古川内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年12月27日

(平成23年12月27日(火) 9:35~9:53   於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 今年最後の会見でございますので、今年1年を振り返って一言申し上げたいと思います。
 今年は、東日本大震災、そして福島原発事故があり、本当に衝撃的な忘れ得ない1年となりました。改めて、震災で亡くなられた皆様方にお悔やみを申し上げますとともに、被災された皆様方にお見舞いを申し上げたいと思います。
 3月11日の前後で、世の中は大きく変わったと思っています。また、人々の意識や考え方も、3月11日の前と後で大きく変わったのではないかと思っています。3月11日以降、この新しい世の中、そして意識の中で、政治もやっていかなければいけないという思いで私も政治に取り組んでまいりました。
 ただ、残念ながら、そうした世の中の変化、そして人々の意識に十分政治が応えてきたかというと、十分ではなかったと言わざるを得ない部分は感じております。そうしたことについては、この年末に当たって謙虚に反省して、3月11日以降という新しい世の中で、人々の考え方や新しい社会に対応した政治を行っていかなければいけない、来年は是非そうした政治を行っていきたいと思っています。
 そうした中で、特に今やらなければいけないことは、東日本大震災からの復旧・復興と、そして福島原発事故への対応であります。震災からの復旧・復興と原発事故への対応、被災地の復興、福島の再生なくして日本の再生はありません。私ども、政権として、来年は日本再生元年と位置づけておりますけれども、さきの「日本再生の基本戦略」でもまとめました被災地の復興の過程を通じて、新しい日本の再生の姿を日本全体へ、そして世界へ発信していく、そうした決意を、改めてこの年末、最後の記者会見に当たりまして皆様方に申し上げて、御挨拶とさせていただきたいと思います。
 皆さんから御質問があれば、承りたいと思います。

2.質疑応答

(問)人々の意識に政治が十分応えてきたかというと、十分ではなかったというお話がありましたけれども、大臣の御担当の中で、具体的にどういう点が十分に応えていなかったのか。また、それをどう反省して、来年どう活かすのかという点をもう少し具体的にお願いします。
(答)私は、震災当時は政府を離れて党のほうに戻っておりました。震災への対応の中で、党派を超えた協力体制をつくって、やるべきことを一日も早くスピーディーにやっていかなければいけないという思いで、与野党、党派を超えて、そうした思いの皆さんとともに復興再生議連というものも立ち上げて、とにかく日本の再生につながる被災地の復旧・復興に党派を超えて協力していこう、今のねじれの状況の中でスピーディーに物事を進めていくためには、党派を超えた協力体制をつくっていくことが必要だという思いで、そうした超党派の議連も立ち上げて活動してまいりました。
 その議論の中で、例えば福島の原発事故で発生した放射性物質の除去については、今までの法律に欠陥があった。そうしたものを埋めていく新たな立法をまとめ、それを実現するという具体的な成果にもつながりましたけれども、全体として、そうした新たな3・11以降の置かれている状況の中で、それ以前からあったねじれの状況の中で、政治が機能していかない。そうした状況は変えていかなければいけないのだと、被災地の復旧・復興、そして福島原発事故への対応、そうしたことを考えても、与野党がやらなければいけないことは協力していかなければいけない。それだけではなくて、それ以前から存在していたさまざまな問題についても、やはり協力すべきときは協力して、今、日本が直面している危機を乗り越えていくということが議席をいただいて政治に携わっている者の責任だという思いでやってきたわけであります。
 復興関係のところでは、野党の皆さんの協力も得られて一定程度進んだ部分もありますが、しかし、残念ながら最近になって、そうした協力よりも、党派的な対立といったものが目立っているように感じます。今この日本が置かれている状況の中で、我々政治家一人一人に課されている使命は何かと、そのことを我々政治家一人一人が、もう一度、自分の胸に手を当てて考えなければいけないのではないかと思っています。
 私もそうした思いでずっとやってきて、具体的にどこがということではなくて、そうした思いの部分がしっかり伝わって、与野党を超えた協力というものがなかなか進んできていないというところについては、大変残念に思っておりますし、そうした部分を、来年、また努力していかなければいけないと思っています。
(問)党派的な対立というお話がありましたけれども、それ以前に、例えば今、議論になっている税と社会保障の一体改革では、民主党代表である総理が掲げていることについて、その年内取りまとめにかなり慎重な意見や、八ッ場ダムの工事再開を理由に挙げて反対する意見が出ているという状況についてはどのようにお考えなのでしょうか。
(答)経済も今年1年を振り返ってみますと、一言で言えば、欧州に振り回された1年ではなかったのかなと感じています。欧州で起きたソブリン危機が、金融不安にもつながって、世界のさまざまな国にも大きな影響を与えています。今年急激に進行した円高も、こうした欧州の状況が大きく影響しているわけでございまして、欧州で起きていることは世界にも大きな影響を与えてきた。その中で、日本も大きな影響を受けたわけでございまして、欧州で起きていることが、グローバル化した中では対岸の火事ではない。日本も、昨年まとめた財政運営戦略に従って財政健全化への道筋をしっかりつけていくということは、極めて大事なことであると思います。
 同時に社会保障について、特に財政面で言えば、その多くの負担を国債という将来世代へのツケの先送りという形で賄っている状況であるわけでありますから、社会保障を持続させていく、そして社会保障に対する安心を確保するためにも、社会保障を担保するための財源の確保というものも極めて大事である。こうした点については、震災の前から生じている問題でありますけれども、改めて今年の欧州の状況を考えても、こうした問題にしっかり日本として取り組んでいくということは、それぞれの個人や、あるいは党派の考え方、違いはあるかもしれませんが、そうしたものを乗り越えてやらなければいけないことだと思っています。
 そうした思いで、総理もこの問題に取り組んでこられているわけでございますし、私も取りまとめの大臣として、そうした総理の思いをしっかり共有して、最後まで年内めどの素案取りまとめに向けて、努力を続けてまいりたいと思っています。
(問)宇宙開発についてお願いします。準天頂衛星ですけれども、来年度予算で106億円が認められました。概算要求のときに、要望枠として41億円要望されましたけれども、60億円以上の追加という大幅増だと思います。どういう過程で決定されたかということについてお示しください。
(答)準天頂衛星につきましては、9月30日の閣議決定におきまして、この整備に可及的速やかに取り組むことと決定いたしております。そうしたことも踏まえ、宇宙や海洋はフロンティアとして、特に総理は、宇宙には並々ならぬ熱意を持っておられます。そうした総理の思いも受けて、予算編成に関する政府・与党会議でも、準天頂衛星システムの重要性が認められました。
 そうしたさまざまな要因を踏まえまして、実用準天頂衛星システムをできる限り加速化して整備するため、内閣府で予算要求額を組み替えることによりまして、準天頂衛星システムに係る追加的な予算要求を行って、その結果、106億円の政府原案となったというところであります。
(問)宇宙戦略室をつくられるということですが、これができますと宇宙開発戦略本部は存続しなくなるのでしょうか。
(答)宇宙開発戦略本部は、今の法律では置かなければいけないということになっておりますので、形としては戦略本部事務局を内閣官房に残す必要がございますが、実質的なところは、まだ仮称でございますけれども、宇宙戦略室ができれば、そこにおいて宇宙戦略の企画立案、総合調整を基本的に行う司令塔となります。
(問)特に、戦略本部が乱立していますので、整理・統合されたというわけではないのですね。
(答)法律に基づいておりますので、法律を改正するときには、またそのあり方は検討したいと思いますが、今はまだ法制上、置くことになっておりますので、法律に反しない形の中で、実質的な司令塔機能はこの宇宙戦略室が担っていくという形をとりたいと思っています。
(問)一体改革の関連で、先ほど、年内の取りまとめに向けて最後まで努力を続けたいというお話がございましたが、実質あと5日程度しかないわけです。この少ない日数の中で、一体改革担当相としてどのようにして素案の取りまとめに当たるか、現時点の道筋というか、考えを聞かせてください。
(答)今後の段取りについては、今、多分行われているであろう政府・民主三役会議で最終的に協議がまとまって、方向性を示されると伺っておりますので、それに基づいて私も取りまとめ作業をやっていきたいと思っていますが、議論はかなり煮詰まってきているのではないかと思っています。しかるべき時点で案文を提案し、それについて議論し、最終的に決めていく形になろうかと思っています。
(問)6月に成案を決定して、前・一体改革担当相の与謝野さんが工程表を出して、今まで進めてきたわけですが、この一連の成案決定から今までの流れで、工程表に沿って進めてきたとはいえ、新しく担当相となった古川大臣からご覧になって、進め方に問題はなかったか、段取りについての感想を聞かせていただきたいのですが。
(答)与謝野大臣のところでまとめられてきたものを前提に、その具体化を引き継いだわけでございますから、その下でとにかく年内に素案をまとめるということに向けて、今、最後の努力をしているというところであります。
(問)焦点の消費税増税なのですが、党内では、いわゆる何年何月まで書き込むべきではないのではないか、ここはおかしいのではないかという議論が起きていますが、大臣としては、この消費税増税の書きぶりについては素案段階でどこまで書き込むべきだと考えていらっしゃるか、現時点のお考えをお願いします。
(答)やはり時期と税率は書かなければ、素案とは言えないのではないかと思っています。
(問)閣僚というよりも、民主党の所属議員としてお伺いしたいのですけれども、先週、中島議員が離党したのに続いて、先ほど、斎藤やすのり議員がブログで離党を表明しました。石関副幹事長が、八ッ場に抗議して、離党はしないのですが、副幹事長を辞任するということも表明されました。こうした党内の波乱というか、ごたごたをどのようにご覧になっていますでしょうか。
(答)国民の皆様方に我々のやっていることを信頼していただくためには、党内でしっかりまとまっていくということが、非常に大事なことだと思っています。そうした動きが出てくることについては極めて残念だと思っております。

(以上)