細野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成24年5月22日

(平成24年5月22日(火) 8:48~9:10  於:環境省22階第1会議室)

1.発言要旨

 私からは1点、利根川水系の浄水場で水質基準を上回るホルムアルデヒドが検出された件につきましてご報告申し上げます。20日に事務次官をトップとして、水質事故省内連絡会議を設置、開催をしました。また、昨日、厚生労働省と共同で水質事故原因究明連絡会議を設置し、調査等の検討を開始したところでございます。国民的な関心が非常に高いテーマでもありますし、非常に広域で検出されたというそういった、極めて重大な関係でもありますので、引き続き都道府県及び関係省庁と情報交換を密にするとともに、原因がどこまで明らかになるかということも含めてですね、取り組んでいく必要があるというふうに思っております。結果につきましては適宜公表してまいりたいと思っております。以上です。

2.質疑応答

(問)NHKの間嶋です。2点伺います。1点目、漂流がれきについてです。海外に流れ着いたボールなどを今、善意で返そうというような動きがあると思いますが、シミュレーションでは今後10月くらいから、家の木材などが大量に流れつくということになっていると思います。アメリカ議会からも懸念の声があがっていて、善意にも頼れないというふうに思うのですけれども、そのあたりについての大臣のお考えをお願いします。というのが1点目です。もう1点が、福島のがれき、国直轄で行う対策地域内廃棄物の処理についてです。先日、広野町の町長が他の町のがれきの処理を担うこと、受け入れることは認めないという考えを明確に示されました。浪江町もまだそのような話が進んでいる段階ではないと聞いています。除染とともに、非常に重い課題だと考えますけれども、そのあたり、どのように大臣として対応していきたいかということについて、以上2点お願いします。
(答)まず、漂流がれきですけれども、昨年の段階から、割と早い時期から、アメリカでいえばNOAAですね、ここと環境省中心にですね、様々な情報交換をしてまいりました。シミュレーションは日本もかなり時間を掛けて、しっかりやっておりますので、そうした情報共有は、相当、初期の段階から円滑にできたのではないかというふうに思います。誤解なきように、これは国内にも海外にも申し上げたいと思いますが、漂流をするであろうと予想されているものは、これは、津波のがれきですので、原子力発電所の事故が発生する前です。したがって、放射性物質がそれこそ付着をしているとか、そういう懸念があるものではありませんので、その面においての安全性ということについての懸念はないということは明確に申し上げておきたいと思います。あとは、回収ですね。これは、我が国にも様々な国から様々なものが漂流してきておりまして、それについても従来から対応してきたという経緯がございます。従って、確かに我が国から流れたものであるという場合であっても、そこはお互いに協力しあって、というようなやり方をこれまで捉えてきたという経緯があります。そこで、とはいっても、今回流れるがれきの量は、非常に量が多くなる可能性がありますので、民間も含めて、どういう協力関係の中で、しっかりと処理することができるか、そこはいろいろと工夫の余地があるのではないかなと思っております。そういう情報交換を今米国ともしているところでございます。
 続いて、福島県内の、特に、警戒区域及び緊急時避難準備区域を含んだ地域のがれきでございますけれど、いろいろな町村と、どうした処理のやり方があるかということについては協議しております。一番難しい問題なのですけど、それぞれの市町村ですべて自己完結ということになりますと、これは非常に少量のところもありますので、なかなかそこだけですべて完結をして、最終処分も含めてやりきるというのは、率直にいって難しい面があると思うのです。ですから、除染も含めてそれぞれの役割分担ができないだろうかというのが、政府の基本的な考え方ですが、まだ、それぞれの市町村と合意ができている訳ではありませんので、しっかりとそれぞれの自治体の意向もふまえながら協議をしていきたいというふうに思っております。
(問)フリーランスの畠山と申します。26日の福島第一原発の取材について、伺いたいと思います。新聞、テレビ、海外メディア、インターネットメディアについては、代表カメラによる撮影が許可されているのですが、フリーの記者だけは、撮影が禁止されていて、代表のカメラも入れないという状況になっております。この点について大臣の御見解を伺いたいと思います。
(答)東京電力のほうで様々な調整をした結果ということですので、それについて、私の見解というところまでの詳しい話は承知をしておらないです。ただ、実際に取材をしていただくということになると、人数をどうしても制限せざるを得ませんし、またプレスの公開の場所も、スペースが限られているということですので、代表という形になったというふうに承知をしております。他のメディアについても、代表カメラマンの方のみ撮影が認められているということのようですので、フリーの方の中の代表というのをどうするのかということが、今後もしそういう御要望があるようであれば、検討課題としてあり得るのではないかというふうに思います。具体的に何らかの形で映像が提供できないかどうか、そういう御要望もいただいているということですので、そこは何らか方法がないかどうか検討してみたいと思います。
(問)そこでなのですけど、今回フリーの代表のカメラが入れないという理由で、核物質防護要員の人員が足りないということを、東京電力のほうが言っているのですけど、この核物質防護要員の人数というのは大臣のほうで把握はされているのでしょうか。
(答)核物質防護要員ですか、それは東電の社員ということですか。
(問)カメラで撮影するときに、東電のほうからカメラと一緒についていって、ここは撮らないでくださいと説明する要員が足りないので、カメラを1台増やすことは難しいという説明を受けているのですけども。
(答)原子力施設ですので、そういう規則にのっとった、ルールにのっとった運用というのは必要なんでしょうね。詳しい何人必要かとか、そういったことについては把握しておりません。
(問)ニコニコ動画の七尾です。2点あります。国会事故調なんですけど、細野大臣へのヒアリングが非公開で行われたことにつきまして、大臣は公開を希望されたという報道があるのですが、非公開で行われたことにつきまして、疑問に思っている国民も少なくないと思うのですけれども、非公開で行われたメリットなどについてはどうお考えかまず1点伺います。2点目は、再稼働に関しまして、自治体などが、原子力規制庁の早期設置を求めておりますけれども、成立が見通せない状況が続いております。改めてお伺いしたいのですが、規制庁による自公案と政府案のものとが、相反する中で大臣としては、現在の心境としてはどう折り合っていくべきと考えていらっしゃるのか、法案の内容のあり方について、改めてお伺いします。
(答)まず、国会事故調ですけれども、この会見でも発表させていただいたときに、私のほうから申し上げましたが、私は、公開していただくのが、言った言わないということも含めて、すべてオープンになりますので、好ましいのではないかというふうに思いまして、 かなり強く要望いたしました。また、残念ながら、ヒアリング自体が事故調の主催ですので、そこの運用の仕方について、最終的に決定する権限は事故調自体にありますから、その判断で非公開になったということです。国会事故調自体は、法律に基づいて立法府のほうで作られている非常に権威ある調査会ですので、私のほうが、あまり運営について、どうだったかということについては、コメントを控えたほうがいいだろうというふうに思います。
(問)それについてですが、結果的に、大臣がヒアリングを受けた結果を踏まえて考えますと、例えば、非公開と公開の差というのは実際あったとお考えでしょうか。つまり、ヒアリングが公開されたとしても、大臣のお答えなり質問については影響があったのかどうかというのは、改めてどうなのでしょうか。
(答)質問する側に影響があったかどうかは、それは質問する側の問題ですので、私はそれは分かりません。私に関していうならば、答えるほうですので、公開、非公開、これは関係なく、事実として承知をしていることを申し上げました。そういった意味では、私としとしては、どちらであったとしても変わらなかったというふうに思います。
 2点目ですけれども、再稼働との関連も含めて、原子力規制庁の早期発足が必要ではないかと、そういう御趣旨で御質問をいただいたのではないかと思いますが、私も非常に危機感を持っております。もちろん様々な規制のレベルを上げて、再稼働も含めて様々な判断をしていくということも重要ですけれども、それと同時に、例えば自治体の防災計画なども早く作っていただきたいわけですけれども、その作業も規制庁の誕生が遅れることによってできないのです。これまでの規制の仕組みというのは、そういったものを法律に基づかない形でやってきたという、これも非常に問題があったと思います。それを改めて、自治体の皆さんにも様々な準備をしていただくと。稼働していなくても燃料がありますから、リスクはやはり存在するわけですので、それも考えた時に、現状放置をすることはできないのではないかと思います。そのことも含めてそうなのですが、ある程度は、やはり国会で議論していただいて、良い方向を見いだすということがなければ前に進みませんので、なんとか是非お願いしたいと、そんな思いです。
(問)最後に。自公案にはある程度、大臣としては理解があると、そういう現状でしょうか。いわゆる、独立性の高い三条委員会的なものということなのですけれども。
(答)先ほど私も耳にしたニュースなのですけれども、NRCのヤツコ委員長が辞任を表明されたのですね。私、NRCと、この間協力してやってまいりまして、非常に高い見識を持って、日本に対して素晴らしいサポートをしていただいたという意味で、心より感謝しています。ヤツコ委員長に対しても、大変感謝の念と強い敬意を表したいというふうに思います。
 ただ、委員会というのは難しいのですね。どういうふうに難しいかというと、議会の承認がありますから、その中でそれぞれの、例えば他の委員との関係とか、専門性がそれぞれ微妙に違いますから。そういった中でこの1年間を見ていましても、NRCの中で、非常になかなか難しいやりとりが行われてきたという経緯は、私も垣間見てきたわけです。果たして、危機管理をやる時にどういう組織がいいのかというのは真摯にやはり議論するべきだと思うのです。私は委員会形式がすべて悪いとは言いません。それも一つの考え方だと思います。しかし、これまでの、例えば、国会での同意人事を巡るいろいろなやり取りであるとか、そういったことも考えると、本当にこの危機的な状況を乗り越えられるのかということは、自民党の皆さんにも真摯に考えていただきたいと思うわけです。ですから、危機管理も含めてやり得るような仕組みとして委員会をつくれるのであれば、それも一つの考え方だというふうに思いますが、そこは相当しっかりした形をつくらなければ、我が国の危機的な東京電力福島第一原発の状況や、また危機管理をこれからしっかりしていかなければならないという重い課題に応えることができないのではないかというふうに思います。
(問)京都新聞です。先日広域連合に御出席されていましたけれども、出席を受けた大臣の見解をお聞きしたいのですけれども、この中で、大阪市の橋下市長が臨時の再稼働を提案されましたけれども、これについて検討する余地があるかというのが1点と。
 もう1点、政府の安全基準について、山田京都府知事が、原子力を規制する基準である以上は、やはり安全委員会に意見を求めるのが法的な筋であるというふうにおっしゃったと思うのですけれども、この2点の見解を教えていただきたいのですけれども。
(答)まず臨時の再稼働ですけれども、これは、私は広域連合に対しては、安全性について政府の考え方を説明にはまいりましたけれども、例えば再稼働の在り方であるとか、実際の原発の運用のほうについては、やはり役割分担をしたほうがいいだろうということで、直接一切説明をしておりませんし、答弁も控えていたのです。需給もそうです。そちらも混同しないほうがいいだろうというふうに思いましたので、そこは役割分担をいたしました。したがって、そういう話が橋下市長からあり、そういう事実についてはもちろん担当の部局に伝えてはおりますけれども、それについて私が今日の時点でここでコメントするのは控えたいというふうに思います。
 安全基準についての考え方は、山田知事に対しても広域連合の場所でもお伝えをしました。ですから繰り返しになってしまいますが、概略申し上げると、原子力安全委員会のほうで、様々、これまで出された見解も踏まえて、再稼働についての基準として出てきたものと。これは法律に基づいたものということではないわけです。再稼働というのは法律でこういう手続きをということで書かれているわけではなくて、審査はしっかりしますが、最終的な稼働そのものの判断はそれぞれの事業者がやっていたという経緯がありますので、そういったこれまでのやり方では通用しないということで、これまでの慎重な科学的な検討の結果を踏まえて、基準として示されたものです。ですから、それ自体はそういう経緯でございますので、安全委員会の様々なこれまでの見解も踏まえているという意味で、改めて安全委員会に諮るということはしていないということです。その意味では、新しい規制庁が誕生すれば、本格的な様々な規制というものが法律に基づいてできるわけですが、残念ながら国会で、そういったことが議論されていないという状況ですので、現段階で、再稼働について定められた暫定的な安定基準ということはできるかというふうに思います。
(問)関連なのですけれども、関西広域連合の中で、大飯原発に関して特別な安全監視体制をつくるという発言もあったと思うのですけれども、この具体的な中身と、あるいはこれをつくるのであれば、スケジュールといったものをどう位置づけているのか、あるいは、規制庁との関係でこれをどうするのかという位置づけと、具体の中身を、少し分かれば教えていただきたいのですけれども。
(答)今そこは、特に地元の自治体との間で様々な協議をしているところですので、まずはその協議を待ちたいと思います。それほど時間をかけてゆっくりやるというものではなくて、できるだけ早期にそういったものの形をつくっていくべきものだというふうに思います。規制庁が誕生したあとどうするかということについては、これから検討していかなければならない重い課題だと思います。今回の再稼働を巡って見ていても感じるのですけれども、自治体とのコミュニケーションをどう強化をしていくかというのは極めて重要です。ですから、そこは何らかの、やはり、形をつくることが望ましいのではないかというふうに思います。その時に、エネルギー政策の責任をどこが担うのかというのは欠かせない視点だというふうに思います。やはりそこは、国の責任というのが非常に重いというふうに思いますので、主体はやはり国であるべきでしょうね。そこにどう自治体の皆さんに関わっていただくか、コミュニケーションを評価をすべきかというのが、課題としては、規制庁の中でも非常に重要なものとして認識をするべきだというふうに思っています。
(問)共同通信の兼次といいます。利根川水系の浄水場で出てきたホルムアルデヒドの検出の件でお伺いしたいのですが、埼玉県が、原因物質について、今後、法規制で明確に排出量などを決めるよう国に求めるという方針を決めているみたいなのですが、原因物質が今後特定された場合、例えば今、水質汚濁防止法などでいろいろ規制をかけている物質があると思うのですけれども、そういう形なのかそれとも別の何か基準をつくるのかはまた別なのですが、何らかの形で法規制を設けるということについては、どういうふうに大臣がお考えなのかということをお伺いしたいです。
(答)埼玉県のほうからどういうご要望があるのかは、しっかり私も聞きたいと思います。今の時点では、確かに検出されたのはホルムアルデヒドという物質なのですけれども、これが生成された経緯というのがまだ分かっていないのですね。ですから、例えば、出てきた物質がどういう物質で、それが例えば何らかの化学的な変化によってこの物質になった可能性もあるという報告を受けております。したがって、原因が明らかにならない中で、今の時点で規制をするということができるのかどうかも含めて、まだ判断をする材料がないというふうに思います。ですから、原因究明はもちろんやっていかなければなりませんし、自治体の御要望というのも聞かせていただいた上で様々な検討をしていかなければならないというふうに思います。

(以上)