古川内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年9月20日

(平成23年9月20日(火) 11:34~11:45  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 本日は、私のほうから、閣議及びその前後の会議の関係で3点御報告があります。
 まず1点目、予算編成閣僚委員会につきまして、平成24年度予算の概算要求組替え基準について、予算編成に関する閣僚委員会で了承し、その後閣議決定いたしました。この組替え基準は、中期財政フレームの財政規律等を遵守しながら、大震災からの復旧・復興経費については、いわゆる青天井の要求を出していただくとともに、歳出改革により捻出された財源を用いて、必要性や効果のより高い予算を重点配分する日本再生重点化措置を実施することとしています。今後概算要求を経て、来月から平成24年度予算編成作業が本格化してまいります。予算編成の基本方針を担当する国家戦略室といたしましても、しっかり取り組んでいくつもりでございます。
 次に、閣議後に行われました月例経済報告等に関する関係閣僚会議の概要を御報告いたします。
 今月の景気の基調判断は、「東日本大震災の影響により依然として厳しい状況にあるものの、持ち直している」と、先月と同様の判断としております。これは海外経済の回復の弱まりや円高の影響など、我が国経済を取り巻く環境は厳しさを増してきているものの、実体経済の面では、サプライチェーンの立て直しなどによりまして、我が国の生産が引き続き持ち直していることなどを踏まえたものであります。
 先行きにつきましては、景気の持ち直し傾向が続くことが期待されますが、海外景気が下振れした場合や、為替レート、株価の変動等によりましては、景気が下振れするリスクが存在することには注意が必要と考えております。
 続きまして、月例経済報告等に関する関係閣僚会議に続いて開催されました経済情勢に関する検討会合につきまして、ポイントを御報告します。
 総理、官房長官、金融担当大臣、財務大臣、経済産業大臣が出席されました。また、日銀総裁はオブザーバーとして出席されております。
 会合では、内閣府からお手元の資料1に沿って、円高への総合的対応策の中間報告案をお示しし、了承されました。総理の御発言は皆様お聞きになったとおりでございます。円高への総合的対応策につきましては、9月2日の初閣議で総理の御指示を受けて以来、内閣を挙げて、出来る限り早期に取りまとめたいとの思いで精力的に検討を行ってまいりましたが、本日、対策の中間報告として、その基本的な考え方と主要な施策リストを固めるに至りました。
 中間報告で示した対策の柱は次の3つでございます。1つは、雇用や中小企業の下支えによります円高の痛みの緩和。2つ目は、競争力の強化による円高等のリスクに負けない強靱な経済の構築。3つ目は、海外資源の確保等による円高メリットの徹底活用。この3つにつきましては、円高への守りだけでなく、攻めの姿勢も重視したものであると考えております。
 今後、総理ともよく御相談し、また与党とも議論をしながら、そしてまた最終的には野党の皆さんの御協力もいただきながら、本対策の最終取りまとめを早急に行ってまいりたいと考えております。
 私からは以上でございます。

2.質疑応答

(問)今日、取りまとめられました円高への総合的対応策についてですが、昨年の12月にまとめられた円高・デフレの緊急総合対策との違いという点で、今回の目玉はどのような点にあると思われていますか、お願いします。
(答)先ほど申し上げましたように、今回は、円高によります痛みの緩和のみならず、為替の水準に左右されない強靱な経済構造に変えていくことや、更には円高メリットを最大限活用することに力を入れています。ディフェンスだけではなくて、むしろこの円高を機会に日本経済を強靱なものにする、更にはこれを利用して日本の企業が世界の成長産業、あるいは元気のいい企業などへのM&Aを行ったり、あるいは資源や権益を獲得するという攻めの面にかなり重点を置いているところが特徴ではないかと考えております。
(問)この円高対策の中で、住宅エコポイントの再編、再開というのが入っているのですが、具体的にはどういったものをイメージされているのかということと、円高メリットの見える化の促進で、公共料金における円高メリットの見える化というのがあるのですが、一般の国民の皆さんにどういう形でメリットをより見えやすくしていくのかというのを具体的にお聞かせいただければと思います。
(答)具体的なことにつきましては、これからまとめていって、最終取りまとめでお示しをさせていただきたいと思っております。
(問)2点お願いします。まず、円高対策のほうの4ページに進捗管理というのを挙げられていますけれども、イメージでよろしいのですが、いつぐらいまでにこういう目標とか期限を、どのような形で国民に示すのか、もしイメージがあればお願いします。
(答)最終的な取りまとめのところでお示しをさせていただきたいと思っております。
(問)昨年も予備費や予算で立地促進の補助金とか雇用調整助成金を措置されていると思うのですけれども、これについてどの程度効果があったかという検証はされているのでしょうか。
(答)それぞれの政策の効果につきましては、各省庁が行政事業レビューシートなどをつくって、それぞれの役所の中でもチェックをしていくという体制はこの2年間で出来上がっております。ですから、これまでの施策について常々チェックはしているものと承知をいたしておりますし、今回対策を取りまとめていくに当たりましては、これまでの政策で効果が非常に大きかったものを重点的に選び出していくということもやっておりますので、そういった意味では今までの政策の効果の検証の上に、今回新たな対策をまとめておるところでございます。
(問)あともう1点、月例経済報告のほうなのですけれども、国内のほうは大体V字回復というのがちょっと落ち着いてきて、足踏みというか、一旦小休止的に見えますけれども、今年度で0.5%、来年で2%後半の成長というのは達成出来ると思っていらっしゃるかどうか。特に景気状況というのが、今出ている増税の議論とかなりリンクしていると思うのですけれども、その影響についてお願いいたします。
(答)日本経済の今後の見通しにつきましては、今後は復興需要の増加が着実に見込めると考えておりますので、本年後半には比較的高めの成長が実現するのではないかと思っておりますし、来年度については2%台後半の成長を見込んでおります。
 しかし、円高や世界経済の不透明感の強まりというものが、我が国の景気に与える影響については、これは十分に注視する必要がございますし、また更には電力供給の制約や、それに伴うコストの上昇の影響とか、企業、人材が流出するリスク、そういったものにも十分に配慮をしていかなければいけないと思っています。
 最後にありました復興にかかわる御負担をお願いする件については、先週政府のほうで選択肢をまとめさせていただき、それを党のほうでこれから御議論いただくことになりますので、それが経済にどういう形で影響を与えていくかにつきましては、そうした結果も踏まえて、考えてまいりたいと思っております。
(問)これも今後の話になってくるかもしれないのですが、総理からも与党内の早急な取りまとめについて御指示があったかと思うのですけれども、今後のスケジュール感と、この円高対策の規模感について、ある程度見えているものがありましたら教えてください。
(答)今後につきましては、第3次補正予算のプロセスと歩調を合わせて、早急に取りまとめをしてまいりたい、規模についてもその中で決めてまいりたいと思っております。
(問)企業側からは、早急な円高対策の取りまとめを求める声もありますが、3次補正より前に、例えば一部前倒しの活用とか、必要であればそういうこともお考えでしょうか。
(答)そうした様々な声も踏まえて、3次補正の予算のプロセスなどと歩調を合わせながら、出来る限り早急に取りまとめを行っていきたいと思っているところであります。
(問)国家戦略会議の件なのですが、藤村官房長官との調整を経て、メンバーや議論について大分収斂してきたと考えてよろしいでしょうか。
(答)これは先週の記者会見のときにも申し上げたかと思うのですが、1回目の意見交換を始めさせていただいたという状況でございますので、これからまた随時意見交換をさせていただいて、1つ1つ物事を前に進めていきたいと思っております。
(問)細かいところで申し訳ないのですが、立地補助金の拡充等における競争力の強化、思い切った拡充ということの具体的な、例えば額などはまだ全く決まっていないということでしょうか。
(答)最終取りまとめの中でお示しをさせていただきたいと思っております。
(問)あともう1つ、積極的に円高を使っていくということですが、見方によっては政府として円高の長期化を見ているということにもとれるのですが、その点はいかがでしょうか。
(答)為替の動向については、常に私どもは注視をしていかなければいけないと思っております。それはどちらに動いても同じです。急激な円高が問題であるのと同時に、急激な円安もやはり同じように様々な歪みも生じさせるわけでありますから、為替動向の変動に左右されないような強靱な経済の構造をつくっていくことが一番私どもが踏み出していかなければいけないことだと思っております。

(以上)