古川内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年11月4日

(平成23年11月4日(金) 10:33~10:45  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 今朝7時半から、石田副大臣、大串政務官とともに、日本商工会議所の岡村会頭と大臣就任後2度目の意見交換を行いました。
 日商側からは、足元の景況感は復興需要に支えられて緩やかに回復しているものの、中小企業を取り巻く環境は円高の影響もあり非常に厳しいとのお話がございました。
 その上で、日商側から、1点目はTPPを含む質の高い経済連携の推進、2点目は社会保障・税一体改革、3点目は地域の活性化と中小企業の活力強化、そして4点目として安定的な電力供給の確保、この4点につきまして具体的な御意見をいただきました。とりわけ地域経済の活性化及び地域経済を支える中小企業の活力強化が日本経済の再生に欠かせないということは共通の認識として確認をさせていただきました。
 大臣就任以降、これまで愛知、大阪、京都、先週は青森の経済団体の方々と意見交換をしてまいりましたが、今後とも幅広い意見交換を続けて、肌感覚で地域経済や中小企業の実情を把握しながら政策運営を行ってまいりたいと考えております。
 私からは以上であります。

2.質疑応答

(問)TPPについて、先般、2.7兆円の効果があるという試算が出ていますけれども、総理が先週の水曜日の御答弁でそれ以上の経済効果があるのではないかというお話もされていましたが、大臣としてはTPPの経済効果についてはどのようにお考えでしょうか。
(答)これは10年間での効果ということでありますが、一定の条件を置いた下での直接的な効果として考えられるものとして2.7兆円という試算が出ているということでございます。その他にも、規制改革であるとか様々な要因について必ずしもすべて数字として試算が出来るわけではありませんけれども、私も色々な効果があるのではないかとは思っており、出来る限り今までも説明をしてきているつもりでございます。
(問)国家戦略室ですけれども、先日、民間から来られた審議官の方がお戻りになるという人事が出ていましたけれども、今後、民間からの人材について、どういう方をどのくらい補強したいとお考えでしょうか。
(答)官民融合という形でやっていくというのが戦略室の元々の考え方でございます。そして、その官民の知恵をうまく双方から出していただいて、それをまとめて政策運営に活かしていくということでございますので、大体半々になるような感じで考えております。ただ、これは補佐以上のレベルで考えておりますので、それを支えるスタッフについては基本的には役所の皆さんでやっていただくことになろうかと思いますが、それより上の人たちについては大体半々ぐらいの形で考えていきたいと思っています。
(問)省庁間の調整と企画立案機能の両方があるかと思いますけれども、今後の戦略室はどこを強化していきたいと考えますか。
(答)私の所掌分野のスタッフとしては、戦略室と経済財政部局と内閣官房がございます。戦略室と経済財政部局と内閣官房の補室が中心になろうかと思いますが、私は、これを一体的に運営していきたいと思っております。勿論、私の関係する範囲でということでございます。明確に切り分け出来るものではありませんが、戦略室が企画立案の部分を中心的に担い、各省との調整などは、補室であるとか経済財政部局にもやってもらう。また、特に経済財政部局には様々な分析という機能もあります。企画立案をやっていく上では、色々な分析も必要になってまいりますので、そうしたサポートもしてもらいながらやる。そういう意味では、戦略室が閉ざされたものではなくて、むしろ経済財政部局や内閣官房の補室などとも幅広く連携をとっていきながら、全体として戦略室が中心にリードしていくような形をとっていければと考えております。
(問)欧州情勢についてお伺いしたいと思います。今、G20が開かれておりまして、その直前にギリシャの国民投票の話が出てきて、欧州情勢の不透明感がまた高まっているわけですが、その中でECBも先行きの景気後退懸念などを見て、2年半ぶりに金利を引き下げたという決断もされました。そういう欧州情勢をどのように見ていらっしゃるのか。それと日本経済に与える影響などについて改めて御所感をお聞かせください。
(答)ECBが3日の政策理事会において、政策金利を0.25%ポイント引き下げて1.25%としたことは承知をしております。ただ、その引き下げた理由については、今仰った景気が下振れする懸念というよりは、むしろ近い将来にインフレがますます高進していく懸念があまりないためと承知しております。
 ヨーロッパの金融政策は我が国を含め世界経済に影響を与えるものでありますので、引き続きしっかり注視をしてまいりたいと思っています。
 また、ヨーロッパの情勢、ギリシャの問題でありますけれども、やはり先にEUで決めたことをギリシャにおいても速やかに決めていただくことが大事なことではないかと思います。今やグローバル化した世界の中で、特にヨーロッパは、EUの中で一体化が進んでいるわけでございますから、ギリシャの問題はEU全体の問題に即つながってまいりますし、そのことは世界経済にも連動してまいるわけであります。そのことから日本も無関係ではいられないわけでありますから、やはりギリシャにおいては指導者の下で責任を持って早期に決断をしていただきたいと思っております。
(問)G20のカンヌサミットで野田総理が一体改革の関連で、消費税を2010年代半ばまでに10%に引き上げるという方針と、関連法案を年度内に提出したいという方針を表明しました。それ自体、今まで国会で説明してきたことと変わらないとはいえ、国際会議の場で明言されたということで、ある程度国際公約的な意味合いも加わったかと思うのですが、今回、国際会議の場で表明された意味と、改めて年度内提出に向けてどのような形で進めていくのか、担当大臣としてのお考えをお聞かせください。
(答)これまで政府・与党でまとめた社会保障・税一体改革の成案について、今後どういう段取りでそれを進めていくかということについて総理はお話をされたということであって、それ以上でもそれ以下でもないと思っております。したがいまして、従来から総理もお話をしておられましたように、この成案に基づいて今後の作業を進めていきたいと考えておるところでございます。
(問)戦略室の陣容の件ですけれども、これまで民間出身の方々はどちらかというと総理のブレーン的な役割を果たし、官僚の方々は政策立案という形で、ちょっと色分けがあったかとは思うのですけれども、新しい戦略室の建て付けはどういうものをどう考えていらっしゃるのか、また人数の補充は、そろそろ始まるのか、それとももう少し検討が必要なのか、その辺り伺えますか。
(答)私が室長をやっていた頃に戻るだけでありますから、新たにということではございません。さきほど申し上げましたように、官民の英知を集めて、お互いの知恵を出し合って国家戦略的な重要な課題について案を出していく。今回、戦略会議も出来ましたので、その戦略会議の議論の事務方のところを戦略室が中心になって担っていくわけでありますから、戦略会議で議論していくテーマ等については、官民の知恵を出していく中心になっていこうかと思っております。
 陣容につきましては、随時、今進めておるところでございます。これは事務的な人員でございますので、どこかの段階で誰をどうするということを申し上げるつもりはございませんけれども、順次、今作業は進んでいるところでございます。

(以上)