与謝野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年7月26日

(平成23年7月26日(火) 8:41~8:56  於:合同庁舎第4号館4階共用408会議室)

1.発言要旨

 閣議は案件どおりでございます。特段御報告はありません。

2.質疑応答

(問)昨日の復興財源の閣僚会合で、基本方針に向けて事業規模ですとか、大枠が了承されたかと思うのですけれども、償還の期間について5年から10年で、閣僚の間でまだちょっと意見の隔たりがあるようにも聞こえるのですが、大臣はその辺は改めてどのようにお考えか、どういう見通しをお持ちか、お聞かせください。
(答)私の主張は、やはり政府として基本は5年であるべきだということです。ただし、この話は民主党との協議、あるいは3党協議に付されるわけですから、むしろ政府としてはきっちりした考え方を出して、それが政治的に色々考えられているという道筋をたどったほうがいいのではないかということを申し上げました。10年説もありましたけれども、最後には基本は5年で最長10年ということですから、基本は5年ということでございます。
(問)復興の財源に絡んで、基本は5年ということになったことを評価するというような内容の発言だったかと思うのですが、改めて償還期間が10年、もしくはそれより長いような、長期の償還期間では問題が出るというところは、どういう点が問題になると御認識されていますか。
(答)まず、日本が出す復興債、これも国債の一種類ですから、国債市場における日本国政府の信認というものを確かなものにして発行をしていくということがなければならないと思っております。
 そのためには、期間は短いほうがいいというのは理解出来ますし、また復興構想会議をはじめ、3党協議等の考え方も、やはり復興債の償還の担保とか道筋とかという表現を使って、復興債を決めるときにはその償還財源についてもきちんとしたものを決めておくという考え方が出ているわけでして、ただ税制によっては5年といっても、例えば法人税は国際競争力の面から見て、そんな長く続けられないよとか、色々な意見が出てくる可能性がありますので、基本は5年としながらも、最大限10年というのは、復興財源の税目によっては、増税期間が短いもの、長いものが出てくるであろうという、そういう考え方に基づいていますが、一応基本は5年ということを決めたのは、市場の日本国政府の国債政策に対する信認を勝ち得るために大事なことであったと思っています。
(問)もう1点、また別件で為替相場の関連なのですが、現在も外国為替市場で円相場が78円台の前半ということで、77円台をうかがうような展開になっていますが、まずこの円高の水準に関しての御認識と、この円高水準が過去最高値レベルで続いていることの日本経済への影響について。
(答)輸出入が完全にバランスしていれば、為替水準というのは経済にそう効いてくるものではないと私は思っていますが、当面やはり日本の製造業は外需に頼っている部分が非常に大きいので、異常な円高水準というのは、彼らの計画を壊しますから、その面ではあまり変動幅の大きい為替水準というのは、それ自体が好ましいことではないと思っております。ただし、注意しなければならないのは、これは国内要因で起きていることではないということです。
(問)先ほどの復興財源の増税について、2点お伺いしたいのですけれども、基本が5年ということですと、社会保障の消費税の2010年代半ばというのと重なる時期が出てくると思うのですが、この2つの増税が重なるという負担増について、景気への影響とか、国民への理解というのが得られるかどうか、まずその点お願いいたします。
(答)実は税目まで議論をしますと機微に触れるので、具体的な税目は昨日は議論をしなかった。ということで、多分政府の税調において色々な案が出てくると思います。ただし、基幹税を中心にしてその他を多角的に検討するという表現が使ってありますので、基幹税プラスその他の税制というふうに解釈していこうというのが官房長官の御発言でした。
(問)税目はまだということですけれども、社会保障の議論のときにはかなり消費税を増税した場合に景気に悪影響ではないかという意見が多かったですけれども、例えば所得税を来年から上げた場合への景気への影響というのは、大臣はどのように御認識されていますか。
(答)これは松山統括官を呼んで勉強されたらいいと思うのですけれども、復興需要が出てきて、それが1年や2年続くことは間違いない。その間、日本の成長率が、保守的な日銀でさえ2.9%と言っているぐらいですから、復興需要は明らかに成長率を高める有効需要を相当押し上げる。したがって、成長率も高目に出ると、そういう状況が続くわけですが、これは5年も6年も続くわけではないので、復興需要が少しずつ減ってきますから、その有効需要だけを当てにして、経済運営は出来ないと思っています。
(問)今の復興増税の増税のかけ方なのですけれども、例えば5年間の場合、1年ごとに平準的にかける考え方と、今大臣仰ったとおりに、有効需要が出る間に厚くかけて、段々薄くするという考え方があると思うのですが、大臣のお考えともしくは閣僚会議の中でそのような議論があれば御紹介いただければと思います。
(答)そこまで細かい議論はしておりません。
(問)為替の関連なのですけれども、国内要因で起きていることではないと為替について仰っしゃられていましたが、もうちょっと詳しく何が背景にあると御覧になられているのか、お聞かせいただけますでしょうか。
(答)日本は金利水準も低いですし、通貨そのものに投資をする魅力は大変低い国であるわけです。ただ、ユーロの振れがある。ドルも振れているというところで、一定の水準の通貨が、一つは金に向かっていると、一つは比較的安定した通貨である円に向かっていると解説をされていますけれども、本当の理由は分かっておりません。
(問)この前、一部のメディアで携帯電話の料金の電波料の引き上げについてなのですが、その利点というのをちょっと教えていただければと思っています。
(答)私は、なるべく広く国民から復興財源をいただいたほうがいいと思っていまして、携帯電話にも今電波料を250円実は皆さん方は払っておられますけれども、これはアナログ放送が地デジに移行するための色々な費用に使われています。日本人は携帯電話を1億1,000万台持っておりますから、1台1日5円とか10円いただいても、すぐ数千億の規模になる。これはどうかなと言っているのですが、構想会議の主流の考え方は基幹税を中心にと、こう言ってますので、多角的な検討の中に入るのか、入らないのか、所得税と法人税だけで復興財源が確保出来るかどうかというのは、これからの検討であると思っています。
(問)それについて、テレビの電波料というのは。
(答)テレビというのは、払ってないのです殆ど。東京にあるメジャーの民放が払っているのは年間数億円で、嘘だろという水準です。
(問)アメリカの債務の上限の引き上げをめぐって、アメリカの国内での調整がなかなかついていないというような状況が続いていて、8月2日が期限だと言われていますけれども、この状況が続くことの日本経済への影響というのは、何か御覧になられていることはございますでしょうか。
(答)これはあんなことが本当に起きるとは思っていませんけれども、起きますとある種のリーマンのときと同じような信用収縮とか、インターバンクの取引の収縮とか、世界中の国債に対する不信感とかという色々な副作用が出てまいりますので、我々としては、これはきちんと片付けていただきたいと思っています。

(以上)