末松副大臣記者会見要旨 平成23年6月8日

(平成23年6月8日(水) 15:35~16:02  於:消費者庁6階記者会見室)

1.発言要旨

 私のほうから、まず福島県の本宮産のカリフラワー、これが出荷制限中にもかかわらず出荷されていたという報道で、この件については、昨日JAみちのく安達において事実関係を公表しております。それによれば、本件は生産者が持ち込んだ出荷制限中のカリフラワーをJAによる集荷所でチェックミスによって誤って販売されたものと。それで、JAの担当者はそのミスを自ら発見し、販売業者に連絡して、当該品目の回収を行ったという状況でございます。販売数量が18個ですか、販売済みだったと。生産者については1個だけであった。これは、福島県のほうから既に販売関係者に対して厳重注意が行われておりますし、また巡回指導の充実ということで出荷管理の徹底を図る予定だということを明らかにしているということと、農水省においても、改めて出荷管理の徹底について、この関係県、福島県にも強く要請をしたということでございます。本当にこういうことは消費者の安心・安全からいって極めて遺憾なので、二度と生じないように、我々もそこは言ってきているということでございます。こういった状況が二度と起こらないように、これからもしっかりと見守っていくということでございます。
 それから、去る6月6日に、これは消費者教育推進会議のテーマ別会合第3回が開かれました。文科省の言葉が線を引いて出ていますけれども、これは私のどちらかというと、所感といいますか、印象なんですけれども、この会議は震災の影響によって延期されていたんですけれども、今回再スタートを切ったということで、この会合でターゲット教育の推進とか、震災時における消費行動についてというようなテーマではございました。ここで、ずっと文科省には笠政務官、あるいは板東生涯学習政策局長に出ていただいているんですけれども、ここで学校を地域づくり、まちづくりの拠点として、その中に消費者教育、環境教育に位置付けていきたいという非常に前向きの発言がございまして、文科省が消費者教育の推進に一層努力をしていただくという姿勢を示したということで、我々も非常に評価をしているわけでございます。
 また、会合で日本女子大教授の細川幸一委員等から消費者教育の推進のために基本法を制定する立法措置が必要だとか、こういった御意見もいろいろといただきました。
 消費者教育推進法案については、民主党内で消費者教育推進ワーキングチームを中心に活発な議論が行われているものと私ども聞いております。いずれにしても、今年の7月には消費者教育推進会議として一定の取りまとめを行うということでございます。私も同会議の会長でございますので、また取りまとめに努力していきたいと。特に、文科省はそういった今までなかなか学校の壁というのが強かったんですけれども、その会議の中でこういう形で頑張っていくということを言ってもらったことが、私として非常に前向きな発言と評価をしているということをつけ加えさせていただいたということでございます。
 以上です。

2.質疑応答

(問)日本消費者新聞の丸田と申します。
 今の説明についてなんですが、消費者教育の推進会議の中で細川教授が推進法の立法ということで、7月には会議の一定取りまとめをしていくということで、その法制度の在り方とかというのも当然盛り込まれると理解していいんでしょうか。
(答)そういう御意見が出たのは事実でございます。ですから、私どもとしてそこをどこまでそういう意向を取りまとめの中でやっていくかという最終的な検討を今からやろうとしています。
(問)たしか設置法の附帯決議の中で消費者教育の推進に当たっては法制度の検討もするとか書かれていたような気がしたもので。推進会議の中で一定盛り込まれるかなと思ったんですけれども、それも検討課題ということですね。
(答)まさしく自民党のほうもそういった形で案も出ているというふうに私どもは聞いて、承知をしておりますので、そういった会議の中でそういった御議論が出たということも、非常にそこは重く受けとめたいと思っています。やはり何らかの形の立法措置があったほうがいいというのは、結構委員の間でも、私から見たら、かなりそこは共通の認識だったのではないかと思っています。
(問)読売新聞金杉です。
 昨日、東京都のほうで生肉の扱いについて厚生労働省でも報告はしている─5日までに報告しているとは思うんですけれども、東京都は独自に発表したんですけれども、不十分、基準にかなった取扱いをしていないというところはほとんどと言っていいと思うんですけれども。
(答)焼肉店がですか。
(問)8割程度ぐらいかな。7割とか8割とか、そういうレベルだと思うんですけれども。もう東京都がそういう状況であるならば、では、ほかの府県がどうかというと、ほぼ同じ状況だと思うんですよね。もう結果としては、十分対策とられていないお店がかなり多いということは分かると思うんですけれども、厚生労働省もそれを受けとめて検証して何らかの政策に生かすとは思うんですけれども、消費者庁としても、この時点で何か検討を始めるとか、要するに厚生労働省が何か出すのを待つよりも、積極的に何か厚生労働省に意見を言うとか、そういうことは考えていらっしゃるんでしょうか。
(答)そうですね。今回の事件、そういった焼肉店の中でああいった不祥事になって、かなり他の焼肉店も非常に震え上がるというような状況でもございます。そういった意味で、現時点ですぐに何かをするということはまだ考えて、私自身は考えていないんですけれども、特にどうですか。そこを考えていませんよね。
(消費者庁長官)報告が来るはずですので、間もなく。それを踏まえて対応していくということにしています。
(答)そうですね。東京都のほうで詳細はそういったチェックをされて、調査の内容が出たということ、これがどういうふうな調査でどういうふうになったかということは一度そこのチェックをしていきたいと思っていますし、それが実際ほとんど8割方─金杉さんが言われるように8割方が全国で守られていないというような状況が明らかになったら、それは当然もう一回きちんと周知徹底するようなことをやっていく必要も出てくるわけでございます。だから、そこのところはこういった今回の事件を踏まえて、もうちょっと私どもその調査、1回入念にチェックさせていただいて、それで対応を決めていきたいと思います。
(問)今の御説明に関連してなんですが、消費者庁のほうで生肉の被害が出た後で、関連省庁、農水だったか、厚生だったかに対して、こういう状況に対してどういう対応していたのかということを報告聴取といいますか、資料請求とかをされたように覚えているんですが、その回答というのは、既にもう来ているんでしょうか。
(消費者庁長官)それ、今間もなく報告来ると先ほど申し上げたのは、そのことも含めてなんですが、厚労省のほうで各都道府県から報告を受けて分析をするということで、報告は厚労省には来ていて、分析をした結果を消費者庁にもらうことになっていますので、何日という明示はないんですけれども、消費者庁としては早急に頂きたいと考えています。
(問)NHK吉川です。
 以前香取市のホウレンソウのお話で、調査して、その後取りまとめますというお話があったかと思うんですけれども、今どういう状況でやっておりますでしょうか。
(答)それも事務方のほうからお願いします。
(政策調整課長)最終的に他県の状況まで踏まえて、先週木曜日ぐらいまで現地調査しておりましたので、今鋭意取りまとめているところで、そんなに時間かけずに、公表まで持っていきたいと思っています。
(問)朝日新聞の稲垣です。
 消費者教育のことなんですけれども、私も先日の会議、初めて見ていたんですけれども、消費者教育といったときに、定義というんでしょうか、捉え方というのは多分人によってまちまちなのかなと。悪質商法もあれば、事故防止の話もあれば、環境なんかも入ってくる可能性もあるのかなと思うんですけれども、そのあたり、副大臣の考える消費者教育はどんなものなのか。定義は何かお考えはありますか。
(答)多分、文言上、かたい役人言葉は当然あると思うので、そこはそれでまた御説明させていただければと思うんですけれども、要は私のイメージを言わせていただければ、この前の会議でも言いましたけれども、生産者、あるいはサービサーというか、サービスする方、これが例えばマスメディアとか、あるいは文書媒体を通じて、このサービス、あるいは物を売るというのを消費者に、そのときに法律に触れるような悪質にならないように、まずワクチンを打つというか、それが消費者教育の意義というか、あらかじめ重要な情報でそこを法的に違法な販売とか何かを通じて、消費者被害が受けないようにするというのが、まず一番の概念でございまして、そして、あともう一つは、大震災であったときのように買い占めとかあったように、情報がなくて、ないことが不安に陥りますので、不安に陥らないように、正確な情報と十分な情報を提供していくと。それが消費者教育の大きな意味での意義かなと思います。狭い意味でいけば、学校制度とか、小中高とか、大学とか、そういう教育機関、あるいは生涯教育に係る形で学校とか、そういったものを通じた教育、あるいはいろいろなセミナーとか、そういったところのインカウンターというんですか、出会う機会を増やしていく中で、要はさっきのワクチンというのですか、必要な不利にならないワクチンをしっかりとここでつけていく、そのための情報を提供する、そういった場を増やしていくということが対策の要諦だと思っています。
(問)副大臣は前に記者会見でヨーロッパへ幸福度の調査とかで行かれるということをお聞きしたんですが、たしか幸福度の指針とか、内容、そういう会議に参加されるということだったんですが、気にはなっておるんですが、以前に国民生活白書の中でも何年か前に日本人の高齢者の幸福度は諸外国に比べて、年齢が高くなるにしたがって下がってくるということが書いてありまして、それで幸福度の調査ということになると、今いろいろな震災もあったりとか、悪質商法の被害もあったりとかということで、その会議とかの主張された中の成果とかというのは、お話しいただければ。
(答)後で必要だったら資料お渡ししますよ。
 私のほうで、そもそも幸福度、フランスのサルコジさんがスティグリッツ委員会とか開いてやってきたわけですけれども、例えば、そこに示されているのは、今までの指標というものが役立ってきていないんではないかと。例えば、GDP・パー・キャピタが例えばフランスならフランスで少し上がってきていますと。でも、実態は富裕層がぐっと上がっていて、若者を中心に、ある意味では低所得者層とかぐっと下がってきている、所得が。でも、平均すると、何か緩やかな改善に向かっていると。この緩やかな改善だけ、パー・キャピタですね、GDP。これだけ相手にしていたら何の政策目標も見えませんよね。本来の実態は、低所得化している格差の拡大を埋めていく政策と、それの指標、安定が必要なんであって、それをしっかりと見極めようよということが1つあったんです。だから、今までのGDP一辺倒みたいなやり方というのは、これからは通じませんよねという中なんです。例えば、スティグリッツ委員会のほうで言われたように、家族の女性の家事労働とか、そういったものをしっかりやっていかないと、結局、何だと。これはGDP関係ないから何もやる必要もないんじゃないかと言われたり、あるいは余暇とか、余暇の効用とか、こういったものも本来リフレッシュとか、そして生産性が上がるためにやるものなのだけれども、それが効用として何も示されていない。それはおかしいじゃないか。特に、フランスなんか多分あれでしょうね、アメリカ系の市場、マーケットの至上主義とか金融至上主義とか、そういったものをばんばんやるだけで本当に人間の生活にとって本当に幸せというふうに考えた場合、ちょっと違うんじゃないですかと、こういうことを言ってきたわけです。私たちとしたら、今日本でも幸福度の指標、3回の会議をやりまして、大体3つぐらいにまとめて、1つは経済指標で人間、1万ドルぐらい、GDP・パー・キャピタ、これぐらいまでは物による消費が幸福度に非常につながっているんだよね。その後は、いろいろな個性によって幸福のパラドックスというんですけれども、いろいろな形で、それ以上GDP・パー・キャピタふえたからといって幸福とは限らない、これがだんだん出てくるわけです。そういったことですから、ただ、1万ドルは1万ドルというか、日本で言えば3万ドルですか、そういうある程度ここまで経済的な基盤はしっかりしようよ。それの指標はきちんとしなきゃいけない。
 2番目が、日本人の場合、特に人の輪といいますか、人間の関係の中で居場所とか、そういったものをしっかりと自分がいるんだという中で幸福を感じると、幸せを感じると、こういうことではございますので、そういったものをどういうふうな形でやっていけるかというのが1つのポイントにしようかと。これは結構、アジア的というか、日本的で、ヨーロッパ人のほうは、どちらかというと、独立心だとか、人に依存しないとか、達成感だとか、そういったものに非常に幸福の度合いが強いんです。日本人とか、そういったアジア人のほうは、人の輪の中で居場所と安心感を得るという、そこの幸福なところが幸せを感じるというのは強いという点。
 3番目に健康というのが日本市場に絡めてございまして、当然健康というのは当たり前でしょうという話なんですけれども、ただ、私がOECDのパネラーとして英語で議論やったんですけれども、そのときに強調したのがいろいろなストレス、メンタルストレスですね。あるいはテクノストレス、こういう携帯、これだって、脳に非常なストレスがかかるわけです、携帯だって。そういうストレスとか、いろいろな反応の早い機械をどんどん技術的に発達させていますから、昔は手紙書いていれば、一、二週間待っていればよかったのが、今はすぐにぽんぽんやりとりしなきゃいけない。それも非常にストレスなんですね。そして、あるいは子供にとっては親の期待とか、例えば有名校に入らなきゃいけないという期待とか、そういうものもストレスにもなりますし、またいろいろな経済的なノルマ、そんなこともストレスになって、それが最終的にはよく言う日本人が3分の1がうつ病にかかっているという、そういうふうなことになっていくと。これはこれで、また社会医療とか、そっちのほうの財政負担に大きくなっていくわけなんですけれども、そういったところのストレスを下げないと、人間として本当に幸福ではないんではないですかと、そういったものをストレス度を計る、こういったものを指標として開発していかなければいけないと思いますと、こういうことをお話しさせていただきました。
 あとでちょっと何人かと話したんですけれども、OECDの事務局のほうから非常にいい、指摘だったということで言っていただきましたので、今度日本で11月か何かにこの会議を開きます。これは日本の視点というか、アジアの視点で見て、そういったところで話し合おうよというのが日本で我々開催することにしていますので、そういったのを踏まえて、OECDの全体のそういった指標をつくっていこうというふうに考えています。
(問)これは、11月開催というのは、OECDの会議ということですか。
(答)OECDの会議の日本分科会とか、アジア分科会というか、そういった形で、今11月になるか、12月になるか、今揺れているところですけれども、ただ、年内にやるということです。そういうのを見ると、マスコミの皆さんのストレス度もすごいですよね。
(問)また戻ってしまうんですが、肉の件で、衛生基準というのは厚労省なんでしょうけれども、表示の関係で、消費者庁が担当するという話になっていると思うんですけれども、その件はどうなんでしょうか。もう検討はスタートしたのか、あるいはいつ頃までというスケジュール感が大体決まってきているのか。これは多分事務方に聞かないと分からないでしょうけれども。
(消費者庁長官)手続は基準を法に基づくものにするのと並行してといいますか、最後はそろえないといけないですよね。表示を義務化することと、それはきっちりいくように、まず厚労省が法に基づく基準化の手続をしていきますけれども、表示が決して遅れて全体が遅れるということは間違ってもないように、ちゃんと消費者庁もやっていきますが、まだ具体的な手続が消費者庁で始まっているというよりは、厚労省がまずやり始めているということだと認識しています。
(問)厚労省がある程度、形とか方向性を見せてくれないと、なかなか難しいということですね。
(消費者庁長官)先ほど待ってという、何か人の動きを見てという意味ではないんですが、どういう基準になるのかを当然踏まえて表示をどうするかという─今ガイドライン的な基準はありますよね。その中に表示も入っているわけですよね。だから、それを基本的に同じで義務化にすればいいのか、それとも基準自体は変わっていって、表示の中身も変えないといけないのか、そういうことを見極めないと、正式な手続には入っていけないということだと思っています。
(問)逆に、厚労省のほう、多分そのデータが集まってきているところで、まだ公表していないんですけれども、各都道府県どうなっているのか分かっていないんですけれども、多分、この調子で言うと、まだざっとするまでにかかるでしょうから、秋ぐらいにできるものかどうかは分からないというか、更にどういう方向性でいくのかとか、それが見えてくるまでは、8月とか9月ぐらいまでにならないと見えてこないんじゃないかと思ってしまうんですが。
 あと一方で、これまで厚労省、言ってしまえば、消費者のことを余り考えないで施策をしてきたというか、施策をしなかったというか、そういう状況だったわけですから、逆に消費者の視点に立って、消費者庁が厚労省が何を考えているか、あるいはこういうことを厚労省が考えている基準に盛り込むべきだとか、情報交換をしながら意見を言うとか、そういうことはないものなのでしょうか。
(消費者庁長官)時期については、こちらの大臣からも話をしていただいて、秋ということになっていますので、それ以上遅れることのないように私どもは期待しているというか、秋にはできるという認識でおります。
(答)食品安全委員会のチェックは。
(消費者庁長官)はい。そうですね。厚労省からも。こちらのほうは消費者委員会との手続が義務化、それぞれそういう手続を踏まなければいけません。
(答)それが固まった例えば表示について、しっかりとしたものは、早急にそれは間髪なく入れるという話になるんですけれども。
(総務課)事務的にはいろいろな検討はしています。

(以上)