与謝野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年6月3日

(平成23年6月3日(金) 10:41~11:00  於:合同庁舎第4号館4階共用408会議室)

1.発言要旨

 閣議は案件どおりでございましたが、最後に総理から、国会は事実上の通年国会になる可能性があるので、提出を見送っていたような法案もどんどん国会に出してほしいということを言われました。
 それから、自分と鳩山さんの間の会話というのは、あの紙に書いてあるとおりのことであって、それ以外のことは一切話をしていないというお話でございました。以上です。

2.質疑応答

(問)昨日、菅総理が、民主党の代議士会では、震災対応に一定の目途がついたら若い世代に引き継いでいきたいという表明をされて、更に夜の会見では、一転して早期の退陣というのは否定するかのようなことを言われました。具体的には、東電が発表した工程表でステップ2に当たる原発の冷温停止とか、その辺の原発の収束に至るまで努力したいというようなことを仰って、当初の受け止めよりもかなり政権を延命しようとしているのではないかという印象が強いんですけれども、菅総理のああいう政権の持ち方について、大臣、どのような御所見をお持ちでしょうか。
(答)総理という権力の座にある方が、自分の職責を果たすために職にとどまろうとする努力というのは政治家として当たり前のことなので、何らコメントに値しないと思っています。
(問)今日、閣議で総理から御説明があったということなんですが、鳩山前総理との会話というのは、あの紙に書いてあるとおりだと、それ以外のことは一切話をしていないということなんですが、鳩山前総理が言うには、2次補正の成立の目途が立つということと、復興基本法の成立と、それが退陣の条件であったという受け止め方をしているようなんですが、鳩山さんとかなり齟齬が出ているようなんですが、前総理と総理の間でこのような食い違いが出ているということについて、大臣はどう見ていらっしゃいますか。
(答)頭のいい人たちが2人で会話をすると、往々にしてこういうすれ違いが起こるというので、そんなにびっくりしていません。
(問)社会保障と税の一体改革への影響なんですが、大臣、かねてから3党合意で、可及的速やかに、かつ明確に出すということであって、総理の求心力の低下とかそういうこととは関係ないというお考えを示されていますけれども、確かに3党合意とかいう以前に、これほど政権が延命するかどうかということで混乱を来している中では、なかなか社会保障・税の一体改革の実現に向けてハードルがかなり高くなってしまったんではないかと思うんですが、影響については改めてどう受け止めていらっしゃいますでしょうか。
(答)ハードルが高いことはあるかもしれませんけれども、にもかかわらず、きちんとやり遂げるという気概を持ってやってまいりますし、昨日総理から、集中検討会議の後、立ち上がったとき、この問題は必ずやろうということがありましたので、総理の決意も大変この問題については強い。我々は困難はありますけれども、やはり日本の社会、日本の国民が必要としているものは、百万人といえども我行かんくらいの気概を持って進みたいと思っています。
(問)1つだけ。昨日、集中検討会議で社会保障の全体像が、1つの考え方がまとまりましたけれども、議論のプロセスとしては、第1段階で社会保障の全体像と費用推計をやって、第2段階で財源の話をするということになっていたと思うんですが、その財源の核心部分、2015年に消費税を幾らにするという核心部分が第1段階でもう既に出てきてしまっていると。この理由は何なのかということと、やはり議論をきちんと尽くして結論を出すという意味では、やはり適切だったのかという気もするんですが、そこはどういうことなのでしょうか。
(答)消費税の議論というのは、あそこの場ではなく、社会全体で議論されてきたわけですし、いわば附則104条をつくったときから、消費税を社会保障財源に使うということは道筋として決められてきたわけです。あそこにお集まりの委員の方も、そのことは十分承知の上で社会保障の全体像を議論されていたと思います。ただ、税を上げるというのは、やはり最後に総理がそれ用の案をつくっていいという御決断をするかどうかということにかかっていたと思いますが、その点は総理は10%ということははっきり書くということを御了承いただきましたので、そう委員の皆様方からは、財源の問題については異論がなかったと思います。ただ、我々としては、逆進性の問題とか経済の影響とか複数税率の問題とか、そういう問題は別途部隊できちんと学術的な研究をやっておりまして、その研究成果は皆様方にもお話ししましたし、委員の皆様方にもお話ししたところでございます。ただ、これからは、政治がその5%をきちんと担えるかというところが政府・与党の会議のコアの部分だと思っております。
(問)今の最後のところなんですけれども、政治がきちんと5%を担えるかどうかという部分なんですが、多分、今日ぐらいから党のほうもこの議論を始めていくと思うんですけれども、与党の中で、昨日の原案から、せめて維持、前進出来る案をつくれるのか、場合によっては後退するのではないかという見方もあると思うんですけれども、その点の自信というか、きちんと出来るかどうかについてまずお聞かせください。
(答)前進か後退かというのは、見る視点によって違うと思うのですけれども、割にきついことも書いてあるわけですね。例えば、今、特例的に70歳から74歳の方の自己負担を1割にしていますけれども、この特例を原則に戻すというと2割負担ということになるので、割にこれは皆さんの理解を得るためには政治のほうがしっかりしないとなかなか出来ない話。
 それから、易しそうに見えても難しいのは、非正規雇用の方を厚生年金に入っていただくということなのですけれども、これは国の財布はちっとも痛まないのですが、やはり厚生年金と会社の健康保険に入りますと、半分は健康保険も年金も会社負担になるということで、中堅・大企業はいいのですけれども、本当にぎりぎりのところでやっている中小企業の問題というのが、政治的には割に辛い問題があって、これはこれからの、私は政府と党の議論の中でも取り上げられると思っております。
 いずれにしても、皆様方の目から見れば、あるいは党サイドから見れば不完全な部分もあるかもしれませんので、そういうものはきちんと補って、より良いものを目指して20日ぐらいまで頑張りたいと思っています。
(問)あともう一点、昨日の不信任案の決議に関してなんですけれども、特に被災者の方から見ると、やっぱり国会は被災、震災のこと他人事ではないかとか、むしろ復興の足かせになっているんではないかという声もあると思うんですけれども、内閣の一員としてそういう声が被災者から上がっているということについては、どのようにお考えでしょうか。 不信任案の決議で永田町がごたごたしていることについて、被災者の方は、必ずしも良いと思っていらっしゃらないという報道が、多分テレビでも新聞でもいっぱい出ているんですけれども、そのことを内閣のお一人としてどういうふうに受け止めていますか。
(答)それは被災地の方がそう思われるのは当然過ぎるほど当然のことで、私も殆ど同じ思いです。
(問)もう一点なんですが、首相の辞任について、いつ頃辞任すべきかという目途、総理が辞任する時期の目途というのは、与謝野さん御自身はどういうふうにお考えなんでしょうか。
(答)そんな話はどこにも出ていないので、お答えしようがない。鳩山さんと総理の間で話されたことは、あの紙以上のものでもないし、紙以下のものでもないということだろうと思っていますから、菅内閣はずっと続くということを前提に仕事をやっていきたいと思っています。
(問)大臣、常々御持論とかこれまでの報告書等で、増税とか国民負担には政治や行政の信頼回復というか不信の払拭が大事だと仰っていたと思うんですけれども、その辺で2点お伺いしたいんですが、1つは、今、一定の目途で自分は職を辞するということを口にしているとされている総理について、そういう状態で税と社会保障の議論について、信頼に耐え得ることが出来るのかというのが1点と、2点目は、与野党を問わず総理の信任・不信任をめぐってやっぱり永田町がごたごたしている中で、今後、与野党協議を進めることとか、さらに国民の信頼を得るという点で、やっぱり難しい場面、妨げになっていないかどうかということについて御所見をいただければと思います。
(答)一定の目途がついたら辞任するなどという発言はどこを読んでも書いていないので、いずれ若い人にやはり色々な責任を持ってもらわなければいけない時期が来るということは仰っています。
 与野党協議は、やはり本来ですと震災復興とか社会保障の一体改革とか、こういう国民的な課題というのは、やはり与野党協議はきちんとやったほうがいい。皆それぞれ国民の代表なのですから。それはやはり、不信任のこともありましたけど、信任された総理大臣ですから、そのもとで与野党協議はやはりお互いに胸襟を開いてやるべきだと私は思っています。
(問)米国債についてお伺いしたいんですけれども、昨晩、ムーディーズが債務上限引き上げで進展がなければ、米国債の格付けを引き下げ方向で見直すとの発表があり、米債が大きく下落しております。日本政府は大量の米国債を保有しておりますけれども、米国の財政問題についてどのようにお考えでしょうか。
(答)アメリカの貿易赤字、アメリカの財政赤字というのは双子の赤字として長い間論じられてきたわけです。リーマン・ショック以降、金融の体制を立て直すために、米国も財政上非常に大きな措置をとって、財政赤字は10兆ドルをはるかに超える規模まで膨らんでしまったと。そういうことでやはりヨーロッパもアメリカも出口戦略ということを去年からずっと考えてきたわけですが、やはり財政を緩める、金融を緩めることによってリーマン・ショックの吸収は出来たのですけれども、それプラス過剰流動性が発生したとか、あるいは米国債が大量発行されたことによってそのような評価が出てきてしまうとか、今色々なことがあるのですけれども、基軸通貨たるドルの信認をきちんと維持するというのはアメリカ政府の一貫した政策でございますので、私は全く心配をしておりません。

(以上)