細野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年7月1日

(平成23年7月1日(金) 10:43~11:03  於:第4合同庁舎6階605会見室)

1.発言要旨

 今日から電力需要抑制対策が本格的に実施されるということで、そのことを冒頭で発言をさせていただきたいと思います。
 東京電力、そして東北電力の管内の需要者の皆さんには、この間も電力供給力が限られる中で節電に全面的に御協力をいただいてまいりました。既に気温が30度を超えてきておりまして、いよいよ夏も本番となりまして、これからが電力需給の対策も正念場を迎えるということになります。本日から9月の末までの3カ月にわたりまして、平日の9時から20時までの間の使用最大電力、いわゆるピーク需要というやつですが、昨年のですね。このピーク需要を昨年の最大値から15%低い水準に抑制をしていただくということになります。特に大口の需要家の方々については、需要抑制の実効性と需要者間の公平性を担保するため、電気の使用制限が発効いたします。小口需要家や一般家庭の方々にも、このピーク需要を15%の抑制をしていくということで、是非御協力をお願いをしたいと、そのように考えております。
 私、節電を担当しておりまして、政府としては本日、節電に関する情報をまとめるポータルサイトを、「節電.go.jp」という形で本格オープンするなど、今後とも積極的に情報提供や節電のサポートに努めてまいりたいと思っております。
 また、需給のバランスが著しく悪化した場合には需給逼迫警報を発動するなど、万一の対策にも万全を期していきたいというふうに思っております。改めて国民の皆さんに節電についての御協力を大臣という立場からもお願いを申し上げたいというふうに思います。
 もう一点、今週末、明日からでございますけれども、明日、明後日と福島へ出張したいと考えております。これは、原発の事故の収束を担当する中で最初の週末でございますので、是非現地で一番厳しい思いをしておられる自治体の皆さん、さらには、原発の中で大変な状況で御努力をされている、そういう作業員を始めとした皆さんとまずはしっかりと話をしたいと、そういう思いで行ってまいります。皆さんに取材をしていただける範囲については、また改めて詳細が固まりましたらお知らせをしたいと思いますので、しばらくそこはお時間をいただきたいと思います。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)TBSの峠田と申します。よろしくお願いします。
 現在、7月まだ入ってすぐ、また6月末と気温の高い日が続いていますが、例えば現在のこの電気量というのは予想していた範囲内ということなんでしょうか。それとも、このベースを基準にしても大丈夫というベースで、今まで計算されてやってきているんでしょうか。
(答)非常に早い時期から気温が上がりましたので、それに伴って使用電力量は当然上がってきているという状況です。実際に需給のバランスについては、経済産業大臣、経済産業省のほうから情報が出ておりますが、決してそれこそ余裕がある状況からははるかにかい離していまして、厳しい状況だということですので、そこは、元々厳しかったわけですから、それに猛暑が続くということになると更に厳しくなりますので、非常に厳しい節電をこれからやっていかなければならないという状況というふうに考えています。
(問)共同通信、佐分利と申します。
 明日から福島へ行かれるということですが、東電が7月1日から対策をとっている熱中症ですとか、他のいろいろな対策があると思うんですが、そういった実行状況をきちんと確かめるということも含まれているんでしょうか。
(答)それは是非見てきたいと思っている部分の一つですね。今日から5号機、6号機のところに新たに診療所が立ち上がります。これは、厚生労働省、文部科学省と、この一月強にわたりまして様々な調整をする中で、ようやく放射能についても専門的な知見を有している先生に行っていただけるという、そういう状況になったものでございます。私も補佐官の時代に、特に5月の半ば辺りからでしょうか、最も力を入れてきたのがこの部分でございますので、現場がどのようになっているのか、是非見てきたいというふうに思っています。
 当然、東京電力も、熱中症対策も含めて、作業員の環境には今最大の配慮を払いつつありますので、その状況についても確認をしていきたいと思います。
(問)昨日、東電が厚労省のほうに、4月分の作業員の被曝に関して発表して、厚労省のほうから非常に遺憾というか、内容が伝えられたんですけれども、その点についてはどのようにお考えでしょうか。
(答)被曝量がこういう形で非常に高くなっているということは、非常に問題が多いと思いますね。ですから、的確な放射線管理をするというだけではなくて、当然政府に対しても報告をしていただかなければなりませんし、国民の皆さんにもそれをお知らせをしなければならない事項だというふうに思っています。厳しい認識を持っています。だからこそ、これから、やはり残念ながら長期間にわたって様々な取組をしていかなければならない、そういう発電所は状況にありますので、今後しっかりそういう体制がつくれるように、政府としては全面的に、そこは関与をしていきたいというふうに思います。
(問)ブルームバーグニュースの小笹と申します。
 改めて、福島でのなさることの確認ですけれども、そうすると、地元住民の方の対話と、あと1F(東京電力福島第一原発)に行かれるということでしょうか。
(答)決まっておりますのは、県知事とお会いをしてお話を伺うということと、後は福島第一発電所に行って現場を見てくるという、この二つは決まっています。極めて限られた期間で準備をしておりますので、なかなか住民との対話というような形は、ちょっと時間的に設定が厳しいんじゃないかというふうに思いますので、今週末に関しては、まずは初めの週末ですので、主要なところをしっかりと見てくるということに重点を置いていきたいと思います。
(問)読売新聞の清永です。
 直接はあれですが、馬淵補佐官が今回退任されて、これまで細野さんと、馬淵さん、協力して東電の中に入って、政府の代表として入って東電を、言葉は良くないですけれども監視するような形で見られていたと思うんですけれども、それで、馬淵さんが退任された後、東電を政府として協力してやっていくという部分で、大臣に細野さんが就任されて以降、その体制というのは、馬淵さんがいらっしゃる時と比べて、その東電の再生というか、そういう維持はできているんでしょうか。
(答)馬淵補佐官は、一番苦しい時期から一緒にこの問題に対応していただいて、特に中長期的な対策について、御本人が持っておられる力を非常に十分に発揮をしていただいたと思っていまして、非常に感謝しています。御本人とも話をしましたけれども、今後も協力は惜しまないと言ってくださっていますので、大臣をやっておられた国土交通省に対する協力の要請であるとか、技術的な支援であるとか、そういった部分でこれからも御協力をいただけるものというふうに思っています。
 東京電力との関係なんですけれども、これまで同様、海江田大臣も全体としての様々な関わりを持っていただけますし、私も補佐官から大臣という形で権限が強化をされましたので、そこは、この2人の関わり方というのは、むしろ総合的に言うと強化をされたと思うんです。加えて、福山副長官、園田政務官というお2人も、我々の同じような役割として加わっていただけるということになりますし、特に園田政務官は非常に直接的な関与をしていただけるものというふうに思います。そういう意味では、総合力で言えば、私はむしろ以前の体制よりは強化をされたというふうに思っていますし、そうしなければならないとも思っています。
(問)テレビ朝日の辻井といいます。
 今日、閣議の中で税と社会保障の改革案というのが報告されたということだと思うんですけれども、消費税率の引き上げについてなんですけれども、与党内からも異論が出まして、ある程度譲歩した形になっているかと思うんですけれども、大臣の受け止めをお願いします。
(答)増税というのは非常につらい、政府としても判断になりますし、国民の側からすればもっとつらい話なわけですね。ただ、日本の社会保障のこれからの持続性を維持をするという意味では、いずれかの段階で政府としても判断をしなければならないということだろうと思います。その意味で、関係の閣僚の皆さん、党の関係の皆さんが様々苦労されてやってこられて、私も実は補佐官時代の原発をやる前は社会保障担当でしたので、その苦労も間近で見ておりました。したがって、なかなか苦しい苦しい判断ではあったと思いますけれども、この判断自体は私はしっかり支えていくべきものというふうに考えています。閣僚の一員としても、もちろん支えていくべきものだというふうに考えています。
(問)その関連なんですけれども、今回、あまり菅総理が政府と党の間に入ったり、リーダーシップをあまり発揮する場面というのはなかったように思うんですけれども、いかがでしょうか。
(答)私は直接的にその調整の場所にいないものですから、どういう状況だったのかというのは、すみません、ちょっと何とも見ていないので答えようがないですね。ただ、一般論としては、もちろん、総理というのは最終判断権者ですから、そういう意味では重い責任がありますけれども、調整というのは、つかさ、つかさの人間がしっかりとやれば、それで十分役割を果たせるということもあるんでしょうから、あまり総理の関与がどれぐらいあったかということで評価が変わるものではないのではないかと思いますけれども。
(問)毎日新聞の岡田と申します。
 福島の出張の件ですけれども、1Fに行かれてどういったところを見たいかということをもう一度お聞かせください。
(答)1Fには、一度もう既に訪問しておりまして、おおよそのそれぞれ号機ごとの状況であるとか、サイトの中の状況というのは知っているんですね。ただ、時間がある程度経過をしていますので、やはり何と申しましょうか、作業員の皆さんの精神的・体力的な温度というか、状況であるとか、その辺というのは肌身で感じないと見えないところがあるんですね。そこをまずしっかりと見てきたいと思いますね。ですから、これから非常に厳しい時期を迎えますから、そういった現場で努力している皆さんをしっかりと支えていく、後押しをしていくというのが政府の大きな役割になると思いますので、直に接してくることの意味は非常に大きいと思います。
 そういったことを感じる上でも、例えば診療所の場所であるとか、さらには、今、例えば防護服なんかでもクールベストなんかも活用しているんですが、その活用のされ方であるとか、そういったことを具体的に見てくることができればいいと思っております。
 除染施設も見てこれれば見てきたいんですが、それはサイトの作業の状況もあるでしょうから、あまり現場に負担をかけないように、できるだけ効率的な視察をしてきたいというふうに思っています。
(問)読売新聞の高田です。
 関連ですけれども、プラント周辺、一から、例えば4号機での関連で見たい部分というようなところはございませんか。
(答)そういった部分は、かなりこれまでも図表などでも確認をしてきましたし、映像などを通じても確認をしてきていますので、この部分をどうしても見たいということは、あまり私の方から要請をするつもりはないんです。そのことによって現場の作業が滞ってはいけませんし、むしろ作業優先、前に進めることを優先というふうに考えております。ですから、要請は極めて限定的に、むしろそういうそれぞれの具体的な状況というよりは、サイト全体の今の状況を把握できるような視察をしていきたいというふうに思っています。
(問)特に注目されている循環注水冷却とか、あの辺りをこちらのほうから見たいとか、そういう希望を出しているというわけではないということですか。
(答)ええ。直接そういう希望を出しているわけではないんですけれども、当然そこが一つの鍵の施設になりますので、何らかの説明を受けたり、その中の一部の施設を見たりということができればいいなとは思いますけれども、繰り返しになりますが、作業の妨げには、大臣とはいえど絶対にそれはなりたくないし、するべきではないと思っていますので、そこだけは配慮した上で、見られる範囲で見てきたいというふうに考えています。
(問)度々すみません。毎日新聞の岡田ですけれども、緊急時避難準備区域の解除の検討について以前言及されていましたけれども、その解除するに当たっての条件として水素爆発のリスクに言及されていましたけれども、主に水素爆発のリスクが一番最もリスク要因として重視されているのか、それとも他にまだ何かリスク要因が考えられているものがあるのかというのを、改めてお聞かせ願いたいんですけれども。
(答)外部への放射能の拡散が拡大をするということを一番大きなリスクというふうにするならば─何らかの事象で突然ですね。そういった意味でいうと水素爆発が最大のリスクだと思っています。ただ、このリスクはどの程度かということに関しては、極めてもう限定的で、炉の中の温度も下がっておりますし、あとは格納容器自体がリークがある、格納容器からの外部への流出があるということですから、水素がたまりにくい構図にはどっちにしてもなっているわけですね。ですから、そういった意味では、もうリスクは随分低減をしたというふうに考えてはおりますけれども、ゼロとはなかなか言い切れないという状況なんですね。ですから、その最大のリスクをゼロにするということが非常に今重要になっているということです。そのほかのリスクについて、何か明示的に今専門家の中で議論されているかというと、少なくとも私が意見を聞いている専門家の中では、ほとんどそういう声は聞かれませんね。
(問)そうすると、水素爆発のリスクがゼロになるというのは、改めて何か解析をして、実際の状況がどうなっているのかというのを調べてもらう必要があるということなんですが、何をもってそれをしようとされているんでしょうか。リスクがゼロという……
(答)一つの手段として大きく議論されているのは窒素の注入ですね。窒素が入ることによって水素の割合が低くなって、爆発の可能性が低くなるということですので、ずっとこの数カ月、数カ月といっても3か月で、4月に入ってからぐらいですか、その努力を継続してきていますので、それが一番有効な手段であるというふうに考えております。
(問)共同通信の宮嶋といいます。
 福島へ行かれて知事と対面されるということですけれども、最初の対面という意味以外に、何か政府としてお伝えしたいメッセージだったり、何かそういうものがおありでしたらお伺いしたいと思います。
(答)佐藤雄平知事は、民主党の議員もやられていましたし、私も議員でおられたときから存じ上げている方なんです。さらには、今、福島で一番苦しい立場で頑張っておられますので、まずはきっちり私も大臣として御挨拶をさせていただきたいと。そして、私から何か申し上げるというよりは、どちらかというと知事からお話を伺いたいというのが今回はメーンになると思います。

(以上)