細野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成24年9月11日

(平成24年9月11日(火) 9:36 ~ 9:51  於:環境省22階第1会議室)

1.発言要旨

  私からは2件、今日は御報告申し上げます。本日の閣議におきまして原子力規制委員会設置法の施行日を9月19日とする政令、その他、原子力規制委員会設置法の施行に伴い新規制の制定、改正が必要となる政令を併せて、計8本につきまして閣議決定されました。この原子力規制委員会設置法ですけれども、政府の中では松下大臣が副大臣として担当をしていただいておりまして、法案の調整にも当たっていただきました。去年の3・11の時は経産副大臣。その後、復興の副大臣。、私と一緒に福島の問題に対応していただいた方でございまして、こうした法の施行、今日の閣議決定施行を待たずに昨日、お亡くなりになったということで、本当に残念です。松下大臣の思いというのは、副大臣の時の思いも聞いてまいりましたし、大臣になられてからも常に福島のことをサポートしていただいてきましたので、この思いを決して無駄にすることなく、この規制委員会をできるだけしっかりしたものにしていくべく、サポートをしていきたいというふうに思っています。原子力規制委員会の委員長、そして、委員でございますけれども、19日付けで原子力規制委員会委員長といたしまして田中俊一氏を任命する旨、閣議で了解されました。また、同じく原子力規制委員会、委員といたしまして大島賢三氏、島﨑邦彦氏、中村佳代子氏及び更田豊志氏を任命する旨、閣議決定をされました。本件は国会同意人事でありますので、先の国会で採決に至らず閉会となったこと自体は大変残念に思っております。法律上、9月26日までに原子力規制委員会を設置することとされておりますので、また、原子力緊急事態宣言中ということも踏まえますと、速やかに委員会を立ち上げる必要があると考えております。このため、法律に基づきましてこの5名を9月19日付けで任命しようとするものであり、その旨、任命権者である野田内閣総理大臣から閣議の中で御発言がございました。さらにこれら5名の方が本日付で内閣官房参与に任命されることになりましたので、併せて御報告を申し上げます。5名の方々につきましては原子力規制委員会が法律上設置をされるまで、発令ができないため、この委員会が発足直後から円滑に業務を開始できるよう、委員会発足までの間、内閣官房参与として原子力規制庁の職員の人事や組織、議事運営の規則につきまして協議いただくなど、発足準備作業の任務に当たっていただくことといたしております。これら5名の方々につきましては、後ほど私から内閣官房参与の辞令をお渡しをさせていただく予定をしております。
 もう1件は、洋上の漂流がれきの件につきまして、御報告申し上げます。9月8、9日のAPECの機会におきまして、総理より米国、カナダに対しまして、東日本大震災に伴う洋上漂流物に関る総額600万米ドルの資金供与の表明を行ったと承知をしています。これは政府内で様々な調整をしてまいりまして、環境省としてはこのうちの400万ドルをこれを予算の中で対応すべく、準備を進めてきたものでございます。国際法上、この洋上の漂流物について責任があるということではありませんけれども、米国のトモダチ作戦を通じた救助、がれきの処理等に多大な御支援をいただいたという、この米国に対するやはり感謝の気持ちを表す必要があると考えております。また世界に先駆けて日本産食品の輸入規制を撤廃するなど、物心両面でカナダの皆さんには多大なご支援をいただいております。こうした両国に対しまして、善意に基づく見舞金の供与を表明することは、これは時宜を得たものではないかと考えております。また、民間も含めた様々なレベルでの対応を検討していくことも重要であります。予測によりますと、漂流物の北米大陸海岸への本格的な接近は、10月頃から始まるとされておりまして、速やかな対応が必要となります。このため、8月の日米NGOによります意見交換会の結果を受けまして、漂着状況を注視をしながら適切な時期に、地球環境基金を活用した2000万円程度の支援によりまして、日米のNGOが連携をした現地での活動を行えることといたしました。更に、今後のNGOに対する支援を継続して行うため、環境省としても25年度当初予算に2200万円程度を計上をしております。環境省といたしましては、総理からも表明があったこの資金供与以外に、今申し上げたような形でNGOに対する引き続いた支援を行ってまいりたいというふうに思っております。私からは以上です。

2.質疑応答

(問)共同通信の太田です。よろしくお願いします。規制委員会に関してですが、規制委員会の委員長、委員の人事については、いろいろなところから批判も出ています。そうした中で、国会同意人事がないまま発足するということは、組織の信頼性という意味で、原発の運転を望む人にとっても、望まない人にとっても、なかなか納得し難い部分があるのではないかと思いますが、今回、同意がないまま発足させるということについて、大臣のお考えをお願いします。それと、今後の臨時国会等で事後承認というものを早期に求めていくということになるのでしょうか。お願いします。
(答)原子力規制委員会の委員長及び委員は、国会の同意人事とされておりますので、それがこの通常国会でなされなかったことは非常に残念だと思っております。政府としては、発足が9月26日までという法律上の規定がございますし、また原子力緊急事態に依然として我が国があるということを考えれば、早期に発足をさせなければなりません。そういう意味で、法律の根拠に基づいたものでありますので、その点では手続きに問題はない。これが政府としてとるべき対応であるというふうに考えております。今後なのですけれども、福島の対応もありますし、新しい様々な規制をどのようにしていくのか、例えば、破砕帯の問題なども原発によってはあるわけです。そういった意味では発足をした直後に既に原子力規制委員会そのものが、厳しく国民から、様々な活動なり判断を問われると、チェックをされるということになろうかというふうに思います。ですから、この原子力規制委員会の今後の活動で、国民の皆さんに原子力の規制に対する態度というのが変わったんだということをしっかりと分かっていただけるよう、努力をいただくことに尽きるのではないかというふうに思っております。国会の同意につきましては、原子力緊急事態にあるという現状を踏まえまして、政府として、適切に対応するということになろうかと思います。
(問)確認ですけれども、当面は原子力緊急事態であれば、同意を得る必要はないということになると思うのですが、当面は同意を得ないままやっていくということになるのでしょうか。
(答)先ほど申し上げた通りです。
(問)それともう1点、先ほど、松下金融大臣の件について大臣からも御発言がありましたが、報道では閣僚向けの遺書もあったというようなことも報道されていますが、今日の閣議や閣僚懇でそのことについて何か報告や意見のやり取りはあったのでしょうか。
(答)閣議の冒頭で全員で黙祷をいたしました。それは閣僚全員の思いであったと思います。具体的な背景であるとか、松下大臣が残された言葉であるとか、そういったことについての言及はありませんでした。
(問)フリーランス記者の上出です。幹事の方の質問に重ねてですが、原子力規制委員会の委員の人事については、いろいろな問題があるのではないかと指摘が随分あります。 改めまして、この人たち5人が適切なんだという思いですね、もう一度細野大臣の言葉で国民向けに説明していただくべきだと思うのですが、いかがでしょうか。
(答)それぞれの任命理由につきましては、提示をいたしましたときに、かなり詳細に説明しておりますので、それに付け加えることはないです。新たに付け加えるという中身はございません。ですから、そこを御覧いただければというふうに思うのですが、1つだけ申し上げると田中委員長はじめ、この原子力規制委員会の中で、専門的な知見を持って、当然今回の事故に対する反省を踏まえて厳しく規制をするということが重要だと思っております。
 従いまして、原子力そのものの専門である田中氏、更田氏ですね。更田氏の場合はシビアアクシデント専門ということになります。田中氏の場合は除染等を通じまして福島の問題について関わってきたという経緯がございます。そういう中での人選ということです。その他3名についても、それぞれこういう専門分野でということについての明確にしております理由がありますので、そちらを御覧いただければと思います。
(問)朝日新聞の大鹿と言います。先日出版された証言という本を読んだんですが、民主党のほうは9月6日の政調役員会のほうで、原発ゼロ社会を目指してという提言を決められたかと思うのですけれど、一方で大臣は、御著書の中で鳥越さんとのインタビューに答える格好で、15%が1つのベースになりうるとか、あるいは核燃料サイクル施設については、技術は残していくというご趣旨のコメントというか言及されていますが、党の方針と御自身の考えで齟齬をきたすことはないでしょうかというのが1点と、今後も制度をどう決めるのかわかりませんけれども、細野さんとしては、15%をベースとなるとお考えになっておられるのでしょうか。以上2点お願いします。
(答)私、記憶が全て定かではありませんけれども、著書の中で15%がベースということは言ってましたか。
(問)鳥越さんとのやり取りの中でそのように受け取られるような言及がありました。
(答)ちょっと正確なたぶん表現ではないと思います。記者会見のなかで15%ということを申し上げたのは、40年廃炉ということに対しての考え方と齟齬がある話がエネルギー基本計画、資源エネルギー庁の総合エネルギー調査会の中で出てきているので、それは40年廃炉と考え方が違うのではないかという御質問があったので、それに対して40年ということになれば15%というのが一つのベースには考え方としてなるのではないかと、つまり、そことの整合性の話で申し上げたので、2030年に15%にすべきであると考え方を表明したことは、私は一度もありません。ですので、若干受け止め方が私の認識とは違うということです。
 私が申し上げたいことは、六ヶ所の問題も含めてそうなんですが、技術は残していかないと、廃炉もできないし、そして福島の問題も解決できない、そのことを一番リアルに自分自身が感じているということなんです。誰かが声を大にして言わないと、日本の原子力は完全に技術者がいなくなると思います。おそらく10年、20年を待たずに滅ぶでしょう。それは、本当にこの問題を解決することに繋がるのかということについて、私は強い危機感を持ってます。そのことを強く申し上げているのです。加えて青森の問題はあります。これまで様々なご苦労をされてきた方々の思いというのをですね、それをしっかりと受け止めた上で、どう解決をしていくのかということを考えなければなりませんので、その意味で青森の問題であるとか、原子力の技術の問題については、あえて強く発信して 政府の中でも言い続けているということです。

(以上)