与謝野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年8月5日

(平成23年8月5日(金) 8:52~9:01  於:合同庁舎第4号館4階共用408会議室)

1.発言要旨

 閣議は案件どおりでございましたが、財務大臣から御発言があって、概算要求の期限の時期を、8月末というところから約1カ月ずらしたいというお話がありました。その背景については、恐らく財務大臣の記者会見で明らかにされると思います。
 以上です。

2.質疑応答

(問)昨日のニューヨーク市場で、ダウ平均が500ドル以上下落しまして、欧州株も下落ということで、世界経済の先行きの懸念が高まっている状況かと思うのですけれども、この要因と、日本経済に対する影響について、大臣がどのように見ておられるのかお願いします。
(答)世界は金融では全部繋がっておりますから、ニューヨークやヨーロッパで起きることが他人事ではないということは、日本の金融関係者は十分認識する必要があると思います。アメリカ経済に対しては、米政府または連邦準備が十分な対策をお取りになると私は確信しておりますし、ヨーロッパはソブリン危機の広がりに対して、EU中心にEC等がこれまた精力的に政策を展開していくものと確信をしております。
 我が国は、昨日いち早く、スイスと同様に自国通貨が高く振れることに対して政府の立場を明らかにし、日本銀行の立場を明らかにいたしました。
 今後は、やはり経済の3極が十分連絡をとりながら協調的に社会経済が悲観に包まれないように色々な政策を展開していく、このことが必要であると思っております。
(問)為替相場についてなのですけれども、介入後、一旦下落した円がまたじりじり戻すような展開も見られているのですけれども、今、御指摘があったように、経済の状況によっては再度リスク回避の動きというのが高まる可能性も今後あるかと思うのですけれども、介入効果の持続性という点についてはいかがお考えでしょうか。
(答)介入というのは永久にやるものではなくて、適宜、最も効果的な時期を選んで介入をしていく。これについては、この1回限りだと考えるのは早計であって、この判断はまだこれから状況を見ながら考えていくべきことだと思っております。
(問)世界経済なのですが、米・欧の同時株安で、いわゆる二番底懸念というのが広がっているのですが、先ほどの大臣の発言だと、この二番底の懸念は薄いという御認識でしょうか。
(答)経済は、物やお金の動きで決まってくる部分と、実体経済や金融にかかわっている方のマインドで決まってくることも多いわけでして、恐怖が恐怖を生むようなことにしてはいけないと。多分、アメリカの方もヨーロッパの方もそういうふうに考えておられるので、やはりここで将来に対していたずらな不安を持って、不安が不安を呼ぶというようなサイクルに入らないように、ヨーロッパもアメリカも日本も努力をしなければならないと思っております。
(問)今の世界経済の先行きに対する不安からニューヨーク市場も下落したと伝えられていますけれども、世界経済全体に対する不安というのは、果たして大臣はどこが今震源地というか、主要な先行きに対する不安が生まれているのは、どこだというふうに認識されていますでしょうか。
(答)現象から申しますと、やはりまず第一はギリシャに端を発したデフォルトの危機というのがヨーロッパ全体の経済に対する不安。またその他借入比率が大きい国々に対する国債に対する信認の低下というのがありました。
 もう一つは、やはりアメリカの経済。これは明るさが見えてきたということは、過去何回も言われておりましたけれども、やはりアメリカの経済は、個人消費が70%も占めている経済で、その中で資産価値を持っていた個人の所有する住宅の価値が下がったということは、その家の持っている担保としての価値も下がったということで、家計は消費ということよりは、むしろ自分のバランスシートを改善するために努力をしているという状況。その中でも住宅市場の成長ははかばかしくない、住宅価格が下がっているという、そういう状況にあると思います。
 それから、やはり心理的に影響を与えたのは、議会での債務上限の問題に関する民主党と共和党の数週間にわたる政治的なやりとり。これがやはり世界の経済、金融に大きな心理的な影響を与えて、瀬戸際まであの状況が続いたということは、世界経済に対する不安を増長させた一因になっていると思っております。

(以上)