与謝野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年4月15日

(平成23年4月15日(金) 8:41~9:04  於:合同庁舎第4号館4階共用408会議室)

1.発言要旨

 閣議は案件どおりでございます。

2.質疑応答

(問)2点ほどお伺いしようと思います。
 1点目は、今朝の閣議の前に、原発の事故に関する賠償の検討本部が開かれて、大臣も御出席されたかと思うんですが、この中で特に大臣のほうから何らか御発言等はございますでしょうか。
(答)ありました。仮払いすることは大いに結構だけれども、やはりこのお金の法律的な意味というのは、やはりきちんと打ち合わせする必要があるではないかということを申し上げて、法律的にきちんと検討するということが海江田大臣のほうからお答えがありました。
(問)その関連なんですけれども、今は仮払いという段階ですけれども、これ仮に本格賠償ということになると、かなり巨額のお金になるということも推察されます。総理は、最終的には国がしっかり面倒見るというかそういう趣旨のことを仰っていたかと思うんですが、肩代わりするようなことになると、財政的にも相当な負担になりかねないと思うんですが、今後の全体的な補償のあり方については、大臣どういうふうにお考えですか。
(答)それは原賠法を一度目を通されるといいと思うのですけれども、民法には損害賠償責任の原則が書いてありますけれども、原賠法というのは、その民法それ自体の損害賠償の考え方の例外的な条文をつくっているわけです。ここでは無過失責任という考え方がとられています。これは原子力事業者が持たなければならない無過失責任ということが書いてありますが、その例外として異常な天災、また社会的動乱についてはこの限りにあらずということが書いてありますので、そういう法律の問題、あと13条、17条等では、国のやるべきことが書いてありますので、原子力損害賠償法の規定に基づいてどのような措置をとっていくというのは、もちろん原賠法も大事ですけれども、政府と電気事業者がともに話し合って原賠法の精神をどう生かしていくのかということは法律的なこととして大事なことであろうと思っております。
(問)もう一点、お話変わるんですが、一体改革の件で改めて確認ですけれども、4月中にも再開したということを以前仰っていたかと思うんですが、これに具体的に目途がついたんでしょうか。
(答)来週2度やります。月末に1回やります。なるべく皆さんの土曜日は壊さないように頑張ります。
(問)確認ですが、来週2度は準備会合で、月末に1回は本体会合という理解でよろしいですか。
(答)最初、集中検討会議の幹事委員だけでやりまして、来週の2回目は全員でやります。それで月末にかけて、連休の最中ではありません、連休の直前の日程がセットされますけども、4月中はその3回になる予定でございます。
(問)そこでちょっと確認なんですけれども、なかなか4月ももう半ばになってきて、社会保障改革案を4月と仰っていたのはなかなか難しいのではないかなという気もするのですが、そこも含めて全体スケジュールを改めて。
(答)正式に私に対して要請されているのは6月の閣議決定というデッドライン、しかもそれは社会保障・税一体改革の案を取りまとめるということだったのですが、私が自分の感じで、4月には社会保障をやって、それ以降は税をやろうというスケジュールを立てていたのですが、復興会議等の日程も入りましたし、社会保障と税の話と復興会議のほうの復旧・復興の財源の話と、やはりかなり調整しながら進んでいかなければいけないということなので、社会保障のほうは5月に、今月3回の議論を経て5月になりましたが、更に詳細な議論をして詰めていきたいと思っています。6月が遅れるわけではありません。
 それから、一部報道で、昨日、私が自民党の何人かと会っていたという報道、民主党の議員、自民党の議員と会っていたという報道があるのですけど、私はそのメンバーには加わっておりませんので、念のため正確にお話を申し上げておきます。
(問)社会保障の今の議論の話ですけれども、社会保障の案としては、そうすると、5月に出すということなんですか、それとも6月に財源の話と社会保障をセットで同時に出すという考え方なんですか。
(答)これ以降の議論はかなり皆様方に見える、あるいは聞こえる形でやりますので、その議論の過程は皆様方直接知っていただくことが出来ます。5月になってからもそのようなことですけれども、やはり最終的にぽんと案が出てきたのでは不十分なので、そういう議論を総合して、かなり精度の高い叩き台を5月中には出すつもりでございます。
(問)それは、財源ではなくて社会保障案ということでいいんですね。
(答)そうでございます。
(問)あともう一つ違う話ですけど、今回の月例経済報告ですけれども、この月例の中で福島原発事故について全く言及がされていないんですけれども、これは何でなんですか。
(答)まず規模がわからない、損害の規模がわからない、あるいは経済にどう影響を与えるかも現時点では見通しがつかないということであえて言及しなかったと思いますが、当然、日本の経済にマイナスの影響を与えるということは当たり前のことだと私は思っております。
(問)先行きのリスクとしてどれぐらいの規模かわからないということですけれども、相当の規模になるということは普通に考えればわかることであって、規模がわからないから書かないと、それはむしろ、それも含めて将来のリスクとして原子力発電所の事故の問題というのを書かないというほうが何か理解に苦しむんですけど。これは何も知らない人が見たら、日本政府の認識というのは、原発の事故を過小に評価しているんじゃないかというふうに見られてしまうこともあるんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
(答)原子力の事故の深刻さというのは周知のことでありまして、月例経済報告に深い言及がないからといって、原子力発電事故の深刻さを低く見ていたということは私は言えないと思っております。
(問)だから、何で書かないのかというのは、逆に疑問として出ますよね。
(答)原子力発電事故の損害とかそういうことは書いてありませんが、東京電力管内あるいは東北電力管内、ここでは原子力発電所が稼働しないことによって、いわゆる産業にとっては不可欠な電力供給不足が発生すると、このことは経済の問題としてはリスクとして提示をしてあります。
(問)電気の供給について確かに書いてありますけれども、この原発が止まっただけではなくて、火力も含めて止まっているという総体の話としてあるのであって、これを積極的に書かないという理由にならない。あるいは電気だけではなくて、景気ウォッチャーを見てもわかるように、今後の先行きの懸念として、原子力発電所の問題が収束しないとはっきり明確に声が出ているわけですから、これについて書かないという理由に、電力供給の問題を書けば、福島原発事故の問題についてリスクを書いたことになるんだということにならないと思うんですけど。
(答)来月から書きます。
(問)大臣は政策運営について、自民党と民主党の連立をして政策合意もして進めるべきだということを仰っておりますが、昨日、自民党の谷垣総裁が、菅氏の出処進退について判断すべきというふうに辞任を要求する発言をされました。これによって、菅さんが辞めたら連立をという意見もありますけれども、直接的には連立自体が難しくなったんじゃないかと思われますけれども、そのあたりはどういうふうに御覧になっていますでしょうか。
(答)政局にはあまり関心がないので、お答えを持っておりません。
(問)2点お願いします。今日からG7そしてG20と国際会議が始まってきますけれども、現在大臣がG7なりG20に期待していらっしゃること、もしくは今、世界経済があちこちでフラジャイルな状態の中で、当局が国際会議を通じてやるべきことというのは何だとお考えになりますか。
(答)G7、G20というのは、もともとは政治的な意味を持たない、経済を通じて各国で協力しようという考え方で発足しましたけど、今は相当政治的な意味も当然持っているわけです。
 日本に関しては、先方からはしっかり復興してくれという激励が来るでしょうし、協力することがあれば協力するということを多分言ってくださるのではないかと思います。財務大臣、中央銀行総裁は、やはり日本の現状をきちんとG7、G20で理解をしていただいて、一部、日本が破滅的な状況になっているというような話が流布されているので、日本の現状をきちんと正確に報告するというのは、また理解をしていただくというのは財務大臣と日銀総裁の責任であると思っております。
(問)もう一点ですけれども、今回の日本の大震災、原発事故を含むという一連の被害というものは、今後の世界経済のリスクになるとお考えになられますか。
(答)今後のリスクというより、今既にある種のリスクが発生してしまっている。そのリスクを最小限にするというのが日本政府の責任であると思っております。特に色々な部品供給とかそういう問題が初めて国民が自覚したのですけれども、国際分業というのは非常に実は広がっていて、小さな工場が実は世界の大きな工場の部品をつくっているというケースも散見出来たわけです。そういう意味では、日本の責任はやはりそういう世界のサプライチェーンを壊さないと、いち早く原状に戻るという努力をしなければならないと思っております。
(問)確認なんですが、最初の、4月中の来週の2回は幹事委員の会合、その後は委員全体の会合で、集中検討会議の正式なものの開催というのが4月の月内中に1回やるという、そういうことですか。
(答)準備作業会合と名づけて来週2度やります。1回目は4月19日、昼間やりますが、それ以降はもう一回やりますけども、日取りはまだ正確には申し上げられない段階です。
(問)その後に、総理と官房長官が入った正式な会合を月内に開くということですね。
(答)左様でございます。
(問)こちらは日程はまだ決まっていない。
(答)まだです。
(問)昨日の復興構想会議が終わった後の会見で、復興税をやるべきではないかという考えが示されましたけれども、これについては大臣どうですか。復興のための増税をやってはどうかという、昨日、復興構想会議の後に、五百旗頭さんが発言されたと思うんですけれども、これについてどういうふうに思われていますか。
(答)一つの考え方ではあると思います。
(問)原発事故が正式にレベル7という発表がありましたけれども、レベル7という最悪の事態になったことについて、大臣はどういうふうに見られているか。特に大臣は通産大臣もやられて、原発は安全であるということで推進をされてきたわけですよね。それが全然安全でもなくですね、最悪のレベル7の事故に至ると。これの問題について、推進してきた立場からですね、どう考えていらっしゃるか教えて下さい。
(答)私は、今後の日本経済にとって原子力発電というのは電力供給のための大事なものだと、今でも思っております。推進してきたことは決して間違いではないと思っております。
(問)安全だと言ったことが全然実現されなかったわけですよね。それについてはいかがですか。
(答)発電所をつくるときは、非常に厳密な設計をしていまして、福島の1号炉は、その当時の原子力委員会、原子炉等規制法による規制、あるいは電気事業法による規制、こういうことで設計段階から厳密にやってまいりました。防災につきましても、多くの優れた知見を集積して、考え得る災害の最も大きなものプラス、そこに安全ファクターをかけて設計をしております。こういうことがあった後、何か言い訳がましいことは言いたくないですが、最良の知見、最善の知識、最良の技術者、そしてそれに安全率をかけた設計であって、ベストなものをその当時はつくったと確信をしておりました。
(問)ベストなものをつくって結局レベル7の事故が起こるわけですよね。大臣は推進してきた立場として、今回、事故が起きたことについて謝罪するつもりはありませんか。
(答)ないです。

(以上)