古川内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年11月14日

(平成23年11月14日(月) 9:20~9:27  於:合同庁舎第4号館4階共用408会議室)

1.発言要旨

 本日公表した2011年7-9月期GDP速報、1次QEでは、実質成長率が前期比1.5%、年率では6.0%になりました。名目成長率が前期比1.4%、年率では5.6%となりました。実質成長率は4四半期ぶりのプラスとなりました。
 7-9月期のプラス成長は、震災後のサプライチェーン立て直しが夏にかけて急速に進んだことなどを背景としたものであります。一方、足元では海外景気の回復の弱まりなどにより輸出が振るわないことなどから、景気の持ち直しテンポは緩やかになっております。今後は、復興需要が増加することなどから、景気の持ち直し傾向が続くと見込まれます。ただし、回復力の弱まっている海外経済の下振れや急速な円高の進行、タイの洪水被害等の我が国景気の下振れリスクについては十分に注視していく必要があります。
 急速な円高の進行等による景気下振れリスク等に先手を打って対処するため、先般閣議決定した円高への総合的対応策をスピード感を持って実行していくことが重要であり、平成23年度第3次補正予算の速やかな成立に努めてまいりたいと思っております。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)実質ベースで見ると震災前の水準には戻っていると思うのですけれども、この半年で水準を取り戻したことについての評価をまずお願いします。
(答)サプライチェーンの急速な回復、そうした民間の努力や、復興需要での仮設住宅建設等、政府がとってきた政策等が相まった結果ではないかと思っております。
(問)先ほども円高やタイの洪水、欧州経済の減速などのリスク要因を挙げられましたけれども、2011年度の見通しの0.5%は達成できそうかどうか見通しをお願いいたします。
(答)年央試算の公表以降、海外経済の回復は弱まって、急速な円高の進行やタイの洪水の被害等、我が国経済を取り巻く環境がより厳しさを増している状況であると認識をいたしております。
 こうした環境の変化も踏まえ、民間機関の平均的な見方では、2012年度の経済見通しが下方修正されておりまして、年央試算よりも厳しい予測が示されていることについても認識をいたしております。
 そうした認識はいたしておりますが、具体的な成長率の見通しにつきましては年末の政府経済見通しに向けて検討してまいりたいと考えております。
(問)GDPデフレーターは前年同期比で見た場合には8期連続マイナスになっていると思いますが、やはりデフレ基調が続いているという評価でよろしいでしょうか。
(答)今回のQEでは、GDPデフレーターの前年同期比がマイナス1.9%と8四半期連続のマイナスとなりました。また季節調整済み前期比ではマイナス0.1%と10四半期連続のマイナスとなっております。同時に、マクロ的な需給ギャップは依然として大幅なマイナスとなっていると見込まれ、物価下落圧力は続いていると考えております。こうしたことから、我が国経済は引き続き緩やかなデフレ状況にあるものと認識をいたしております。
(問)そうしますと、プラスに転じる見込みはいつごろと言えるのか。またそういった状況の中で税と社会保障一体改革の消費増税の議論をどのように進めようと考えておられるのか、お願いします。
(答)政府としては一日も早くこのデフレ状況から脱却するための政策的な対応をこれまでもとってまいりましたし、これからも引き続きとってまいりたいと思っております。
 税と社会保障との関係で申し上げますと、デフレ状況の脱却など経済状況の好転を前提にして消費税の引き上げということが成案でも書かれているわけでございます。そういった意味では、消費税の引き上げができるような経済状況を実現する。そのための努力を引き続きしていくことに尽きると思っております。
(問)先ほど大臣もおっしゃられていましたが、タイの洪水や円高、日本の企業を取り巻く環境は非常に厳しいと思うのですが、現状の御認識と、今後どうしていくかということも教えてください。
(答)先ほども申し上げましたけれども、海外景気の回復が弱まっておりますし、今御指摘あったようなタイの洪水の影響など、我が国経済を取り巻く状況は急激な円高等も含め厳しくなっていると認識はしております。したがいまして、今後の海外景気が下振れした場合や、為替と株価の変動等によっては景気の下振れリスクが存在いたしますので、引き続き十分にそうした動向には注視をしてまいりたいと思っております。

(以上)