交換をしていくことになろうかと思っております。
(問)その後、特に金融機関の方から御意見を伺ったりということはされていないということですか。
(答)まず今回は実態を金融機関の皆さんから出していただいたということであります。
(問)同じく成長ファイナンスの件でまず1点お願いします。制度改正を伴うもの等多々出てくると思うのですけれども、それも各省庁の協力をどういうふうに得ていくかというところがポイントになってくると思うのですけれども、その辺についての見通しをお願いします。
(答)党からの提言の中でも、制度改正を必要とするもの、そして運用でできるもの等、◎、○、△といって、そういう仕分けもされております。私どもとしては、できることは直ちに着手をすることで考えていきたいと思っていますし、また、休眠預金の活用に制度改正を必要とするものについては、そうしたものも視野に入れてやっていきたいと思っております。
 いずれにしても、この成長ファイナンス推進会議は、まさに国家戦略会議のもとに置かれたものでありますから、ここで決めたことは国家戦略会議でも報告をして、戦略会議において実施を決めたものについては、総理のリーダーシップのもと、各関係省庁に対して制度改正も含めた実施を求めていきたいと思っております。
(問)成長ファイナンスについてなのですけれども、銀行、金融機関側からすると、事務コストの拡大を懸念しているかと思うのですが、金融機関に対してどういうふうな形で理解を得ていくのかというお考えをお聞かせいただけますか。
(答)何の事務コストですか。
(問)休眠口座に関してです。
(答)休眠預金の話については後から実態の数字について事務方から説明があると思います。そういう実態を踏まえて、今後コスト面等からの検証も進めた上で、活用するためのどういう制度設計ができるかということを検討していくわけでありますから、その上で金融機関ともお話をしていくことになろうかと思います。
(問)先日の日米首脳会談で、日米のGPS共同開発の話についても話し合いがあったようなのですけれども、今後どういった展望や見通しがあるのかについてお願いします。
(答)読売さんで記事を書かれたようなのですが、共同開発に乗り出すということはございません。これは記事を訂正していただきたいと思いますけれども、これは私どもの今の方針というのは、アメリカのGPSというのは全世界対象、日本の準天頂衛星システムはアジア太平洋地域を対象とするものであります。これまでも両システムの間で相互運用性を確保しつつ開発を進めてきているところでありますが、これからも両者が相まって測位インフラとしてアジア太平洋地域に貢献できるよう協力を進めていきたいと考えているということであって、記事にあるような共同開発をするなど、そういうことではないということは、いい機会でありましたので申し上げさせていただきたいと思います。
(問)小沢元代表の党員資格停止の解除が今日の常任幹事会で正式決定されるということですが、それについての大臣の受け止めを伺えますでしょうか。
(答)党において決められるものだと承知いたしております。

(以上)