山岡内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年9月2日

(平成23年9月2日(金) 22:45~23:15  於:警察庁第1会議室)

1.発言要旨

 このたび国家公安委員長内閣府特命担当大臣・消費者及び食品安全の特命担当大臣及び拉致問題担当大臣を拝命いたしました山岡賢次でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 総理からは東日本大震災の行方不明者の捜査に引き続き尽力するとともに、被災地や被災者の安全・安心の確保、今後災害対応能力の向上に努めるようにということが第1点。
 また2点目には、国民の安全を確保するために治安の確保に全力を挙げて取り組むと。また機密情報の漏洩事案を踏まえて、再発防止策を講じるようにとのことでございます。
 3番目としては、国民の健康を守るために関係大臣と密接に連携をして生産から消費までの食の安全・安心の総合的に確保する、特に国民の不安の強い放射性物質からの食の安全・安心の確保に全力を尽くすようにということでありました。
 また、4番目には事業者中心の行政を転換をして消費者や地域の現場の視点を大胆に取り込んだ新たな消費者行政を強力に推進すると。また消費者委員会の独立的地位と監視機能の十分な発揮に留意しつつ、消費者庁における消費者行政の一元化の推進に努めるようにということでございます。
 また5つ目に国の責任において拉致問題の解決に取り組み、すべての拉致被害者の一刻も早い帰国に向けて全力を尽くすようにと。
 また、6番目というのか、公正取引委員会に関する事務を担当するようにということでございました。
 最初に国家公安委員会委員長の関係のことを申し上げますと、政府の治安対策の責任者である国家公安委員長という重責を担うことになり、身の引き締まる思いであります。まず東日本大震災への対応については引き続き全国警察が一体となって行方不明者の捜索、御遺体の検視、身元確認、そして被災地のパトロール等に取り組んでいかなければならないと考えております。また、サイバー犯罪の増加等治安に対する重大な脅威に対しても的確に対応していかなければならないと考えております。国民の信頼と期待にこたえるべく、国家公安委員会の委員の方々と力を合わせて諸施策を強力に推進をしてまいります。
 消費者及び食品安全の内閣府特命担当大臣といたしましては、消費者行政については消費者庁、消費者委員会は発足以来3年目を迎えております。消費者・生活者が主役となる社会に向け、取り組むべきことの多くの課題に直面をしております。このため、消費者庁が消費者行政の司令塔として山積する課題、新たな課題に消費者の立場に立って対応する必要があります。また、消費者委員会が消費者行政全般に対する監視機能を発揮できるように努めてまいります。食品安全については食の安全は国民の命を守っていく上で重要な政策課題であり、国民の健康のほうを最優先に科学的知見に基づき、食品の安全性を確保するために全力を尽くしてまいりたいと思っております。
 拉致問題担当大臣といたしましては、拉致問題は我が国に対する主権侵害かつ重大な人権侵害であり、国の責任において解決していかなければならない問題であります。しかし、目に見える具体的な成果、進展がない状態が続いており、大変申し訳なく思っております。拉致問題については、一昨年10月に設置した拉致問題対策本部のもと、御家族等へのきめ細かな対応、情報の収集、分析の強化、関係国等々の国際的連携の強化などについて関係省庁と力を合わせて取り組まれてきたと伺っております。
 一方、拉致被害者家族は高齢化しており、被害者の救出は時間との戦いであります。拉致問題対策本部を中心に国の責任において、すべての拉致被害者の一刻も早い帰国に向けて全力を尽くしてまいります。
 公正取引委員会に関しては、独占禁止法、独占禁止政策を中心とする競争政策については審判制度廃止等を内容とする独占禁止法の改正法案を国会に提出しているところであります。同法案の成立に全力を尽くすなど、公正かつ自由な競争を確保するため基盤整備を図るべく全力で取り組みに当たらせていただく所存でおります。
 以上、非常に多岐にわたっておりますが、全力を尽くして野田内閣の一員として頑張ってまいりたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 御質問。

2.質疑応答

(問)3点にわたってお尋ねします。
 まず1つ目なんですけれども、国家公安委員長就任に当たっての抱負を改めて聞かせていただきたい。
(答)1つずつ?3つ一遍に言ってもいいですよ。
(問)そうしますか。2つ目は、取調べの録音・録画についてお尋ねいたします。一部可視化、全面可視化など制度の在り方を含め、法制審や警察庁の研究会の議論の方向性についてお考えをお聞かせください。
 3点目、東日本大震災の発生から半年を迎えますが、応援部隊の派遣継続など、今後の被災地での警察活動についてお考えをお聞かせください。
(答)国家公安委員長の就任に当たりましては、今述べましたように政府の治安対策の責任者ということで、この重責を担うということは身の引き締まる思いでございます。国民の安全を確保するために治安の確保には全力を挙げて取り組んでまいりたいと思っておりますし、特に東日本大震災の行方不明者の捜索や被災地における安全・安心を確保するための諸活動、あるいは災害警備活動を引き続き推進していくことが重要だと認識をしております。また、災害及び各種事案に対する危機管理においても万全を期してまいる所存でございますし、サイバー犯罪の増加等新たな脅威も出てきておりますので、的確に対処してまいりたいと思っております。
 可視化の問題については、これはもう国会の中でも随分と今論じられては今までまいりましたが、既に国家公安委員長主催の研究会、御案内のとおり設置されて、この治安の水準を落とすことのない取調べという大前提を守りながら、可視化の在り方、捜査手法の高度化について検討をされていると、こういうふうに承知をしております。
 また、法務省においては、私は以前法務政務次官をやっていたことがありますが、法制審議会においても、今鋭意検討、審議をしていると承知をしております。この問題は、警察の捜査や治安のもとにも大きく関わる極めて重要な問題でありますので、法務省ともよく連携をして十分に議論をして検討を進めてまいりたいと、こういうふうに思っております。
 3番目の御質問は、東日本のことについては今も申し上げましたが、発生してから半年を迎えることになっておりまして、全国から被災地3県に対して部隊を派遣するなどしているわけでございますが、引き続きこの部隊をこの現地で頑張ってもらうようにしてまいりますし、全国警察が一枚岩となって行方不明者の捜索やまたパトロール等各種の活動を継続的に引き続き推進をして被災地の安全・安心の確保に万全を期してまいりたいと思っております。
 以上でよろしいですか。
(問)拉致被害者の御家族に関してなんですけれども、これからまた近々お会いになると思いますけれども、どのような思いで御家族に向き合いたいということが1点と、それから拉致被害者の救出ということが非常に時間がかかっていることに関しまして、新大臣としてはどのような点が一番問題か、あるいは中野前大臣とそれについて何かお話しになられたり、お声がかかったり、御相談をしたかどうか、そのあたりについて。
(答)拉致についてはそれだけでいいですか。もう拉致問題については、これはもうどなたも共通だと思うのですが、その御家族の御心情を慮れば、本当に気の毒だし痛ましいし、これでいいのかと、こういう思いを共有しております。中野大臣とは、もうそういうことは日ごろからよく話を私も承っており、意見も交換しておりますが、おおむね共通する点が多いと思っております。
 ただ、残念ながら、今御指摘のように現実その目に見える進展というのは余り見られないのは事実でありますが、本当に今後とも鋭意いろいろな面から捜査ももちろんそうですが、海外の各国との協力等々を含めて、全力を挙げてこれに取り組んでいきたいと、こういうふうに思っております。
(問)1点、外国人参政権の関係で参政権を付与していきたいというような御発言があったと思うのですけれども、そういった中で拉致問題を解決するに当たって、拉致家族の方にはどのような、どんな形でこの辺の御説明というのか、していきたいということなんでしょうか。
(答)外国人参政権のことについては、党でそれを推進するということが決定をされまして、当時私は国対委員長と、こういう立場でございますので、自分の特別な見解ということよりも、党としての仕事を推進をしてまいりました。そのことと、またこの拉致被害者のことについては、別な次元の問題だと思っておりますので、拉致被害者の皆さんについては今申し上げたとおり、これはもうほとんどの日本人なら同じ気持ちであると思いますが、この被害者の皆さんの救済に全力を挙げていきたいと、こういうふうに思っております。
(問)暴力団の対策についてお尋ねをしたいんですが、警察は御承知のように今暴力団の壊滅に向けてさまざまな取組みをしておりまして、とりわけ国内最大組織という山口組の集中取締りをやっているところで、先日は人気タレントの島田紳助さんが山口組の幹部と親交があったということを理由に芸能界の引退を表明したわけですけれども、警察はこの警察だけではなくて、社会全体で暴力団を排除しようという取組みを続けているわけですけれども、山岡委員長の暴力団の幹部、あるいは国家公安委員長として、暴力団対策、どのように取り組んでいかれるのか、抱負を聞かせていただければと。
(答)個々の具体的事案についてはここで述べることは差し控えさせていただきますが、おっしゃるとおり、その暴力団の問題というのは、単にそこだけを追及をするだけではこれは本当に─イタチごっこと言っては表現が的確ではありませんけれども、また別な分野に伸びていってしまうと、こういうものもあるので、当然個々についても全力で取り組んでまいりますが、やはり一番重要なことは社会全体でこういうことがあってはならないんだと、こういう気持ちになっていただいて、社会で本当に抑え込んでいくと、こういう体制ができていかないと、本当の意味での無くしていくということは不可能で、1つを潰せばまたどこかから出てくるというふうに先ほど申し上げたようになってしまうおそれがあるので、このことについても本当に今後とも全力を挙げて皆様の御理解をいただき、また警察当局としても、そういうお気持ちの皆さんを全力でバックアップをして取り組んでいきたいと、こういうふうに思っております。
(問)大臣の消費者庁の担当大臣は2年間に7人目ということになります。司令塔としての機能を期待されてできた消費者庁ですが、このようにトップがころころかわることによって政策の一貫性というものがなかなか保てない状況にあるかと思います。特に、今国民生活センターとの一元化の問題を消費者庁は議論しておりまして、その中で蓮舫大臣は廃止を含めた見直しとおっしゃって、細野さんはさらに議論を必要というふうな結論を出されました。この政策の一貫性というものをどうやって担保していくのか、そしてこの国民センターについてどのようなお考えを持っておられるのか、お聞かせください。
(答)ころころかわると言われればそれは事実でございますから、おっしゃるとおりの現象ではあると思います。ただ、これはもう一般論的で恐縮ですが、政府は一体でございますから、人がかわっても目的は一つでございます。特に私に限って言えば、ちょうど私が国会対策委員長を随分長いのですけれども、自由党時代を合わせると通算6年やって、手前味噌ですけれども、まず最長不倒じゃないかと、こういうふうに思っているんですが、昔の国対と今の国対は違うのは、そういう駆け引き、取引が国対と思われがちですが、最近はそうはいかないんで、結局政策ごとにどう相手と折り合うかということが非常に重要な要素になっております。そういう点で当時は、例のギョウザ問題等々がありましたし、お米の問題もあったのかな、あのころは。そして、私は民主党のBSE対策本部長もやっておりまして、最近何か関心が薄くなって存在感もなくなってきましたけれども、アメリカにも二度調査に行ってアメリカの長官と侃々諤々やり合ってきたわけでございますが、そういうことから例の消費者特別委員会─特別委員会というのは常設のものと1回だけのものというのがあるわけですけれども、私はこれは極めて重要な問題なので、今は若干下火になっていることは否めないかもしれませんが、長期的に見ればこれは生活者を守り、消費者を守っていくという、また子供たちや孫たちの生活を守っていくという上においても極めて重要なものだと思っておりますので、これを当時は国対委員長としてこれを常設のものにしようと各党に働きかけて常設にしたのを覚えておりますし、当然消費者庁というのもできてきたわけでございますから、もちろん、私がしたなどと偉そうなことは申し上げませんが、大いにそれに貢献をさせていただいたとは思っております。
 そういうことで、私はこのことには非常に大きな関心を持っておりますので、確かに新しい担当ではありますが、そのころからの延長線上でこれに取り組んでおりますので、最初の話に戻りますけれども、人は表向きはかわるかもしれませんが、中身においてはみんな同じ気持ちですし、特に私はこれに対する強い使命感を持って臨んでまいりたいと思っております。
 よろしいですか。
(問)国民生活センターとの一元化については。
(答)失礼しました。このことは、一元化の話は今まで進んでいたのは蓮舫さんがとか細野さんがとかというお話はありましたが、組織的にいけば、これは消費者庁と国民生活センターの当事者間の話でこれは進めてきて、その話がある程度まとまったと、こういう事態であるわけですから、そのことについては、そのほかにも関係する皆様はたくさんあるわけで、消費者委員会だとか、あるいは消費者の消費団体の皆様とか、あるいは一般の消費者の皆様とか、非常に裾の幅が広いわけでございますので、その皆様との意見交換も十分なされていくべきものと思っております。したがって、一元化を目指すという結論は当事者間で出たことは承知しておりますけれども、これからもそういう関係者の皆様と十分論議をして、ある意味ではそういう関係者の皆様中心の制度をつくっていきたいと思っているわけで、省庁のための制度ではありませんので、そういうことからこういうことを踏まえてこれからも試行や検証を実施をして、しかるべき時期に政務としての判断をしていきたいと、こういうふうに思っております。
(問)もう一つ別の質問ですが、かつてネットワークビジネス推進連盟というところからマルチの業界の方も入っている団体とお聞きしましたが、ここから政治資金、資金提供を受けていたということがございました。このことについて、大臣はどのように自分の中で整理をされていらっしゃるのでしょうか。
(答)ネットワークビジネスというのは、あくまでも合法なビジネスで、俗に言うマルチ事業と言われている、そういう違法なものではないわけですし、またそういう違法をきちんと取り締まっていかなきゃならないと、そういう趣旨である程度見守ってきたのは事実でございますが、ただ、献金パーティー等々の話については、私は直接タッチはしておりませんけれども、すべて私のあらゆるものについては政治資金規正法に基づいてきちんと行われております。
(問)その関連で大臣の議員連盟、ネットワークビジネスの推進議員連盟の会長とかなさっていたと思うんですが、今はこのあたりどういうふうになっているのでしょうか。
(答)それは頼まれ会長をいっとき引き受けましたが、かなり以前にそこは辞退をしておりまして、もうそこは私は今は関与しておりませんので、状況はよくわかりません。
(問)それと、消費者庁ではマルチ商法を規制する特定商取引法を所管していると思うのですが、その担当大臣として、マルチ商法については今後どういうふうになさっていくか、お考えをお聞かせください。
(答)ですから、いかなる職種、職業であっても違法なものは違法で合法なものは合法なんですね。ですから、いかなるものにも違法のあるものについては、そこは厳しく断固とそういう違法を生じさせないように、また生じた場合には厳重にそれに対処をするようにすべきであるわけでございまして、しかし、合法的に正規のビジネスとしてやっていらっしゃる皆様については、それぞれの使命感を持ってやっておられると思っております。
(問)以前献金返されたときに、ニューワールド社という会社を通じて献金返されたことがあったかと思うんですけれども、その会社と大臣との関係というのは、どのような関係でしょうか。
(答)今は─今というか、関係はありません。
(問)以前はどういう関係があったんですか。
(答)国会議員になる以前には、それは関係をしておりましたけれども、国会議員になってからすべてのビジネスからは、あるいは役員から手を引きましたので、関係はありません。
(問)今株式お持ちであったりとか、親族の方が役員につかれていたりとか、そういう関係もないということでよろしいでしょうか。
(答)そうです。
(問)山岡先生の地元のお話なんですけれども、一昨年の衆議院選挙で山岡委員長の陣営が電話で有権者への投票の呼びかけをした女性事務員2人、法律で禁じられている報酬を支払ったというようなことで団体から告発が出まして、これについて宇都宮地検が今現在も捜査をしていて、まだ処分が出ていないと聞いているんですけれども、このことについて御説明をいただきたいんですけれども。
(答)1年以上前になりますか、そういう新聞記事があったということであります。しかし、私どもはそういう捜査の対象になるような事案やそういうことは一切行っておりません。選挙法に抵触しているものは全くないです。そういうことです。
(問)追加なんですけれども、今おっしゃったのは、電話の依頼をされた投票員の方に、これボランティアなら法律的には認められるそうなんですけれども、報酬を払ったことはないということですか。
(答)そういうことです。
(問)先ほどちょっと聞き忘れちゃったのですが、外国人参政権の付与については、山岡先生は個人的にはどのようにお考えでしょうか。
(答)今こういう拉致担当大臣という立場でございますから、それは大臣としての見解は申し上げますが、個人的見解を申し上げることは差し控えさせていただきます。

(以上)