与謝野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年7月5日

(平成23年7月5日(火) 9:54~10:13  於:合同庁舎第4号館4階共用408会議室)

1.発言要旨

 閣議は案件どおりでございましたが、総理より、松本復興相の辞表が提出され、これが受理されたというお話がございました。辞任の理由は、自分の真意がうまく表現出来なかったと。今後の国会運営を考えると、それに御迷惑をおかけするわけにはいかないということであったと。総理は強く慰留されたけれども、松本大臣の決意は固かったと。以上です。

2.質疑応答

(問)今の松本復興相の辞任について総理から御説明があったということですけれども、今回、就任したばかりの重要閣僚が辞任したということについて、大臣はどのように受けとめていらっしゃいますでしょうか。
(答)松本さんというのはとてもいい方で、仕事を非常に熱心にやられる方。あの言葉で、松本大臣は恐らく自分たちも一生懸命やるけれども、地方自治体も沢山知恵を出してくださいということをお願いする、そういうニュアンスだったと思います。その後のことは総理、官房長官が相談して決められることなので、私からコメントはありません。
(問)今後の政権運営についての影響については、どのような影響があるとお考えでしょうか。
(答)そういう話は私は考えないことにしています。
(問)別件なのですが、政府の経済見通しの関連で伺いたいのですけれども、一体改革の政府・与党決定になって2次補正も閣議決定されたということで、政府の経済見通しを改定する環境は整ったかと思うのですが、改定のスケジュール感はどうなっていますでしょうか。いつ頃を目途に。
(答)まだ事務方、専門家と相談していないので、はっきりした時期は申し上げられません。ただ、昨日の日銀支店長会議の様子を見ても、大体ほぼ例外なく、近畿の一部を除いて全体として経済活動が活発化しているということが報告をされておりますので、全体、日銀の判断として景気が回復軌道に乗り始めたというのは、私共はまだきちんと勉強していませんけれども、我々の直感と合致するものであると思っております。
(問)あと以前、大臣は民間の調査機関の予測平均を御紹介する形で今年度の成長率について大体0%近傍になるのではないかというお話をされていましたが、政府の経済見通しの改定、今後の分析によっては0%よりも若干上振れする可能性もあるという御認識でしょうか。
(答)3月、4月、5月の落ち込みが酷かったものですから、それをオフセット出来るだけの大きな成長をこの4月以降遂げられるかどうかというのはポイントですけれども、多分計算をすればマイナスになるようなことはないというふうに直感的には思っていますが、データに裏付けられたきちんとした結論はもう少しお待ちいただければと思います。
(問)先ほどの話もありましたが、日銀の景気の引上げもそうなのですけれども、昨日日経平均が1万円を回復する場面もありましたが、大臣として景気の見通し、日本経済どういうふうに御覧になっていますか。
(答)株価は景気の先行指標でございますので、1万円を一瞬とはいえ回復したというのはいい兆候だと思っていますが、大震災によって日本の技術やあるいは人材やあるいは生産設備が大幅に失われたわけではありません。よく考えれば、一部の重要な部品産業等が東北にあって、サプライチェーンが切れたと。それから、飲食店の外食の利用状況などを見てみますと、明らかに国民に自粛ムードが広がった。これは旅行に関していえば、国内、国外ともに理由なく、多分自粛という理由で大幅に減ったということはありましたが、やはり数カ月たって平常な経済活動、社会活動を国民がもう一度始めたというふうに考えておりますから、今年3月、4月、5月ぐらいにあった悲観論というのはやや行き過ぎだったなと思っております。
(問)先ほどの松本大臣の辞任のことなのですけれども、与謝野さんもまとめられた税と社会保障などのそういう政策議論のほうへの影響というのは広くあるとお考えでしょうか。
(答)有為な閣僚が一人おられなくなったという点では非常に残念でございますけれども、我々の担当している仕事に直接影響があるというのは現時点では考えられない。
(問)もう一点なのですけれども、復興というのはかねがね皆さん、政治の方々も早く、スピーディーにということを仰っていましたけれども、そういう中で新しく任命した大臣がすぐに辞められるということは今後の復興計画なり、そういうことに、日本経済の立て直しみたいなところに影響というのはあるのかどうか、その点お願いします。
(答)復興というのは順番は別にして、まず復興資金をつくる、復興財源をどこにまとめるという一群の仕事があります。それからもう一つは、地元の要望という各県、各市町村の要望があります。それから、復興構想会議で出しました、いわば復興の理念というような理念系があります。だから、地元の要望の系統のグループ、集合体と、それから理念の集合体と財源の問題という集合体と3つがうまくかみ合っていかなければいけないわけでございます。やはり地元の要望と理念、どういう復興をするのかという、どういう町づくりをやるのかと、どういう経済圏をやるのかと、また東北地方における1次産業のあり方はどうすべきかという、そういうものもありますし、また個々の市町村等の要望もよく聞かないと、例えばこの漁港は早く回復しなければいけないとか、そういうものを総合的に判断するのが復興大臣なので、一日も早く後任が決まって、その方がその3つの分野をうまく統合して総合的に判断されることを私は期待しております。
(問)先ほどの経済見通しの年央改定に絡むことなのですが、先日会見で大臣は中長期試算については8月になると仰っていたと思うのですが、これは去年の例なのですが、政府の経済見通しの改定と中長期試算は同時に出して、しかも財政運営戦略、中期財政フレームとセットで出したという経緯がありましたけれども、今回はそれぞれ別に出すということをお考えなのでしょうか。
(答)経済の見通しは月例経済報告で毎月やっている話で、7月も8月もやりますが、経済と財政両方考えた見通しは多分8月になる予定でございます。
(問)あと出し方の問題なのですが、当然試算とはいえ、政策的なインプリケーションを持った試算だと思うのですけれども、財政運営戦略の見直しと同時に出すとか、中長期試算についてはどういう出し方をすれば望ましいとお考えですか。
(答)財政運営戦略というのは1年、2年だけではなく、5年、10年の単位で出さなければいけないわけですから、そういう側面と当面の足元の経済の話、特に政府は予算を作成する前提としての政府経済見通しというのを12月末に毎年出しますので、それもやはり震災の影響で改定せざるを得ないと。繋がっているようで多分別物だと思っています。
(問)大臣の所管と関係ない話で恐縮なのですけれども、首都機能移転の話題でお伺いしたいのですが、先日大阪の橋下知事と石原都知事が会談をして、大阪府の橋下知事が副首都構想というのを大阪に、大阪をそうしたいと持ちかけて、石原さんのほうは災害のバックアップ機能ならというような感じで一部機能の移転を容認するような感じで話が進んだというふうに報じられているのですが、大臣、東京の選出の議員として首都機能の移転というテーマについて何かお考えがあれば教えてください。
(答)この20年来、首都機能移転というので色々やったのですけれども、やはり東京というところは太田道灌の時代からインフラ整備をやっていて、首都としての機能、インフラというものの整備が格段に進んでいるわけです。15兆円ぐらいあれば首都は移転出来るのだと。例えば、堺屋太一先生などはそう仰るのですけれども、首都機能を移転するとどういうメリットがあるのかなと思います。ただ、首都にはソフトのデータとかそういうものが蓄積されているので、やはりそういうものは二重、三重、四重にバックアップをとっておかないと非常に危ないなと、そういうことは思いますし、バックアップの機能として大阪を活用したらどうかというお話だったら十分理解が出来るのではないかと思います。
(問)大臣、前回の記者会見の中で1%ぐらいのマイナス、物価下落は何でもないと、プラス要素だということを仰いましたけれども、今政府はデフレの脱却を重要政策として掲げているわけですけれども、この政策を見直すおつもりはあるのですか。
(答)勿論、私は見直したのです。私が前回経済財政担当大臣のときにデフレという言葉を政府の言葉から削除いたしました。定義のない言葉を使ってはいけないと。それを私が申し上げたいと思っています。
(問)今の政権でも同じことをやるのですか。あとデフレの定義は、政府はそれなりにきちんとやっていると思うのですけれども。
(答)デフレは、政府の定義は物価下落が数年続く世界をデフレと言っているのですけれども、1%程度の物価下落で驚いて自己暗示にかかるようなことをやってはいけないと、今でもそう思っております。
(問)ということは、デフレ脱却という政府の政策課題は取り下げるということでいいのですか。
(答)そんなことはありません。政府の課題は、日本の経済を成長させることであります。
(問)矛盾しませんか。
(答)何故矛盾するのですか。
(問)政府はデフレを脱却するということで、今の1%程度の下落が続いている状況を、そういう状況から脱しようというのを政策目標として出しているわけですよね。それは大臣の仰るのは、そういう状態はかえって望ましいのだということを仰っているわけで、根本的に違うと思うのですけれども。違うのだったら違うで、きちんとそこは改めるべきなのではないかなと。
(答)私の記者会見をもう一度読んでいただければ、1%程度の物価下落は労働所得を得ている人、年金所得者にとってはむしろプラスになっているということを申し上げたはずなので、そこのところが重要なのです。
(問)話題は変わるのですが、昨日総理と大臣が会食されておりましたが、どういったことをお話しになられたのでしょうか。
(答)お天気の話だけというわけにはいかないので、社会保障・税一体改革が1月に始まってからの一連の話をエピソード的に御説明を申し上げたということであります。
(問)それに対して総理はどういった反応だったのでしょうか。
(答)総理は、自分が参議院選挙の前に掲げた10%の消費税が必要だということが、政府や民主党できっちり決められたということを非常に喜んでおられました。

(以上)