与謝野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年8月12日

(平成23年8月12日(金) 9:43~10:03  於:合同庁舎第4号館4階共用408会議室)

1.発言要旨

 おはようございます。閣議の御報告をします。
 先般、閣議報告した社会保障・税一体改革成案及び本日閣議決定した中期財政フレームを踏まえ、政府側として今後の大きなスケジュール感を確認する観点から、閣議の前に社会保障・税一体改革の当面のスケジュールについて、官房長官室で私と片山総務大臣、野田財務大臣、細川厚生労働大臣で、枝野官房長官の下で5人で話し合いをしました。その内容はお手元に配付したこの資料でございます。社会保障改革については厚労省の関係審議会等の場において今月以降、着実に検討を進めること。税制改正については秋以降、税制調査会における議論を経て、附則104条に示される道筋に従って平成23年度中に法案を提出することにしております。今後、与野党協議が始まって更にきちんと対応出来るよう、このスケジュールに沿って着実に検討を進め、社会保障・税一体改革の実現を図ってまいります。これは見ていただくとお分かりのように宿題の羅列でございまして、ただ社会保障・税一体改革の報告書をつくるということだけでは済むことではなくて、具体的に個別の項目に落としていって、どこがいつまでにやるかと、こういう表でございます。御参考にしていただければと思います。
 内閣府では、東日本大震災、それへの対応、社会保障一体改革への取組、本日の閣議で決定された中期財政フレームなどの現時点における状況を反映した内閣府年央試算及び経済財政の中長期試算を作成いたしましたので、お手元に配付しております。お示しした経済財政の見通しや展望を踏まえ、政策の整合性を確保しつつ、成長力の強化、社会保障・税一体改革をはじめとした財政健全化に取り組んでいくことが極めて重要であると考えております。
 以上です。

2.質疑応答

(問)今、閣議で報告された中長期試算ですけれども、消費税を2015年度までに10%に上げたとしても2020年度に18兆円の財源の不足が生じるという、非常に厳しい内容になっていると思うのですけれども、この厳しい状況を財政再建、増税への国民の理解という点で今後どういうふうに説明、理解を求めていくべきだというふうにお考えでしょうか。
(答)まず、この中期財政フレームと財政の試算が言っていることは、一応段階的に消費税を上げていく。しかし、仮に2015年の基礎的財政収支の赤字半減ということであれば、2015年度までに絶対に10%のレベルに達していなければなりませんと。ですから、いわば政府・与党で合意した2010年代の半ばというのは、中期財政フレームに照らして言えば、2015年であると確定的に申し上げているところに特徴があります。
 それからもう一つは、私は2016年に政治家がまた苦労するでしょうと言ったのは、やはり2020年の基礎的財政収支の黒字を目指すためには、歳出歳入改革をもう一段やらなければならないということは、これらの資料からご説明するまでもなく当然のこととして読み取れるということで、政府の文章の中にもそのことが書いてあるということでございます。
(問)もう1問、年央試算ですけれども、2011年度の成長率0.5%で、2012年度に2%後半の伸びを見込んでいるということですけれども、足元のこの歴史的な円高ですとか海外経済の情勢を考慮した場合に、これが下振れするリスクというのはどの程度あるというふうにお考えでしょうか。
(答)下振れのリスクは、日本が主要市場と見ているアメリカやヨーロッパ、東南アジア等の景気の状況、中国の経済の状況、こういうのは心配の種ですし、また下振れリスクとしては為替が過度に変動するということもリスクですし、電力供給の問題にある程度経済活動をやっている方が確信を持てるということも大事ですし、またある種のはやりとして生産拠点の海外移転というのはスタンピードのように起こっては困ると思っております。
(問)もう1点全く違う質問で確認までなのですが、来週15日、終戦の日ですけれども、大臣は靖国神社参拝のお考えというのはないということでよろしいのでしょうか。
(答)靖国神社というのは私の地元の最も大きな神社ですから、しょっちゅう行っていますから、いまだに日を決めて8月15日に行ったことは一回もないです。
(問)補足で2点ほど伺います。まず、年央試算のところの今年度の成長率0.5%というところなのですが、日銀や民間の調査機関等の予測に比べると若干強気な数字になっているかと思うのですが、これは恐らく今年の年後半からの経済回復を強く見ているということだと思うのですけれども、その点について御認識はいかがでしょうか。
(答)強気といっても0.1の話ですから、これは強気とはとても言えない僅かの差です。要するに、数字は0.4と0.5と違っていますけれども、認識の方向性は今年に関しても来年についても、政府と日銀の考えている方向と、方向の大きさは一緒だということです。
(問)あともう1点、仮定の話になって大変恐縮なのですけれども、今回の試算で示されたように、2020年度のプライマリーバランスの黒字化にはかなり厳しい歳出歳入改革が必要ということになると、逆にこの20年度の黒字化目標自体をずらしてしまおうという意見が政治の中で盛り上がってくるとも限りませんが、この2015年度半減、2020年度黒字化という目標の意義、意味、大切さ、重要性についてどのように考えていらっしゃるか。
(答)そういう悪魔の囁きにどう抵抗するかというのが政治の品格と力量というものであって、今後の政治家に、決めた以上は死守するという心構えと、決意、決断と、信念と、矜持を持っていただきたいと思っています。
(問)今日閣議決定された中期財政フレームについてお伺いしたいのですけれども、その中で71兆、44兆という昨年と同じ数字を一応目標とするということが決められていますけれども、この国債発行の44兆円というのは自民党時代から見てもかなり最大級の規模というのを3年間ほど続けるということになりますけれども、これ自体についてはどのように御評価されていますでしょうか。
(答)教科書的にいえば、財政の均衡が全く図られていないと。しかも、国債発行による収入が税収を上回るという状況というのは、これは好ましくないということは論ずるまでもないことであると思います。ですから、恐らく2015年過ぎた段階でもう一度、歳出歳入一体改革ということをきちんとやらないと中期財政フレームを守れない。今回の税・社会保障一体改革は、これから長い道のりの財政再建の第一幕でしかないと思っております。日本は一応国債発行をしても、それは国内の債務であって対外的な債務ではないという点はあるのですけれども、政府にとっては誰に借りていようが債務は債務なので、いずれお返しするというのが日本人の今までのあり方なので、デフォルトと言って逃げるなどということは許されもしないことですから、まず3党協議をやってきちんと決めて、2016年になったらまた多くのポピュリストを敵に回して政治家が闘うべき時期が来るということは何度も申し上げているわけです。
(問)今日確認されたこの一体改革のスケジュールなのですけれども、間もなく総理が退陣表明をされて政権も替わると言われている中で改めて確認した意味というのを、要は次の政権にどのようにこのスケジュールを引き継ぐのかという点についてはどういうふうに確認されたのでしょうか。
(答)これは役所ベースでどんどん進められるものでして、政治決断はすべて済んでいる話でございます。ですから、政治にかかわりなく事務ベースでどんどんやっていただきたいし、審議会もどんどん開いていただきたいと思っております。総務省にはなるべく早く地方のやっている美しい単独事業の数々を教えていただけるように、心からお願いを申し上げておきます。
(問)大臣として6月末に仰っていた、鉋屑を拾う仕事が残っていると、以前仰っていましたけれども、一体改革の成案がまとまったときに、まだ多少鉋屑を拾う仕事が残っているのでやらなければいけないと仰っていましたけれども、それはすべて拾い切れたのでしょうか。
(答)鉋屑の殆ど大きなものを拾ったのがこのスケジュールの紙です。
(問)今回の政府の経済見通しのほうで1点伺わせてください。大臣が繰り返し今後のリスクとしてかなり強く仰っていらっしゃる電力の供給制約、原子力発電所の問題ですけれども、それが今回のこの見通しの中では大きく織り込まれていないと、電力供給については徐々に解消されると想定しているという定義が置かれていますけれども、このリスクが与えるこのシナリオの下振れの可能性ということについてはどう考えておいたらよろしいのでしょうか。
(答)考えたくないことですけれども、岩田一政先生の研究によれば、すべての原子力発電所が止まった場合はGDPで1%以上のマイナス効果があるということですから、非常に深刻な話になっていきます。
(問)見通しの改定についてですけれども、今日まとめましたけれども、今日の午後に消費者物価の基準改定があって、それらの数字が一遍に古くなるということと、あと月曜日に新しい4‐6月のQEの発表があって、これも成長率のほうがそれの動向によってはすぐ陳腐化するという状況があって、今日の段階でまとめるというのはタイミングとしては非常に悪いタイミングではないかと思うのですが、それについてはいかがなのですか。
(答)現時点での色々な物価指数等は有効なものでございまして、手持ちの有効な物を使って考え方を計算するというのは当然必要なことであると思っております。基準改定があった後は、基準改定に従ってこれからどうするかということは当然御指摘のようにあるかと思いますが、これは間近に迫った基準改定前の数字だというふうに御理解をしていただきたいと思います。
(問)あと、話変わりますけれども、菅総理が退陣を表明というかお辞めになるという意思表示をだいぶ色濃くされたと思うのですけれども、この点については大臣はどういうふうに御覧になっているのですか。
(答)それは6月2日から多くの方に予想されていたことですが、総理御自身が、やはりやり残している仕事があるという思いが非常に強くなっていたわけで、総理の思いを遂げられたので、淡々と若い人に道を譲りたいと、そういう自然な流れだと思っております。

(以上)