蓮舫内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年4月28日

(平成23年4月28日(木) 8:50~9:11  於:消費者庁6階記者会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 今日は、私から4点、御報告をまずさせてください。
 一つは、公共サービス改革プログラムを取りまとめました。行政刷新会議公共サービス改革分科会において、このプログラム、取りまとめられましたので、本日公表をいたします。
 今回のプログラム、昨年11月から分科会で正に様々な御議論、貴重な御意見を頂きまして、その提言を基に取りまとめをいたしました。現下の政府の最優先課題は震災の対応ではございますが、震災の復興においても、やはり公共サービスをしっかり改革をしていくことが寄与すると考えております。より効果的な予算執行の実現を、このプログラムを基に目指していきたいと考えております。
 今後はこのプログラムの内容に沿って、競り下げの試行、共同調達、カード決済、ネットオークション、旅費業務等、改革の具体化実現に取り組んでまいります。
 次に、震災に関連する規制・制度改革です。
 これまでは、発災以降、各府省が独自に行ってきた規制強化、規制緩和、114項目の取りまとめを行っておりましたが、その後、様々な経済界ですとか、あるいはいろんな形で提言、要請等も頂いておりましたので、今、規制改革室、テーマを「復興」にして、事務局の体制を一新をしました。どういう規制・制度改革を行っていけばいいのか、今、精査をしています。早く手がつけられるところ、法改正を伴わないもの、あるいは政省令で対応できるものと、いろいろと分けて分類をして、迅速に講じなければならないと思った規制・制度があった場合には、行政刷新会議の場も踏まえて提言をしていきたいと考えております。
 また、被災者生活支援特別対策本部、電力需給緊急対策本部とも連携を図りつつ、進めていく予定です。
 政府が「復興アクション」に取り組んでまいります。既に農林水産省では「食べて応援しよう!」キャンペーンを展開しております。また、政府も一丸となって、これからは、例えば「買って応援しよう」、あるいは「旅して応援しよう」、あるいは節電といったら「消して応援しよう」、いろいろな応援のやり方が考えられると思いますが、消費者庁としても復興アクションを取りまとめて、これから積極的に動かしていきたいと考えております。
 まずは、「FUKUSHIMAを正しく理解しよう」プロジェクトを立ち上げました。末松副大臣を座長とするチームで対応してまいります。今日はキックオフとして、本日午後14時から、私が福島のアンテナショップ、ふくしま市場の視察をいたします。そして、これからは消費者団体も今、様々な復興アクションをとっていただいておりますので、そうした方たちの知見を最大限広めるためにも、シンポジウムの開催、分かりやすいQ&Aの冊子を作って、活用していきたいと考えております。正にリスクコミュニケーション、これから動かしていこうと考えております。
 あと、関係省庁、関係機関との連携を検討しているんですけれども、本日、農水大臣と私の連名で、生産者、小売業者、消費者の皆様宛にメッセージを発出する予定です。農水省の「食べて応援しよう!」に、消費者庁としてともに連携をして取り組んでいくことにしています。地域の消費者団体の活用事例、どういうものがあるのか、それを私のほうで取りまとめて、これから広く提案をして、あるいは紹介をしていきたいと思っております。
 このほか、生活関連物資の価格・需給動向の監視、被災地の消費生活相談への専門家派遣も、随時行っていく予定にしております。
 最後に、本日、震災発生以降、3回目となります物価担当官会議を行います。震災直後、首都圏における生活関連物資の買い急ぎという行動がありましたが、そうした物資の品薄状況については、一部の商品を除けば―本当に一部だと思っております―ほぼ解消されつつあります。消費行動、あるいは日常の買い物風景が戻ってきたと認識をしています。消費者の方々には、本日より実施をします復興アクションキャンペーンにもあるように、東北の野菜を今後は積極的に食べて消費をして、そして被災地を応援する行動を是非とっていただきたいとお願いを申し上げます。さらに、本日の物価担当官会議では、建設資材について、応急仮設住宅の建設等による需要の増大によりまして、価格の上昇や買い占め、売り惜しみを心配する声も出ておりましたが、ここにおいては、農水省において、今、調査を丁寧に行っていただきまして、建設資材の価格、需要動向についても重点的に取り上げ、報告をいただく予定にしています。
 住宅建設資材の価格、需給動向につきましては、国交省、林野庁において、震災後、緊急調査を実施すると同時に、調査の頻度を、従前月1回だったんですが、2回に増やしていただいて、監視体制は強化しているという報告が今日はなされると承知しています。
 本日は、被災地における応急仮設住宅建設のために必要となる建設資材、合板ですね、ベニヤを主としたものなんですが、供給面での対応は十分可能であり、現時点ではその価格が際立った上昇は見られていないという報告がなされると承知しています。
 ただ、今後も万が一にも買い占めであるとか売り惜しみということがあってはなりません。それが物価にも反映をされますし、ひいては被災地の復興、被災者の生活再建に影響が出ますので、引き続きチェックはしていきたいと考えています。
 私からは以上です。何かありますか。

2.質疑応答

(問)共同通信の岡です。
 千葉でまた出荷自粛規制中のホウレンソウが市場に出回ったんですが、これについてどう思われますか。
(答)一言で言ったら、遺憾です。政府を挙げて、消費者庁としても当然、食品の安心・安全を最優先課題としておりますので、こうした行動を行っていただきますと、消費者、国民の信頼は当然失墜をしますから、ひいては千葉県についてもやはりその信頼という部分に影響が少なからず出ると思っておりますので、生産者の方たち、あるいは消費者の方たちの思いをしっかりと受け止めるような体制を、ぜひ講じていただきたいと思っております。
 この事態は看過できないと思っておりますので、昨日、福嶋消費者庁長官の名前で、消費者庁の設置法に基づきまして、厚労大臣、農水大臣に調査の協力依頼をお願いすると同時に、消費者庁としても独自の調査に乗り出しました。その結果は、分かり次第、分かりやすく公表したいと考えています。
 いずれにせよ、二度とこういうことがないように、改めて各省庁とも連携をとって、しっかりとチェックはしていきたいと考えています。
(問)千葉県のガバナンスについてはどう思われますか。
(答)ガバナンスについて、私がどうこう言う立場にはありませんけれども、こういうことが二度と起きないように、生産者の側の安心、消費者側の安心のために、国としては暫定基準値を設けて、市場に出回らないように、あるいは県としても自粛という形で県の信頼というものを担保されていると思いますので、そこが両方損なわれないようにしていただきたいとは思っています。
(問)フジテレビの古山ですが、関連してなんですが、二度と起こらないようにと大臣はおっしゃるんですが、たしかこれ2度目か3度目、この規制されているものが誤って出てしまったと。何か再発防止に向けて、消費者庁として具体的にとられる行動を、何か現時点で考えていらっしゃいますか。
(答)まずは、既に農水省が一義的に調査をして、様々な経緯は分かっていますし、メディアの皆様方を通じて報道いただいておりますけれども、消費者庁としても、どうしてこういうことになったのかは独自に調査します。改めて消費者庁から厚労大臣、農水大臣にも調査協力の依頼をお願いしましたので、より詳細な調査が行えると思っています。その結果を公表することによって、是非他の県の方たちにも同じようなことが起こらないように、私からも呼びかけたいと考えています。
(問)スタンダード・アンド・プアーズの国債の格付けなんですけれども、下げられる一方で、民主党内でも復興財源としての増税に反対するという動きが広がっていますが、この件について、閣僚としてどのようにお考えですか。
(答)復興財源は、いずれにせよ、額はまだ未定ではありますけれども、必ず必要になるものであります。行政刷新の担当としては、まずは今の行政の歳出のあり方、その一つ一つにまだ無駄があるのではないか、あるいはお金の使われ方に見直しができるのではないかという点検は行っていきたいと思っております。その部分では、行政事業レビュー、いわゆる公開プロセスは今回、震災がありましたので見送りをしましたけれども、しっかりと各省庁に自らが考えていただけるように、事業シートは作成をしていただきたいと思っておりますし、私としては、その結果として財源が捻出できればという思いで仕事は取り組んでいきます。税の話はその後だと考えています。
(問)日本消費者新聞社の丸田と申します。
 消費者庁の復興アクションについてなんですが、食の安全を中心とするリスクコミュニケーションの実施ということで、消費者団体と連携したシンポジウム、セミナーの開催と。これはまず、いつ頃なのか具体化されているんでしょうかということと、それともう一つ、その下に相談員ですね。リスコミ等に活用するようなQ&Aの作成ということがありますが、このQ&Aは既にできているんでしょうか。
(答)このQ&Aは、今、まさに作成中です。できれば、消費者相談員の方たちにもお渡しをして、そうすると、やはりより適切な相談に乗ることができると思っていますので、活用していただければという思いもございます。あるいは、様々なシンポジウムを行うときに、こうした冊子というのも有効なツールになると思っていますので、まさに今、作っているんですが、例えば各省ホームページにあるQ&Aが既にもうございます。あるいは消費者、消費者団体からいただいた問い合わせ等も活用したいと思っておりますが、ベクレルとシーベルトの違いですとか、あるいは内部被ばくと外部被ばくの違い、あるいは暫定基準値とは、あるいは先ほどもお話ししましたが、市場に出回っている野菜あるいは商品は大丈夫かというような想定を含めて、今、作っているところでございます。
 シンポジウムとセミナーは、まさに今後検討していこうと思っているところでありまして、既に福嶋長官、長官に御就任されてから、各地の消費者団体の取組を、実際に現地に行って見てきておりますので、あるいはこれまでの消費者庁の中でも様々な知見というのが蓄積をされていますので、今回の発災以降、被災地のために様々な取組をいただいている消費者団体の先進的事例といいますか、他の団体でも是非取り組んでいただきたいという内容がございましたら、それを横につなげていく形で発信していく役割を、ひとつシンポジウム、セミナーでできるのではないか。あるいは、そのQ&Aにもあるような、本当に素朴な疑問であるとか、消費者、ひいては国民の皆様方が聞きたいと思っているような情報について、各省の方たちの人材、知見もお借りをしてシンポジウムができれば、それは被災地以外の方たちの冷静な行動にもつながると思っておりますので、ここはまだ企画段階ではございます。
(問)読売新聞の金杉です。物価担当官会議、本日も行われると思うんですけれども、第1回目のときは、かなりコンビニエンスストアなんかの調査結果でも、かなり品不足があるなと思ったけれども、2回目以降、本日も恐らく静まっている傾向になるのではないかと予想されるんですけれども、私なんか想像していた以上に消費者が冷静だったのか、あるいは供給体制がしっかりした、生産体制がしたのか、その辺、どこに一番、思った以上にひどくならなかった理由があるのかなと思うんですけれども、大臣はその辺はいかが分析されますか。
(答)全ての複合的な要因がプラスに向かって動いたと思っています。供給サイドの安定的な供給、あるいはその商品確保のための御努力というものも一因としてあった。あるいは、メディアの皆様方に冷静な報道をしていただいたという情報提供もあった。そして、何よりも、消費者の皆様方の買い急ぎということに、一歩考える、立ち止まって考えるという心理効果も、非常に力強くあった。その結果、発災直後は確かに生活関連物資、震災前に比べて供給量を増やしていても、需要に追いついていない、結果として陳列棚から商品が品薄になるという事態はありましたが、それが随分と、私の感覚でも早い段階で冷静になったと思います。恐らく今日の物価担当官会議でも資料をお配りするとは思いますが、ほぼイコールといいますか、需給バランスが取れつつあります。
 逆に言うと、例えば紙おむつですとか生理用品ですとか、特定のメーカーの工場が被災地にあるということから、供給が若干、震災前を100とした場合に100を切っているものもございますが、それに対しての需給バランスもある程度落ちついてきていると思っています。
(問)需給バランスは落ちついてきているんじゃないかということなんですけれども、一方で、経済産業省の担当官に前回2回目のときにお聞きしたところ、乾電池ですとか、逆に輸入が増えてだぶついてしまう危険性があるんじゃないかとか、あるいはペットボトルの水もかなり輸入されているけれども、じゃ消費者が輸入されたお水をどれだけ買うのか分からない、じゃそれもだぶついてしまう可能性があるんじゃないかという話をされていたんですけれども、その辺は、今日、結果としてはもう既に大臣のお耳に入っていらっしゃいますか。どうなるのか。
(答)乾電池並びにミネラルウォーターの数値も、表の中に確か入っていたと思います。今、私、記憶はしておりませんけれども、今見ますね。乾電池は、これは震災直後は、通常の震災以前の供給に比べて約7倍の供給をしておりました。それに対して需要が16倍あった。結果として品薄になっていたのですが、4月25日現在で見ますと、供給は震災前の1.2倍、需要は1.8倍ですから、ここは若干落ち着いてきている。そのだぶつきというのは、この数値を見る限りでは、まだ想像できないなと思っております。
 飲料水、大型だと、震災直後は震災前に比べて2.5倍供給していたところに対して、需要は31倍ありました。これは本当に水不足という事態だったんですけれども、4月25日現在では、震災前に比べて1.5倍の供給をしていますが、それに対して需要は3倍、これは確かに追いついていないという状態ですので、まだだぶつきという事態はないと思いますが、あとは経産省に聞いていただければと思いますが、もうちょっと長期的な視点で見たときに、それは恐らくメーカーさんが計画的にどうやって出していくのか、どこで売っていくのかというのは考えることだと思いますが、経産省がそれをどういうふうに指導していくのかなとは思います。
(問)テレビ朝日の辻井です。
 先ほどもちょっと話があった復興財源の話に戻って恐縮なんですけれども、必ずいずれ必要になるというお話なんですけれども、その求め方として、広く薄く消費税という形で期間限定で求めるのか、それとも仙谷副長官がおっしゃるように所得税という形で求めるのかという、今、大臣はどのようなお考えでしょうか。
(答)議論を始める前に選択肢を狭めることはないと思っています。それは、様々な税をどういう形で組み合わせるのかという、広い意味で選択肢を広げて、その中から何が国民の理解を得られるのか、そして安定的な財源になるのかという視点で審議をして、政府として決めていくものだと思っています。
(問)読売新聞の清永です。
 震災に関する規制・制度改革なんですけれども、これまでは経済成長の観点でやっていたと思うんですけれども、その114項目変更して、府省の法改正を伴わないものをやっていた、そのすみ分けというか、府省レベルでやっていたものと、今度また事務局が主導してやるという意味で、どのような違いがあって、例えばスケジュール感とか、その辺はどういう感じになるんでしょうか。
(答)震災直後から各府省が独自に行っていた、例えば消費者庁で言ったら、そのパッケージを簡易なものにしても大丈夫、あるいは輸入した水においても英語表記のままでも大丈夫というような措置はとっておりますけれども、各省もいろいろ行っている。その114を見ると、本当にこれは緊急的に被災地だけのものなのか、継続的にこのまま改革を行ってもいいものがあるんじゃないか。あるいは被災地だけではなくて、日本全部に広げても問題はないのではないか。それがひいては日本の復興、経済成長に資するものがあるのではないかという視点で、今、それは精査をしています。
 それ以外で、例えば経済団体等から頂いたのは、節電の関係もあるんですけれども、電力需要を抑えていただく、今、計画をつくっていただいておりますので、その結果、工場の稼働を土日にずらしていただくとか、あるいは夜間にずらしていただくというようなことがあった場合に、様々な法律で、住宅街における週末の工場を稼働することによって振動が基準値以上に上がってしまうとか、こういうことに対しては改革をしていただきたいという要望をいただいておりますので、今、私もそれに目を通し始めているんですけれども、震災地で行える規制改革と、震災地、被災地以外で行える改革という視点に分けて、なるべく早くまとめたいと思っています。

(以上)