細野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年7月5日

(平成23年7月5日(火) 10:12~10:34  於:第4合同庁舎6階605会見室)

1.発言要旨

 私からは、1点、御報告を申し上げます。
 私の原発事故の収束及び再発防止担当大臣の就任に伴いまして、原子力事故への対応の体制を強化するという意味で、昨日、原災本部長である菅総理大臣のほうから2点指示がございましたので、御報告申し上げます。
 まず第1点ですが、原子力災害対策本部を強化する一環といたしまして、原子力災害本部員である私が、原子力災害対策本部長を助けて関係省庁からなる事務局を指揮する役割を担う事務総長として指名されました。
 続いてもう1点は、原子力被災者生活支援チームの体制を強化するという意味で、私を海江田経済産業大臣とともに、当チームの共同チーム長に任命されたということでございます。具体的には、環境モニタリングを実施であるとか、放射能汚染のおそれのある災害廃棄物の処理など、被災者の皆さんの生活に直接関わることについての取りまとめをするようにという指示でございました。
 こうした役割を改めて担うこととなりましたので、事故収束に向けて私自身もでき得る限りのこれまでの関係であるとか、それから自分自身の持ち得る力を全て発揮して、収束に向けて努力していきたいというふうに思っております。
 私からは以上でございます。

2.質疑応答

(問)読売新聞の清永です。
 松本復興相が辞任する意向を表明されたのですけれども、復興と原発対応というのは、ある種リンクする部分もあると思うのですけれども、大臣のお立場としての受け止めを教えていただけますでしょうか。
(答)被災者の皆さんにいろいろ御迷惑をおかけしたということが理由だというふうに、総理からの報告がございました。内閣全体としては、これは非常に被災者の皆さんに申し訳ないという、私もその一員でございますので、そういう思いは持っております。
 ただ、今、私ができることは何かといえば、与えられた役割をしっかり果たすということに尽きると思いますので、今は他の大臣の様々なやっておられることを、必要なことは調整したいと思いますけれども、それよりは自分の職に専念して、結果を出すべく努力していきたいというふうに思っております。
(問)TBSの峠田です。よろしくお願いします。
 関連することなのですが、松本大臣の週末の発言というのは、辞任に値するものだとお考えでしょうか。
(答)正直申し上げまして、日々、原発関係、さらには、再発防止に向けての対応策で、この1週間は忙殺をされまして、他の大臣の発言について、あまり詳細に把握していないのです。ですから、結果としてこうなっていますので、被災者の皆さんへ本当に申し訳ないという思いを内閣の一員として持ちますけれども、あえて個人的な感想というものは、すみません、正直言って、そこまでしっかり発言を把握しておりませんので、差し控えたいと思います。
(問)テレビ朝日の辻井です。おはようございます。
 2点お伺いします。総理の御発言というのは、少し御紹介がありましたけれども、もう少し具体的にお伺いしたいのが一つと、今回、総理の任命責任というものも問われるべきだとお考えでしょうか。
(答)総理の発言は極めて簡潔でして、松本大臣のほうから、「被災者の皆さんに迷惑をかけた。そして、内閣にも迷惑をかけ、政策をこれから前に進めるのに妨げになりたくない」という趣旨の発言があったと。すみません。正確な引用ではありませんので、そこはお含みおきいただきたいのですが、そういう話があったということです。総理としては、慰留したけれども、辞意が強かったので受理した、そういう一連の報告でした。極めて簡潔でしたので、それに尽きるということなのだと思います。
 任命責任は、いろいろそういうことというのが国会で質疑される部分はあるのかもしれませんけれども、私自身も同時に任命された立場ですので、今の私の立場はどうかということで言えば、自分の役割を全うすること、これに尽きると思います。
(問)ブルームバーグニュースの小笹と申します。
 2点ございまして、まず東電が、今日、追加の仮払い補償金の支払いを決定いたしましたけれども、これに対する所感をお伺いしたいのと、今度、事務総長になられたということで、やはり今までなかなか難しくてできなかったけれども新たにしたいことですとか、そういうことはございますでしょうか。
(答)生活支援のほうの共同チーム長ということで、経済被害のほうは、これは私は直接の担当ではないのです。ただ、経済被害の回復というのは、地域住民の皆さんに対する責任として非常に重要なことだというふうに思いますので、大事なことは、とにかくできるだけ早く、そして適切なきちんとした賠償がなされることだというふうに思うのです。仮払いというのは、その途中段階での手段ですので、これもできるだけ迅速に対応できればというふうに思います。ですから、そのスピードアップを、東電には当然求めていきたいというふうに思います。
 それと、これまでから、今回、役割が明確になって何をしたいかという御質問ですが、いろいろやりたいことはあります。これまでやってきたことも、補佐官としてやれることと大臣としてやれることというのは、やはり大分差があるだろうというふうに思っておりまして、昨日の環境モニタリングの会議も、補佐官時代もいろいろな形でやっていたのですが、大臣になったからには責任を持って結果を出さなければならないだろうということでありました。あれも一つの表れです。
 その他には、現地、福島に行きまして、改めてやらなければならないと思いましたのはがれきや汚泥の処理です。基準は作っているのですが、なかなか前に進みませんので、それをしっかりと実行できるように、政府として責任を持ってやっていくということが必要だと思います。
 そして、そろそろ本腰を入れて取り組んでいかなければならないのが、除染だと思うのです。放射能の高いところは、モニタリングの実施によってかなり分かってきたわけです。その中で、生活を続けていただきたい、もしくは安全に生活していただきたいということを考えれば、除染の方法をしっかり確立して前に進めていくことが非常に重要だというふうに、現地に行って、また改めて強く感じました。それは、私のこの生活支援チームの共同チーム長という立場からも、また事故収束へ向けての大臣の立場からも、是非前向きにやっていきたいという項目の一つです。
(問)時事通信の岡谷です。
 念のため、確認なのですが、その事務総長、あるいは共同チーム長の指示というのは、閣僚懇ではなく閣議の中であったのでしょうか。
(答)いえ、昨日です。昨日の夕方、官邸に参ったときに、そういう話が総理からありました。
(問)では、昨日付で、もう就任しているという。
(答)そうですね。これは、総理の指示をもって決まる役職ですので、昨日の夕方の時点で就任したということになります。
(問)産経新聞の坂本と申します。
 今回、松本大臣の辞任を受けて、やはり東北の復旧・復興が政治の問題によって遅れる可能性が出てきたと思うのですが、ここに対する考えというのはいかがでしょうか。
(答)それは、絶対にあってはならぬと思います。せっかく野党の皆さんに協力していただいて法律を通したわけですから、その法律にしっかりとのっとって復興するのが、今の内閣の最大の責任だというふうに思っております。後任人事についても総理がお考えのようですが、内閣一体として、このことが復興を妨げるというようなことは絶対にしてはいけませんので、取り組んでいくべきだというふうに思います。
 松本前大臣御本人も、そういう思いで辞表をお出しになったということですので、我々残された人間は、そこはしっかりと結果を出していく責任があるというふうに思います。
(問)ジャパンタイムズの永田ですけれども、週末に福島第一へ行って、ステップ1の進捗状況を実際に現場で見て、どの辺りが進んでいて、どの辺りがまだまだ不十分だなというところとか、実際に現場に行って、何か感じたこととかはありましたでしょうか。
(答)循環注水は、徐々にですけれども、稼働率が上がってきましたので、そこは前向きに受け止められるところだなとは思いました。あとは、いずれの作業についても言えることなのですけれども、一つ一つの作業を進めていく上では、作業員の皆さんがしっかりと健康に作業していただくというのが必須条件になるのです。ですから、そこも5月、6月のことを思えば格段に良くなりましたので、その2点の前進が確認できたことは、非常によかったと思います。
 後の作業は、これは改めて現地で確認するというよりは、東京の方でもう随分詰めた議論をしてきていますので、幾つか残された作業がありますので、そこを作業員の皆さんの健康と安全にはくれぐれも我々が留意しながら、結果を出していくということが大事だろうと思います。
(問)時事通信の本田と申します。
 大臣は、17日のステップ1の終了をめどに、1から3号機までの窒素注入を行うということを一つの目標としていただいているとは思うんですが、3号機では突貫工事というか、鉄板を敷き詰めて線量を低くするとか、そういう作業は進められていると思うのですが、その辺り、作業員の方の健康との兼ね合いで、どうしても17日までにやらなければいけないということで、それも非常に線量が高いということと、それから夏になって気温が上がっていることで、作業員の方の健康との兼ね合いで非常に心配な面があるのですが、そのあたり、プレッシャーにならないような配慮というか、大臣のお考えというのをお聞かせいただけますでしょうか。
(答)具体的に発電所に行ったときも、その話を少ししてまいりました。大事なことは、安全を確保する、つまり水素爆発の危険性をなくすということですので、その手段はいろいろあると思うんです。窒素の入れ方一つとっても、今やっているやり方もあれば、それ以外の様々なやり方もありますので、そこは現場の安全を優先しながら、どのやり方が一番よいのかということについては、最終的にしっかりと現場と相談して判断していきたいと思っています。
 ですから、今やっているやり方も一つですけれども、それ以外のやり方についても、もう既に検討して、詰めの作業はほぼ終わっていますから、そこは現場の意見をしっかり尊重しながら、相談してやっていきたいと思っています。
(問)そういう意味では、例えばプランBとして、注水中に窒素を溶かし込んで入れるとか、そういうことも具体的に検討されているのですか。
(答)そうですね。様々な方法が検討されています。
(問)フジテレビの羽山です。
 松本龍さんの件で、後任について、大臣としてどういった方が一番望ましいというふうにお考えでしょうか。
(答)それは、私が申し上げることではありませんので、総理がじっくりお考えになるのではないかと思います。
(問)東京新聞の大杉です。
 確認なのですけれども、昨日の総理からの指示に関連して、今日の閣議や閣僚懇で、細野さんや総理から何か発言があったのかということと、あと、除染をこれから進めていきたいということですけれども、それについてもう少し、こういうことをやりたいとか、具体的なことがあれば教えていただきたいのですけれども。
(答)今日の閣僚懇では、その話は出ませんでした。私が大臣になりました初めての閣議で、しっかりと原発の収束についてやりたいということを、もう挨拶しておりまして、その役割を担うということは、原災本部や生活支援のチームで、当然、ある程度の役割を担うというのが前提になりますので、ですから、改めてポジションがこうなりましたということを紹介したり、それについて言及する必要はないというふうに考えました。
 除染なのですけれども、いろいろな検討はされているのですけれども、先行しているのが農地の除染なのです。現地に行きまして、ヒマワリを植えているところを私も確認してきましたが、その他の方法も含めて、農地の方が比較的先行しているというのが現状なのです。もちろん、それはそれで非常に重要ですので、前に進めていきたいと思うのですけれども、もう一つは学校です。学校についても、具体的にかなり実行してきているところです。
 その他にも、例えば公園であるとか家の周辺であるとか、そういったところについても取組が必要なところが、多分、出てくるというふうに思いますし、特に除染というのは、もちろん放射線量が大変高くてなかなか戻ってこられないという地域の除染も大事なのですけれども、もう少し、いわゆるグレーゾーンみたいなところが出てきているのですね。つまり、白黒で危険なところ、安全なところという区分がつかない、基本的には放射線量がそれほど高くないのだけれども、雨どいのところが高いとか、側溝のところが高いとか、そういうことも含めてグレーゾーン、生活の中で除染が必要なところが出ているわけです。そういうところについての除染の在り方なども、やはり示していかないと、本当の意味で安全で、そして安心できるような生活というのは、地域の住民の皆さんのところに戻ってきませんので、そこのところも含めてきめ細かく、できるだけやりたいと思っています。
(問)3点、お願いします。
 1点は、その除染の話なのですけれども、具体的にその取組をやるのは、JAEAとか国内のところでしょうか。それとも、これも国外のあるどこかに任せたり、そういうこともお考えなのでしょうかというのが1点です。
 もう一つは、他の報道等で、馬淵さんが本部の対応について、一部、隠ぺいとかがあるのではないかというような発言をなさっています。これについては、細野さんとしてはどういう御見解をお持ちなのかというのを伺いたい。
 もう一つは、最初の会見で再稼働について、これは海江田さんの所掌でしたか。
(答)そうですね。
(問)ただ、各地域において、安全性についてもう少し配慮を願いたいという声が多いようですから、細野さんの所掌にも入るのではないかと思うのですけれども、その辺り、何か新しい安全性についての取組の考えがあれば教えてほしいのです。
 以上3点、お願いします。
(答)一つ目の除染なのですけれども、諸外国で日本よりも経験があるところというのはございまして、こういうところからのいろいろな経験についての情報は得ております。また、具体的なアドバイスも、私もいただいています。
 ただ、実行するのは誰かということになると、外国の機関にそれを全面的に依存するのは不可能ですし、またやるべきでもないと思うのです。ですから、あくまで除染は日本の国内で、しっかりと政府を中心にやっていくということになると思います。それから、除染をやるのにJAEAというのはもちろん専門集団ですので、非常に大きな役割を担うというふうに思いますけれども、単独でJAEAがやれることではありませんので、関係省庁やいろいろな機関の皆さんには協力をいただいて、政府全体で取り組むべきものだと思います。
 2点目の馬淵前補佐官なのですけれども、私も連日、馬淵前補佐官と電話で話しておりまして、これまで協力いただいていたものについては、引き続いて力を発揮していただけるというふうに私は考えています。ですから、もちろん原災本部自体のいろいろな対応が百点満点で何の問題もないかといえば、いろいろそれは反省点があるわけです。それは馬淵前補佐官も分かっておられながら、一緒に協力していこうということですので、私はその姿勢自体には、あまり問題みたいなものは感じておりませんけれども。
 3点目の再稼働なのですが、もちろん原子力安全という意味では、間接的にはいろいろな関わりはあるわけですけれども、一方で、今、私が主な仕事として何をなすべきかということを考えれば、やはり事故の収束なんですね。ですから、それに最大限の力を発揮して役割を果たすという意味で、再稼働についてはやはり海江田大臣が、非常に悩ましい中でいろいろな判断をしてこられていますので、その立場を尊重したいということで申し上げました。
(問)関連で、除染の関係なのですけれども、諸外国からいろいろな知見を得ているというのは、例えばウクライナとか、そういうところのことをおっしゃっていますか。
(答)そうですね。チェルノブイリの経験というのは、一つ、我々にとっては非常に大きな経験ですので、そこはいろいろな情報を頂いているということです。

(以上)