与謝野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年8月15日

(平成23年8月15日(月) 10:46~11:00  於:合同庁舎第4号館4階共用408会議室)

1.発言要旨

 閣議は案件通りでございましたが、閣僚懇は若干の議論をしましたが、御報告は別の大臣からされるのではないかと思います。
 まず、閣議とは別に、2011年4‐6月期のGDP速報が出ましたので、それについて発言をさせていただきます。
 本日公表しました2011年4‐6月期のGDPでは、実質成長率が前期比0.3%、年率にしますと1.3%のマイナスでございます。また、名目成長率が前期比マイナス1.4%、年率マイナス5.7%となりました。4‐6月期は震災の影響によりマイナス成長になりましたけれども、この間の月ごとの動きを見れば、供給制約は徐々に緩和し、マインドも下げ止まったと見ております。また、公共投資に復旧関連の増加も見られておりまして、こうした動きが続いて、足元では景気は持ち直していると判断しております。
 今後は、サプライチェーンの回復が順調に進み、復興需要が確実に増加することから、本年後半には比較的高めの成長が実現することが見込まれます。ただし、電力供給の制約やそれによるコスト上昇の影響、企業、人材の流出するリスク等、これに十分留意する必要があります。また、世界経済の不透明感の高まりや円高が我が国の景気に与える影響については、十分注意してまいりたい。
 なお、本日の閣議で政策推進の全体像を決定いたしました。本全体像に基づき、震災からの復興を進めるとともに、日本経済全体の再生に向けた施策を進め、電力供給制約や産業空洞化等のリスクに適切に対処していくことが必要であると考えております。以上です。

2.質疑応答

(問)GDPについてお伺いします。4‐6月期、3期連続のマイナス成長ということで、これはリーマン・ショック時の、08年、09年の4四半期以来ということですけれども、これは景気後退にあったというふうなことになるのか、このマイナス成長についての大臣の御認識をお伺いします。
(答)これは、震災によって日本が持っている供給力の一部に障害が生じたと。中でも、重要な自動車産業にとっての要の部品の幾つかが欠けるという、予想していなかった事態によって供給力の不全が起きたという一時的な現象によって生産力が落ちたと、生産が落ちたということであって、4-6月、平均しますとマイナスになっていますけれども、5-6月と少しずつ改善をしておりますから、極めて震災ショックによる一時的な現象と。それで、既に内閣府の判断では足元では景気は上向いておりますし、これは民間の団体、日本銀行、我々も一致しているのですが、年末にかけては上昇傾向に入っていくということでありまして、そういう意味では4-6月の数字が危機的な何か、ものを表しているわけではなくて、極めて一時的な、原因のはっきりしていることによって起きたものだと判断するべきだと思っております。
(問)7‐9月の見通しについて伺います。民間調査期間では7‐9月が大幅なV字回復を見込まれていますが、大臣の御認識としてはいかがでしょうか。
(答)内閣府のほうも傾向としては同じ傾向を考えております。
(問)2点お願いいたします。今日の発表のGDPで、GDPデフレーターが前年同期で7期連続マイナスになっていますけれども、これについての御見解をまずお願いします。
(答)物価が、やはり僅かずつでも下がっていると、そういう状況があって、これがなかなか治らないと。この理由を辿れば色々なところに行き着いて、一撃で倒すことの出来ない難しい問題です。徐々に改善していくと思っております。
(問)もう1点、今後のリスクを先ほど色々な要因を挙げていただきましたけれども、今後、菅政権が替わると言われていますけれども、そういう政治的な要因が景気動向に与える影響というのは何かあるかどうか、その点をお願いします。
(答)最も私が心配していることしか申し上げられないのですが、新しい政権が発足する、そのときに政策運営あるいは政権の構造、意思決定の構造について、与野党で一定の理解を得た上での出発かどうかと。これがあまり上手でない出発をすると、社会保障・税一体改革、復興財源、それから3次補正、これらのことがスケジュール通りに十分迅速に出来ない。あわせて、それらの決定にもたもた感が出ますと、経済は政治に対する予見可能性を失うと。こういうことが欧米では起きたわけです。ですから、一番大事なことは、新政権が発足するときにやはり党派を超えて日本をどうするのだと。その意思を各党が忌憚のない議論をして、意見を言って、やはりより良き政権をスタートさせると。政権というのは民主党のものではない。政権というのは国民のものだと。そういうやはり認識を民主党がまず持って、やはり穏やかに自民や公明、その他の政党にお呼びかけをしていく。そういう丁寧なプロセスが必要だと私は思っています。
(問)先ほど冒頭の発言で、円高に対して留意が必要だという御発言があったのですけれども、2つ。
 1つは政府がなすべき対応。もう1つは日銀がなすべき対応。分けて御見解をいただけますでしょうか。
(答)円高になりますと、輸出産業あるいは輸出産業の下請けの中堅・中小企業等、色々、例えば資金繰り等で困ってくる方がおられます。そういう方には一時的にせよ、やはり円高で予想し難かった苦しみを味わっている方については、政策的に対応すべきだと思っております。円高だけでは産業の空洞化は起きないと思いますけれども、円高、電力の供給不安等々があって、法人税制等々、その他の税制上の問題がありますと、やはり日本から外に出ていこうとする企業が増えるわけですから、それに対する対応というのは税財政、金融を含めて政府がやらなければいけないことです。
 それから、日銀が出来ることは、やはり金利水準はゼロ近くに張りつけていますからそうは出来ませんけれども、流動性は潤沢に供給しますと。それから、CP、社債、国債等については、あるいはREITもそうですけれども、日銀の立場にふさわしいものを買い入れる。こういう緩和政策は既に発表されていますけれども、そういう緩和的基調はやはり続ける必要があると思っております。

(以上)