細野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年7月15日

(平成23年7月15日(金) 9:26~9:45  於:第4合同庁舎6階605会見室)

1.発言要旨

 皆さん、おはようございます。
 今朝の閣議に関しましては、私の所掌に直接関わる議題はございませんでした。
 ただ、閣議後の閣僚懇談会の中では、昨日からニュースになっております、福島県の浅川町のほうから放射性セシウムに汚染された麦わらの餌を食べた肉牛が42頭出荷されていたと、このことが話題になっておりました。
 まず事実関係から申し上げますと、昨日14日に福島県が公表したところによりますと、農家の麦わらから放射性セシウムが最大9万7,000ベクレル/kg検出されたということでございます。本年の4月8日から7月6日までに横浜、千葉、東京及び仙台に延べ42頭が出荷されたということが判明をしております。これを受けまして福島県は、県内全域の市町村に対して肉牛の出荷の自粛の要請を行ったほか、厚生労働省より東京都などの関係自治体に対し、流通状況であるとか、現時点での放射性物質検査ができるかどうかなどの確認を緊急に行うよう要請がなされております。
 南相馬市産の牛肉の問題に続き、本件も明らかになったことによりまして、福島県産の牛肉に関して消費者の皆さんに不安や心配が広がる恐れが出てきております。消費者の皆さんの安全・安心の確保の観点から、まずは当該農家の飼育状況であるとか、牛肉の流通状況などについて、できるだけ早く明らかになるよう関係機関に調査を急いでいただきたいと考えております。
 昨日から既に様々な協議を始めております。これまでも農林水産省、さらには厚生労働省、関係閣僚三役が様々な協議をしてまいりましたけれども、改めて事態が広がりを見せておりますので、今日も厚生労働、さらには農水の三役と消費者庁担当大臣、さらには原発事故担当大臣である私のほうでしっかりと協議をしてまいりたい、連携を深めてまいりたいと思っております。
 既に農水省のほうでも現地へ人を派遣をしておりますし、厚生労働省のほうでも調査の要請、依頼というものを各所にしておりますが、政府全体として取り組むべき事態になっているというふうに思っておりますので、そこは改めて体制を強化をしたいと思っております。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)大臣、おはようございます。フジテレビの羽山です。
 先日、総理が会見しまして、その中で総理が原発のない社会を目指すと言いました。それに対して現時点、党内からもいろいろ異論が出ていますが、将来的に原発をなくすということについて、大臣としてどのようにお考えでしょうか。
(答)まず、原子力発電というものに関しましては、これだけ大きな事故が起こっておりますので、新規に原発を作るということに関しては、これは極めて難しい、そういう状況に陥っていると考えます。したがいまして、ある程度の期間で見るならば、原発に対する依存度は、これは下げざるを得ない。これは政策論というよりは現実論だと思っておりまして、そういう現実に我が国は最早直面しているということだろうと思います。したがって、それを代替し得るものとして再生可能エネルギー、自然エネルギー、それに関する法律が昨日から審議をされているわけでありますけれども、それを強力に推進をしていく必要性があると考えております。
 エネルギー基本計画などの議論というのは、正にこれから本格化をしてくるところでございますので、そこはそういう大きな現実の方向性の中で、しっかり国民の皆さんに将来像を示せるような努力を政府としてはやるべきだろうと考えております。
(問)朝日新聞の石塚といいます。
 大きく2点お伺いしたいんですけれども、ストレステストに関してなんですけれども、今日にも保安院が安全委員会に提出するという話もあるんですけれども、それについて進捗状況を教えてください。
 あと、昨日の内閣委員会でステップ2以降に関して国費投入を示唆しましたけれども、そのことについて改めて考えをお願いします。そこで、その一例として原子炉に残る核燃料の処理を挙げていたんですけれども、それもステップ2に盛り込む考えがあるか、お願いします。
(答)まずストレステストなんですけれども、保安院がいつ安全委員会のほうに、いわゆるストレステストの項目について提出をするのかということについての、まだ時期的なものの報告は受けておりません。いつ提出されるにしても、やはり何度か保安院と安全委員会のほうでやりとりすることになろうかと思いますし、安全委員会は5人の委員の公開による議論という形になっておりますので、全面的な透明性というのは確保されております。したがって、そういうプロセスの中で、国民の皆さんにしっかりと現実的な検討の場所を見ていただけるようなところは、私としてはしっかりフォローしていきたいと思っております。
 ですから、今日出されるのか週明けになるのか、それはちょっと私は詳細は承知しておりませんけれども、どの時期になっても、それですぐ物事が決まるということではありませんので、そこは是非誤解なきような形で皆さん御理解をいただければありがたいと思います。
 次に、ステップ2の中に燃料の取出しが入るかという、そういう御質問ですね。現実は燃料の取出しというのは2つございまして、1つはプールからの燃料の取出し、もう一つは原子炉の中からの燃料の取出しです。より困難を伴うのは原子炉からの燃料の取出し。これは溶融しておりますので、これは一番難しいわけですが、プールからの燃料の取出しについても、ステップ2の3か月から6か月の間にこれを行うのは現実的には難しいだろうと思っております。その前段のプールの、それこそ周辺の瓦れきを取り除くであるとか、具体的なプールの燃料取出しの様々な技術的な検討なんかは、もう既に始めておりますし、また、瓦れきのまだ上の取出しはやっておりませんが、技術的な検討は既に始めておりますので、それをステップ2で行って、中期的な課題として燃料の取出しというのは取り込む、そういうことになろうかと思います。
(問)国費投入については。
(答)国費投入は、どの段階でどういったものに国費を投入すべきかというところは、まだ方向性が出ているわけではありません。ただ、ステップ1の緊急対応から、いよいよステップ2の収束、その先は中期的な廃炉に向けたプロセスに入るわけですから、より国家の関与が強く求められる時期に入ってきているというふうに思います。いわゆる電力事業者が発電で行う作業や、今回の事故の緊急の収束という段階から、非常に困難な廃炉プロセスそのものに入っていきますので、そこはより比重が大きくなるというふうに考えております。したがって、様々な国費の投入の在り方も含めて、このステップ2の間に一定の方向性が出されるべきではないかと、そのように考えております。
(問)日経新聞の藤田と申します。おはようございます。
 今のお話にもちょっと出ていたんですけれども、廃炉とか中長期的な対策というのは、火曜日の会見のとき、原子力委員会のほうで検討するようにお願いするというお話があったんですけれども、その現在の進捗状況と、原子力委員会というのは、これも安全委員会と分かれて、どちらかというと推進の立場にあったかと思うんですけれども、その原子力委員会が中長期的な対策をやること、原子力委員会がなぜやるのかという理由を教えていただければと思います。
(答)原子力委員会での具体的な検討の場所の設定は、恐らく来週になると思います。19日が火曜日ですので、その恐らく少し後と、そんなイメージでおります。原子力委員会は、もちろん様々なエネルギーの基本的な政策について考えるという意味で、推進側という面が側面としてはあったわけですけれども、もう一つ、非常に重要な役割として、中長期的な方向性を示すという、そういう役割が元々あったわけですね。今回の廃炉に至るプロセスというのは、やはりどんなに急いだとしても、やはり10年を超えるプロセスにはなろうかと思います。そういった意味では、原子力委員会という、この性格に、私は長期的な課題として非常にフィットするのではないかと思っておりまして、それで要請をしたということでございます。
 ただ、もちろん原子力委員会が全て何もかも決められるということではなくて、大方針は原子力委員会のほうで是非出していただいて、具体的なやり方であるとか、具体的な技術的な検討などは統合対策室としても継続してやっていく必要がありますので、そちらにも何らかの形で検討の場所を設けたいと思っております。
(問)毎日新聞の足立です。
 緊急時避難準備区域の解除の件なんですが、昨日、安全委員会の班目委員長が、その解除の条件として、循環注水冷却システムの安定稼働が必要だというふうな見解を示されたんですけれども、これについてどういうふうにお考えでしょうか。それで、それを踏まえて、改めて緊急時避難準備区域の解除条件は何かということと、それから、現状ではその解除条件をクリアしているかどうかというのをお願いします。
(答)班目委員長がおっしゃったとおり、循環注水冷却の安定というのは、緊急時避難準備区域の解除の前提だというふうに考えています。特にこの循環注水冷却の水そのものがしっかり入っているという、そっちが非常に重要ですね。ですから、それこそ冷却機能そのものが止まるということが、一番これが問題ですので、それだけは絶対避けなければならない。そういった意味で、いわゆる除染のシステムも含めての安定性も大事ですが、例えば地震や津波などの様々な事態があったときにも、早期に注水機能だけは回復できるという、ここの多重性が一つのかぎになるだろうと思います。現在、そうした技術的な検討も含めて、統合対策室としてはほぼ方向性は出しておりますので、しっかりと解析をした上で安全委員会の評価もいただきたいというふうに思っております。したがって、緊急時避難準備区域、それについての解除の条件が整ったかどうかというのは、19日のロードマップの発表を受けて、その後若干時間をとって、しっかりと安全当局に、安全委員会のほうに評価をしていただいた上で、政府として判断をしていきたいと思っております。
 なお、その際、緊急時避難準備区域の中にも、住民がもう多数生活を通常に近い形で営んでいる地域と、まだ役場も、それこそ移転をしていて、ほとんど生活がなされていないという地域、様々ありますので、そこは地元の福島県であるとか市町村ととにかく連携を密にして、市町村の理解を得るということをもう一つの条件として緊急時避難準備区域の解除の検討に入ると。最終判断は市町村とともに行うということに実質的にはなると思います。
(問)ニッポン放送の早渕です。
 冒頭の大臣の福島県産の牛肉に不安が広がっているということなんですが、厚労、各省と連携をとっていくとありましたが、改めまして大臣としての方向性、また取組などをお願いします。
(答)今回の事態は、基準値を設けているにも関わらず、その基準値を超える牛肉が流通をしていたということで、大変消費者の皆さんに不安を与え、農家の皆さんにもいろいろな意味で負担をかけるという、そういう大変ゆゆしき事態だと認識をしております。この後、やはり取り組むべきは、いかにして、この基準値を設けたわけですから、この基準値を超えるものを流通させない仕組みをどうつくるのかという、ここにかぎがあると思っております。牛肉については、もう既に様々な対応が始まっておりますけれども、その他の食料品についても様々な不安が広がる可能性がありますので、そこも含めてどういった対応ができるのか、できるだけ早く検討して方向性を出したいと思っております。
(問)朝日新聞の倉重ですが、緊急時避難準備区域の解除の件で、8月をめどにという、一部報道であったんですが、その時期的な見通しについてお願いいたします。
(答)私は、あまり焦って時期を設定をしないほうがいいのではないかと思っております。何よりも大事なのは、現実に生活空間をしっかり確保するという意味で、現場の声だと、現地の皆さんの声だと思っておるんです。明日も福島県に参りまして、いろいろな皆さんとの懇談の機会をつくってまいりますけれども、そこはしっかり見極めた上で最終的に判断をしなければなりません。したがって、いろいろな報道が出ているのは私も承知をしておりますが、今の時点で時期を明示をするということは、必ずしも円滑な実施にプラスにならないと思っておりますので控えたいと思います。
(問)テレビ朝日の辻井ですけれども、福島第一原発の3号機で窒素の注入が始まりましたけれども、これにより水素爆発の危険性というものはなくなるというふうに考えてよろしいんでしょうか。
(答)この窒素の封入というのは様々な意見がありまして、水素の圧力、分圧を少なくする、相対的な量を少なくするという意味で、窒素の封入というのは、もう既に必要なくなっているのではないかという専門家の意見もあったわけです。ただ、政府としては、万が一にも水素爆発を起こしてはならないと。現状においてももちろんそうですけれども、更に冷却を進めていくと水蒸気が今度出なくなりますから、そうすると、また水素がより気化して出てくるということになるわけですから、将来に向かって水素爆発の懸念をなくすという、そういうことを考えたときにやるべきだろうと判断をしたわけですね。3号機で、これは本当に現場の皆さんの大変な御苦労のたまものとして窒素が入りました。ですから、水素爆発という意味においては非常に危険性がなくなるという面においては大きな一歩だったと思います。
(問)ありがとうございます。フリーランスの藤井と申します。
 過日のことなんですけれども、6月24日に資源エネルギー庁で原子力安全規制情報広聴・広報事業の入札が行われておりまして、この内容が、ツイッター、ブログなどインターネット上に掲載される原子力などの不正確・不適切な情報を常時モニタリングして、速やかに正確な情報を提供、正確な情報を導くことによって、原子力発電所の事故などの風評被害を防止するというふうな目的、内容になっております。これ、不正確な情報を正確な情報に導くというふうなことが書かれておりまして、情報操作というふうなところにもちょっと受け取られかねないような内容になっているんですけれども、まずこの件について大臣、御存じだったかというふうなことと、あと、原発担当大臣としての御見解のほうをいただければと思います。
(答)その件については私、存じ上げませんので、調べさせていただきたいと思います。

(以上)