与謝野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年6月24日

(平成23年6月24日(金) 9:35~9:48  於:合同庁舎第4号館4階共用408会議室)

1.発言要旨

 閣議は案件どおりでございまして、特に御報告することはございませんが、防災担当の松本大臣のところで本日、我々の計算で16兆から25兆というストックの損害額を出しておりましたけれども、もう少し精密な計算が出てくるようだと伺っております。これによりますと、我々の推計した下限、即ち16兆9,000億ということですから、詳細は松本大臣に伺っていただきたいと思っております。
 以上でございます。

2.質疑応答

(問)税と社会保障の一体改革について数点伺います。
 大臣かねがね一体改革の決着の目途について、週内決着を期待するというふうなことを仰っていましたが、与党との調整も含めて、現時点の見通しはどうなっているのでしょうか。
(答)今日も予定どおり与党の調査会が開催をされるのではないかと期待をしておりますので、その結果によって道筋は決まってくるのではないかと思っております。
(問)現時点ではまだ週内決着、いわゆる本日中の決着ということは諦めていないということでしょうか。
(答)楽観的でもないし悲観的でもないと。
(問)もう一点、一体改革に関して与党側から、2015年度までに消費税率を10%に引き上げるという表現について、表現をぼかしてくれという修正の要求が来ていますが、前回の21日の閣議後会見では、極めて難しいという見解を示されていますけれども、ここの表現を修正する可能性はないというお気持ちは今も変わっていないのでしょうか。
(答)基礎的財政収支を2015年には半減する、あるいは今の社会保障制度の持続可能性を維持する、多少の機能強化等もやるということであれば、2015年には段階的に上げて5%になっていないと何もかもきちんとした場所におさまらないということなので、これは守らなければいけないと強く思っています。
(問)一体改革の今の関連でもう1問。今、悲観も楽観もしていないというお話だったのですけれども、もし仮に合意に達しない場合、与党の案と政府の案を別々につくるというふうな構想もあるように出ているのですが、そういうやり方は大臣はあり得るとお考えでしょうか。
(答)まずそういう悲しい結末を考えないということが大事なので。
(問)閣議の前に一体改革に関係している閣僚の方、仙谷さんたちと会議を持たれていたかと思うのですが、その概要について、あるいはどういうことを確認したのかということについてお伺い出来ればと思います。
(答)仙谷会長にすべての御負担をかけているので、野田大臣と私で、いわば2人で頭を下げにいったということで、中身はさしてありません。
(問)念のため確認ですけれども、野田大臣ともこの数日お会いしたりとかしていると思うのですが、今日会った関係者の方々の間では、先ほど2015年度という数字を、年限を明記するという、その方針は再確認されたということでよろしいですか。
(答)私と野田大臣は、原則について一切ぶれていません。
(問)一体改革について、今日改めて総理から、閣議や閣僚懇などに何か御発言というのはありましたか。
(答)ありません。
(問)先ほどの、問題になっている2015年度の表現のところなのですけれども、要は、党側は10年代半ばというような表現にしてほしいと言っているのに対して、大臣は先日から、肝の部分なので修正は極めて難しいと仰っておられましたけれども、その難しい理由というのをもう一度改めて教えていただけないでしょうか。
(答)まず、一般的な考え方として、今の財政の状況は放置出来ないということがあります。これは、公債の残高がGDP比の160、170%という異常な数字になっている、これは放置出来ない。ただ、今のところ問題が顕在化していないのは、長期金利が低いからだけであると。そういう意識を持ち、かつ日本の社会保障制度に何が起きているのかというと、現行の制度も若干ほころびもあるし、また高齢化に伴って歳出増はますます、毎年、自然増という形であらわれてくる、そういうバックグラウンドがあります。そういう中で、やはり安心社会を実現するためには、少なくとも社会保障については、自分の一生について予測が可能だという状況をつくり出さなければいけないと、これは前々から議論されていることです。
 何故2015年かというのは、そのバックグラウンドに照らして、既に政府・与党は2015年までには基礎的財政収支を半減するという目標を立てております。ですから、今回の社会保障・税一体改革の基本理念は、社会保障制度改革と財政健全化の同時達成ということなので、そういう将来の事情を考えますと、最低でも、2015年には段階的に上げていって5%でないと社会保障ももたないし、日本の財政ももたないだろうと、そういう事実認識から、2015年という年が出てくるわけです。
(問)2010年代半ばという表現ですと、16年以降に先延ばしされる可能性も残ってしまうので、あくまでも15年という数字を明記するべきだと、そういう解釈でよろしいですか。
(答)半ばというところまでいってしまうのだったら、もう一歩踏み込んで15年と書いても褒められることだと私は思います。
(問)党側のほうは、税制改革を発動する前提の経済状況の好転という部分について、数値を含めて明確にしてほしいということを言っております。分かりやすくなる反面、縛ってしまう部分もあるのかなということもあると思うのですが、大臣はこの求めについてはどういうふうにお考えになっていますでしょうか。
(答)経済というのは複雑なものですから、1つの指標では決まらないし、2つの指標でも決まらない、3つの指標でも決まらない。やはりそういう数字を全部見た総合的判断の上に立って、時の為政者がきちんと考えるということが大事だと私は思っています。
(問)すみません、ちょっと話題が違うのですけれども、IEAの石油備蓄の放出の決定についてお伺いしたいのですけれども、日本のように石油価格の高騰と経済の鈍化に苦しむ先進国にとって、この石油備蓄の放出によってどれだけの経済の浮揚効果が期待出来るのかということと、石油先物の下落が今後継続的に起きるというふうに見ていらっしゃるかどうかということと、このIEAの決定の前にG7での合意があったのかということをお聞かせください。お願いします。
(答)そこまでは知りませんけれども、IEAが放出したということは、いわば空買いに対して売り向かったということであって、これは買い方にとってはかなり脅威になると私は思っています。これは実需を埋めるというよりは、投機に対する、いわば売り向かいというふうに理解したらいいと思いますし、まだまだIEAは持っていますから、空買いで紙の上の価格だけ上げているというグループに対して重大な警告を与えているというふうに思っています。

(以上)