細野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年8月5日

(平成23年8月5日(金) 15:07~16:12  於:第4合同庁舎4階408会見室)

1.発言要旨

 すみません、前の会議が少し長引いてしまいまして、お待たせをしてしまいまして、大変失礼いたしました。
 ただいまより、原子力安全規制につきまして、私の大臣としての試案を提示させていただきたいと思います。
 具体的な説明に入る前に、一言、私のこの新たな規制機関に対する思いを申し上げたいと思います。
 3月11日以降、本当に我が国にとっては未曾有の危機に直面する中で、何とかこの事態を乗り越えようという思いで、私はこの問題に取り組んでまいりました。そして、その一方で、原子力の規制の在り方、組織、そしてレベルも含めて、これを根本的に直していかない限り、国民の信頼は取り戻されないだろうということを痛感してまいりました。また、国際社会が日本を見る目も、大変温かく御支援をいただける部分もあるわけですけれども、その一方で、厳しい視線もこの間、感じてまいりました。そうした国内外の情勢を考えれば、もうできる限り早期に新しい組織を立ち上げるべきであると、そういう思いを持ってまいりました。
 6月27日に大臣を拝命いたしまして、こうした事故の収束に向けての組織の在り方についても提案をする役割をいただきました。それから1か月と少しの間でありますけれども、様々な関係者から話を聞き、行政機関の調整も行い、そして関係閣僚の皆さんの御理解もいただいて、今日の試案の提示に至ったところでございます。
 まず冒頭、私の思いを是非皆さんに聞いていただきたいと思いまして、申し上げました。
 それでは、次に、組織の進め方から説明をさせていただきたいと思います。
 皆さんにホチキスどめをしております資料をお配りしておりますので、そちらを御覧いただければ幸いでございます。
 まず、規制に関する組織の見直し方の進め方でございますけれども、2段階でこの組織の見直しを進めてまいりたいと思っております。
 まず、第1段階は、原子力安全・保安院を経済産業省から分離・独立させまして、それに原子力安全委員会の機能の統合、さらには文部科学省の機能のうち、原子力安全に関わるそういう機能の統合、これを行ってまいりたいと思っております。こうしたことを実行することによって、まずは原子力安全行政に対する信頼回復と、そして機能の向上を図らなければなりません。新たな安全規制組織の創設につきましては、平成24年4月の設置を目指して、速やかに作業に入る必要があると考えております。
 なお、原子力事故に関しましては、事故調査検証委員会が既に様々な作業を始めておりますので、こうした様々な手続に入った中においても、そうした検証委員会のほうで出されてきた様々な検証の結果については、柔軟に対応していく必要があると考えております。
 続きまして、第2段階でございますけれども、こうした規制組織の在り方と並行いたしまして、中長期的な原子力政策、さらにはエネルギー政策の見直し作業も進んでまいります。また、来年には、事故調査検証委員会についても、検証作業が一定の区切りを迎えるということが想定されますので、そうした見解もやはりしっかりと受けていかなければなりません。安全規制に関する人材の確保や養成、さらには事故の収束に向けた中長期的な取組と安全確保など、様々な要素をしっかりとつけ加えた上で、この規制機関の強化というものをしていかなければならない第2段階があると考えております。
 特に、繰り返しになりますけれども、こうした原子力の安全を守っていく上では、人材の育成は必要不可欠であります。これを短期間でしっかりとした組織としていくことは難しゅうございますので、そうしたことは24年末をめどに実現をしていくという、そういう第2段階での強化を図ってまいりたいということです。
 続きまして、基本的な考え方を御説明申し上げたいと思います。
 2ページ目をごらんください。試案の「基本的な考え方」という部分でございます。
 基本的な考え方として、5点、簡潔に申し上げたいと思います。
 まず1点は、規制と利用の分離です。再三言っておりますけれども、利用機関である、推進機関である経済産業省から、しっかりと安全・規制部門を独立させる。これは基礎の基礎ということになってまいります。
 2点目といたしまして、規制安全業務の一元化、これをやっていかなければなりません。原子力安全・保安院、安全委員会、さらには文部科学省の一部がそれに該当いたします。
 3点目といたしまして、危機管理機能を新しい組織の中にしっかりと組み込んでいかなければなりません。ここで言う危機管理には、今回のような地震、津波のような自然災害に加えまして、テロ対策、いわゆる核セキュリティについても含まれます。国内のこのテロ対策の現状、さらには国際的なこの問題に対する関心の高さを考えれば、この危機管理対策の強化というのは必須課題であると考えております。
 この後も御説明をいたしますが、今日、皆さんに提案を申し上げる私の試案は2種類ございます。この2種類の機関とも、いわゆる行政庁という形で提案をさせていただいております。従来言われておりましたいわゆる国家行政組織法上の3条機関、8条機関、そうした、政府から一定の独立性を持ち、委員による合議制の組織、それももちろん検討対象といたしましたが、やはり危機管理という面を考えれば、それはしっかりと政治的なガバナンスの下で行われる行政庁があるべき姿ではないか、そう考えまして、こうした提案をさせていただいております。
 4点目といたしまして、組織を支える人でありますから、この人材をどう育成していくのかということを考えなければなりません。
 そして、最後に、新しいこの規制機関では、その規制の強化、安全の強化というのを図っていかなければなりませんので、それをしっかりとやり得るような組織をつくってまいりたいと考えております。
 それでは、具体的な試案の中身に入りたいと思います。後ろ2枚、それぞれフロー図を、模式図をつくっておりますので、そちらをごらんください。
 まず、安全規制に関する新組織のイメージ案、その1でございますけれども、1つ目の提案でございますが、こちらは内閣府の下に原子力安全庁をつくるという、そういう提案でございます。おさらいの意味も含めまして、この新組織にどういった機能を集約するのか、再度御説明申し上げたいと思います。
 まず、内閣府の下に原子力安全委員会という組織が存在しておりますので、その機能は全て新組織に移行いたします。また、原子力委員会の中で、核セキュリティについて検討している部門がございますので、ここも併せて集約いたします。
 続いて、経済産業省の下にあります原子力安全・保安院は、原子力安全に関する業務は全て新組織に移行いたします。ちなみに、この保安院は、例えばガス業界のような、そういったところについての規制機関を持っておりますので、そこはこの新組織に移行するのではなくて、経済産業省の中に残すという、そういう必要があると考えております。
 続きまして、文部科学省でございますけれども、試験研究用原子炉、これを規制しておりますが、この機能は新組織に移行いたします。また同時に、核燃料物質などの使用の規制も行っておりますので、これも移行いたします。併せて、今回の事故におきまして、様々国民の皆さんに御心配をいただきました環境モニタリングの司令塔の機能、さらにはSPPEDIの機能についても、これも新組織に移行いたします。
 続いて、国土交通省につきましては、船舶用の原子炉の規制を行っておりますが、これも併せて新組織に移行したいと考えております。
 この新組織の内閣府の下の原子力安全庁でございますが、内閣府にこの組織を置く場合の最も大きなカギは、どういう政治的な責任体制にするのかということにございます。これまで内閣府の組織は様々な形で拡充されてまいりましたけれども、必ずしも統一感のない組織の拡大という部分がございました。同様な形にして、それこそ大臣が頻繁に替わる、もしくはそれこそ幾つもの大臣が担当を兼務する形でこの組織を担っていくというのは、極めて私は不適切であると考えております。
 したがいまして、そうした懸念を払拭する意味でも、この原子力安全庁はいわゆる大臣庁としたいと考えております。大臣庁というのは、原子力安全庁の長官が大臣になるということでございます。イメージしていただきやすいと思いますので、防衛省になる前の防衛庁が、こういった類似の組織に当たります。
 その一方で、大臣が原子力安全庁をしっかりと、これを政治的にも責任を持って、危機管理や日々の業務に当たるわけでありますが、同時に、民主的な統制も極めて重要であります。国会の関与を確保する上で、この原子力安全庁の様々な業務について、原子力安全審議会という組織を新たに創設いたしまして、ここを8条委員会といたします。すなわち、委員については、国会の同意人事が必要となってまいります。そこでしっかりと民主的な統制をなしていくということをしていきたいと思っております。
 また、原子力安全庁の業務につきましては、同じく民主的統制の観点から、国会報告を義務付ける必要性についても、併せて提案をさせていただいております。
 続きまして、2つ目の提案を申し上げたいと思いますので、最後のページをごらんください。
 こちらは、先ほど提案した同じそういう行政組織について、環境省の外局として原子力安全庁を設置するという、こういう考え方をとっております。この原子力安全庁を環境省の下に置く案ということになりますと、新たな大臣を設置する必要がございません。先ほどの説明で省いてしまいましたけれども、新たにこの内閣府の下に原子力安全庁をつくって、大臣を新たに設置をするという場合は、内閣法の改正も必要になってまいります。大臣の席を1つ設ける必要がございますので。
 これまでの国会の様々な議論や情勢等を考えますと、これはなかなか簡単なことではないと思っております。こちらの環境省の下につくるという案ですと、その懸念がないということであります。
 また、環境省の下で設置することによりまして、環境面での様々な規制を環境省はやっておりますので、原子力安全庁の下で行う原子力規制と、そして環境省の下で行う環境の規制、それがお互いに相乗効果も出てくるのではないかと考えられます。
 また、もう一つの、環境省の下でこの機能を担うメリットといたしまして、既に環境省という組織が非常に確立をされておりますので、人事面での様々な取組であるとか、採用面であるとか、そういったことが容易にできる可能性も高くなると考えております。
 この組織は、助走期間は許されません。まさに誕生したその日からしっかりと行政機能を発揮し、すぐに確実な安全規制をしていく必要がありますので、そのスタート時点でどのような形をとれるのかというも、1つ論点になってくると考えております。
 以上、2つの提案について、概略を御説明申し上げましたが、もう少しつけ加えたいことがございますので、試案の中身にもう一度戻っていただきたいと思います。
 試案の2ページをごらんください。ここでは、(2)番のところで、新組織の任務と所掌について、それぞれ書かせていただいております。もう既に多くのところは説明をいたしましたけれども、3番の危機管理の部分について、もう少し詳しく御説明を申し上げたいと思います。
 再三申し上げておりますとおり、今回の自然災害をめぐる危機は、これはテロへの対策、ぜい弱性も明らかにしたというふうに思っておりまして、ここは根本的な強化が必要であると考えております。
 そこで、新組織には、平時から事故発生を想定いたしまして、指揮命令系統の明確化や訓練を担当する体制を整備いたします。そして、その中心的な役割を果たすのが、緊急事態専門官、これは仮称でございますけれども、そういう専門官をここに新設したいと考えております。
 そして、当然この危機管理を担うその更に上部の担当としては、当然担当大臣というのがございます。具体的には、原子力災害対策本部、現在は本部長が総理でございますが、これからも本部長は当然総理にするとして、副本部長はこの担当大臣が担うべきであると考えております。
 したがいまして、危機が生じた場合には、本部長である総理、そして副本部長である担当大臣、そして実務を担うこの緊急事態専門官、この縦のラインを機能させることによって、万が一に備える。平時からそういったことについて十分な備えをして、いざというときには自衛隊や警察や消防との連携をしっかりと図っていくという、そういう体制を整備したいと考えております。
 続きまして、3ページを御覧ください。いま一つ、この新組織が強化すべきものといたしまして、(3)のところで書いてありますけれども、地方における体制の整備というものがございます。これまでも原子力安全・保安院は地方に人を出しておりますけれども、極めて限定的な人数に限られておりまして、必ずしも地方自治体との十分な連携が果たされたとは言い難い状況が続いてまいりました。
 そこで、新組織におきましては、地方の組織をしっかりと充実させて、地方自治体とともにこの原子力の安全についてチェックをできるような仕組みを整備しなければならないと考えております。ここも大きなカギの部分になると考えます。
 最後に、人材の問題について、幾つか指摘をしたいというふうに思います。
 この新たな組織を担う人材の確保・養成は極めて重要です。また、一方で大変な困難を伴うことも覚悟しなければならないと考えております。今、原子力をめぐる厳しい情勢、さらには国民の厳しい目、そのことを考えれば、若い人材が果たしてこの規制機関に入ってくるだろうか。そんなことも、随分、私も頭を悩ませました。
 そこで、新組織では、専門能力を持った優秀な人材を確保・養成すると。これが必要不可欠な機能になってくると考えております。
 そこで、4ページのところに書かせていただいておりますけれども、ここで福島の教訓を生かした国際協力、さらには新たな安全規制のインフラの国際展開まで視野に入れた、つまり今回の事故を受けて国際的にも通用する、そういう人材を育てることができる研修機関として、国際原子力安全研修院、こういったものの設立も検討に入りたいと考えております。逆に言うならば、こういう本当にアカデミックにも、さらには国際的にも、実務的にもたけた人材を育てるという国家としての覚悟がなければ、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉もないし、また、本当の意味での安全な規制の確保というものもないと、私はそこまで考えておりまして、ここに最大限のエネルギーを費やす必要があるとすら考えております。
 また、併せて、人材という意味では、独立性のある人事管理というのも極めて重要です。経済産業省から当初は多くの人材を得るにしても、一定の役職以上のそういう人材については、ノーリターンルールを採用する必要がございます。つまり、経済産業省に戻って、また推進側の業務をするというのは、これは若手ではいろいろな人事交流というのはあり得ても、ある一定以上の役職の人間については、これは制限をしていかなければならないと考えております。
 また、組織としての求心力を高めるという意味では、この新しい規制機関が独自に採用を図っていく必要もございます。独自採用、新規採用できない組織というのは、求心力を欠きます。また、人材も当然集まってまいりません。これも早期に実現をできるような、そういう新しい規制機関をつくっていく必要がございます。
 最後に、4番のところで書いております新組織の移行に向けた準備について申し上げます。
 再三指摘しておりますとおり、来年の4月には新組織を立ち上げたいと考えております。そのためには、今申し上げたような組織に関する法整備を急ぐ必要がございます。同時に、新しい組織を作るだけでは当然十分ではありません。その組織が担うべき規制の在り方についても、議論を急ぐ必要がございます。具体的には、電気事業法であるとか炉規制法、これらの中に、例えばシビアアクシデントをしっかりと位置付けていく。さらにはストレステスト、これも法的にどのように整備していくのか、この議論も進めていく必要がございます。いわゆる規制強化についても、併せて検討を急がなければなりません。そうしたことを考えると、できるだけ早い時期に、この新しい規制機関をつくる準備室を政府の中に立ち上げて、作業を急ぐ必要があると考えております。
 今後の進め方については、私のほうから2つの試案を提示させていただきましたので、与党の中、さらには野党の皆さんも含めて、そして国民の皆さんからも様々な御議論をいただきたいと考えております。御議論をいただく中で、できるだけ早い段階で内閣としての考え方を取りまとめて、そして閣議決定まで持っていくことができれば、この準備室の立ち上げに至ることができます。私自身も、機会があればどこへでも行って説明し、皆さんの御意見をいただいた上で、そうした意見の集約に努めてまいりたいと、そのように考えております。
 私からの説明は以上でございます。

2.質疑応答

(問)朝日新聞の坪谷と申しますが、3点お尋ねしたいと思います。
 まず第1点が、先ほど2つの案が示されましたけれども、環境省に置くメリットは、先ほど御説明があったのですが、内閣府に置くことのメリット、あるいは逆に双方のデメリット、こちらに置いたほうがずっとこういうふうなデメリットがあるみたいな、それについて教えていただきたいのがまず第1点。
 第2点としては、先ほど危機管理の平時からの重要性についての御説明がありましたが、今回の事故に関しては、保安院の危機管理の対応については、細野大臣としてはどういうふうな問題点があったとかということのお考えを教えてほしいのが第2点。
 第3点としては、文部科学省はここに書いてあること以外に、例えば「もんじゅ」とか、そういったものの研究開発であるとか、あるいはIAEAの核査察の国内の受け入れというか、担当組織でもあったりするのですけれども、具体的に経産省との切り分けは何となくイメージがついたのですが、文科省での切り分けについてはどのようにお考えなのか。この3点について、お教えいただけますか。
(答)まず、1点目のメリットとデメリットなのですけれども、環境省についてはおおよそ申し上げましたので、それはもう説明はよろしいかと思います。内閣府のほうなのですけれども、1つ、やはり指摘できるのは、内閣府というのはいろいろな機能がこれまで集約されてまいりましたので、コントロールタワーとしては機能しやすいという部分があると思うのです。もちろん緊急事態が起こった場合、そのときには内閣官房の下で危機管理というのは行われますので、どちらの組織にあっても、まさにそこは緊急対応として、恐らくそこで動く部分が出てくると思うのです。ただ、平時においては、やはり内閣府の調整のこれまでの蓄積というもの、これはこういった機能を持たす場合も、非常に大きなものがあるのではないかと思います。逆に言うと、環境省の場合には、そういう総合調整機能をどこまで環境省の求む外局が持つことかできるのか、そこが課題になってくるというふうに思います。
 ただ、繰り返しになりますけれども、危機管理ということを考えたときには、大臣がしっかりと責任を持って対応するというのが、もう基本中の基本ですから、私は、これが大臣庁にならないのであれば、内閣府への設置には、積極的にはなれません。ですから、そこは一つのカギになってくると思います。ですから、危機管理の面においては、プラス面もある一方で、本当に大臣が置けるのかどうかという懸念が残っているというのが、内閣府案の一つの特徴ということになってこようかと思います。
 文部科学省なのですが、「もんじゅ」は高速増殖炉ですから、どちらかというと推進サイドの政策になりますので、必ずしもこの規制機関の業務ということには適さないというふうに思うのです。
 一方で、核査察は、いわゆる核不拡散の部分ですが、ここは非常に微妙なところでございまして、これまで文部科学省のほうで、非常に人材を蓄積してまいりました。この規制機関に入れるかどうかという議論ももちろん行ったのですけれども、各国、いろいろな例もあるようでございまして、非常に専門性の高い業務でもありますので、当面、文部科学省でしっかりやっていただくという判断をいたしました。議論の余地のあるところだとは思います。
 もう1点の御質問は何でしたか。
(問)危機管理に関して、今回の事故について保安院の……。
(答)保安院のですか。そうですね、それはちょっと、1時間や2時間では語れないぐらい、いろいろお話ししたいことがありますが、何か個人攻撃をするとか、そういうつもりは全くないのです。ですから、そういうふうにはとらないでいただきたいのですが、危機管理の組織と、いわゆる平時の組織というのは、やはりおのずと、ある性格が違うところがあるものなのです。もちろん、組織全体が全部危機管理でなくてもよいのですけれども、保安院の中にそういう危機管理的な感覚を持って動いている人物なり組織があったかというと、それは極めて薄かったと思います。
 ですから、自衛隊との関係、警察との関係、消防との関係、そこをどういうルートで様々な、それこそ要請をしていくのか。これは、保安院だけの問題ではなくて、原災法上の総理の権限や担当大臣の権限とも関わるわけですが、そういった面でも、機能の整理は極めて不十分だったと思います。
(問)共同通信の大倉といいます。
 まず、スケジュール関連ですけれども、この時点で両論併記で、来年4月の発足ということで、割と厳しいのではないかという気がするのですが、いつごろをめどに、まず一本化したいとお考えでいらっしゃるのか。それから、関係法令の改正というのは、非常に手続がいっぱい必要だと思うのですけれども、どの国会をめどにそこら辺を進めるのかというのを教えてください。お願いします。
(答)組織の一本化に関しては、できるだけ早いほうがよいですね。ですから、本当にそれこそ、この1週間とか、それぐらいでいろいろ議論が出てくるでしょうから、それで見極めるということ、そんなにだらだらとやる話ではありませんので。いろいろな議論が出てくると思いますので、御批判も含めて、しっかり承りたいと思っております。
 逆に言うと、準備室を8月中に立ち上げるぐらいのスピード感がないと、これだけの大改正は間に合いません。そうした作業をやるとしても、年明けにまとめて法律を提出できるかどうか、年内、年末から年始にかけてできるかどうか、ぎりぎりのタイミングになります。ですので、おのずと法案の議論というのは、年明けの通常国会ということになると思います。
(問)ブルームバーグの岡田と申します。
 ストレステストについてお伺いしたいのですけれども、現状は、上がってきたものを保安院が精査して、それを安全委員会がチェックするという体制になっているかと思うのですけれども、この安全庁として組織が変わった以降というのは、どのように考えていらっしゃるのでしょうか。
(答)全ての安全基準と安全規制は、新組織が担います。ですから、そこに一元化されます。ですから、この新原子力安全庁が、それを作るわけです。第三者的な様々な御意見は、ここで新しく原子力安全審議会というものをつくることを提案していますから、そこから様々な御意見が出てくることは、望ましいことだというふうに思います。
 ただ、これまでのように、指針は安全委員会が作って、保安院が具体的な規制、基準をつくるとか、そういう体制にはいたしません。
(問)日本テレビの福井です。
 先ほど、議論を見極めて一本化というふうにおっしゃったのですけれども、その見極めるのは誰が見極めて、2案のうち1案に、誰が決定するのでしょうか。
 そして、先ほど環境省を選んだメリットとして、相乗効果があるというふうにおっしゃいましたけれども、なぜ他の文科や他の省ではなくて環境省を選ばれたのかというところについて、もう少し深い説明をお願いします。
 さらに、それぞれ、今、JAEAやJNESという研究組織を省は持っているかと思うのですけれども、これらの切り分けについてはどの程度、構想が進んでいるのでしょうか。
 以上です。
(答)まず、誰が選ぶのかということですが、私自身もいろいろな議論を見極めて、明確に判断したいと思います。ただ、閣議決定ということになれば、当然、内閣全体でということになりますので、そこは総理、官房長官を含め、関係大臣と協議した上でということです。
 ただ、私が担当大臣ですから、そこは、私としてはいろいろな方から御意見を伺って、私なりに意見ははっきり申し上げたいと思います。
 続いて、環境省になぜ置くのかというところなのですが、文部科学省、そして経済産業省というのは、選択肢には入ってきませんでした。それは、両機関とも推進側としてこれまでやってきていますから、原則の一番目である規制と利用の分離ということに反しますので。その他の省庁で、こういったものを担えるところは何なのか、全て検討したのですが、やはり残るのは内閣府と環境省なのです。その中でどちらに置くのか、そういういう判断になるわけです。
 それと、関連機関なのですが、この試案の中では3ページの(4)に「支援機関の一体的整備」ということで書いてあります。JNESの場合には、安全の規制業務そのものと密接な関わりがありますので、当然、この新安全機関の下に移行するという形になります。JAEAは、非常に専門家が多くて、今回の事故への対応を含めて、随分、御貢献いただいたのですけれども、その組織については、まだそういう点での整理がついておりません。既に、東京電力の原発の事故の収束には大変な貢献をしていただいていますので、その中でどういった協力体制が組めるのか、これからの議論ということになってまいります。この第2段階で言っている「人材の確保・養成」、そのあたりで一つの議論の対象になってこようかと思います。
(問)ロイターの久保田と申します。2点お伺いさせてください。
 1点目が、今回の新組織の設立によって、今後、原子力安全の規制はどれくらい厳しくなっていくのか、原発事業者のコストの負担のアップは今後どのようになっていくのか、そのあたりをお願いします。
 2点目ですが、この新組織を作るということは、国内外で前進だという評価があると思うのですが、その反面、やはり慌てて形だけの独立ではだめなのではないかという声もあると思います。先ほど人材の話もあったのですけれども、改めてこういった懸念にどのようにお応えになるか教えてください。
(答)まず、1点目の規制の強化なのですが、耐震指針や安全設計審査指針、その見直し作業を今行っておりますが、そこは抜本的な強化が必要であると考えております。現在は原子力安全委員会で行っていて、その検討は是非前倒しでやってもらいたい、来年3月までに一定の方向性を出してもらいたいということは、私から既に要請してあります。
 そうした検討を受けて、来年4月に誕生するこの規制機関では、それこそ組織として一新されるわけですから、それが本当に妥当なものかどうかという検証も含めて、この新組織が新しい指針を最終的には作っていくべきだろうというふうに思います。ストレステストも同様です。
 事業者の負担なのですが、例えば米国のように、こういう規制機関が、それこそ費用の負担を事業者から受け取ってチェックしているケースもあるのです。これは、確かに一つの考え方ではあるのですが、むしろ日本の場合には、事業者と規制機関のけじめをつけていくということが求められていると思うのです。ですから、少なくとも私の試案段階では、そこは事業者からの手数料によるのではなくて、しっかりとこの安全機関自体が役割を果たす、それを国民の皆さんに認めていただくという、そういう在り方が望ましいのではないかと考えております。
 形だけではだめというのは、まさにそのとおりでして、そこがかぎなのです。つまり、組織法だけではなくて、規制の強化を併せてやらなければならないのです。ですから、形だけの組織改編、組織法の改正は、来年まで、年末までにやれということであれば、そんなに難しくないと思います。作業として膨大なものになるのは、規制関係の法律なのです。
 ですから、そこも含めて、法律に書くべきところはしっかり書いて、安全規制の抜本的な改革をしていくというのが、国際的にも、さらには国民に対しても、「ああ、この部分は変わったのだな」というふうに思っていただけるカギになってくる、そう思います。
(問)共同通信の堀江です。
 1点だけなのですけれども、今、常会に出して、4月の立ち上げのスピーディーさでやりたいというときに、ねじれ国会の中で、内閣府の外局とすると、大臣がおっしゃったように内閣法の改正が必要だと。現実論的には、そうするとすごくリスキーで、ねじれで内閣法が成立する可能性などは、なかなか考えづらいと思うのですけれども、どうしても現実的なのは環境省の外局ではないかと思うのですが、その辺はいかがお考えですか。
(答)そこは、私は野党の皆さんに頭を下げてでも、御理解いただきたいと思っています。これまでの内閣法の改正とは、やはりかなり色彩が違うのです。私は、これに伴う内閣法の改正は、いすは1つだけでよいと思っています。「このポストを作りたいのだ、これを兼掌にしたくないのだ」ということを言えば、そこは、私は野党の皆さんも十分御理解いただけるのではないかと思っていまして、誠意を尽くして説明を申し上げたいと思います。
 ですから、環境省案の是非は、いろいろ議論がありますが、その選択肢ももちろん残しますが、内閣府という御意見も多いわけです。ですから、確実に国会で理解がいただけるという状況は、ぜひ確保したいとは思います。最終的に、仮に合意が得られなくて、この規制が先延ばしされることになれば、これは日本の国益を大変大きく損ねますので、そうならないように最大限の努力をしたいと考えております。
(問)毎日新聞の足立と申します。2点あります。
 環境省は、CO2削減ということで、環境省自体の内部からも原発に頼ってきた部分もあって、ある意味、賛成してきたということがあって、そこで規制するというのはどうかという声もあるのですが、それについてどういうふうにお考えかということと、あと、名称なのですが、原子力安全庁とありますが、世界的に見ると、例えばNRCだったら原子力規制委員会ということで、特に「安全」という言葉が入っていない機関もあるのですが、この名前についてはどういうふうにお考えでしょうか。
(答)まず、環境省なのですが、環境省とも随分協議いたしましたし、いろいろな方から御意見をいただいて、両方の意見がありました。つまり、温暖化の観点から、原子力推進になるのではないかという懸念が一部である一方で、もともと環境省というのは、どちらかというと自然エネルギーを推進してきた役所でして、原子力に対してはもともと厳しい考え方を持っている、そういうルーツもあるのです。私の感覚は、むしろ環境省は、もともとは後者ではないかと。もちろん、温暖化の問題がこれだけクローズアップされましたので、ここ数年は原子力についても、非常に推進の立場に立ったという面がありますが、もともとはやはり、かつて原子力と自然エネルギーというのは、それこそ競い合った、どちらが優先かというような議論があった時代がありますから、そういった時代のことを考えると、環境省にはむしろ原子力に対する厳しい見方があったというふうに思っておりまして、そこは両面ありますが、私は若干、そちらのほうが強いのではないかと見ています。ですから、それが何か大きな制約になるとは考えませんでした。
 安全庁というこの名前なのですが、あくまで仮称ですので、最終的に国民の理解を得られる名前にすればいいというふうに思うのですね。ただ、あえて安全と入れたのは、何のためにこの規制改革をするのかという目的を明確にするためです。それは原子力の利用や推進の立場に立ってきた考え方から、安全サイドに立った新しい機関を作るというこのこと、これが大目的ですから、その目的を名称に込めることによって、国民の皆さんにも明確にする必要があるのではないかと考えて、この仮称にいたしました。
(問)NHKの横川と申します。
 3点確認させてください。
 いろいろと意見を聞きたいということですけれども、例えばパブリックコメントのようなことをやって、広く国民からの意見を聞くお考えがあるのかということがまず1点。
 2点目が機能のことなのですけれども、例えば文科省で言いますと、放射線障害、つまりRIですとか放射線防護といったものが文科省にはあると思うのですが、そういった機能をどうするのかですとか、放射性物質の運搬、国交省にあるようなそういった機能をどうするのかとか、あと先ほどもんじゅは推進に当たるのではないかということをおっしゃっていましたが、一方でもんじゅの安全性という意味で言うと、もんじゅの安全性をどうするかといった、そういったものは規制ということになる意味からすると、まだ少し文科省に残っている機能がたくさん残ってしまっているのではないかという気がするのですけれども、そこら辺をどう考えるかということをお聞かせください。
 あと3点目なのですけれども、政治からの独立性というのはやはり大事だと思うのですけれども、それをどう担保するのか、つまり例えば環境省に移したとしても、結局大臣の下に置いた場合、それは経産省から環境省にかわるだけで、例えば今回のストレステストのある種の一連の騒動のようなところでの政治によってふらふら安全規制がスライドされてしまうということが懸念されるのですが、規制というものをどう確立したものとして担保するのかということについてお聞かせください。
(答)まず、もんじゅなのですけれども、もんじゅは推進の側はこれは文部科学省ですけれども、安全規制は既に保安院なのです。ですから、そこはそのまま新しい機関が行うということになります。
 先ほどどなたか核査察について質問されましたが、これは核不拡散と同じ意味ですので、文部科学省の持っているこの機能、さらにはRI、国交省の運搬、そのあたりは確かに原子力と関わるわけですね。ですから、そのあたりをこれからどのように考えていくのかというのは、まさに議論のあるところだろうとは思います。
 それと、政治との関わりなのですけれども、これはなかなかこうすればすべて解決という問題ではないのですね。政治の関与なくして、危機管理というのはできないわけですね。最終的な判断は、これは当然閣僚なり総理がしていかなければならないわけですから、独立性といった場合、推進側、利用側から独立することは大変重要ですけれども、完全に政府から独立をした機関を作るというのは、必ずしもこれは危機管理という面ではプラスにならない、むしろマイナス面があるわけですね。ですから、そこの関与は今回の事故の教訓を考えれば欠かせないだろうと、そう考えました。
 その一方で、それこそ大臣が権力を濫用するような人が就くことは、もちろんあってはならないし、万が一にもそういうことがあってはなりませんので、そこで民主的な統制が必要になるわけですね。その手段として審議会を設けることによって、国会の関与をしっかりとしていくと、なしていく、そしてそこで自由な意見が出せるようにしていくということですね。さらには、国会報告も義務付けますから、そのことによって国会で様々な議論をしていただく。
 このことによって、万が一にも政治的な様々な乱用が行われることがないように、チェックをする仕組みを設けたということです。
(問)西日本新聞の吉武といいます。
 3つあるのですが、まずこれは両論併記をされたのですけれども、なぜ両論併記になったのかという経緯が一つと、それと大臣御自身はどれがベストな案だとお考えなのか、これが2点目、最後お話を聞くと随分未知な部分が多くて、生煮えな部分があろうかと思いますけれども、この生煮えの段階で今このタイミングで発表する理由は何でしょうか。
 以上です。
(答)2案出した理由なのですが、私は実現可能な案を是非最終的には作っていきたいというふうに考えましたので、様々な御意見も伺って、ほぼ2案に集約できるのではないかと思いまして出しました。
 どちらがいいのかということについて、私の中ではまだ結論が出ていません。大臣庁にできるのであれば内閣府というのも一つの考え方、しかしいろいろな機能が内閣府に集約をされてきておりますから、そうした行政のあり方も一つ曲がり角に来ているという面もあって、大きな方向性としては環境省につくることによって、新たな組織の在り方を模索して、そこで危機管理をしていくというのも一つの考え方だと思っています。
 ですから、私の個人的な思いをここでそれこそ押し通すということよりは、それぞれ制度に一長一短がありますから、そこはいろいろな意見をいただく中で、最終的に実現可能で納得ができるものを提示をしたいと考えております。
 2点目に生煮えとおっしゃるのですけれども、もちろん幾つか残している部分もありますけれども、ここまでやるということは極めて明確に書いてあるわけです。これは御覧をいただければ明確なのです。どこまで集めるかというのは極めて限定されていまして、どういうルールを変えるのかということも、今日は出しませんでしたけれども、どういう法律がここに関わるかという全て集約もしています。
 ですから、まだこれからいろいろ検討をしなければならない課題が第1段階が終わってからあるのは事実なのですけれども、第1段階でここまでやるというゴールは明確なのですね。ですから、生煮えだとは私は思っていません。来年の4月までにやらなければならないことは、明確に今日提示をさせていただきます。
(問)エネルギーと環境の清水です。
 新組織は、例えばアメリカのNRCだと4,000人ぐらいの規模というのですけれども、規模と組織のそれでいくと局とか、そういうものの全容というかお考え、それと当然来年度予算要求との絡みが出てくると思うのですけれども、仮定の話がちょっと入るかも知れんですけれども、概算要求は今出た細野試案を前提に今後やるということになるのでしょうか。
 それから、最後に環境省に作ろうと内閣府に作ろうと、原子力安全基本法とか公害対策基本法、環境基本法で放射能汚染を除くとなっている、事実上がれき処理とか、今御努力されている、そういうものがどこをやるか、モニタリングも含めて余りはっきりしてないですよね。そういったものも安全庁が全部やっていくと、そういうことの理解でいいですか。
 以上です。
(答)まず、人数なのですけれども、原子力の安全規制というのは、いきなりそれこそ専門知識のない人を採っても、これは意味がないのですね。ですから、当面は現有勢力、すなわち保安院と安全委員会プラス文部科学省の人員を全体集めて約五、六百です。その人数でスタートするということになると思います。
 あとは地方組織の在り方も含めて、適正人数がどうなのかということについては、NRCなどを見てますと、もっともっと強化をしたいという思いがありますよ。そこは人が育つかどうかということを見極めながら、しっかりとした組織を作っていきたいということです。
 概算要求なのですが、3次補正がありますので、概算要求そのものは若干時期が遅くなるというふうに聞いております。したがって、私のこれは大臣としての試案、試し案ということですので、これをもとに概算要求をするというのはちょっと無理があると思うのですよ。
 ですから、そこはできればできるだけ早く閣議決定までして、政府の方針としてなればそれに基づいて概算要求ができるのではないかと、そう考えています。
 あと最後ごめんなさい、最後もう1点何でしたか。
(問)環境基本法と、要するにがれき処理とかそういうほうの。
(答)今回、議員立法で出ております放射性のがれきの処理についての法案、そこではそこを取り除く方向ですよね。環境省では、そういう放射線の関わるようながれきも処理をするという方向になっていますので、環境省案になった場合には、そこは環境省にも一歩踏み込んでやっていただくという方向性になるのではないかと思います。ですから、そこはどういう考え方をとるかによって、必要となってくる、そういう法律の範囲も変わってくるということです。
(問)あと地方との関係というのは。
(答)地方との関係ですか。
(問)大体今地方がオーケー、ノーという感じになっているではないですか、安全庁と地方との関係、地方自治体ですね。
(答)そこは、いろいろ議論をしました。私なりの実は考え方もあるのですが、今の地方の原子力行政をめぐる不信感は極限に達していますから、私は今地方から厳しい声が上がってきているのは当然だと思いますので、それをしっかり受け止められるような安全規制の省庁をつくること、安全庁を作ること、そしてそれをしっかりと聞けるような地方体制を整備すること、そこがスタートだと思うのですね。それができれば、安全性について一緒にチェックをできたりとか、新しい地方と安全庁の関わり方を模索できたり、そういったことができると思うのですけれども,一足飛びにすぐそれを地方に押しつけることは、やるべきではないだろうと考えております。
(問)読売新聞の清永です。
 2点、この間細野さんが試案をまとめる間に総理の姿が余り見えなかったのですけれども、総理がどの程度関与されているかということと、既に退陣を表明されている総理の下でこれだけの大改革ができるかどうか、その辺どう受け止められているか、お願いします。
(答)総理からは、この問題は私に任せるということで一任をいただきましたので、事後報告は2度ほどいたしましたけれども、中身についての相談はいたしておりません。ですから、私が自分で考え、関係大臣と調整をし、関係省庁を説得してここまで来ました。
 若干ちょっと言い過ぎかもしれませんが、この問題を絶対に政局と絡めたくないという思いが私にはありました。ですから、何政権だろうが、何党だろうが、これはやらないかんのですよね。ですから、その思いを込めて作りましたので、何とかいろいろな御意見の方がいらっしゃいますが、御理解をいただきたいと思っております。
(問)東京新聞の関口と申します。
 国民の皆さんに分かりやすく説明していただければありがたいのですけれども、政権が打ち出した減原発の方針がありますよね。この今日出された試案を見ると、今ある原子力を安全に使っていこうということで、必ずしも減らしていくという方向性というのが見えないような印象があると思うのですけれども、この減原発とこの関係性というのを分かりやすく説明していただければありがたいのですが。
(答)減原発というのは政府として使っているということではないのですよね。原発の依存度を減らすということは言っています。
 この原発の依存度を減らすことと安全の規制を強化するということは、矛盾しないと考えています。
 具体的に申し上げると、今動いている原発、これの安全規制は更に強化をしていかなければなりませんので、その間安全規制を緩めるということがあっては絶対にならないと。人材をしっかり確保しなければならないと、その問題ですね。
 それと同時に、東京電力の福島第一原発がありますね。この事故の収束を、責任を持って我が国がやらなければならない。この新組織はそれも担うわけです。この10年間にどんどん人材がいなくなって、安全規制ができなくなるということは、国際社会に対しても本当に説明ができない致命的な状況に陥る可能性があるわけですね。ですから、この機関はそうした機関にしっかりと、そういう現状にしっかり応えるという考え方ですので、原発依存度を減少させるということとは全く矛盾しないと考えております。
(問)日経新聞の黒沼と申します。
 法案の提出、成立に向けたスケジュール感なのですけれども、年明けの通常国会で議論をして、それで4月に新組織を設置するとなると、最初冒頭は来年度の予算案の審議があると思うのですけれども、これはどういう形で4月の設置に持っていくのかがちょっとよく分からないので、その詳しい説明をいただきたいのが1点と。
 それから、これまで関係閣僚で議論されてきたと思うのですが、具体的にどういう議論があったのか、明らかにしていただけるところで御紹介いただけないでしょうか。
(答)国会の日程まで私が言及することは適切ではないと思います。法案の作業としては、恐らく年内いっぱいはかかるであろうと、来年の4月に法案を成立させなければならないということですから、予算の関連法案、日切れ法案として早急な審議をどういうふうにしていくのかということは、国会のいろいろな考え方によると思いますね。
 ただ、9月にIAEAの総会もありますし、来年に向けて日本も事故の収束、さらにはその先の安全規制と世界から常に厳しい視線を向けられると思うのですよ。そういう待ったなしの状況ですので、そこは私は国会にも御理解をいただけるのではないかと、そう考えています。
 すみません、また忘れてしまった。
(問)閣僚会議の。
(答)閣僚会議ですね。
 何度かやりましたので、個別に全て御紹介することはできないのですけれども、非常に建設的ないろいろ御議論をいただきました。環境省案のメリット、デメリット、内閣府に作る場合のメリット、デメリット、それについていろいろな御議論がありました。あとは原子力の安全に関する政府の総力を結集すべきだと、そういう御意見が非常に強くありました。
 その中で、ただいろいろな行政の組織の経緯というのもありますから、まず第1段階としてはここまではいこうということで、かなりの機能がここに集約されたと思います。される形になったと思います。そうした議論ですね。
(問)産経新聞の坂本です。
 民主党が2009年にまとめたインデックスの中で、原子力安全規制委員会という政策を打ち出していたのですが、それとの整合性と今回それを議論したのかどうか。
(答)もちろん議論しました。まず、それがベースだというふうにすら考えました。
 ただ、委員会というのは、危機管理の意志決定には必ずしも適さないということで判断をいたしました。ですから、我々野党時代というのは、当然国会の関与の在り方であるとか、民主的な統制であるとか、そのことを重視したわけですね。その考え方と今回のような危機に対応できる組織はどういうものなのか、2つのバランスを考えた上で行政庁にするという、そういう判断をいたしました。
 ただ、国会の統制というのも極めて重要ですので、その要素は8条委員会という形で残しているということは先ほど申し上げたとおりです。
(問)共同通信の須江と申します。3点確認をさせてください。
 まず、原発設置の許認可権ですけれども、これは経産省から安全庁に移されるのでしょうか。
 それから、必要な人員ですが、先ほど文科省と安全委員会と保安院とおっしゃいましたけれども、4月の発足時はその3つの機関の担当部署がそのまま移行すると考えてよろしいのでしょうか。
 最後に1点、発足してからの人員の確保ですけれども、例えば環境省の外局になった場合は新しい安全庁で独自に人事の採用活動を行うと考えてよろしいのでしょうか。
 3点お願いします。
(答)許認可権はこれまで保安院が持っておりますから、それを新組織が担います。
 移行なのですが、当初はそれぞれの組織から人員を集める形になりますので、その組織が移行するという形になりますね。
 最後に採用なのですが、新規採用は新組織でできるだけ早くやる必要があると思います。そうではないと組織の求心力が出てきませんから、それぞれ役所から人を出してもらって、また戻るという組織はどうしても弱いのですよね。しっかりそこで人を育てるという文化がなければ、組織は強化できませんから、ただそこが新規採用が、例えば内閣府で組織をした場合に、本当に例えば次の年からすぐにできるだろうかということは、これはなかなか簡単ではないと思うのですよ。
 環境省のほうでやれば、そこは比較的新規採用は環境省自体が新規採用していますから、その中で原子力の人材も確保するということは、できるのではないかという部分もあるのですね。
 ですから、人をどう安定的に確保していくかというのは非常に重要だし、育てていかなければならないので、重要な問題だというふうに考えています。
(問)週刊誌のアエラの記者の大鹿といいます。
 既に質問があって重複している部分もあるかもしれませんが、1つは先ほど細野さんは何政権とも何党とも関係なく、独立性云々というお話がありましたが、例えば政権が代わったりとか、そういう政治的な影響をどうシャットアウト、遮断するか、そこをどういうふうに考えられているのかというのが1点。
 それと、あと今回の規制官庁の在り方の見直しの過程で、経済産業省からどんな要望なり意見なりが細野さんのところにもたらされましたでしょうか。
 以上、2点お願いします。
(答)まず、政治的な影響なのですけれども、これは私は危機管理においてはむしろ政治家がしっかりと責任を取って決断することがどうしても必要だと考えているのです。そのことを私は身をもって体験をしましたので、むしろ政治家の全く関与なき行政組織というのは、危機管理ができないだろうと思っています。
 その一方で、政治の濫用というのは、政治家の濫用というのは厳に慎まなければなりませんので、まずは人事面において公明正大で判断にしっかりと冷静な能力を持っている、そういう人が大臣になっていただきたいと思いますね。
 その上で、万が一にもそういう権力の濫用というようなことがないように、民主的な統制の手段を用意したということです。つまり8条委員会でしっかり監視をしていくということ、そして国会に説明を義務付けることによりまして、チェックをできる体制を整えるということですね。
 それ以前に常に国会に呼ばれますから、大臣の場合には。そういう意味では常にチェックにはさらされるのだろうというように思うのですが、念には念を入れてやはりそういうチェック機能は設けるべきだというふうに考えて、そういう組織形態にしております。
 経産省からなのですけれども、私は経産省からかなりの関係者からヒアリングをしておりますが、いわゆる要望のようなものは一回も出てきていません。どういう機能を持っているかとか、どういう組織が中にあって、どういうことをやっているかということについての詳細なるヒアリングをしましたが、基本的にその全てを経産省から召し上げるというのは、これは大方針ですから。経産省もそのことは多分問題としてよく分かっていますから、それについて何か抵抗するような動きは少なくとも私のところでは見られませんでした。
 何か具体的にこうしてほしいとか、ああしてほしいという声も全く聞こえてきませんでしたので、私の判断に基づいて、原子力に関する安全については全て経済産業省からは完全に独立させると、分離するということにいたしました。
(問)来年4月以降、行った人はまた経産省に戻ってくるとか、そういう交流人事というのはあるのですか。
(答)ノーリターンルールについては、先ほど説明したのですけれども、ある一定のレベル以上については、私はノーリターンルールの採用が不可欠だと思っています。
 若手の当初の人事ですべてシャットアウトしたときに、人が本当に全く身動きがとれなくなってしまう可能性があるので、そこは若干の時期的な、若しくは若手の間の交流というのは、これはちょっと全てやるのは余りにちょっと閉鎖的になり過ぎる危険性があると考えています。

(以上)