古川内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成24年1月27日

(平成24年1月27日(金) 9:34~9:48  於:院内内閣記者会3)

1.発言要旨

 本日深夜、ダボス会議出席のためスイスに向かい、明日の朝行われますグローバル・エコノミック・アウトルックのセッションにパネリストとして参加する予定でございます。このセッションは、欧州政府債務問題や先進国の景気停滞などを背景に、ゼーリック世銀総裁やラガルドIMF専務理事なども参加し、ダボス会議の中で最終日に今年の経済の全体の動向を議論する、取りまとめのセッションのようなものであります。この中で私からは、日本の今後の取組、特に経済、社会、環境、この3つを同時に追求する新たな成長のモデル構築に向けた取組について述べたいと思っております。
 私は、これで12年連続のダボス会議出席で、ちょうど干支が一回りすることになります。当初は7時過ぎの飛行機でと思っておりましたが、国会が遅くなりましたので深夜の1時になりました。飛行機が出たのは、羽田が国際化をされたおかげで、羽田から深夜に全日空、今の予定だと新型機のボーイング787が飛ぶようでございますけれども、それが出たので、向こうには大体10時ぐらいに到着し、10時半から始まるセッションに間に合う予定です。羽田の国際化はまさに政権交代によっての成果でありますので、そのことによって、この非常に重要な会議に参加することができることになったということであります。
 2点目は、TPP協定交渉参加に向けた協議に関してでございます。
 24日の火曜日にペルー、そして25日水曜日にチリにおきまして、我が国から派遣された関係省庁関係者がペルー及びチリ、両国政府のTPP交渉担当者との間で交渉参加に向けた協議を行い、またTPP交渉に関する情報収集を行いました。今回の両国との協議は、全体として非常に前向きなものであったと聞いております。ペルー及びチリ政府からは、先週協議を行ったベトナム、ブルネイ同様、我が国のTPP交渉参加への関心を歓迎する旨の表明がそれぞれあったところであります。私としては、ペルー、チリからも基本的な支持が得られたと認識いたしております。
 他の交渉参加国との協議につきましても、現在鋭意検討を行っており、調整が調い次第、順次我が国より関係省庁関係者を派遣し、協議を行う予定であります。
 あと、宇宙関連で2点申し上げたいと思います。
 まず1点目は、スペースデブリ、宇宙ごみの関係であります。
 宇宙環境の保全というものは一国でできるものではなくて、国際的な連携のもとで進めることが必要であります。EUが宇宙活動に関する行動規範案を提案しておりますが、これは宇宙ごみ問題解決に向けた国際的に重要な取組でありまして、我が国としてもできるだけ多くの国が参加する規範が合意されるように、積極的に規範づくりに取り組んでまいりたいと思っております。
 また、国際連合にあります宇宙平和利用委員会(COPUOS)におきましては、今年の6月からJAXAの技術参与であります堀川さんが議長に就任して、このデブリ問題を含めた宇宙活動の長期的持続性のための国際ガイドライン作成に取り組まれることとなっておりますので、私どもとしても堀川さんの活動をしっかりサポートしていきたいと思っています。我が国としては、こうした取組を通じて宇宙環境の保全に率先してリーダーシップを発揮していきたいと思っております。
 2点目は、はやぶさ2であります。
 はやぶさ2プロジェクトにつきましては、いろいろ御心配等もかけておりましたが、宇宙開発委員会におきまして開発フェーズへの移行を妥当とする評価がなされたと承知いたしております。先のはやぶさの帰還というのは、我が国の宇宙探査技術の高さを示すものであったとともに、国民全体、特に子供たちを初め、次の世代に大きな夢を与えたと思います。はやぶさ2プロジェクトにおいてもさらに技術が進展して、また新たな夢を私たち、特に次の世代や子供たちに与えてくれることを期待したいと思っております。
 また、先般、私は日本人による有人火星探査を目指すというビジョンを掲げさせていただきましたけれども、こうした大きな夢を実現するためには、足元の技術を一歩一歩高めていくことが重要であります。惑星間を航行する技術や、あるいは戻ってくる技術等も将来の有人の惑星探査のためには非常に重要なことでありますから、はやぶさ2プロジェクトも、こうした大きな夢を実現するための一歩となることを期待いたしております。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)今日CPIの発表がありまして、2011年は3年連続マイナスになりました。下落幅は縮小していますけれども、ちょうど民主党政権になってからの時期とも重なるのですが、この間、デフレが続いている状況というのはどうお考えでしょうか。
(答)一日も早くデフレ脱却を図っていくことが経済財政政策の最優先課題と認識をいたしております。これまでも様々な対応はとってきたつもりでございますが、今後とも引き続きデフレ脱却に向けてあらゆる政策を総動員して取り組んでまいりたいと思っております。
(問)今、ちょうど消費税の議論もされていますけれども、その中で、本当にデフレ脱却を具体化できるのかというところを皆さん注目していると思うのですけれども、実現度についてはどのようにお考えでしょうか。
(答)頑張りたいと思います。
(問)民主党のほうで最低保障年金の試算について様々言われていますけれども、昨年出された段階で古川大臣御自身は御覧になっていらっしゃるのでしょうか。
(答)昨年出されたといいますか、様々な議論をする中で、色々な前提を置いて計算をするとこういう数字になりますという議論の過程の中での試算といいますか、そのような想定を置いたものは私も承知いたしております。
(問)昨日、前原政調会長の会見で、別にこの7%とか10%と言われているものは、消費税だけとは何とも決めていないという御発言がありましたけれども、マニフェストには基本的に7万円は消費税でと書かれていたと思うのですが、この点の制度設計について現時点のお考えをお願いします。
(答)マニフェストで決めていたのは、最低保障年金の満額が7万ということであります。どれぐらい最低保障年金を、どのぐらいの層まで、あるいはどれぐらいの厚みでということは、色々な前提の置き方によって変わってくるわけであります。ですから、試算のあり方をこれから党内でも議論をしなければいけないのだと思います。そうした議論の結果として、そうした形も最終的には決めていく話ではないかと思っています。
 また、いつも私は申し上げておりますが、新しい年金制度は、最終的には与野党一緒にテーブルについて議論をしていくものだと考えています。具体的に最終的に一体幾らにするのか、どういう形にするのかという数字の部分については、民主党としての考え方をもちろん示していくということは大事かと思いますが、最終的に決めるのは、与野党を超えてそうした合意をするという中で決めていくべきものだと思っております。
(問)今週、中長期の試算がまとまりましたけれども、この中で名目成長率が1%台後半から2%台半ばぐらいまでという12年度以降の見立て、見積もりになっています。デフレは13年度から解消されるというようなシナリオになっていると思うのですが、過去の10年を振り返っても、こういう数字の達成はできていないわけです。ある意味で極めて楽観的な数字であって、慎重という名に値しないシナリオだと思うのです。これで16年度に財政目標が達成されるということを書いているわけですけれども、極めて達成が難しいということと、やはりミスリードなのではないかという気がするのですが、如何ですか。
(答)試算というのは別に政府だけではなくて、日本銀行などにおいても緩やかにデフレの状況から脱却をしてCPIもプラスになっていくという予測を立てているわけでありまして、別に政府だけがそういう予測を立てているわけではございません。私どもはきちんと、今の足元から政策努力をしていって、そういう形になっていくという中で見通しを立てているものであります。
(問)試算の中では消費税の引上げがほとんど成長率にマイナスの影響を与えないということになっているのですが、この数年間で13兆円ぐらい消費に課税がされて、ほとんど成長に影響がない。これも相当に楽観的なシナリオ、前提のもとに考えているのではないかと思うのですが、この成長にほとんど影響を与えないという理由を、もう少しわかりやすく大臣の口から説明していただけませんか。
(答)今回の消費税の引上げ分は、全て全額社会保障負担に回っていく。ですから、それは国民の皆様方に還元をされることになるわけであります。今、消費マインドが冷え込んでいる要因の一つにはやはり社会保障不安、将来に不安がある。そういうものに対してきちんと社会保障が将来にわたって持続可能なものという認識をしていただけるような状況をつくることは、消費マインドにもプラスにつながると思いますし、また実際に、この皆様方から集めさせていただく消費税は全額、社会保障という形で、また給付に回っていくということでありますから、それが経済に与えていく影響というものもあると思います。ですから、そのようなプラスとマイナスを勘案すると、先にお示しをしたような結果になるということであります。
(問)それはあまりにも都合のいい見方で、全額社会保障に使われるから消費は減らないだろうとおっしゃられましたが、既存の社会保障経費に充てられるわけであって、そういう前提はいかにもあり得ない前提ではないかと思うのですが如何ですか。
(答)実際に、全てこれは社会保障給付に回されるわけでありますから、もちろん消費に与える影響が全くないとは申し上げておりません。しかし、それに与える影響は限定的だと考えているところであります。
(問)政府は原発の寿命について40年間とする方針を打ち出しましたが、最大20年間の延長を認める例外規定も設けました。古川大臣が議長を務めるエネルギー・環境会議は、4月にエネルギーミックスを提示しますが、古川大臣は原発の寿命についてどのような認識をお持ちでしょうか。
(答)今まで寿命がなかった原発について、これを40年として明確に定めたわけであります。極めて限定的な場合に限って、最長20年を限度に延長を認める場合もある。これから行われるエネルギー・環境会議でのベストミックスの提示や様々な議論の前提としては、原発の寿命については40年ということで、議論していきたいと思っております。
(問)例外規定はあくまでも例外で、原則は40年という認識。
(答)ええ。ですから、議論をするに当たっては、40年という前提で全ての議論を行っていきたいと思っております。

(以上)