古川内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成24年2月21日

(平成24年2月21日(火) 9:25~9:43  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 まず、最初に私から御報告を申し上げます。
先日(19日、日曜日)、名古屋におきまして開催された第1回「TPPをともに考える地域シンポジウム」に参加いたしました。地域の有識者の方々や住民の皆様と今後の我が国の諸外国との経済連携の在り方について、TPPを含め意見交換を行いました。このシンポジウムにおきましては、パネリストの大東さん、岡山さん、多和田さん、更には会場の皆さんから、大変率直な御意見を聞くことができたと思っております。政府としては、アジア太平洋自由貿易圏いわゆるFTAAPの実現を目指し、現在、その道筋の一つでありますTPP協定に関し、交渉参加に向けて関係国と協議を行っている段階であります。今後とも協議を通じて、関係国が我が国に求めるものについての情報収集に努め、国民的議論を経た上で、あくまで国益の視点に立ってTPPについての結論を得ていきたいと考えております。シンポジウムに参加した皆さんからいただいた御意見、御指摘等も踏まえて、今後とも更なる情報の収集と提供に努めていきたいと思っております。
 もう1点、前から申し上げておりました地域から国家戦略を考えるというコンセプトで今度の土曜日の25日、岡山県に出張を予定いたしております。年央にまとめます日本再生戦略を骨太のものにするためには、地域における先進的な取組事例や地域の御意見を取り入れていくことが重要との観点から、国家戦略会議議員による地方視察と意見交換会を開催させていただきます。25日は、その第1弾といたしまして「国家戦略フォーラム in 岡山」と題して、今回は私と岩田議員が岡山県に出張し、現地のイノベーティブな企業の視察並びに企業経営者等とのディスカッションを行い、今後の日本再生戦略の策定に活かしてまいりたいと考えております。この他、翌日の26日には経済財政政策担当大臣として、岡山県の経済団体の皆様方と昨年もやっておりました意見交換を行う予定でございます。詳細につきましては、事務方にお尋ねをいただきたいと思います。
 私からは以上であります。

2.質疑応答

(問)成長ファイナンスの休眠預金の話なのですけれども、今日も党も提言をまとめて、政府のほうに持っていきたいというお話がありましたが、党の提言をどの様に活用したいとお考えですか。
(答)政府・与党一体として政策立案をしていくというのが今までのやり方でありますので、党からの御意見をしっかり受け止めていきたいと思っております。
(問)海外の事例で、大臣はイギリスの例などを言っておられますけれども、実際、海外でどのぐらい制度があって、その制度がどの程度活用されているという御認識なのでしょうか。
(答)今日も御社の新聞に海外の幾つかの事例も書かれておったようでありますが、今後の具体的な仕組みについては、政務官クラスの実務者会議を開催して、そこで詳細を詰めていきたいと思っておりますので、その過程で海外の事例なども検討していきたいと思っております。
(問)電力の関係なのですけれども、先般、関西電力のほうは全部原発が止まりまして、今のままでいくと4月末には全部原発はストップするということになっていますけれども、原発が動かないことによる経済への影響はどの様に御認識ですか。
(答)昨年11月に、仮に原発の再起動がないという厳しい状況においても、ピーク時の電力不足とコストの上昇を極力避けるためにあらゆる政策を総動員するというエネルギー需給安定行動計画を取りまとめております。
 ただし、供給力は通常最低でも最大需要から3%程度余裕を持って確保する必要があることや、また燃料制約などによりまして、現在見込んでいる供給力が低下する可能性があること、更には政策的支援による効果は変動幅が大きいこと、そうした様々な視点から、この夏の需給については更に精査を進めて、春を目途にレビューを行いたいと考えております。とにかくエネルギー、特に電力の安定供給に向けて最大限の努力を払っていくということであります。
(問)成長戦略等を練っていく中で、この電力不足というのは、かなり下押しリスクといいますか、要は空洞化や、海外から企業を呼び込むという時にはマイナス要因になるのではないかと思うのですけれども、どの様に見ていらっしゃいますか。
(答)経済活動への影響を最小限に食い止めるための対応をとっていきたいと思っております。ただし、これは枝野経産大臣も申し上げていると思いますが、経済性のみを追求して、安全性をないがしろにするということはできない。これは別次元の話だと思っています。もちろん原発が再起動されれば電力不足回避のための供給力確保とコスト抑制の双方に効果があるということは事実でありますけれども、やはり安全性を確保することが大前提です。原発の再稼働については、安全性の確保ということを大前提として、地元の理解、また国民の信頼が得られているかという点も含めて政治レベルで総合的な判断を行っていきたいと思っております。
 経済の面については、先ほどから申し上げておりますように、経済への影響を最小限に食い止める視点からあらゆる政策を総動員する姿勢は変わりありません。
(問)TPPに関して一つ質問させてください。
 まず、今日から局長級の協議に引き続いて実務者の協議が始まりますが、今回の実務者レベルの協議で、どのような協議並びに情報交換の進展を期待されているか、そのお考えをお願いします。
(答)前回1回目のときには、お互いの現状についての意見交換を行ったところでございます。そうしたものを踏まえて、アメリカ側もパブコメの結果を整理分析してという話がございました。今日から行われる協議で、そういったものを踏まえてアメリカ側からもコメントが出てくるのだと思いますし、我が方からも、先日質問リストなども出させていただいております。そういった点について、こちらからもアメリカの考え方を問いただしていくことになっていくのではないか。これから、正に具体的な協議が本格化していくと理解いたしております。
(問)国会答弁では、質問リストについては早急に公開したいということで、内容については言及されませんでしたが、これは今回の実務者協議の終了時点でどういう内容だったかというのは公開されるということでしょうか。
(答)できる限り私は公開していきたいと思っています。外交交渉は外務省が責任を持ってやっているところでありますが、外務省に対しても、できる限り早くきちんとお示しできる情報はお示しするようにと指示をいたしております。
(問)その質問リストなのですが、国内ではTPP交渉に関する懸念要因として、農業分野と自動車、かんぽを中心とする保険分野という3分野が特に注目されていますが、今回の質問リストには、そのような分野も入っていると考えてよろしいでしょうか。
(答)そこはきちんとお示しをさせていただく段階でお示しさせていただきたいと思います。
(問)東大が秋入学への構想を発表してから1か月経ちます。その間、大臣のほうからも省庁レベルで何ができるか検討を指示されたと思うのですが、その進捗具合をお聞かせください。
(答)これは各省の事務方で協議が始まっているものと承知いたしております。東大の構想も5年後ということでございますので、これについてはあまり慌ててというよりも、様々なことを検討していかなければいけない部分もあると思います。今は事務レベルで色々な可能性、あるいは問題点がどういうところにあるかといったことを協議されていると承知いたしております。
(問)宇宙開発のことで伺いたいのですが、この国会に関連の法律の改正案が出ていると思うのですけれども、その中でJAXA法の改正案があって、御存知と思うのですが、宇宙開発は平和目的に限るとこれまでしていたのを、平和憲法に則るという形に修正がされて、これによってJAXAが、例えば自衛隊が使うような偵察衛星的なものを作れるように法制度上はなるということだそうなのです。先般文科省の奥村副大臣は、実際、JAXAが軍事衛星を作ることがこれからあるのかという質問に対して、そこまで踏み込むべきではなくて、我が国独自にその様なことはできるはずないのではないですかというような話をされていたのですが、この件については、古川大臣は今のところどの様なお考えを持っていらっしゃいますでしょうか。
(答)今回の法改正は、JAXAの目的規定の平和利用に関する記述を宇宙基本法と整合的なものにするという認識であります。ですから、当然JAXAが日本国憲法の平和主義の理念の範囲内で業務を行うことを明確化したものだという認識を是非していただきたいと思っております。現時点でJAXAにおいて、自衛隊が保有する衛星の研究や開発、製造を行うような具体的な計画はないと聞いております。
(問)今後はどうなのでしょうか。
(答)基本的には今申し上げた理念に沿う範囲内で考えていくということだと思います。
(問)文科省はやらないと言っているのですけれども、そういうわけでもないのでしょうか。
(答)やるとかやらないというわけではなくて、この法の趣旨に則ってJAXAも業務を行っていくということであります。
(問)冒頭にありました岡山の出張なのですが、主に地方のどういう声を聞いて、どの様に活かしたいと思っていらっしゃるのか、伺います。
(答)地方に出張して色々お話を伺いますと、東京での会議はほとんどいつも東京の人ばかり集まって、東京の声しか反映していないのではないかという声をよく伺います。戦略会議のメンバーも基本的に東京にいる人間が多いものですから、そういった意味では地方の声を聞いていかなければいけないだろうと。例えばフロンティア分科会のメンバーは、そうした声も踏まえて出来るだけ地方の方にも参加をいただく形で、フロンティア分科会のそれぞれの部会に地方から参加していただいている委員もいらっしゃいますが、地方の声を直接伺うことの重要性という観点から、このような形で私たちのほうから地方に赴いていって、その地方の皆さん方の率直な御意見を伺っていく。やはり日本の再生というのは、日本再生の基本戦略の中でも日本の一つのフロンティアはそれぞれの地域の中にあるのではないかということが述べられていると思いますけれども、地域の様々な活動あるいはイノベーティブな発想を直接伺って、最終的な日本再生戦略に活かしていきたいという趣旨から地方に赴くということであります。
(問)今後6月にまとめるまでの間、その地方というのは被災地にも行かれるお考えがあるのでしょうか。
(答)私としては、出来れば被災地にもお邪魔をしたいと思っております。

(以上)