古川内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年12月16日

(平成23年12月16日(金) 11:02~11:19  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 平成24年度予算編成の基本方針につきましては、国家戦略会議におきまして11月30日に基本的考え方、12月12日に骨子案について御議論いただき、これを踏まえ、政府・与党において検討を行い、最終的に本日、予算編成に関する閣僚委員会での議論を経て閣議決定いたしました。
 内容につきましては、骨子案と重複する部分を割愛して簡単に御説明いたしますと、まず冒頭のところ、与党の御議論も踏まえ、東日本大震災以前からそこにある危機と震災以降の新たな危機の中の危機の克服に向け、危機をチャンスに変えるという考え方で新成長戦略の断行と、日本再生元年へのチャレンジを24年度予算編成に向けたメッセージといたしました。
 また、2ページ以降の具体的な平成24年度予算の基本方針については、骨子案の段階から具体的施策の例示を追加するなど、わかりやすさを心がけて記述をいたしました。今後、この基本方針を踏まえて、政府として平成24年度予算編成の大詰め作業に取り組んでまいります。
 次に、今朝、関係府省庁の大臣・政務官からなるアジア拠点化・対日投資促進会議におきまして、アジア拠点化・対日投資促進プログラムを決定いたしました。このプログラムは、新成長戦略に基づき、我が国の投資環境を魅力あるものとして立地競争力を向上させ、日本をアジア拠点として再生するために対日投資を促進することを目的といたしております。
 プログラムの内容といたしましては、立地補助金などのインセンティブ措置や復興特区における新規立地企業に対する法人税の5年間無税措置など特区制度の活用が盛り込まれております。内外無差別で、海外の企業にも是非日本に立地していただくようにというメッセージを送っておるわけでございますが、きちんと海外に伝わっていない部分もあるのではないかと思っています。国内外からの投資を呼び込むことは、国内の雇用の創出にもつながっているわけでございます。開かれた成長、また開かれた復興を目指す我が国の立場として、政府が一体となって海外からの投資を歓迎する姿勢をPRしてまいりたいと考えております。
 最後に、明日17日に内閣府をはじめとする7府省及び関係機関が主催し、最先端の科学技術の成果などを国民にわかりやすく発信するイベント『科学・技術フェスタin京都2011』が行われますので、京都に出張いたします。私からは、次世代を担う高校生にメッセージを送りたいと考えております。
 私からは以上であります。

2.質疑応答

(問)社会保障と税の一体改革のことでお伺いしたいのですが、今、党でまさしくこの瞬間に最終的な議論をしていると思うのですが、社会保障のほうで、患者の負担になる部分が、かなり6月の成案から落ちた形になると聞いていますけれども、その6月の成案から少し形が変わっているということについては、大臣御自身はどのように考えておられますか。
(答)今、6月の成案を具体化する作業をしているわけでございます。その中でさまざまな議論が出ていることは承知いたしておりますが、最終的には与党の御意見も伺いながら、政府・与党一体としてどういう形で6月の成案を具体化するのか、まとめてまいりたいと思っております。
(問)年内にまとめる素案というのは、あくまでも政府・与党の案ということでよろしいでしょうか。
(答)はい、政府・与党で取りまとめるということであります。
(問)ただ、輿石幹事長に会見の後伺っていますと、その素案はあくまでも政府の案で、党として決めるのは年明けだというニュアンスの御発言もあるように聞いているのですけれども、その点は御認識は共有されているのでしょうか。
(答)これは、政府・与党として年内を目処に素案をまとめるということでの認識は一致していると理解しております。
(問)社会保障・税に関わる番号制度について、今日午後に検討会があって、最終的なものを決めると思うのですけれども、これについては、一体改革の検討がどうなろうと、来年の通常国会に出して議論していくという方向でよろしいですか。
(答)社会保障・税共通の番号、マイナンバーでございますけれども、このマイナンバーは例えば給付付き税額控除という制度を入れたり、総合合算制度という制度を入れたり、今まで行ってこなかった新しい社会保障の制度を導入しようとするときには必要となるインフラでもありますし、また、社会保障の負担の公平性、給付の公平性といったものを確保していくためにも非常に重要だと考えております。
 今回の社会保障・税一体改革の大きな考え方、理念は、今までの年齢を基準にした、つまり高齢者に重点を置いた社会保障の仕組みから、全世代対応の形の社会保障、そして年齢よりもむしろ所得に応じた、それぞれの人の所得に応じた負担と給付をお願いするような形に変えていくということであります。所得の正確な把握を行っていくという意味でも、この番号制度というものは必要なわけでございます。社会保障の姿については人によって、また各党によっていろいろな意見はございますが、どういう姿を考えるにしても、これまで自民党や公明党が提案されておられるようなさまざまな新しい仕組み、例えば、先日も国会で自民党の鴨下議員のほうから、カフェテリア方式はどうかというお話がありましたけれども、こういうことをやろうと思っても、やはり番号が必要であります。新しい社会保障の姿をどう描くに当たっても、これは共通のインフラとして番号というのは必要なものだと、そしてまた有用なものだというふうに考えておりますので、これにつきましては、大体まとまってまいりましたので、法案化の作業を加速させて通常国会に法案を提案出来るようにしてまいりたいと思っております。
 それに当たりましては、今申し上げましたように、これは新しい社会保障のあり方を考える上での共通のインフラとも言えるわけでありますから、是非野党の皆様方にも積極的に議論に加わっていただきたい、そして与野党の中で、特に今のねじれ国会の状況の中ですから、成案を得るためには、与野党間で合意していくことが必要不可欠であります。野党の皆様方にも議論に加わっていただいて、与野党の間で最終的な合意を得られるように努力をしてまいりたいと思っていますし、野党の皆様にもぜひこの議論に参加をしていだきたいと思っております。
(問)週明けに総理が街頭演説を行うと聞いておりますが、その中で、例えば、一体改革の部分についてどのようなメッセージを出されることを大臣として期待されていますでしょうか。
(答)今、初めて聞きましたので、承知いたしておりません。
(問)もし、国民向けにメッセージが出るとするならば、どのようなメッセージであることを、一体改革の部分が特にですけれども、期待されていますでしょうか。
(答)総理は従来から、この社会保障・税一体改革の重要性については一貫したメッセージを出されていると思います。それは何かといえば、やはり今の社会保障制度が発足から半世紀余り経ち、発足した当時の社会状況とは全く異なった社会状況になっている中で、これから将来に向けて今の仕組みで持続可能なのかといえば、それは持続可能性というものに懸念を持たれているのではないかと、そのことが社会保障制度に対する不安や国民の皆さん方の不安にもつながっている。だからこそ、時代に合った、少子高齢化時代の新しい今の日本が直面している、そして今後直面していく社会に適合した社会保障制度の形に変えていくことが重要であるということがまず1点。
 そしてもう一点は、現行、今の制度においても、これまで社会保障制度の支え手であった団塊の世代の皆さん方が今後、本格的にリタイアをされて、これまでは社会保障の負担をされる側だったのが、今度は給付を受ける側に回ってくる。
 一方で、団塊の世代、今の社会保障制度の仕組みというのは、リタイアした世代を現役世代が支えるという、これまでの、まさに高度成長、そして右肩上がり、また団塊の世代の人たちが働く世代にいて、高齢者の人たちは非常に少ないという、そういう時代のときに基本的な設計ができている制度でありますから、そういうままで団塊の世代が社会保障の受益を受けるという側になってまいりますと、その負担は従来と同じような仕組みのままですと、働く世代に過重な負担になってしまう。
 先ほど申し上げましたけれども、高齢世代はすべて基本的に勤労世代が支えるというよりも、むしろ所得に応じて全世代にわたって支え合いを行えるような形にしていこうということが大事であると、そうした視点。さらには、今、この高齢化が進んでいくという中で、制度を変えなくても、これは毎年毎年1兆円以上の自然増があるという状況であります。もちろんこれをどう効率化していくかということも考えないといけないわけでありますが、効率化をするからといって、これが減るというような状況ではないわけであります。増えるということは間違いない。そういう状況の中で、その増えていく負担を、今は大部分を赤字国債で賄っているという状況にあるわけであります。こうした状況は、将来へのつけ回しをしているということになるわけであります。そうしたことが、先ほどから申し上げているような今の勤労世代、若い世代のほうが数が少なくなっている状況で、本当に続けられるのかと、まさに財政に対する信認が揺らぎかねないような状況が起きているわけであります。そこに、今、ギリシャ危機に端を発しました欧州の債務危機というものが生じているわけでございまして、こうした世界の状況を見ても、財政健全化へ向けての道筋をきちんと示すということは、非常に大事なことである。なぜならば、今、ヨーロッパの状況を見ても、財政が破綻をしたときに年金支給額のカットであるとか、あるいは開始年齢の繰り延べとか、社会保障の部分が最初に大きな影響を受ける。そういうことを考えても、社会保障の持続可能性をきちんと維持する、そしてまた財政の持続可能性をきちんと維持していく、これを両方実現するためには、社会保障と税の一体改革というものを行っていかなければいけないだろう。そうした考え方は、総理はずっと一貫して言われているわけでございまして、どういう場におかれてもそうした御発言をされるものというふうに私は理解いたしております。
(問)予算の今後のスケジュール感をお伺いしたいのですけれども、今日基本方針を決定して、もう余り時間がないと思いますけれども、決定は24日というスケジュール感でよろしいのでしょうか。
(答)今、予算編成の作業は大詰めを迎えております。調整すべき事項が幾つか残っておりますので、これは引き続き全力で取り組んで年内編成を目指していくということであります。
(問)一体改革の関係なのですが、党の合同総会等で、いわゆる歳入庁について検討すべきというような意見が昨日かなり強く出ていたんですが、この番号制度の法案を出すような状況が整った中で、今後、歳入庁のあり方についてはどのようにお考えになりますか。
(答)歳入庁につきましては、2年前の税制改正大綱の中でも検討していくということが論じられているわけであります。これは、税と保険料を一体的に徴収するもので、給付付き税額控除を導入するとか、新たな制度を導入するタイミングで徴収体制も考えられていくことになろうかと思っております。今すぐということではありませんが、そういう新たな制度が導入をされた段階で、徴収体制の効率化というものをどう考えていくかという中で、歳入庁は、私どもがずっと従来から考えてきたことでございまして、検討していかなければいけない課題だと考えております。

(以上)