与謝野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年4月22日

(平成23年4月22日(金) 8:59~9:18  於:合同庁舎第4号館4階共用408会議室)

1.発言要旨

 まず、本日閣議前に開催された、経済情勢に関する検討会合についてのポイントを御報告申し上げます。
 出席は、総理、官房長官、財務大臣、経済産業大臣、国家戦略担当大臣、金融担当大臣と私。日銀総裁がオブザーバーとして出席されておりました。
 まず、国家戦略室より、現下の情勢を踏まえた重要政策の再設計に取り組む必要がある旨説明をいたしました。続けて、内閣府から、東日本大震災のマクロ経済への影響について説明の上、マクロ経済の実態を踏まえ、どのような経済財政運営が必要かを説明いたしました。これらの説明に基づきまして、出席閣僚等の間で議論をいたしました。
 まず、戦略担当大臣から。大震災で価値観や人生観が変わっていると、それを受け止めて主要政策を見直すべき。例えば、成長戦略、それからレジリエンス、あるいは弾力性のある日本というキーワードが大事だ。
 金融担当大臣。金融機能強化法の成立が大事。経済有事との発想で対応すべき。
 財務大臣。信認が日本の命運を握るというのはまさに同感。マクロ経済については、政府が過度に悲観的なメッセージを出さないことが必要。
 経産大臣。当面重要な電力の供給制約問題は、東電の努力で供給が積み上がってきている。その中でも産業に対する手当はしっかりやりたい。サプライチェーンの問題も重要。自動車もようやく生産再開になる。今後ともこの問題に注力する。
 ある参加者からは、マクロ経済的には、需要が突然蒸発したリーマン・ショックとは異なり、今回は供給ショックがいきなり生じたということ。つまり供給制約を取り除けば需要はすぐ戻る。したがって、供給制約の問題に全力投入が必要。第2に、潜在成長力の低下という日本経済の大もとの問題に従来以上に力を入れることが大事になっている。第3に、こういうときにこそ信認が大事、そこに焦点を当てて経済運営をする必要。
 官房長官。マクロ経済の目標について、どの時点で見直しが必要かよく検討してほしい。エネルギー、温暖化問題は重要。原発問題収束前でも、頭出しは始める必要があるのではないか。第2に、震災後の社会改革の姿をきっちり踏まえる必要がある。地域コミュニティーの重要さとか電力多消費型生活の見直しとか、新しい社会像をしっかり踏まえる必要がある。
 福山副長官。日本が安全と思われていない中で、それに対する信認をどう再建するかとの視点が大事。
 仙谷副長官。国際経済との関係が大事。中東情勢の激変の中で、各国の政治情勢がどう変わるかへの目配りが必要。経済成長の根幹たるエネルギー、電力供給の歪みの問題にメスを入れていく必要。これまでの政策の継続では、多くの日本人に響かない、価値観の転換を踏まえた戦略を再整理すべき。東日本の再生が日本の再生の先駆例となるような明確なメッセージが必要。
 中長期のビジョンも大事だが、この半年でどうするかが大事。政府が大きなことをやるということではなく、極力民間資金を活用するような復興戦略としなければならない。また、エネルギーについては3年から5年計画で歪みを直していくことを考えるべき。
 総理の発言は、記者の皆様方の前で行われましたので省略します。
 次回会合は、今月末を予定しており、私と玄葉大臣が共同で政策推進のための全体方針の原案をお示しし、議論を更に深めたいと思っております。
 次に閣議ですが、閣議は案件どおりでございましたが、閣議終了後、総理から色々な点について、専ら今お話ししたような線に沿ってのお話ですが、一言で要約すれば、いよいよ再出発の日が来たと、そういうことだと思います。

2.質疑応答

(問)ちょっとブリーフの中の1カ所を教えてほしいんですけど、供給制約について触れたのはどなたなんですか。供給制約、リーマンと異なって供給ショックが生じたというのは。
(答)私が名前を挙げなかった方です。
(問)そこの名前をお聞きしているんですが。
(答)ある参加者というのは、オブザーバーの方です。
(問)役人ですか。
(答)オブザーバーの方です。
(問)わかりました。すみません。
 それから、総理が最後の挨拶で、文脈によると、自然と人間の関係について原案をまとめるように聞こえたんですけれども、今の説明ですと、玄葉大臣と共同で全体の方針の原案を示すと。これは社会保障とか通商政策とか、その他すべての全体像を示すと、そういうイメージなんでしょうか。
(答)今までやってきた色々な仕事があるわけです。それのリセットボタンを押すと、そういうことです。
(問)これは、今月末ということは、来週中というイメージでよろしいんですか。
(答)多分、皆様方の土曜日は潰さないと思います。
(問)それから、昨日、OECDの事務局長が日本記者クラブで講演されて、それで、日本の経済成長の見通しについて、OECDで下方修正をし、それから消費増税については、将来20%の幅ぐらいに必要なんではないかというふうに見通しを述べています。大臣のところにも来られるのか来られたのかと思うんですけれども、その発言とか、その見通しについてどうお考えになっているか教えてください。
(答)そのレポートのコピーがありますので、必要があれば差し上げます。
(問)大臣とはお話しされたんですか。
(答)いたしましたが、そのレポートを読んでおいてくださいと言って、こんな厚いレポートがありますので、もし必要であればお貸しいたします。
(問)あともう一つ、先ほどの全体方針なんですが、復興の財源と、いわゆる財源論的な整理もされるのか。どこに、どのような財源を充てたり、もしくは財政制約が高まっている中で、社会保障と復興の財源をどういうふうにするかというようなことも議論になるんでしょうか。
(答)色々なことが議論になると思うので、特に財務大臣の発言は、信認が一番大事なのだということですから、日本の財政について、やはり信認を得られるようなことをやらなければいけないということを言っておられたのだと思います。ということは、財源の問題も、財務大臣は御発言なるのではないかと予想していますけれど。
(問)次回の会合でということでということで。
(答)はい。
(問)最後、総理との会談というのは、さしで2人でやられたんですか。閣議後に会われた。
(答)閣議は全閣僚に対して、記者会見のときに自分はこう考えているということを言って、記者会見でクォートすることはいいですよと仰ってお話をされたので、私はメモをとったのですけれども、メモをなくしてしまったのです。一言で言えば、全体を再スタートさせるという、その決意を述べられたので、各閣僚は多分、記者会見で披露されていると思いますので、繋ぎ合わせると、出来ると思います。
(問)さしで会ったのかと思ったので、ごめんなさい、そういう意味じゃないですね。
(答)違います。
(問)繰り返しの趣旨になるかもしれませんが、2点お願いします。
 1点目が、先ほどのブリーフの中で、最初に玄葉大臣から、重要政策の再設計に取り組むという話、玄葉大臣が御説明したというふうにブリーフがあったと思うんですけれども、これに関しては、例えば、TPPの話ですとか、社会保障と税の改革の2本柱について言及があったり、また、6月のスケジュールを守ろうというような確認があったり、そういうことはあったんでしょうか。
(答)この再設計は、リデザインという意味ではなくてリスタートという意味です。
(問)そうすると、そのスケジュールも含めてもう一回考えようということととらえてよろしいんですか。
(答)ですから、色々なことをやっていたわけです、日本国政府は。これは、震災があってもなくても重要な問題だったという認識があって、ただ、震災対策というのは目前の最も重要な、人の命や生活がかかっている問題なので、それに取り組むということは政府の主要命題であったわけですが、今やその主要命題も主要命題として残っているけれども、他の問題もリスタート、もう一度スタートさせようと、そういう総理の御決意だと思います。
(問)2点目なんですけれども、先ほど仰られた政策推進の全体方針というのは、政策方針の全体方針を示すと仰られましたけれども、その政策方針というのは、時間軸で言うと、例えば、この1年とか数年ぐらいのスパンなのか、もしくは、日本の再構築を含めて10年ぐらい見据えていらっしゃるのか、イメージを。
(答)短期、中期、長期ということになるだろうと思います。
(問)リスタートということですけど、意味がよくわからないんですけれども、つまり、これまでの政策テーマを引き続きもう一回再スタートということで議論を始めるという意味があるんじゃないかと思うんですが、その全体像、あえて来週もう一回やるというのは、各主要なテーマについてもう一回スケジュールも含めて確認をする、あるいは新しくつくると、そういうことなんですか。
(答)仕掛品もありましたし、テーマとしては認識されていたけれど、手がついていない問題もありますし、今度は震災の結果、やはりやらなければならないというような問題もあって、そういうものをまずこなすテーマ、こなす場合の視点、そういうことをちゃんと議論するわけです。
(問)その中には、原子力発電事故についても入っているんですか。原発事故の問題についても、その中に入っているんですか、どういうふうに位置づけするということになるんですか。
(答)原発事故というのは、現在進行形の話なので、被害の最小化というのに努めているわけですし、また、被害を受けた方に国として何が出来るかということを今やっている最中ですから、その問題は大きな意味では入っていますけれども、この中には直接的には入ってこない。ただ、電力の問題を議論するときには、当然そういうことも、電力、エネルギーを考えるときには、そういう問題は当然視野に入ってくるだろうということは容易に想像されるのではないかと思っています。
(問)今の質問で更にお聞きしたいんですが、つまり、政策推進のための全体原案というのは、これから、震災を受けて見直すべき政策、あるいはそのテーマというものを示して、その視点というものを示していく。それは色々な従来の政策から新たにやらなければいけないことまで数多く挙げていくというイメージなんでしょうか。
(答)来週になりましたら、戦略室と内閣府で案をきっちりつくりますから、それまでもうちょっと御猶予願いたいと思います。
(問)先ほどの一番最初の大臣のブリーフの中で、エネルギーの歪みというのがありましたけれども、これをもう少しわかりやすく説明していただけますでしょうか。
(答)これは、仙谷先生の御発言なので、色々なことが想像されますけど、御本人に聞いていただきたいと思います。

(以上)