古川内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成24年3月2日

(平成24年3月2日(金) 9:18~9:35   於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 私のほうからは、4点最初に申し上げます。
 まず、企業再生支援機構法の一部を改正する法律案の閣議決定について申し上げます。
 本日の閣議において、株式会社企業再生支援機構法の一部を改正する法律案が閣議決定されました。本法律案は、中小企業金融円滑化法の期限延長に伴い、事業再生に向けた金融機関によるコンサルティング機能の一層の発揮を後押しするため、円滑化法の延長期間に合わせて約1年間、株式会社企業再生支援機構の支援決定期限の延長等を行うものであります。法案の早期成立に向けて、努力してまいりたいと考えております。
 次に、総合科学技術会議の国会同意人事について申し上げます。
 この冬、一橋大学教授・青木玲子さん、そして、ソニー株式会社副会長・中鉢良治さん、大阪大学総長・平野俊夫さんの3氏を任命する人事案を国会に提出しておりましたが、一昨日に参議院、昨日、衆議院において、これら3氏の任命について同意をいただきましたので、御報告申し上げます。
 早急に任命手続を進めて、法的な総合科学技術会議の機能を正常化し、国家戦略の一翼を担う科学技術・イノベーション政策を強力に推進してまいりたいと思っております。これまでも、実質的には懇談会という形で協議、議論していただいておりましたが、これらの法律的な形も整いましたので、しっかりやってまいりたいと思っております。
 3点目が、宇宙ごみの関係でございます。
 昨日、財団法人日本宇宙フォーラム主催の「人類の持続的宇宙開発利用のための国際シンポジウム」に来賓としてお招きいただきました。このシンポジウムは、国際的な課題となっておりますスペースデブリ、宇宙ごみの問題につきまして、日米欧のハイレベルの関係者が参加して議論を行うものであります。経済社会の様々な分野で宇宙空間が利用されている今日におきまして、宇宙ごみ問題は人工衛星や宇宙ステーション、更には地上の私たちに対する現実的、具体的な脅威となっております。
 先日、古川飛行士と対談させていただいた際も、宇宙ステーションから330メートルの距離まで近づいたとのお話しがありました。宇宙の中で330メートルというのは、ほとんどもう直ぐ隣ぐらいですね。非常帰還用の宇宙船に入って、全ての出入り口を閉めて、最後はぶつからないように祈るしかないという状況だったというお話を伺いました。そういう意味では、この宇宙ごみの問題は、かなり現実的、具体的な脅威になっているわけでございます。
 こうした宇宙環境の保全は、一国で成し得るものではなく、国際的な連携の下で進めることが必要でありまして、これまでも宇宙ごみについて日本はかなり分析とか観測をやってきて進んでおりましたが、そうした我が国でこうしたシンポジウムが開催されるということは、大変意義深いと考えております。
 また、今年6月から、JAXAの技術参与であります掘川さんが議長に就任する予定の国際連合宇宙平和利用委員会(COPUOS)が、デブリ問題を含めた宇宙活動の長期的持続性のための国際ガイドライン作成に取り組む予定であります。また、EUが提案しております宇宙活動に関する行動規範につきましても、できるだけ多くの国が参加するよう、我が国としても積極的に規範づくりに取り組んでまいりたいと考えております。我が国としては、こうした取組を通じて、宇宙環境の保全に率先して貢献してまいりたいと思っております。
 最後に、昨日夕刻開かれました国際広報連絡会議について申し上げます。
 昨日、玄葉外務大臣と共催で、「国際広報連絡会議」の第1回会合を開催いたしました。この会議は、もともとは私が官房副長官の時代に各省庁の連絡会議を立ち上げ、それが昨年、大震災、原発事故を受けまして、7月に「国際的風評被害対策日本ブランド再構築に関する政府・関係機関の連絡会議」という形で開催されたものを今回、国際広報連絡会議として新たな形でスタートさせることにしたものであります。これは、国際的風評被害を乗り越え、国家戦略として日本ブランドの更なる海外展開と強化、日本の多様な強みと魅力、そして日本的な価値の発信に積極的に取り組んでいくための会議でございます。また、内閣官房と関係府省庁、関係機関が緊密に連携して、政府一体、官民連携で効率的な情報発信体制の構築を目指しておりまして、実のあるものにしてまいりたいと考えております。
 私からは以上でございます。

2.質疑応答

(問)今日で、野田政権が発足してちょうど半年になるかと思うのですけれども、改めて振り返ったときに、特に政策面で結構頑張ってできた面と、まだちょっと力不足で、もう少しこういうところを改善努力したいという点があればお願いいたします。
(答)私は、政権運営というのは高く険しい山を登るようなものだと思っております。政権交代以来2年半、鳩山政権、菅政権、そして野田政権と山を徐々に登ってきたわけでありますが、皆さんご存知のように、高い山になりますとだんだん上になってくると空気も薄くなってきて、登っていくのも最初の下のほうを登るのと違って、かなり辛くなってくる。野田政権は、そういった意味では、鳩山政権、菅政権で積み重ねてきたものをいよいよ具体化する、あるいは実行に移していく、そういう段階、局面に来ておりまして、山で言うと、だんだん空気が少なくなってきて、高山病に気をつけないと登頂に成功しないという大変厳しい中で、一歩一歩、これまで政権運営を進めてきたと考えております。
 そういう中では、これまで政権交代以来取り組んできたことが幾つか具体的な形になってきているものがあると思います。例えば、今日、会議で決めました「子ども・子育て新システム」、正にこれなどは様々な意見が様々な方面からありましたけれども、ここまでまとめて進んできたものであります。また、「子ども・子育て新システム」は新成長戦略の中の21のプロジェクトの一つだったわけでありますけれども、他の面でも一つ一つ前に進めてきているものもあります。この半年間で私がやったことで申し上げましても、番号制度については法案の提出というところまで来ておりますし、社会保障・税一体改革についても大綱という形でまとめて、今、その大綱に基づいて、それぞれの必要な法案の提出に向けての準備が進められているということであります。
 そういった意味は、だんだんベースキャンプの高度が上がってきて、一つ一つ次のベースキャンプに持っていくのはなかなかエネルギーが要る、辛い段階にこれから色々な部分で入ってくると思いますが、強い精神力と忍耐力を持って、一歩一歩進んでいくことが必要ではないかと思います。野田総理も、最初、ドジョウ内閣と言われたりもしましたけれども、私は最近の総理を見ておりますと、サラブレッドのような格好いい馬の感じではありませんけれども、よく高い山を登る時に、日本でいうと木曽馬のようなものかもしれませんけれども、険しい坂道でも一歩ずつ登っていく。決して歩みは早くないかもしれません。しかし、一歩ずつ足を前に出していく、そういう姿勢を続けられておられるのではないかと思います。私も総理と共に、こうした険しい道を一歩一歩上がっていって、最終的に登頂して、初めて世の中にも評価していただけるのだと思います。もちろん、そこまで上がっていく努力が、私は無駄では全くないと思いますし、それをやっていかなければいけないのですけれども、やはり最終的に登頂して初めて国民の皆さん方にも成果を御理解いただけるわけなので、何とかしてここまで山を登ってきた、ベースキャンプを少しずつ上げてきたわけでありますから、これから登頂に向けて全力を挙げてまいりたいと思っております。
(問)その中で、大臣の所管でいうと円高・デフレ対策があると思うのですけれども、先日、内閣府が公表された企業行動に関するアンケート調査などを見ると、上場企業などは今後5年も、まだデフレではないかというような予測をされていたり、なかなか手応えが見られないところがあると思うのですけれども、ここも2年後に消費増税を本当にするのであれば、もう少し力強さが必要ではないかと思うのですけれども、どの様にお考えになりますでしょうか。
(答)あまりにも長い間デフレ的な傾向が続いてきたということで、人々の期待インフレ率がずっと低くなってきているということだと思います。そういう人々の思いを反転させていくということは容易ではありませんが、一つ一つ政策を実行していくことによって、そうした人々のマインドを変えていくことが大事だと思っております。
 これまでも、円高・デフレ対策ということで政策を打ってまいりました。もちろん、短期的に直ぐ効果が出ることもやっていかなければいけないわけでありますが、この長期にわたるデフレ状況を考えますと、日本経済全体の構造を変えていくことが必要であります。言ってみれば、日本経済は、何か一時的なけがをしているというよりも、かなり長年にわたるこれまでの構造が、生活習慣病のような形で様々な症状に出ているというものがありますから、生活習慣を変えていくというところから生活習慣病を治そうとしてやらなければいけないように、この日本経済の構造そのものを変えていく努力をしていかなければいけない。これは、一朝一夕にできるものではないと思うのです。
 私も先日、秋葉原へ行って7階、階段を上り下りしたら、翌日、足が痛くなってしまって、知らぬ間に非常に筋力が衰えているのを私自身、愕然といたしまして、昨日はここの階段を5回、上り下りしました。だからといって直ぐ筋力がつくわけではありません。やはり、日ごろの生活習慣を意識して変えていって、徐々に筋力を取り戻していかなければいけないということを自分自身も今、感じておりますけれども、正に日本経済も、そういった意味で言えば、新しい時代に合った体質に改善していくことが必要だと思っています。
 例えば、円高対応策の中で、痛みの緩和だけではなくて、日本経済を為替の変動に左右されないような、オンリーワンの技術を持った強靱な経済構造に変えていくという政策などを打っておりますが、正にそれは、日本経済自体の体質を変えていくという政策であります。こうしたことを着実に実行することによって、中長期の今までのデフレの状況から脱却できて、安定的な経済成長の軌道に乗っていくような政策を一歩一歩、進めてまいりたいと思っております。
(問)先程、野田政権の話で、「登頂」という例えをおっしゃっていましたけれども、そうすると、野田政権の目指す頂上は何だとお考えですか。
(答)これは、一日も早い被災地の復興、そして原発事故の収束、更には日本経済の再生、この三つを実現していく。その一環の中で、財政の健全化、今やっております社会保障・税一体改革を始め、今日決めました子ども・子育て新システム、政権交代以来取り組んできている様々なことを実現していく。何か一つだけの山というよりも、もう幾つか今まで取り組んできて、それぞれみんな担当を分けて、少しずつベースキャンプを上げてきています。この今まで目指してきた山も、富士山を一つ登るというよりも、山脈として連なっているようなところをそれぞれみんなが役割分担をして、登頂を目指しているわけでありますから、それぞれの分野でのゴールを目指していく。最終的には、今申し上げたように、まずは被災地の復興、原発事故の一日も早い収束、福島の再生、そして日本経済の再生につなげていくということであります。

(以上)