末松副大臣記者会見要旨 平成23年6月1日

(平成23年6月1日(水) 17:02~17:20  於:消費者庁6階記者会見室)

1.発言要旨

 私のほうから、昨日大臣が明らかにされましたが、事故調の報告が出されたということで、思い起こせば5年前、6月3日に市川大輔さんがエレベーターで亡くなられたと、5年それからたったということで、その前にこういった形で事故調の報告を受けたという形になって良かったと思っております。
 内容等について、もしまた御質問ございましたら、おっしゃっていただければと思っております。
 それから、あとお手元に相談員の現況ということであるかと思いますけれども、この前、内閣総理大臣表彰、今年から新設されたんですけれども、5名の被表彰者のうち和田英子さん、この方は宮城県で被災後の相談対応に追われている相談員の方でして、今、相談員の方は本当に一生懸命に日々活動をいただいておりますけれども、その御活躍にも報いるために、消費者支援功労者表彰が授与されたと思っております。
 お配りした資料は、相談員の方は大半が非常勤職員で、また一部雇いどめがあるなどして、決して十分な処遇を受けているとは言えません。また、相談員の方からも、現状に対しては本当に厳しいという声も届いております。
 一方で、長期的な観点から、処遇を改善して、この消費生活相談員体制をしっかり充実を図っているというベタープラクティスというんですか、そういうのもございます。
 そういった意味で、現場の最前線でやっておられるのが相談員の方なので、何とか相談員の方のこういった処遇改善とか、あるいは雇いどめ防止とか、そういったことを皆様方はいろいろな取材等でお話になっていると思いますけれども、是非こういったことをもうちょっとニュースに入れていただきまして、自治体の方々がもっとそれぞれの方に目を向けていただいて、処遇の改善等をできるような形にお願いしたいということを私のほうからお願いをさせていただきたいと思います。
 例えば、佐賀県とか青森県では、県がNPO法人に業務委託を行い、そのなかで自由にこの相談員で柔軟に運営できるようなやり方をやっているところもございます。これも長官が非常に詳しいところではございますけれども、そういったことをやっていく中で、何とか相談員の方が足腰が十分に力強く立てるようなことを考えていかなきゃいけないと思います。
 そこにお配りした資料の中に、相談員の声ということで、幾ら頑張っても雇いどめがあるので、結局はやる気がなくなるとか、本当に雇いどめでも5年以降はだめだといったら、今まで得た知識とか専門性、それが全てなくなってしまうとか、そういったことになりかねませんので、例えば更新回数の上限を設けないとか、あるいはそこに書いていますように、主任消費生活相談員制度、こういったものを導入して、しっかりとした形でやっていくような、このプラクティスを全国に広めていくとか、場合によっては、ある方の話なんかからいけば、消費生活相談員を国家資格として、そういった形でしっかりと身分保障をしていくと、非常勤というのではなくて、常勤という形でしっかりと抱え込んでいくと、こういうことをしないと、消費者行政がうまくいかないんじゃないか、こういうふうなことを考えているところでございます。
 一応私からは以上でございます。

2.質疑応答

(問)読売新聞の金杉です。
 冒頭にもありましたが、事故調の取りまとめという形で報告になりましたけれども、ちょっと拝見すると、かなりの数の委員の方から意見がつけられていると。かなり多様な意見がある中で、確かに10回ぐらい会議を開いて、一応の取りまとめという形になりましたけれども、それだけ意見が多様にあるならば、もう少し引き続き有識者による検討の会議なりで検討を続けたほうがよろしいんじゃないかなと思うんですが、幾らやっても切りがないという話になってしまう可能性もあるのかもしれませんけれども、もう少し大事な話であるし、組織をどういう位置付けにするのか、消費者庁のもとにするのか、内閣府のもとである意味審議会的な組織にするのか、あるいはもう少しもっと強力な組織にするのか、国交省の運輸安全委員会のような組織にするのかとか、その辺が何かもう少し詰めてからのほうがよろしいんじゃないかと、あとは消費者庁のほうへ持ち帰って、検討して法律の整備をするならしてくれ、予算を取るならしてくれというのは、少し乱暴だなという印象を受けたんですが、その辺は副大臣のほうはいかがでしょう。
(答)私も出たり、あるいは後で報告も聞いていて、かなり大きく二手に分かれるようなケースもあったり、組織についてある意味ではセンター的な中央で全部仕切るんだという考え方の人は非常に大きな巨大なネットワーク機構というものをびしっとつくるという方から、そうじゃなくて、まずは消費者庁のほうからすき間事案というのをしっかりとなくしていくと、それが本来の筋だろうというところからのある意味での着実な形の発想をする方と結構分かれたところでもあったとは思うんですけれども、そこで非常に巨大な事故調査機関、確かに網羅的、あるいは独立的とか、そういう形で、本当にそういったところを最初からやろうとして、本当にどこまで現実性があるのかというようなことを徐々に委員の方々も考え始めたようなちょっと私も印象も受けておりまして、そういった中で、そこは消費者庁というものが最終的に消費者の安全性を請け負っている司令塔であるということから考えたら、そこは消費者庁からしっかりそこはやっていくべきだと、そういった中で、例えば1年後、2年後、それはもっともっと大きな形に育てていかなきゃいかんという話のときには、そういったところでやっていっても遅くはないのかなと。
 最初に構想だけばんと言って、構想倒れというのが一番最悪の結果なのかなというふうなことが最後はそういう形の意見が多く出されたようなちょっと私は印象を持ってますね。
(問)関連で、幾つか大きく言うと、消費者庁のもとになるかはさておき、すき間事案を対応するような機関をつくろうと。あと第三者的な組織として、既存の調査機関をチェックできるようなというのがありました。
 あと被害者である被害者遺族の窓口としてという機能も盛り込まれていますけれども、今着実に現実的にやろうとすると、優先順位というか、まずはすき間事案に対応する組織をつくるべきなのかとか、あるいは被害者の窓口をしっかりつくるべきだとか、すべて一挙にというのは難しいのかなというのも感じるんですね。その辺はどう考えていらっしゃいますか。
(答)被害者の方の思いを受けとめてそこは話していくと、被害者が犠牲になられたこういった事故、あるいは身内の方を決してそれを見殺しというか、そういう言い方じゃないな。要はそれを何も役立てずにというのはやめてくださいと、それが本当にしっかりそこがきちんと安全性が確立するような体制になるための契機としていただきたいというのが思いだと思うんですね。
 だから、そういった意味で、すき間事案というものをまず対応のおくれとか、そんなのじゃなくて、どこかがしっかり政府の中で引き取って、そこを今ある調査機関であったら、そこにすぱっと言うとか、あるいはそれがない場合は自分で自らきちっとそれで調査をするという、どこかでしっかり受けとめる、それで責任を有するというところがまずは必要じゃないかというのがある意味ではプライオリティーを置いた今回の配慮だったと思います。
 それでもって、今度はそういったものを来年の通常国会に向けて、どういった形のサイズにして、どういうふうな形のが一番使い勝手がいいか、あるいは事故が起こったときに一番有効に対応できるか、そこを今事務方を叱咤激励して、いろいろな策を、あるいは案を持ってきてもらおうと思っています。
(問)朝日新聞の稲垣です。
 先ほどの相談員のことなんですけれども、いただいた資料なんですけれども、これは青森と埼玉の事例を言われていましたけれども、相談員を柔軟に運営しているというふうにおっしゃっていましたけれども、具体的にどういうことなのかということと、あとこれはこの問題で消費者庁としてできることは何かないんでしょうか。
(答)具体的にまずどういうことかといいますと、この相談員で例えば広域にまたがって、相談員の中でNPOを設立してもらうんですね。それと県が契約するという形になっていて、それで普通は相談員と例えば県なら県、市町村が直に契約をしてもらうと、そういった場合、例えばこの市町村で雇いどめが起こったと、そうなると今度はこの人は辞めるしかなくなって、どこも行き場がなくなると。
 そういったときにNPOと県がやっていると、県と市町村の間でまた広域になりますので、そこでこの人はここのA市ではだめだったら、今度はB市があいているよというところで、そこでどんどん柔軟に雇ってもらえるような形をとっていくというのが非常に柔軟な運営だという話でございまして、消費者庁が今我々は基金をつくって、何とかそういった処遇の改善とか、いろいろな形で働きかけをしているんですけれども、最後は自治体の方々の意識がどこまでなのかということにどうしても頼らざるを得ないんですね。
 そこのところから、申請に基づいて、そういった予算が組み込まれていくことになりますものですから、何とかそれを消費者問題は重要だろうということをしっかりやってもらえれば、我々も啓発等、それから直接職員を派遣したりして、そういった啓蒙活動に努めるとか、あるいは消費者の方に直接そういったものがないと困るじゃないかというのを地方自治体のほうに働きかけていただくような形を今まで実は地道にやってきたところでございます。
 例えば、大震災のときも、消費者相談員の方が、これは当然の話なんですけれども、被災者のケアに駆り出されて、結局そんなのは実際上消費者相談という機能がなかなかなくなったというような事例もございますが、そういった中でも、本当に消費者相談というのは非常に重要なお仕事でございますので、それももっと自治体の方がこれは絶対に予算はきちんとやっておかなきゃいけないんだということをしっかりがんと頭の中にたたき込まれるようなぐらいやってもらえるようなやり方、ちょっと我々のほうは今知恵を絞っているところでございます。
 本当に相談員の方は、このままだったら何か専門性と本当に役に立つことがなくなってくるという、本当にやる気をなくして、さらにバッドスパイラルに陥っていくということなので、ぜひ新聞の方も本当にそういう苦しい胸の内とか、そういったものをぜひちょっとお書きいただいて、自治体の方々に何とか何でそういうバッドエグザンプルのところですけれども、もっとこうしなきゃいけないんじゃないかという問題提起を行うようなところに是非御協力を賜りたいという意味もございまして、大体週に1回、新しいネタをここで私のほうから御提供させていただいているわけですけれども、今日は特に相談員の方は肝に思って紹介させていただいております。
(問)関連なんですけれども、今震災のお話もありましたけれども、震災関連の相談で、例えば現場の相談員が疲弊して辞めていくみたいな、そういう現状はあるんですか。
(地方協力課)震災に伴って、辞めた例というのは特段報告は受けておりません。実際相談員の方にお話を伺うと、例えば通常の消費生活相談以外の相談がされる、例えば原発に伴う相談とか、そういったような相談をされるので、非常に心身とも疲弊しているとか、そういった声を寄せられたということはございますが、御指摘のあったとおり、震災に伴ってお辞めになったとか、そういったような報告は今のところは上がっていないというような状況ではございます。
 そういった相談員の方をサポートするために、専門家の派遣等などを実施して、支援を行っているという状況でございます。
(問)全然関係ないことなんですけれども、今日の夕方に出されると言われている内閣不信任案の件なんですけれども、民主党内でも50人以上が賛成する方向だというようなことですけれども、この動きに対する大臣の受けとめと仮に提出されたときの大臣の御対応を伺っておきたいです。
(答)私も党首討論を今日伺っておりました。そのときに、菅総理のほうで震災対応とか、大体国の危機に一丸となって、そのときの政権がしっかりやっていくのが古今東西の筋だと私は思っていますので、そういうときに政権をひっくり返すとか、そういう動きというのは、あっちゃいけない話だと私は考えております。
 ですから、そういった意味で、それを与党の内部でそういうことが起こるというのは、さらにあっちゃいけない話なので、野党はそこでやるというのは、一つのお仕事なのかもしれません。ですが、そういう与党がそういう動きをするというのは、断じてあってはならないというのが私の見方でございます。

(以上)