平野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年8月2日

(平成23年8月2日(火) 8:41~9:02  於:合同庁舎5号館3階特別会議室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 私の方からは、まず、日曜日に新潟県に出張してまいりました。27日から断続的にかなり強い雨が降っておりまして、27日からの積算降雨が600ミリを超えるようなところも何カ所か出てきておりましたし、時間雨量については80ミリ、最大で121ミリという、もうこれまでにないかなり強い雨が降ったというところであります。
 日曜日朝、新潟県入りしまして、泉田知事、それから三条市を中心に回ったのでありますけれども、國定市長に出ていただきまして現地の状況をお聞きするとともに、堤防決壊等々の現場を見させていただきました。
 午後からヘリに乗りまして阿賀野川をずっと上りまして、奥只見の方に行きましたが、かなりあちこち小さな地滑りあるいは土石流等々が発生していまして、あれが原因で河川が相当濁っているのかなという感じがしました。
 泉田知事は、できるだけ早く復旧復興を急ぎたい。普通は災害査定があった後に工事着工するんですが、査定前着工に入りたいという強い意欲を示されておりまして、そういったことについても、国の方でも全面的にお支えをしたいというようなことを申し上げてきました。
 なお、今回の震災、非常に雨が多くて、よく比較されるのは平成16年の7・13豪雨というのがあるんですが、あのときの降雨量等々と比べますと倍近くの雨が降っているのではないかと思います。強さにおいても、あのときは最大で80ミリぐらいが一番最高じゃなかったかと思いますが、時間雨量ではですね。80ミリでもすごい量なんですが。全体として浸水被害等々は少なかったということでありまして、7・13の教訓が生かされているというのはもう既にマスコミに一部報道されておりますけれども、生かされた面はあると思います。いずれ今回のあれだけの降雨、これだけの記録的な豪雨があったにもかかわらず、床上浸水あるいは全壊家屋、床下浸水等々が比較的少なかったということについて、どういうことだったのか。あるいは避難誘導等が円滑に行われたと聞いていますが、どういうことで円滑に行われたのか等々についても、まずこの被災の状況が明らかになって災害復旧が始まったあたりの段階で、防災担当の方に命じてきちんと整理をさせたいと思っています。このことで次の、いわゆる大雨に対しての洪水警報・警戒、治水、どういうことをやればいいのかということについてのある一定の方向性が見えてくるかもしれませんし、また足りない部分も見えてくるかもしれないという意味で、そちらの方をあわせてやりたいということであります。
 2つ目でありますけれども、今日の閣僚懇で、お手元に「復興事業の促進について」ということで私の方から発言を申し上げました。7月29日に復興方針が決定しておりまして、復興方針にはかなりの多くの中身、何をやらなければならないか、何をやりたいか、そういった考え方が示されておりますけれども、特に今回は2点。その前に、基本方針は全部実施するということで当然でありますけれども、当面急ぐものとして2点お願い申し上げまして、1つ目は、各事業の、例えば海岸堤防でありますとか港湾でありますとか、あるいは土地改良でありますとか、そういった事業の事業計画、並びに工程表をできるだけ早く示す必要があるということで、その工程表の作成をお願いしました。
 それからもう一つは、これからの復興計画を市町村が主体となって策定していきますが、その復興計画を策定するに当たっての支援チームを、大きな被災市町村には、市町村からの要望に基づいてチームを今つくっております。これまでも国交省中心なんかで活動してまいりましたけれども、さらにそれを強化した形でのチームということでありますけれども、このチームの活動をやるためには、現地にちょくちょく行かなくちゃならないということでありまして、そういったことについて御理解を示していただきまして、御理解を得て働きやすい環境づくり、方向についてお願いするという趣旨の発言をさせていただきました。その後、総理からも発言がございまして、私の発言について総理の方からも、ぜひお願いしたいという発言がございました。
 あと、あわせて、閣僚懇では申し上げませんでしたけれども、復興本部では昨日、急きょ会議を開きまして、基本方針の具体化に向けた作業を加速するよう私の方から参事官以上のメンバー、復興本部の参事官ですけれども、メンバーに指示をしたところであります。具体的には、復興特区法案の策定の加速化、あるいは一括交付金の制度設計、それから各省にお願いすべき事項についてきちんと整理して、お願いすべきものはお願いすると、こういった内容についての指示を出したということであります。
 それから、既に岡田幹事長から発表があったと思いますけれども、いわゆる税外収入、当初私どもは3兆円というふうに見積もったわけでありますけれども、その3兆円という見積もり方がちょっと甘いのではないか、まだしっかり特会、あるいは株の売却等々をやることで税外収入が確保できるのではないかという、そういった意見を、いわゆる基本方針、その中での特に財政フレームに関しての党内の議論の中でいただきました。これを踏まえまして、早速今週から、その税外収入、特会の見直し等々も含めて、党を中心に精力的にやっていくということになっております。私の方から昨日、財務省の担当の方には、とにかく党に言われた資料については早急に全面的に協力して出すようにというお願いも申し上げております。あと、税調については、野田大臣がいろいろ考えておられるのではないかというふうに思っています。
 以上です。
 ちょっと間違いがありました。平成16年7月13日の時間雨量の最大は80ミリじゃなくて63ミリでした。だから、今回は121ミリですから、それだけ見ると倍の強さの雨が、1カ所ですけれども降ったということですね。
 以上です。

2.質疑応答

(問)先ほどの新潟の視察を受けて、大臣、復旧を国の方でしっかりお支えしたいというふうにおっしゃっていましたが、激甚災害の指定についてはどのように今検討されていますか。
(答)激甚災害については、全体としての被害額が幾らという形で出てこないと指定ができませんから、今、県、市町村を中心に現状の把握に努めておると思いますので、その結果を待って、ルールに従って指定できるかどうかというのは決めるということになると思います。
(問)いつ頃というめどは、大体。
(答)それは、新潟県の方で相当急いで被害額は出してくると思いますので、ちょっと私の方から、いつ頃までというふうには言えませんが、若干時間がかかって、例年ですと、若干時間がかかることはかかります、額の算定ですから。
(問)先ほど冒頭の発言でもあったんですけれども、避難ですとかがうまくいったので被害が抑えられたのではないかという話があったんですが、7・13水害で高齢者の逃げ遅れがかなり出たということなんですが、今回は余り見られなかったことについて、そういった災害時要援護者ですとか、いわゆる災害弱者と言われる方々への対応については、今回どのように見ていらっしゃいますか。
(答)泉田知事からいろいろ車中でお話を伺いまして、7・13の豪雨の経験を踏まえて、三条市としても、あるいは周辺の市町村においても、また県としても、いわゆるハードとソフトの組み合わせということでいろいろ対策を練ってきた。今回はそれがうまく動いたという感じはするという、まだ途中ですから、控え目の発言ではありましたけれども、そういうコメントをいただきまして、たまたま、いわゆる今回の雨による河川の氾濫と津波との単純比較は到底難しいんですけれども、今回の津波の中では、介護施設に入っていた方は大勢亡くなっています。そういった現場を見てきたということも頭の中にありましたので、要介護者についての支援がうまくいったというのは、ぜひ後で、新潟県さんに何をやったかというのはお聞きしたいと思いますということを申し上げました。
(問)今日の閣僚懇での工程表なんですけれども、速やかに策定しますということなんですが、大臣の頭の中で、例えば今月中とか、あるいは第3次補正予算の国会提出までにというようなイメージとかはあるんでしょうか。
(答)私は、今月中にやりたいなと思っています。ただ、なかなかどういう工法で、どこまでできるかというのが、なかなか決まらない。特に除塩事業、土地改良、農地なんかについては、まだ検討は十分積み切れていないということもお聞きしていますので、はっきりしたことは言えませんが、まず8月中には何とか出すように各省にお願いをしたいというふうに思っています。
(問)今の質問に関連なんですが、工程表というところなんですけれども、先ほどおっしゃったように、堤防とかインフラの方が中身としては中心になる。つまり、市町村から復興計画というものが出てこないと、最終的な工程表というのは完成しないと思うんですけれども、現在の想定では、工程表というのはインフラのようなことが中心になると。
(答)今考えているのはインフラです。そして、それもおっしゃるように、市町村の復興計画をつくって土地利用計画が決まらないと最終的に海岸堤防の位置が決まらないとか、防潮林の幅が何メートルか決まらないとかさまざまな問題があります。だから、一たん工程表は出しますけれども、それは定時見直しをかけていくという、その類の話が出ています。
(問)政局の質問で恐縮なんですけれども、先日、菅総理が特例公債法案、それからエネルギー法案が通らなかった場合は、9月以降も続投するといったようなことを側近の皆さんにお話をされたそうなんですけれども、大臣、この考えについては、特例公債が通らなかった場合に、そのまま9月以降も今の総理が続投すべきとお考えでしょうか。
(答)総理がどういうことでそういうことをおっしゃったのかというのは想像するしかないんですけれども、いずれ3つの法律のことがひとつのめどだとおっしゃっていますから、それが通らなかったから続投ということに力点を置いたのか、早くその法案を通してくれというふうに力点を置いたのか、それはよくわかりませんが、私は後者だと思っていますが。
(問)工程表の話ですけれども、復興期間というのは5年とか10年とかありますが、今回8月めど中に出されるのはどのくらいの期間を。
(答)前回、当面の基本方針というのをつくって、まさに当面ということで出したんですけれども、そのときは応急復旧中心だったんですが、今回出すとすれば、二、三年がめどかなというふうに私なりに考えています。もちろん各省の方では、それじゃ短過ぎる、もっと長く出したいというところもあるかと思いますが、そこはきちんとしたたがをはめないと、各省の考え方を尊重するような方向で調整するのがいいのかなと思っていました。
(問)昨日の国会で、岩手、宮城、福島以外の県との調整というか協議体、協議の仕組みというのをできたらつくりたいとおっしゃってましたが、何か今後。
(答)茨城県には事務局の方から、早く行きましょう、早く行きましょうと言って何回も言われていたんですが、なかなか都合がつかなくて行けませんでした。茨城県の倒壊・半壊家屋等々を見ますと、かなりの被害が出ています。これは地震と津波両方ですね。やっぱり余りにも岩手、宮城、福島の被害額が大き過ぎて、何となくほかの県の被害が少ないように見えがちなんですが、実は茨城県とか千葉県なんかも、それだけの数字から見ると大変な被害額が出ているということでありまして、これからもうちょっと、例えばいろいろな復興政策とか復旧政策とか、今まで3県の被災自治体とは何回も意見交換をやってきましたけれども、これからやっぱりそれ以外の県で、それなりの被害が出ている県については、向こうとお話をして、向こうから要望があれば出かけていって、いろいろ意見交換する場が必要になるというふうに思っています。
(問)復興財源についてお伺いしたいんですけれども、党の方で税外収入の見直しの議論をするということなんですが、そっちの数字が固まらないと、税の方がなかなか議論がしにくいのかなと思うんですけれども、その税調と党の議論というのは並行して進めていくんですか。
(答)基本方針の中の※で注書きみたいな形で書いてあるのは、税調は、当面税外収入3兆と認めるというふうに書いてありまして、だから、それを踏まえて、まず10兆という枠組みで議論を始めている。と同時に、党は党で税外収入についての議論をしていくということで、税調はすぐに結論は、議論をやって1週間とか何かで結論が出るわけじゃないですから、基幹税目は何か等々議論を進めながら、同時に党は党で、そちらの税外収入、あるいは税の方も多分党で議論すると思いますが、同時並行的に進めていくということになると思います。
(問)なでしこジャパンの国民栄誉賞決定の受け止めをお願いします。
(答)当然じゃないでしょうか。
(問)被災地に対しての。
(答)あれぐらい元気を与えたというかですね、被災地のみならず全国に元気を与えてもらったということでありますから、これはもう本当に感謝だし、ぜひ次のオリンピックでも金メダルを取ってもらいたいと思います。
(問)今日の閣僚懇談会ではどういうお話だったんでしょうか。
(答)それは、そういう国民栄誉賞のあれを決定したという報告が官房長官からありまして、いつも閣僚懇というのは短いものですから、特に議論はなかったと記憶しています。
(問)話題変わりまして為替の問題なんですけれども、今の円高の水準は、復興に対しても水を差すんじゃないかという見方もあるようなんですが、御所見があれば。
(答)私は担当ではありませんからコメントは差し控えたいとは思うんですが、76円台というのは日本の、いわゆるファンダメンタルという言葉はよくかつて使っていましたけれども、それを反映した数字なのかどうかというのは私も大変懸念はあります。アメリカの財政赤字の問題について、結局、新聞等々の情報によると、アメリカも上限額を上げたということから、ドル売りが進んでいるということが一部報告がされていましたけれども、ドル売りが進むということは、総体的に円高が進むということになるのかなというふうに思っていまして、どういうことなのか、そのからくりはよくわかりませんが、いずれこれだけ急激に進みますと、これは小さくないと思います、ということです。

(以上)