古川内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年12月22日

(平成23年12月22日(木) 16:11~16:22  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 本日の閣議におきまして、平成24年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度が閣議了解されました。
 平成24年度の経済見通しにつきましては、本格的な復興施策の集中的な推進によって、着実な需要の発現と雇用の創出が見込まれ、景気は緩やかに回復していくと考えられます。この結果、我が国の国内総生産の実質成長率は2.2%程度、名目成長率は2.0%程度、消費者物価上昇率は0.1%程度になると見込まれます。
 一方、先行きのリスクといたしまして、欧州政府債務危機の深刻化等を背景とした海外経済のさらなる下振れ、円高の進行や、それに伴う国内空洞化の加速、電力供給制約等が挙げられます。
 経済財政運営の基本的態度といたしましては、震災復興及び景気下振れの回避に万全を期すとともに、日本銀行と一体となって、デフレ脱却に断固として取り組み、全力を挙げて円高とデフレの悪循環を防いでまいりたいと考えております。同時に、日本経済の再生に取り組み、中長期的に持続的な経済成長につなげてまいりたいと思います。
 私からは以上でございます。

2.質疑応答

(問)今の話にもありましたデフレの脱却なのですけれども、いつごろデフレを脱却できそうか、見通しをお願いします。
(答)平成24年度は、国内需要に主導され、着実な成長が見込まれると考えております。物価につきましては、消費者物価が前年比で0.1%とプラスに転じて、GDPデフレーターは前年比でマイナスの0.2%と、マイナス幅は縮小する見込みであります。したがいまして、デフレ脱却に向けて、日本銀行と一体となって、速やかに安定的な物価上昇を実現することを目指して取り組んでまいるというのが政府の姿勢でございます。
(問)今、社会保障と税の一体改革の議論が行われていますけれども、6月の成案で決まった2010年代半ばまでに消費税率を段階的に10%まで引き上げる最初の段階のときには、やはりデフレ脱却をしていく必要があるというふうにお考えでしょうか。
(答)どの段階であっても、とにかく一刻も早いデフレ脱却に向けて、政府、日本銀行、一体となって取り組んでいく姿勢には変わりはありません。
(問)デフレを脱却しないと、やはり消費税を上げるというのは難しいという御認識でよろしいですか。
(答)成案の書きぶりは、そうしたデフレの問題だけではなくて、経済状況等を総合的に勘案するという形になっていたかと思います。具体的には、成案の中の記述は、「政府は日本銀行と一体になって、デフレ脱却と経済活性化に向けた取組を行い、これを通じて経済状況を好転させることを条件として、遅滞なく消費税を含む税制抜本改革を実施」と記載されております。ですから、デフレ脱却が経済状況の好転の前提になっているわけではないと認識いたしております。
(問)政府経済見通しについてお伺いします。11年度は東日本大震災で落ち込みがあって、12年度にプラス2.2%と見ていらっしゃるわけですが、民間の主な調査機関の予測と比べて若干高めになっています。その背景として、海外経済については今後減速から持ち直しに転じていくという見方をされていると思うのですけれども、今現実にはかなり下振れのリスクも強まっていると思うのですけれども、海外経済をこれだけ楽観的に見ていいのかどうか、そこについてはどうでしょうか。
(答)海外経済の動向については、従来から申し上げておりますように、下振れのリスクが高いということは十分承知いたしておりますが、一方で、欧州の取組などがきちんと進んでいけば、世界経済、景気の持ち直しが進んでいくことも考えられるわけでございまして、私どもは欧州における取組が進んでいくことを前提に置いて考えているところであります。
(問)一体改革の関係でお伺いしたいのですが、党の税調のほうの議論で、役員会等で来週から具体的な引き上げの時期ですとか率について議論を始めようという話になっているようなのですが、恐らく役員会として示すものになるのだろうと思われますが、この中身と道筋、要は率とか時期というのは、政府と与党で既にキャッチボールしたものを示すことになるのか、あくまで党の税調としての議論で政府のまだ関与はないものなのか、その辺の御認識をお願いします。
(答)党の税調のほうは、党の税調のほうで、藤井会長、そして古本事務局長のところで御議論いただいていると思います。政府の税調のほうは、今日もやりましたけれども、政府の税調として行っていくということでありますので、その税調の運営の仕方についてまで、政府のほうからこうしてくれということを申し上げるつもりはありません。党のほうは党のほうで考えて、御議論を進めていただき、政府のほうもしっかり議論をして、年内をめどに素案を取りまとめる努力をしていく。この点については、昨日、藤井会長と総理との会談でも再確認をされたところでありますから、そういう方向に向けて、党の税調のほうでも御議論いただけるものと考えております。
(問)経済見通しについてお伺いしたいのですけれども、デフレ脱却を早急に行うということですが、目標を掲げて消費者物価上昇率が0.1%というのは、かなり低いなという感じがするんですけれども、日銀が1.0%ですね。一刻も早くデフレ脱却と言っている割には、掲げている目標が低いなという感じがするんですが、改めて来年度中のデフレ脱却を目指しているのかどうかをまず1点お伺いしたいのと、あと先ほど海外リスクについてお話がありましたけれども、OECDとか、危機があった場合のリスクシナリオとして、日米欧の先進国がマイナスになるのではないかという、テールリスクシナリオみたいなものを出しているのですけれども、今回、政府としてはそういったリスクに対応した最悪のシナリオとか、そういったものは念頭にあるのかどうかということ、リスクマネジメントをどういうふうに考えているかお願いします。
(答)まず1点目でございますが、これは経済目標ではありません、見通しです。したがいまして、もちろんそこは一定の前提を置いた上ですけれども、そういう前提の上で来年度の経済の状況がどうなるかと、見通した数字として、物価上昇率については0.1%程度という結果が出てきたというところです。デフレ脱却に向けて全力で取り組んでいくという政府の姿勢は、一貫して変わっていません。
 2点目につきましては、これは経済の見通しについて、一定の前提を置いて計算をするといいますか、お示しをしたというのがこの経済見通しでございます。さまざまなシナリオを描いてというものとはちょっと性質が異なるものだと考えておりますので、そういうさまざまなシナリオで提示するということは考えてはいません。
 最後に、いろいろと不測の事態とかそういうものが起きることがあれば、それに対しては柔軟に政策対応をしていかなければいけないということは、当然のことだと考えております。

(以上)