与謝野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年6月28日

(平成23年6月28日(火) 9:24~9:49  於:合同庁舎第4号館4階共用408会議室)

1.発言要旨

 閣議は予定どおりでございました。
 細野大臣が新たに閣議に参画をされました。以上です。

2.質疑応答

(問)一体改革について何点かお伺いします。
 昨日の調査会で、民主党のほうから意見書ということで、まず2015年までに10%の消費税引き上げという点について、半ば頃までに概ね10%というふうな表現を例示されたり、あるいは経済状況の好転の部分について、前提ではなくて、これを条件という、より厳しい言葉を使うようにというふうな幾つかの意見が出されたのですけれども、この辺について、大臣、これからの御調整の中で、党のほうに対してどのように臨まれるのか、まずその辺をお伺いします。
(答)まず、2015年という数字を設定しましたのは、財政運営戦略の中で、2015年には基礎的財政収支の赤字は半減するということを民主党政権は決定をしております。それから、税・社会保障に関しては、藤井調査会が結論を出され、また5月26日には、仙谷調査会が結論を出されておりまして、社会保障制度の持続可能性を確保するとともに、財政健全化も同時に達成するという基本的な考え方が述べられているわけです。
 また、サミットをはじめ色々な国際的な会合で、総理大臣、閣僚は、日本の財政再建、健全化を、半ば国際公約のようにお話しになっている。そういう諸外国との関係も極めて重要です。また、累増する国債は、現在のところ長期金利の高騰ということをもたらしてはいませんけれども、この種の問題は突然沸点がまいりまして、フェーズが転移する可能性がある。これは昨日のムーディーズの警告的な文章にも表れているところで、日本国政府、あるいは日本の国債に対する国際的な、あるいはマーケットにおける信認というものを確保するということは、国民生活、国民経済を守る上からも、民主党政権が直面する大きな課題であると思っております。
 2015年という確定をした数字というものは堅持すべきでありますし、はっきりと5%アップという数字は堅持しなければなりません。即ち3党協議では、政府・民主党は、社会保障・税一体改革の成案を、可及的速やかに実現可能なものとして、そして最後に明確にと言っているわけですから、その野党との約束の中で明確性を約束したという条件を満足させるためには、増税が完了する時期、増税幅というものははっきりと政策決定をしなければならないというのが私の立場でございます。
(問)関連でもう1問お伺いします。
 今日、一部報道で、この一体改革について閣議決定を先送り、断念するというふうな方向という記事がありましたが、大臣は月内の閣議決定というのは必須の条件とお考えなのか、その点も併せてお伺いします。
(答)政策として確定していくということはどういうプロセスが一番良いのかという問題は考えなければいけないところで、現時点では閣議決定が良いのではないかと思っています。
(問)一体改革の補足で1問お伺いします。
 党のほうは、明日29日の総会に、党の意見を踏まえた政府としての修正案を示してほしいと要請していますが、こういう党の意見がまだ定まらない中で、明日の総会に修正案として何らか文章を示すことが可能かどうか、見解をお伺いします。
(答)党のほうの最終意見というものがありますと、政府のほうもそれに対するお答えというものを出せるのですけれども、次から次へ党の案が出てまいりますと、対応出来ないと思っていますので、そういう意味ではこの点はどう考えるのかということを言っていただければと思っています。
(問)あともう1問別件で、昨日、首相が内閣改造を発表しましたが、その中で、自民党から政務官を迎えるなどした結果、野党側が随分反発を強めておりますが、先ほど大臣も言われた与野党協議というのが今後一体改革でも必要になりますけれども、まず、内閣改造そのものの評価と、今回の内閣改造によって一体改革の与野党協議に与える影響をどのように考えていらっしゃるか、2点お伺いします。
(答)まず、経産大臣と原発担当大臣を分けたことには必然性があると思っております。経産大臣の仕事というのは、やはり日本の経済、産業の健全な育成とか、一番大きな問題は、対外通商政策、中小企業対策、もろもろにわたっております。そこで、原子力政策、あるいは今回起きた福島の事故そのものの処理、またそれに伴って発生する補償、損害賠償等々、こういうものを1人の人間でやっていくというのは、多分無理でして、それを分けられた総理の判断は正しいと思っております。正しいというのは、比重をかけて政策を考えると、やはりそれらの問題は2人に分けて担当していただくこと。
 惜しまれることは、私の隣に座っていた、極めて能力のある活発な優秀な蓮舫大臣が退任されたということで、男女共同参画担当の閣僚としては、女性閣僚がいなくなったというのは、多分、私が関係者から叱られるのではないかなと思っております。
(問)政務官人事に伴う与野党協議については。
(答)感想は全くありません。
(問)総理が今回、退任の3つの条件を示されたうちの一つ、再生エネルギー法案なのですが、これ経団連をはじめとして産業界のほうから、拙速であるとか、産業に対する影響が非常に悪い影響を与えるのではないかという懸念の声が広がっていますが、この法案に対する大臣の御所見をお願いします。
(答)結局は、産業界は、欲しいのは安定した国際競争力に耐え得る電力料金のレベルを要求しているわけでして、現時点で、自然エネルギーで発電をしてそれの買い取り制度を行いますと、電力料金全体が上がってしまう可能性があるということを多分懸念されているのではないかと思っています。
(問)もう1問、内閣改造なのですが、国民新党の亀井代表が今回、補佐官という形で入られたのですが、国民新党自体は消費税の引上げについて強く反対をされているのですが、これについての一体改革の影響ですとか御所見をいただけますでしょうか。
(答)民主党と国民新党が連立を組んだ時の条件第1位には、一選挙終わるまでは消費税は上げないと言っております。ただし、104条によって法的整備は政府・国会に課された課題ですから、決めるという話と、実施するという話は別の話でございまして、実施する時期が両党の合意文書の解釈の範囲内であれば、両党の連立合意に反するものではないと思っています。
(問)何点か。まず、大臣は先ほど、党側がどういう案文ならいいのかを持ってきていただくほうがいいと。しかし、党側はどうも逆のことを考えているようなのですけれども、そうすると、お見合い状態になってしまうのですが、ここはプロセスの考え方としてどう整理されるおつもりなのか。向こう側が持ってくるのを待つ、それで向こうも待っているとなると、何も動かないというふうに普通に想像してしまうのですが、そこをどういうふうにこの後整理されていくのでしょうか。
(答)大串事務局長と私共の和田政務官との間で色々話をされたときに、向こうも色々な考え方を述べておられましたので、そういうものが党の意見として、この点はという意見を出していただければ我々はそれにこたえると。ただし、野田大臣も私も、やはり法的整備には明確性を要求されるという立場ですから、その部分は極めて固いと考えています。
(問)すみません、もう一点ですが、民主党政権になって、まず政府と党は一体だということで政調会をなくしまして、その後、菅政権になって政調会は復活しましたと。ところが、政調会は、これは基本的に自民党の事前審査制が極めて悪いのだということで、提言機関だという位置付けで、政府の案を審議するのではなくて、党が提言したものを受けて政府が動くという流れになっていました。ところが、今回は、いわば党側の要求は全く別の逆の方向、言葉を変えれば、事前審査制の復活みたいなとらえ方も出来ると思うのですが、要は、こういう党側の決定プロセスが極めてぐちょぐちょであり、よく分らないということが色々な混乱の元なのかなという印象を受けるのですけれども、大臣はこの流れを見ていて、この間、党側と話していてどうお考えになっていらっしゃいますでしょうか。
(答)人は段々成長する、党も段々成長する。その成長過程の一つの現象だと。温かい気持ちで見守る必要があるのではないかと思います。
(問)1点確認なのですが、一体改革に関してなのですが、大臣として6月中に成案閣議決定もすべきだという考えに変わりはないのでしょうか。
(答)私が言っているのではなくて、閣議決定でそういうふうになっているので、閣僚の一人として閣議決定を守るために必死になって頑張っているわけです。
(問)一体改革で2点確認させていただきたいのですが、先ほど、財政健全化が国際公約であるとか、国債に対するマーケットの信認という話をされていましたけれども、このような与謝野大臣が感じられている危機感というものを、民主党はどうもあまり共有していないというか、危機感が薄いのではないかというふうに私などは感じるのですけれども、その点については与謝野大臣どのようにお考えでしょうか。
(答)3月11日の津波の結果、総理はその点について御感想を述べておられましたけれども、私の感想は、日本は実は極めて脆弱な基盤の上に成り立っているという国だということを実感いたしました。言い古された言葉ですけれども、やはり資源は何もない。やはり日本にとっては一人一人の人間が最大の力を出して働くという、これが一番大事なところでして、日本の国を今の豊かさの水準のレベルで維持していくこと自体、相当な努力をしなければならないと思っています。しかし、これだけの豊かな状況に慣れた我々は、もう後戻りは出来ないわけで、この水準を維持するためにどういう努力をしていくかということが極めて大事なことだと思っています。そういう意味では、とりあえず考えなければいけないことは、やはり1,000兆円になんなんとするこの債務残高というのは、我々の生活を破壊しないでしょうか。一番最近の統計では、8,000億円を超える貿易赤字が一体何を意味しているのでしょうか。デフレで1%程度物価水準が下がるということは、国を挙げて騒ぐほどのデフレ状況なのでしょうか。
 そういうことを一つ一つ丁寧に考えていって、やはり日本が生き残る術というものを確かなものにするというのが、政治の世界も、ジャーナリズムの世界も、学者の世界も、国民も、やはり考えていかなければいけないことで。確かに税金を上げるということを決めるということは、政党や議員にとっては辛いことなのですけれども、やはり政権政党たるものは矜持を持って迫りくる危機に対して敢然と立ち向かうと、そういう凛々しい明白な態度をとる必要があります。辛いことなのですけれども、そういうことをすることこそが政権政党の証、また勲章であると思っています。
(問)すみません、そうしますと、先ほど2015年度という時期と、はっきり5%という増税の幅については堅持すべきだと仰いましたけれども、与謝野大臣の中では、これ以外の回答というのは基本的にないということでよろしいでしょうか。
(答)ええ。これを書くために膨大な作業をやってきたので。この2文字が大事なので。

(以上)