古川内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成24年2月24日

(平成24年2月24日(金) 9:35~9:53  於:院内内閣記者会3)

1.発言要旨

 私から冒頭、3点申し上げます。
 まず1点目はTPPの関連でございます。
 TPP協定交渉参加に向けた協議に関し、21日火曜日にオーストラリア、23日木曜日にニュージーランドにおいて、我が国から派遣された関係省庁担当者がそれぞれの政府のTPP交渉担当者との間で交渉参加に向けた協議を行い、またTPP交渉に関する情報収集を行いました。今回の協議においては、両国からは我が国のTPP交渉参加への関心を歓迎する旨の表明がありました。しかし、我が国の交渉参加への支持表明にまでは至っておりません。我が国のTPP交渉参加について引き続き検討が必要とのことでありました。本件については、両国とは引き続き綿密に連絡をとり合っていくこととなりました。
 また、21日並びに22日、米国ワシントDCにおいて、日本のTPP交渉参加に向けた米国との協議が両国それぞれの関係省庁の担当者間で行われました。今回の協議では、アメリカ側からTPP交渉の各分野の現状等について説明があり、また日本側からは、米側からの説明を受けて、日本国内の関係国内法令や制度の内容、これまでに締結したEPA、FTAでの関連する内容等につき説明を行ったと承知いたしております。今回の協議を通じて日米双方の理解が深まったと考えております。双方は今後さらに協議を行っていくこととし、具体的な協議日程については外交ルートで調整することで一致をいたしました。なお、今回の協議の結果は、これまでの他の関係国との協議同様、内容を整理した上で、追って然るべく公表する予定であります。
 2点目でございます。本日の閣僚懇におきまして、エネルギー規制・制度改革アクションプランの結果の取りまとめについての発言を行いました。 革新的エネルギー・環境戦略の目的は、短期の需給安定と中長期の新たなエネルギーシステムの構築の両面であります。この目的を達成するための柱の一つが規制・制度改革であります。エネルギー・環境会議で昨年11月に策定したエネルギー規制・制度改革アクションプランにあります重点26項目に関し、行政刷新会議と連携・協力して取りまとめ作業を進めており、今回、関係閣僚に年度末までに結論を出していただくようお願いをいたしました。これらの重点項目は、この夏の需給安定対策であるとともに、グリーン成長を軸としたエネルギー構造改革の先行実施となるものであり、しっかりとした成果を取りまとめてまいりたいと考えております。
 3点目がグローバル人材育成推進会議に関しましてでございます。
 我が国の成長の牽引力となるグローバル人材の育成に関しましては、前の内閣の下で枝野官房長官を議長として検討が行われてまいりましたが、野田内閣では、その成果を踏まえつつ、私を議長とし、関係閣僚等から成るグローバル人材育成推進会議を改めて設置し、検討を一層加速させることといたしました。野田内閣としての第1回会合は、来週27日の月曜日に開催の予定であります。 第1回の内容でございますが、今のところ最終的な調整中でございますが、具体的には次のような内容を考えております。まず1点目は、昨年6月の前内閣の下での中間まとめ以後の状況を踏まえた新たな検討項目例の整理であります。その主な内容としては、官民を挙げた横断的検討、これは国家戦略会議などでも意見が出ておりましたが、産学のトップレベルや実務レベルでの対応の推進や省庁の縦割りを超えていくといったことであります。また、大学と企業の接続の在り方。これは就職時期の早期化是正や多様な社会経験の重視などが考えられます。そして高校と大学の接続の在り方。これは大学の9月入学も含まれると思います。さらに、大学の秋入学の導入に関しまして、この推進会議としての基本的な姿勢についての意見交換も行いたいと考えております。
 私からは以上であります。

2.質疑応答

(問)成長戦略に絡んでなのですけれども、アメリカのオバマ政権で法人税の更なる引下げが検討されているようですけれども、日本でも昨年、震災の前には議論されておりましたが、今後、もう一段の法人税の在り方の検討をする必要があるかどうか、御見識をお願いします。
(答)まずは5%引下げが決まっています。しかし復興財源で課税をお願いしているということで、事実上3年間引下げが延期される状況になっています。まずはこの3年後、今決まっております5%引下げをしっかりやるということではないかと思っております。その上で、法人税だけではなくて税制の抜本改革、様々な他の税も含めて全体的に検討する中では、法人税の在り方そのものも検討する必要があるのではないかと思っておりますが、目の前の問題ではないと考えております。
(問)大臣が前からやっていらした年金制度なのですけれども、党のほうで新しい年金のチームが立ち上がって検討を始めるということですけれども、改めてどの様な議論を期待されるかと、かつて副大臣時代には国家戦略室でも年金の議論をされたていたことがあったと思いますが、今後大臣のところで、政府側で何かやることがあるかどうか、その2点をお願いします。
(答)新しい年金制度については、もともと民主党としては、与野党で最終的に合意をして新しい制度の詳細については決めていくという考え方で2004年に法案を提案してまいりました。政権交代が起きて、与野党で協議をする前提になる新しい制度のたたき台、基本的な考え方、ここだけは譲れないというところを新年金制度の七つの原則ということでまとめさせていただきました。本当はそれを前提にして与野党間の協議が始まるのが一番好ましいと思っておりましたし、私は今でもそれが本来はあるべき姿だと思っておりますが、残念ながら、野党の皆さんに、特に自民党、公明党の皆さんには、そもそも新しい制度について議論することについてなかなか理解が得られていない状況にあります。
 民主党として新しい制度について今までまとめてきたもの、昨年の6月にまとめた成案の中では、かなり具体的なところまで踏み込んだ部分もあります。例えば二分二乗の方式にする等、幾つか踏み込んだところがあります。そうしたものをさらにどういう形にまとめていくのか。おとといの国会の中でも障害年金や遺族年金の議論が出ていました。私個人の考えでありますが、例えば障害年金を年金制度という仕組みの中でやることが本当にいいのかどうかということも、抜本改革をやるのであれば一つの考えとしてあるのではないかと思います。言葉は年金と言いますが、実際には障害者になった皆さん方への給付ということなので、例えばそういうことも、踏み込んでいけば一つの論点ではないかと当初から考えておりました。
 また、よく議論になっています事業主負担分です。労使折半という在り方も本当に今後ともそういう在り方がいいのか、国会の中でも議論をいたしましたけれども、ここの部分が事業主の本当に負担なのか、あるいは、本来は給与として支払われる部分が給料として支払わないで被用者の代わりに雇用者が払っていると考えるのか、その考え方については議論があります。
 そういうことを考えますと、今の労使折半という在り方からもっと別の組み方を考えて、年金制度のような社会保障制度がきちんと確立されているということは、そのことによって企業は良質な労働力を確保できるという広い意味での受益を受けていると考えれば、社会保険料負担という形ではなくて、例えば社会保障税というような形で人件費の1%とか、割合は考えなければいけない話でございますけれども、そういう負担をしてもらうというやり方もあり得るのではないか。実は新しい年金制度を提案した時には、この新しい年金制度の議論をしていくと、従来こういうものだと考えられてきた、しかし、よくその根本を遡ってみると本当にそういう考え方でいいのかという論点も浮かび上がってきて、そういうことも一つ一つ議論をしていって新しい社会保障の在り方を考えていく。そういう新しい年金制度の在り方を考えることで社会保障の仕組みそのものの在り方を考えていく、議論を起こしていく突破口にしていきたいという思いを私自身も持っていましたし、そういう思いもあって新しい年金制度というものも考えてきました。
 これまでの社会保障の仕組みを所与のものと考えないで、今国会の議論の中でもありました、これまでは急速に増えてきた人口が急激に減っていくという構造の中でどの様な社会保障の在り方が好ましいのかという視点から年金制度もどうあるべきなのか、そうした議論を是非党で自由闊達にやっていただきたいと思っております。
(問)グローバル人材の会議の関係ですが、特に秋入学に関しては、事務サイドでも今検討を進められていると思うのですけれども、この閣僚レベルでの会議での議論の目的というか、事務方との棲み分けでどの様な役割を果たしていければとお考えですか。
(答)この前、官房長官から各省の事務方へ積極的に検討するようにとの指示がありました。それを受けて、内閣官房と各省で事務的に連絡をとりながら洗い出しをした課題や論点については、今度の月曜日に予定されておりますグローバル人材育成推進会議に報告できることになると思っています。
 また、それらの課題や論点について政府として本格的な検討を開始するという申し合わせができないか、そうしたことも今検討しておりますので、ここは事務方で検討する部分、それを政務の部分に上げてくる、そこのやりとりをしながら、そこで議論したことは、国家戦略会議にも取り上げていきたいと思っています。そういう政・官・民連携をとって議論を前に進めていきたいと思っております。
(問)前原政調会長が、本紙(産経新聞)が「言うだけ番長」と書いたことに対して記者会見から締め出すという処置をとられたのですけれども、これについてどうお考えですか。
(答)私は産経新聞もおいでいただいて結構でございますので、御安心ください。
(問)民主党の年金の抜本改革で、古川大臣はずっと関わってこられたと思いますが、党の躍進の一つの柱でもあったかと思いますが、民主党にとって、例えば最低保障年金や、そういった民主党のつくってきた抜本改革はどの様な存在なのかを一言いただければと思います。
(答)私たちは新しい社会、例えばこの前からの国会の議論でも2050年ぐらいの社会を想定して、その時に私の年や、50歳、60歳を迎えるような次の世代の人たちにとってどういう年金制度が好ましいのか。そういう子供たちや孫たちの世代が直面するであろう社会の構造、あるいは働き方を考えた時に、どの様な年金制度が彼らにとって好ましいと思うだろうか。こういう制度だったら保険料をきちんと納めようという気になるだろうか。言ってみればバックキャスティングで考えてきた制度です。私たちは未来への責任を果たしていく、次の世代のことを考える、次の世代の視点で考えていく。
 よくこの国会でもずっと議論になっている、これは前からそうなのですけれども、今の制度と比べて損か得かという損得議論が行われているのですが、私たちは、今の制度に関わっている人や、そこに保険料を払っている人も、もちろん考えなくてはいけないのですけれども、それ以上に、これから、あるいは将来年金に加入していく人たちにとってどういう制度がいいのか、どういう制度であれば公平だと思えるのかという視点で、年金の議論を損得の議論ではなくて、公平かどうかという視点から議論したいという思いで新しい制度を提案してきているということであります。
 民主党が次の世代、そして未来、将来を考えてこうした制度を考えてきたということでは、私は民主党にとって非常に大事な政策の位置付けになると考えております。

(以上)