与謝野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年4月12日

(平成23年4月12日(火) 9:30~9:45  於:院内内閣記者会3)

1.発言要旨

 閣議は案件どおりでございました。以上です。

2.質疑応答

(問)昨日で震災から1カ月ちょうどたったわけですが、改めまして、今回の震災が日本経済に与える影響、1カ月経ってどのように見ていらっしゃるか。それから今後経済を立て直すためにどういったことが必要なのか、改めて大臣のお考えを伺えればと思うんですが。
(答)まず、1カ月経ってまだ震災地では行方不明者の捜索も続いていますし、また避難所で暮らしている方も大勢おられるので、我々としては、まずそういう方面に更に努力を傾注しなければならないと思っております。
 一方、日本の経済ですけれども、やはり阪神・淡路と違いまして、一つは非常に範囲が広いということ。1次産業だけではなくて、高度の製造業も持っていた地域ですから、当初予想していたよりも経済に対する打撃は大きいのではないかと思っております。物自体が破壊された損害、それから色々なソフトが破壊されているという点、それからもう一つは、あの地域が生産していた部品等が実は世界に広がっていて、そのサプライチェーンが一部切れて、生産中止やむなきに至った業態もあると。それから、そういうサプライチェーンの問題の他に、今回深刻なのは、やはり原子力発電所の今の状態。それから直接の問題として、ある一定の距離内の方は退避せざるを得ないという状況。これがもたらす漁業、水産業及び観光業、また、この風評被害というのは遠く海外まで及んでいるということ。それからもう一つは、社会全体が、やはりああいう災害の後ですから自粛モードに陥って、縮小再生産のような気分になっているということですから、打撃は極めて大きいものがあると思いますが、昨日スタンフォード大学の青木昌彦先生にお目にかかりましたら、年末にかけては経済は回復してくるよということがありましたし。また、国際機関の発表している数字も、今年1年を通じては当初予想していたよりマイナス成長にはなるけれども、期末1年間を通じてはプラスになるということを伺って心強い限りですが、これは自然に放っておけばそういうふうになるということではなくて、官民挙げて復興、あるいは日本経済全体の立て直し、エネルギー政策の立て直し、こういうことをやっていかなければいけないと思っております。
(問)1次補正予算は、4兆円規模ということでほぼまとまってきているかと思うんですけれども、今後2次補正以降、どれぐらいの規模が必要になってくるか。その中で、いわゆる経済対策的なものが必要なのかどうかということについて伺えればと思うんですけれども。
(答)当面は1次補正で、直面している、急いでいる問題をどんどん片付けていくということで。2次補正になりますと、ややそれぞれの地域が考えているビジョン、そういうものを実現するための考え方が入ってくる予算になるだろうと思っております。いわゆる有効需要を創出するために財政出動が必要かどうかという御質問でありましたら、それは今のところ考えていないということです。
(問)日曜日の統一地方選挙前半戦で民主党が敗北という形になりましたけれども、極めて政権基盤が更に弱まった形になったかなと思うんですけれども、こういう状況の中で、社会保障と税の一体改革、なかなか政権が弱い中、そして原子力のほうもまだ収まっていない中で、なかなか落ち着いて議論できるような状況でもないのかなと思うんですが、そこら辺、一体改革に与える影響、スケジュールに与える影響をどのようにお考えでしょうか。
(答)我々は、きちんとした検討は続けてきましたけれども、震災対策ということが、もう一つ政府全体の仕事に追加されましたので、そういうものをどうやって並行処理していくかというのは、頭の使うところだろうと私は思っておりますが。いずれにしても日本の財政に対する市場の信認、国際的な信認を得るためには、税制改革あるいは財政再建のための施策というものは喫緊の課題であると同時に、震災対策をやっていく上で、やはり市場の信認を得ながら進めるという意味でも、同時に行わなければならないというのが私の考え方であり、今までエコノミストの方々、たくさんの方々の意見を伺いましたが、一致した考え方であると思っております。
(問)大臣、今エネルギー政策の見直しというふうに言われましたけれども、今回の福島原発の事故を受けて、原子力についてはどういうふうにお考え、見直すべきだと思いますか。
(答)エネルギー資源のない日本にとって、原子力は引き続き重要なエネルギー源だと思っております。しかし、これから原子力政策を新たに進めていく上で考えなければいけないことは、多分この事故を通じて色々出てきたと。そう思っておりますけれども、日本が電力の生産を原子力に頼るという状況からは抜け出すことは出来ないだろうと思っております。
(問)今回の事故で、原子力が持ってる恐ろしさが分かったと思うんですね。生存の問題だと思うんですけれども、生存の問題を脅かしても、原子力というのはこれからやっていくべきだと。もう一つは、新増設の、政府は方針を持っていますけれども、それも変えるべきではないかというふうに思うんですが。
(答)当然そういう考え方はあると思いますけれども、日本人の生活レベルをどんどん落としてもいいというふうに国民の考え方が固まれば、私は、どんなことでも出来ると、江戸時代に戻ることも出来ると、そう思っておりますが、一定のレベルの生活水準を維持しようというときに、やはりエネルギーと消費社会というものをどう再構築していくかというのは、我々国民に突きつけられている、乗り越えなければならない問題だろうと思っております。
(問)やはりそれは、エネルギーの多消費社会を再構築するのではなくて、エネルギー消費の少ない社会をどうやって新しくつくるかと。それで、原発というのはそこのときのオプションに入らないんじゃないですか。
(答)ですから、それは質的な問題だけ考えるとそういう結論になると思いますが、再生可能なエネルギーと言われているものは、全部、実は太陽から来ているエネルギーなので。太陽のエネルギーというのは、「日本列島に降り注いでいるエネルギー」×「受ける面積」×「転換率」なので、それで日本の経済が、日本の国民生活が守れるのかという厳密な量的な計算をすれば、それはもう計算するまでもなく、否と出ると私は思っております。
 ということは、私は別にそういうエネルギーを否定しているわけではなくて、そういうものは大いに利用したらいいと思っておりますけれども、それが必要にして且つ十分な日本人の使うエネルギーを供給出来るかといえば、そういうことはないのだろうと思っています。
(問)一部報道でもありましたけれども、福島原発の事故について、レベル7に引き上げを検討という話もあります。レベル7となるとチェルノブイリと同じわけなんですけれども、そのことによって、今でも海外の風評被害が多々あるわけなんですが、そういった点の経済に与える影響というのは増すとお考えでしょうか。
(答)レベルをどうするかなどという話は、事故が全部処理できた後考えればいい話で、今は現場の混乱をいかに収束させるかということが大事だと思っています。

(以上)