古川内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成24年4月12日

(平成24年4月12日(木) 14:52~15:02  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

私より、月例経済報告等に関する関係閣僚会議の概要を報告いたします。
まず、景気の基調判断は、「東日本大震災の影響により依然として厳しい状況にあるなかで、緩やかに持ち直している」と、先月と同様の判断としております。
これは海外経済の回復の弱さなどから、輸出が横ばいにとどまっているものの、内需面での上向きの動きが続いている中で、生産も引き続き持ち直し基調にあることなどを踏まえたものであります。
なお、物価の動向につきましては、下落傾向の緩和が見られますが、依然として緩やかなデフレ状況にあるとの判断に変わりはありません。
先行きにつきましては、各種の政策効果などを背景に景気の持ち直し傾向が確かなものとなることが期待されます。
ただし、欧州政府債務危機や原油高の影響、これらを背景とした海外景気の下振れ等によりまして、我が国の景気が下落ちされるリスクが存在することに注意をしてまいりたいと思っております。
政府としては、デフレ脱却に断固として取り組み、日本銀行と一体となって、速やかに安定的な物価上昇を実現することを目指してまいります。
それから、今月のマンスリー・トピックスのテーマは、「中国の住宅価格の地域別実態と国際比較」です。
今回のトピックスでは、中国の住宅価格について、地域別の価格動向や不動産バブル経験国との国際比較の分析をしております。
その中で注目できる部分は、例えば中国の住宅価格はこれまで東部を中心に全体的に上昇してきたが、足下では中西部での伸びが高まっており、水準や上昇のタイミングにはばらつきがあるということや住宅価格と経済のファンダメンタルズをあらわすと見られる名目GDP、可処分所得、都市人口の推移を不動産バブル経験国と比較すると、中国全体では必ずしも大きく乖離した動きとはなっていない。
ただし、上海市等では住宅価格が、名目GRP、これは域内総生産のことでありますが、また、可処分所得の趨勢を上回る時期もあった。今後、不動産価格抑制策のもと、住宅価格の調整局面は続くが、実需の伸びに支えられ、急速な下落は考えにくいといったところです。
中国の不動産については、バブルだという指摘も多々あるわけですが、そういう一面もあるけれども、今回の分析では全体として見ると、それほど大きなバブルというところまではいってないのではないか。興味深い内容が書かれておりましたので、また御一読をいただければと思っております。
なお、今回は中間的な報告でありまして、「世界経済の潮流」におきまして、追加的な分析を行っていくと聞いております。
私からは以上であります。

2.質疑応答

(問)物価の動向のところで2点ほどお伺いします。
 今月は下落のテンポが緩和していると言われましたけれども、これは政府が目指しているデフレ脱却に、少し良い材料・良い条件が出てきたと言えるのでしょうか。
(答)石油製品等を除く消費者物価、いわゆるコアコアの前月比で見ますと、昨年12月がゼロ%で今年1月が0.1%、2月が0.3%と、下落テンポが緩やかになっております。そういった意味では、デフレの状況が少し緩和してきているというところはあるのではないかと思いますけれども、ただ前年比で引き続き下落していることなども含めていくと、我が国経済は持続的な物価下落という意味で依然としてデフレ状況にあると認識をいたしております。
(問)さらに言うと、民主党が政権交代した直後から、この緩やかなデフレ状況という判断は変わっていないと思いますけれども、そういった面で今までの成長戦略なり内需拡大策というのが奏功してきたのではないかとも言えると思いますが、その点どうお考えでしょうか。
(答)これは御存知のように、政権交代の前にリーマンショックというのがあって、一時、需給ギャップはマイナス8%近くまで拡大していたわけでありますが、これがマイナス3%台まで改善をしてきて、物価の下落テンポが緩和してきた要因の一つは、こうしたことがタイムラグをもって物価に影響しているものと考えております。そういう意味では、これまでのリーマンショックからの落ち込みやデフレ状況に陥った動き、それが徐々に改善をしてきているのではないかと、正にこれは政策効果の面もあるのではないかと考えております。
(問)そうしますと、今の足下の先程のデフレの状況が少し緩和してきているところがあるというのも、若干そういう政策効果みたいなところも効いてきているということですか。
(答)これはもちろん大変厳しい財政状況の中ではありますが、財政規律を維持しつつも、今の状況は決して緊縮財政ではなくて、積極財政と言える状況ですから、そういった意味でのこの需給ギャップの是正に向けて取り組んできたわけでありますし、また規制改革なども、政権交代以降、相当思い切って取り組んでまいっております。
 そして、日銀と政府との連携も、この間様々な形で行って、政府だけではなくて、日銀においても、様々な取組を行ってきた。そういった意味では、政府と日銀とが一体となって取り組んできた効果というのは、着実に出ているのではないかと思っております。
(問)物価に関連して、先行きの見通しなのですけれども、足下で原油価格が上がって、円安の効果も後から多少出てくると思うのですけれども、それに加えて電力料金とか、そういった上昇圧力の要因が結構あるわけですけれども、先行きはどう見てますでしょうか。このまま順調に上がっていくのか、あるいはそれがよりインフレというか、デフレ解消になるか。
(答)先を見通すことは非常に難しいところでありますけれども、政府として緩やかな物価上昇を目指していくと、そして一日も早くデフレ脱却を実現していくということがマクロ経済政策の最優先課題でありますので、そうした状況の実現に向けて、努力をしていきたいと思っております。

(以上)