古川内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成24年1月6日

(平成24年1月6日(金) 11:31~12:05  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 新年明けましておめでとうございます。本年もどうかよろしくお願い申し上げます。
 まず、最初に私から3点御報告と新年でございますので今年の抱負を述べさせていただきたいと思います。
 まず、お手元に配付いたしておりますけれども、今日9時40分から政府・与党社会保障改革本部が開催され、社会保障・税一体改革素案が決定されました。冒頭私から素案取りまとめの報告、大串政務官から素案の内容の説明を行った後、意見交換を行いました。
 そして、最後に総理から、これはマスコミの皆さんも入っている中でございましたから承知かと思いますが、本日決定した素案をもって、野党各党に協議を呼びかけたい。また、年度内に関連法案を国会に提出できるよう力を合わせて取り組んでいきたい。さらに、社会保障と税の一体改革に加え、政治改革、行政改革、経済再生についても一体として実現していきたい、そうした旨の御発言がございました。
 なお、政府・与党本部におきまして、厚生労働大臣から素案の参考資料として、社会保障改革の内容等を取りまとめた資料が提出されましたので、あわせて配付させていただいております。さらに、政府・与党本部で決定されました一体改革素案は、その後開かれました閣議に閣議報告を行いました。閣議ではこの素案をもって野党協議を行うことについても御了解をいただきました。
 以上が1点目でございます。
 2点目、昨年、国家戦略会議におきまして、年内までに取りまとめるよう総理から指示をいただいたものがございますが、それについて現在既に実績ができているので、その点について御紹介したいと思います。
 第4回の国家戦略会議におきまして、総理から御指示がありましたポイント制を通じた高度人材に対する出入国管理上の優遇制度の基本的枠組みにつきまして、法務省を中心として、昨年中に関係省間の調整を終えることができました。これによりまして、高度な質と能力を有する高度人材の受け入れが一層促進されることが期待されます。
 また、第5回国家戦略会議において、総理から御指示のあった高齢者の雇用や非正規労働者の働き方について、労使の協力を得て、厚生労働省の審議会において、昨年中に方向が取りまとめられました。
 以上2点は、総理から年内の取りまとめの指示をいただいて、関係省庁において取りまとめられたものであります。今後ともこの国家戦略会議での決定事項、総理から指示があったことについてはきちんとフォローアップをしていくとともに、その結果についても皆様方に随時御報告をさせていただきたいと思っております。
 3点目、私の米国出張について申し上げます。現在、来週の11日から15日にかけて、米国出張の予定をいたしております。米国におきましては、内閣府と米国大統領経済諮問委員会との間で、1971年以来、定期的に実施してきました日米経済協議を開催し、世界経済情勢や今後の経済財政運営等について意見交換を行う予定をいたしております。出張の詳細につきましては、事務方のほうにお尋ねいただきたいと思います。
 以上、御報告で、あと最後に新年の抱負を述べさせていただきたいと思います。
今日の社会保障・税一体改革本部で素案がまとまりました。私は就任のときから申し上げておりますが、経済成長と財政の健全化、これは車の両輪である。特に財政の健全化は、社会の安定という意味でも、経済の安定という意味でも、車に例えて言いますと、経済成長がアクセルだと考えれば、ブレーキの部分にあたる。車というのはアクセルとブレーキがあって初めてうまく動くわけでありまして、このブレーキの部分の財政健全化に向けての道筋が社会保障改革と一体的なものとして、この素案としてまとまった。これにつきましては、この素案を大綱にして、そして法案にして、その成立を目指していく、今年は、それを着実に進めてまいりたいと思います。
 しかし、同時にアクセルの部分、経済成長はこれまで成案から素案にまとめていく議論の中でも出てきたわけでありますけれども、財政健全化への道筋を今回の素案で決まった工程に従って実現していくためには経済の回復、一日も早い成長、そうした状況をつくっていかなければいけないと思っています。今、この素案で予定されております最初の消費税の引き上げは2014年の4月でございますので、今年、来年はこのアクセルの部分、経済成長、新成長戦略を再強化した日本再生戦略、この実現に向けて、大いにアクセルを強く踏み込んでいかなければいけないと考えております。
 その際に大事になることは、イノベーションの実現だろうと考えております。日本の今の長期にわたる停滞というのは様々な要因、これは日本だけでなくて、世界も今直面していると思いますけれども、歴史的な大きな大転換期にあっては、新たな経済の地平を切り開いていかなければいけない。それはやはりいつの時代にもイノベーションの実現によって切り開かれてきた。新たな成長を実現するためには、このイノベーションの実現というのがどうしても必要だと考えております。
 そして、政府がやるべきことは、このイノベーションが生じやすいような環境をつくっていくことであると考えております。イノベーション自身は過去と断裂した非連続な新しい考え方であるとか、あるいは発明であるとか、発展であるとか、そういうものでございますので、そういったものを政府が実現することはできませんが、しかし、イノベーションを生みやすいような環境というものは、政治として、そして政府として提供できるものだと思っています。私は日本の中には過去の歴史を振り返っても、大きな困難に直面したところを切り開いてきたさまざまなイノベーション、イノベーションといいますと、ともすると科学技術のところが中心に考えられますけれども、科学技術だけでなくて、あらゆる分野で私はイノベーションというものが可能だと思っていますし、必要だと思っています。イノベーションというのは、単に科学技術のイノベーションだけではなくて、従来のやり方を全く別のやり方に変えていくとか、新しい違う分野の人たちが一緒にコラボレーションをとっていくことによって新しいものが生まれていくとか、そういう広い意味でイノベーションというものを考えておりますし、イノベーションというのはもともとそういう大変広い意味のものでありますけれども、日本の中にはこの今の閉塞状況を打ち破っていくイノベーションの種になるような隠れた素材というものは沢山存在しているのではないかと思っています。そこからイノベーションが実現するような環境をつくり出していくことを国家戦略担当大臣として、さらには経済財政政策担当大臣として、日本再生元年にあたって実現をしていかなければいけない、ぜひともそのところに最大限の力を注いでまいりたいと思っています。
 こうしたイノベーションの実現によって、経済の底堅い回復を実現する。このことは今日決定した社会保障と税の一体改革を今日決めた道筋に従って着実に実現をするためにも必要になってくることだと思いますので、私は今年はとにかくアクセルを踏み込んでいく、そしてイノベーションを実現する、イノベーション実現のための環境整備の政策に思い切って取り組んでいく、そのことを今年の目標として掲げて、今の職務に当たってまいりたいと思っております。
 私からは以上でございます。あとは皆様方から御質問があれば受けたいと思います。

2.質疑応答

(問)2点お伺いしたいです。1つ目が、今後の税と社会保障について、どういったスケジュール感を持ってお進めになるのかという点。昨日、山岡大臣が、「今年ユーロは破綻するのではないかと思っている。そうなると、中国のバブルも破裂する。金融経済の大津波がやって来る。」という年頭訓示をなさったんですけれども、この発言の中には3つぐらい問題があって、1つがユーロは破綻するのではないかと思っているというその点についてどうお考えかと。そうなると中国のバブルも破裂するという部分についてもどうお考えかと。あと金融経済の大津波がやってくるというのも、被災者の皆さんがまだ辛い状況にいる中で、これを大津波に例えるということについてどうお考えか聞かせていただければと思います。
(答)1点目でございますけれども、今回まとまりました素案につきましては、これから野党各党に協議を提案することとされております。まずはこの素案を野党の協議に付していく。そして、附則の104条で示されておりますように、協議を経て、これを大綱にまとめ、法案化して、そして年度内に法案を提出する。それに向けて努力をしてまいりたいと思っております。
 2点目の御質問でございますけれども、山岡大臣は御自分の個人的なお考え、また、新年に当たって政治・行政が緊張感を持って職務に当たっていくことの重要性を伝えたいと、そういう思いから発言されたと伺っておりますけれども、少し言葉が過ぎている部分はあるのではないかなと私自身は感じております。やはりこれはヨーロッパがしっかりやっていただかなければいけないわけでありますけれども、ユーロを守るべく各国が努力をしていただいているわけでございます。そうしたヨーロッパのしっかりした取組を私どもとしても期待をしているわけでございますし、やはりヨーロッパの危機がそうした世界に様々な影響を与えていくことがないようにしていくということは、ヨーロッパの責任でもあると思いますし、そうした取組をしっかり日本としても注視していくということは大事なことだと思っています。
 世界経済が確かに様々な不安定要因があるということについては、色々な方々がおっしゃっておられます。そういう中では、昨日の山岡大臣のようなことを言われるような方もいらっしゃいますけれども、それだけこの世界経済に不安定要因が存在していることの一つのあらわれではないかと思っております。政策担当者として、責任者として大事なことは、常にそういう状況にあるということで、緊張感を持ってそこに当たっていく。そして緊張感を持って、世界経済の動き、そしてまた国内の経済動向を注視していくということが必要だと考えております。
(問)年末まで素案の取りまとめご苦労さまです。今年もよろしくお願いいたします。
 2点お願いいたします。1点目、消費税増税の時期というものが明記されましたけれども、財政健全化目標について、野田総理は少し苦しくなるとおっしゃっていますけれども、担当大臣としてどの程度、この15年度の達成目標というのが苦しくなっていると思っていらっしゃるのか、また、その実現の可能性というのをどう見ていらっしゃるのか、まずその点をお願いします。
(答)今、御質問にもございましたように、2015年度における基礎的財政収支の対GDP比半減という財政健全化目標の実現につきましては、消費税率の10%への引き上げが2015年の10月になったということで、2015年度を通じてみますと、年度当初からの引き上げを前提とした場合に比べまして、対GDP比半減目標の達成が厳しいものになるということは事実であります。しかし、素案に盛り込まれた行政改革や経済活性化の取組、その他の要因等もよく見極める必要があると考えております。この財政健全化目標を初めとします財政運営戦略の進捗状況については、今後検証を行うことといたしておりますので、その中で検証していくことになるかと思っております。
 しかし、大事なことは今回の素案の取りまとめの中にもありましたし、また、総理の所信表明演説の中でもございました。日本再生のために必要なことは、歳出の削減と経済成長、そして歳入改革、この歳入・歳出両面の改革と経済成長、この3つの取組をしていかなければいけないということであります。今後、さらに歳出の削減や経済成長に力を入れていかなければいけない。そのことによって、財政の健全化に向けての努力をたゆまなく続けていくということになろうかと思っております。
(問)先ほど大臣は成立を目指すとおっしゃられましたけれども、実際に法案提出するだけでは意味がなくて、成立して、実現するという目的までに、一番のハードルは何だとお考えで、そのハードルをどういうふうに超えていくとお考えか、その点をお願いいたします。
(答)総理が昨日行われました新年の交歓会の中でも、政局ではなく、大局を考えての野党の皆さんの御協力をいただきたいという話がありましたけれども、まさに今、日本が置かれている状況を大局的に考えれば、社会保障と税一体改革は誰が政権を担っていても、避けて通ることができないという認識を共有することが一番大事なことではないかと思います。
 この認識をきちんと共有できれば、おのずからとるべき方向というものは明らかではないかと思っております。
(問)差し支えなければ、今日の本部の中で目立った御発言、特に総理の御発言があれば御紹介いただけますでしょうか。
(答)特にそれはございませんでした。御報告をさせていただいて、そして、皆さんから御了承をいただいた。最後には、皆さんも聞いていただいた総理の御発言があったというところであります。
(問)2点ほどお伺いしたいと思うのですが、今回まとめた素案と今後取りまとめる大綱というのは、具体的にどう違うのか。素案の中身をさらに具体化したものが大綱なのか、仮に野党が協議に応じなくて、与党単独で法案を提出する場合というのは、これが大綱になるのか。そのあたりを教えてください。
(答)まさに、これから与野党で協議をするわけでありますから、その協議を踏まえて大綱をつくるということであります。
(問)これが大綱になることもあるということなのですか。
(答)これから協議をするわけでありますから、その協議を踏まえて、最終的にどういう形にするか決まるということです。
(問)3月末までに法案提出のために大綱策定のタイムリミットというのは、一応内閣としていつごろを目途に考えているのでしょうか。素案を大綱にして法案にして提出するわけですよね。その大綱を策定するというのは、いつごろまでにやるのですか。
(答)3月末に法案が提出できるように、それにあわせてやっていくということであります。ですから、大綱をまとめて法案にするということは、物理的なことではありますけれども、きちんと3月末には間に合うような形で準備は進めていくということであります。
(問)経済成長の部分なのですが、今後の取組というのは、新成長戦略を再強化した日本再生戦略を具体的にやっていくというのが経済成長の取組ということになるのでしょうか。
(答)日本再生の基本戦略の中でもまとめさせていただきましたけれども、そのポイントとなるのが、今日申し上げたイノベーションをどう実現していくかということだと考えています。
 今の長期の経済の低迷を考えてみますと、やはり新しい成長を実現するためには、これまでの過去の延長線上ではない新たな技術革新であるとか、新しい産業が生まれてくるとか、そうした取組というものが必要だと考えています。イノベーションが実現できる環境をつくっていく。日本再生戦略の中で、被災地の復興の過程を通じて、新しい日本の経済社会を被災地において実現するということも一つの大きな柱となっております。
 例えば、昨年決まりました復興特区、5年間法人税の免税の特区というのもあります。これは新規に立地した企業についてでありますから、新しい企業が出てくる。新しい企業のほうが、今まであった企業以上にイノベーションを実現できる可能性というのは高い面もあるのではないかと思います。例えば、そういったことを通じて、被災地において、復興特区において新しい企業が設立されて、そこで新たなイノベーションに基づいた新しいビジネスが生まれていく。そうしたことが一つの経済成長への大きな道筋になってくると思います。また、特区だけではなくて、成長マネーの閣僚会合も近々設置させていただきたいと思っています。
 イノベーションを実現するためには、新しい企業、新しい創業、そうしたものを支えるような環境もつくっていかなければいけないと思っています。成長マネーというのは、まさに新しい創業や新しい企業を興す、そうした人たちに対してお金を提供できる仕組みを考えていきたいと思っておりますし、さらには、日本の中には今まで積み重ねられてきた多くの資産があります。例えば、企業などでも、非常に良い企業というのが日本の中には沢山存在しています。しかし、その企業が時代の変化の中で、例えば、経営者が従来の発想をなかなか変えられないで、十分な資産を活かしていないようなところもありますけれども、そうした企業などに新しい人が入ってきたりする。企業再生の取組を通じて、生まれ変わって、新たな成長力を見出して成長していくという例も見られています。
 私どもとしては、今は不良資産と思われているものへの見方を少し変えていく。イノベーションというのは、そういう意味では、全く新しいものを生み出すだけではなくて、今あるものへの見方をちょっと変える。あるいは、全く異業種の人がそういうものに取り組んでいく。そういうことによって、新しい価値を見出して、そこから新しい成長が生まれていく。そういったものも私が申し上げるイノベーションであって、そうした取組などもサポートしていく具体的な取組を一つ一つしていきたいと思っています。
 日本の潜在能力は非常に色々なところにあふれていると思います。どちらかといいますと、これまで半世紀はみんな中央へ、あるいは東京へと目が向いていましたけれども、戦略会議もフロンティア分科会がありますけれども、日本の新しいフロンティアの開拓というのは、世界に向けて、外に向けてだけではなくて、実は日本の中にもある。特に日本の地方などには、今まで見過ごされてきた様々な資産というものがあると思います。そういった日本の資産を見い出し、活かしていくこともイノベーションであって、そういうイノベーションが実現するような環境をつくっていく。例えば、私はエネルギー・環境会議の議長をやっておりますけれども、再生可能エネルギーの普及に向けて、グッと大きくアクセルを踏むということも、この分野での新たなイノベーションを生み出す大きな契機になるのではないかと思っています。
 そういった意味では、さまざまな分野でイノベーションを実現する可能性というのは、あちこちに存在しているというのが私は日本の状況だと思います。しかし、うまくイノベーションが実現できる環境が整っているかというと、それは十分ではない。ですから、私としては、今年はとにかくイノベーションが実現するような環境をさまざまな政策手段を使って提示していく。そのことによってイノベーションを実現し、新しい成長をぜひとも実現していきたいと思っています。
(問)総合科学技術会議のことで1点お尋ねします。
 有識者議員の3人が任期切れになって、今日から会合が開けないという異例の事態になっていると思うのですが、人事案の承認を待つしかないと思うのですけれども、直近で何か支障が出ることがあるのかどうか、出るとすれば、何に支障が出てくるのか、教えてください。
(答)御存知のように国会のほうに昨年の臨時国会で委員の同意人事の案を提案しておりますが、残念ながら、まだ同意を得ていないという状況にございます。こういう状況でございますと、科学技術会議の本会議を開くことができない、そういったことなど運営上影響があることは事実であります。
 しかしながら、科学技術イノベーション政策は国家戦略を構成する重要な政策であって、会議が開けないから議論しないというわけにはいかないと思っておりますので、有識者議員の後任が欠員の間も実質的な議論を行えるような形をつくっていきたいと考えております。昨日、私も科学技術政策担当大臣等政務三役と総合科学技術会議有識者議員との会合に出まして、私の下に懇談会を置いて、次の通常国会のできるだけ早い段階で後任の委員が任命されるまでの間も実質的な議論は続けていく形をつくらせていただきました。本会議が開けないなど、様々な法律上の制約がございます。ぜひとも1日も早く国会の中で同意がいただけるように政府としても全力を挙げていきたいと思っていますが、その間であっても実質的な議論は途切れずしっかり行っていきたいと考えております。
(問)一体改革の関係に戻るのですが、いわゆる法案提出の前提の議論なのですけど、民主党内ですとか、国民新党でも、いわゆる国会議員の定数削減等が法案提出の前提になるというような意見を言っている方もいらっしゃるのですが、これが実現するとか、道筋をつけることが前提になるかどうかについての大臣のお考えをお願いします。
(答)法案提出の前提になっているという認識はございません。これは、今日の総理の御発言でもありましたように、社会保障・税一体改革、そして行政改革、政治改革、そして経済再生、これはまさに一体としてやっていかなければいけいない。時間的な順序から言えば、もちろん社会保障・税一体改革は、附則104条に従って年度内に法案を出すというプログラムがありますけれども、むしろ実際に本当に実現をしてやっていかなければいけない部分は、まず、議員定数の削減であるとか、公務員給与の削減であるとか、こういった政治改革や行政改革の取組、さらには私が今日申し上げているような経済再生への取組、こうしたものは直ちにできるだけ早くやって、具体的な成果を出していかなければいけない話でありますから、直ちに取り組んでいくし、具体的な成果を上げるようにやっていくということであると考えておりますので、何か道筋ができないと法案が出せないという認識は持っておりません。
(問)大きく3点質問があるのですが、まず、3月末までに提出する法案についての確認なのですが、この法案というのは、いわゆる消費税法の改正とか、そういう法律改正のものなのか、俗に言う与野党協議の行方によっては、プログラム法のようなものでも構わないと考えていらっしゃるか、法案をどのような認識でいらっしゃるのか。
(答)法案につきましては、これは今回まとまりました素案がたたき台になって与野党協議を踏まえて大綱、法案という形でまとまっていくものだと考えております。
 当然、この素案を見ていただければ、これがプログラム法とは言えるわけはありません。このことについては、むしろ自民党、野党のほうも逆に税率や引き上げの時期が決まっていないようなものは素案とは言えないとおっしゃっておられたわけでありますから、野党の皆さんもそのようなプログラム法のようなものは考えておられないのではないかと思っております。
(問)それに関連してですが、与野党協議については、今回の素案を受けて正式に呼びかけることになるかと思うのですが、これは仮に3月末までに与野党協議が整わない場合、これは104条に沿って与党単独でも法案を出すべきだと考えるか、もしくは与野党協議が整うまで、3月末を過ぎても法案を与野党協議が整うまで待つべきだと考えるのか、この辺の御認識をお願いします。
(答)まずは、真摯にこれは与野党協議を呼びかけてまいりたいと思っております。
 一方で、税制抜本改革の関連法案につきましては、法律の附則104条で年度内に国会に提出するということが法律で義務づけられているところもございますので、政府としては、年度内の法案提出に向けた準備は進めていく必要があると考えておりますが、まずは、真摯に与野党協議を呼びかけていくということであります。
(問)素案の中の30ページですが、今後の改革の検討として、「次の改革を実施することとし、今後5年を目処に所要の法制上の措置を講じることを改革法案の附則に明記する」という形で、これはいわゆる今回の所得税法104条のようなものをイメージしているのか。それとも、ただ今回の改革のローリング的なものをイメージしていらっしゃるのか。ここはどういうような解釈をすればよろしいでしょうか。
(答)素案がまとまって、これから与野党協議をして、大綱、法案を作成していくということでございますので、現在のところ、これは別に附則について具体的なところまで決まっているわけではございません。
(問)最後に1点。日本再生の戦略等でも、今後の成長率として平均実質2%成長というのが目標として掲げているかと思うのですが、今回の素案を踏まえての平均実質2%成長というのは可能だと考えていらっしゃるかどうか。
(答)今日、何度も繰り返し申し上げておりますが、やはり日本が長期の停滞から脱却するためには、イノベーションを実現していかなければいけない。イノベーションを実現した場合には、これは過去の延長戦上ではなくて、非連続的な成長というものも、まさにイノベーションの実現によって可能になると考えています。
 政府としてはイノベーションの実現を通じて、成長率を高めていく。潜在的な日本の成長率を高めていく。そうした取組が必要であって、そのことは先ほどから申し上げておりますように、日本にある様々な今まで積み重ねてきた資産や、あるいはこれからできていくような新しい企業や産業、またフロンティアの開拓、こうしたものを活かしていければ十分可能であると思っております。
 したがいまして、だからこそ、イノベーションを実現できるような環境を提供する政策というものを積極的に講じていくことが今申し上げた潜在成長率を高めて、再生戦略でも目標といたしております成長率の実現に資するものだと考えております。
(問)そうすると、現時点では成長率の目標等を変えるような状況にはない。
(答)ございません。

(以上)