与謝野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年4月5日

(平成23年4月5日(火) 9:33~9:57  於:合同庁舎第4号館4階共用408会議室)

1.発言要旨

 閣議は案件どおりでございました。

2.質疑応答

(問)まず、先日の総理会見の中で出てきた復興に向けての復興構想会議という件なんですけれども、地域の代表の方たちと有識者を中心に検討したいというお話を総理されていましたが、この段階で地域の方から復興に向けた具体的なアイデアを募るというのも、なかなか体系的なものをつくるのは難しいのではないかという意見もあるんですけれども、その復興に向けた構想会議、あるいはまたその先の議論のあり方について、大臣何か御意見あればお伺いできますか。
(答)この件は、私は詳しく知りませんけれども、やはり復興するに当たっては、色々な新しい考え方に基づいて復興するということも必要なので、そういう復興に当たっての物の考え方、発想というものは多分求められている。ただ壊れた物を元に戻すというだけではなく、そこに新しい価値をつけていくという、そういうお考え方があって構想会議という名前がついたのではないかと推察をしております。
(問)以前もお伺いしたんですが、その新しい物の考え方ということについて、大臣、以前に、超高齢化社会に備える等々の御意見ありましたけれども、改めて何か大臣なりの新しい考え方、アイデアというのがありましたら改めて伺えますか。
(答)これ、私の説じゃないのですけれど、被災した県をモデル的に道州制の一つにしたらいいという意見は、多分、経団連が言っている意見ではないかと思いますし、また、その他にも非常に効率のいい町づくりというものはどうあるべきかとか、諸々の考え方は出てきているわけで、復興には相当多額のお金を使うわけですから、古い考え方だけではなくて、やはり新しい日本が東北から始まるぐらいの意気込みでやろうという意見があっても、私は大変良いことではないかなと思っています。
(問)話題変わるのですが、昨夜から今朝にかけての海外のコモディティの市場で、北海ブレンドが121ドルで、WTIが確か108ドル突破して、およそ3年ぶりぐらいの水準になっているかと思うんです。
 今、復旧・復興という側面になると、火力発電の問題もありますし、相当日本も資源輸入ということでかなりのお金を必要としてくるかと思うんですけれども、今、中東情勢に向けた資源高というのが、かなり復旧・復興の重しになるのではないかという懸念もあるのですが、こうした商品価格の動き等について大臣御意見あればお伺いできますか。
(答)石油の問題は、日本だけの問題ではなくて世界中の国の問題です。ただ、例外はロシアと中近東ですが、これは震災前から言われていたことなのですが、リーマン・ショックをようやく乗り越えて世界経済が回復しようとしているときに、原油を中心とした資源高、これは世界の経済で、中でも新興国経済の足を大きく引っ張るのではないかというように言われておりました。
 このところ原油高が起こっている原因は、1つは、チュニジア、エジプト、リビア、それから更にはイエメン、サウジの近辺、あるいはシリアにも多少動きがあるということで、全体として石油産出地域の政治が非常に不安定になっているというところに起因をしていると同時に、やはり大量の過剰流動性が石油市場に流れ込んでいるという投機的な側面もあると思っております。
 いずれにしても、日本の原油輸入価格は円高によって多少緩和されておりましたけれども、このところ進んでいる円安で原油高はもろに日本の経済を直撃する可能性があって、早く中東情勢が収まるということを私は祈っているわけです。
(問)昨日、民主党の安住国対委員長が、野党側に内閣府の閣僚の増員を正式に提案しまして、これがある種、大連立に向けた布石というふうに見られています。自民党側も一度は拒否しましたが、何となく党内にも色々な意見があるようで、これから少しずつそういう議論が進んでいくかと思いますが、大臣はこの状況をどう見ていらっしゃいますか。
(答)今、国民が思っておられるのは、民主党政権とか自民党政権とかという、どこの政党が基盤の政府かなんていうことを、実は全然問題にしていない。政治がやるべきことをやり、決めるべきことを決めてほしいというのが殆ど、8割、9割の国民の皆様方がそう思っておられると思います。したがいまして、民主党も自民党もそういう国民の期待にこたえて、やはり政治がなすべきことは実現していくという、そのためにはねじれを克服するために連立をつくるというのは、むしろ民主党の要望や自民党の要望ではなくて、私は国民の要望であると思っております。しかし、ただ連立を組むのではなくて、この問題はこういうふうに取り扱うと、この問題はこういう方向で処理すると、そういうやはりきちんとした政策合意をつくっていただいて、こういう全体の政策取組み、こういう政治姿勢で連立をつくりますということであれば、国民はそのようにけじめのついたきちんとした連立を支持されるのではないかと私は思っております。
(問)もう一つ、7日に準備会合の2回目なのか、3回目と言ったらいいのかちょっとわからないんですが、行われます。これの議論はどういう形になって、どういうことをテーマにして議論されていくのかということ。
 それからもう一つ、今仰った政策合意という中に、かねてから大臣が取り組まれている社会保障の問題というのは、やはり位置づけられるべきなのかどうか。震災に限ったものになるのか、それとももうちょっと長いスパンのものも含めていいとお考えになっているのかどうか、この点をお願いします。
(答)次の7日の件から申し上げますと、地方団体には書面で提出いただければ結構ですと申し上げたのですけれども、どうしても地声でお話をしたいと、こういうことなので、きちんと生の声を伺うことにいたしました。
 あと若干のヒアリングをやりますが、そろそろ論点整理に移ろうと思っています。
(問)先ほどの原油高に関連してなんですけれども、ガソリンの制度ですね、いわゆるトリガー条項についてお話をお伺いしたいと思っています。こういった中でトリガー条項の発動が少し現実味を帯びてくる中で、今現在、政府のほうでも、そのトリガー条項の扱いをめぐり議論があるようなんですけれども、こういった中、復興のための財源も今懸念されている中で、大臣自身はどのようにお考えになっているのか。今、政府内の議論はどんな感じになっているのか、少し御紹介いただければと思います。
(答)政府内ではあまり議論されておりませんけども、自民党の復興の文書の中の2ページ目かなんかに、横のほうに赤い枠で、これはやめたほうがいいと書いてあります。
(問)大臣自身はどのようにお考えでしょうか、その提案に対して。
(答)私はあまり自主的な考え方がないので。
(問)先ほどの質問にもあったんですけれども、税と社会保障の一体改革について、今、大連立が模索されている中で、その政策合意の中にこういった長期的なテーマも入れるべきとお考えかどうかについて教えてください。
(答)当然、税・社会保障というのは民主党の関心事項だけではなくて、自民党その他の政党の関心事項でもあるわけです。やっぱり連立を組むのでしたら、税と社会保障、社会保障制度の持続可能性、財政の持続可能性、こういう大きなテーマはちゃんと合意をして大連立の中で、仮に大連立が出来たとすればですよ、まさに実現するに相応しい課題の一つだと思っています。
(問)その政策合意について、仮に震災関連だけで合意すればいいという考え方はあまりよろしくないということでよろしいですか。
(答)連立というのは、人々の暮らし、日本の経済万般に及ぶ一つの政治システムを構築するわけですから、テーマを絞ってやるというのは間違いで、連立をやる以上、そのような協力、安定の中で、今まで試験できなかったテーマも積極的に取り組んでいくべきというのが望ましいことだと思っております。
(問)今のテーマと重複するんですが、政策合意を前提にした連立がいいということですと、次期衆院選の選挙協力の話とも絡んでくると思うんですね。自民党のほうには、そこに凄く抵抗があるという意見もあると思うんですが、その連立を組むに当たっての選挙協力との関係というのはどういうふうにお考えになっていますでしょうか。
(答)それは石原伸晃さんに聞いたほうがいい質問で、私は、とてもそこまで頭が回らない。
(問)税と社会保障についてですけれども、前回の会合の後の事務方からのブリーフィングでは、4月末までに非公式会合で論点整理を行うということをゴールにするというお話があったんですけれども、大臣は以前、案をつくるのだというふうに仰っていましたけれど、どっちが正しいんでしょうか。
(答)論点整理と案は、ほぼ同一のものです。
(問)論点整理というのは、案をつくるための前段の作業であって、まとめの案をつくることとは違うと思うんですが、いかがですか。
(答)いや、論点整理をして、その論点からどんどん落ちていくものが出てくるわけですから、論点整理で最後に残ったものは案そのものになります。少しずつ進んでいくわけですから、4月中には案は出来ます。
(問)非公式の形で勝手に、勝手にというか、だんだん落として案になっていくということはいかがかなという気もするんですが、論点整理と案は普通は違いますよ。
(答)違うのですが、手順の問題を言っているので、まず論点整理からやって、これは実現可能性がないと、これはどうしても実現するべきだという仕分けをやっていきますから、最後に残ったものに文章をつけ加えれば、案が4月には出来ると思っています。
(問)あと連立の話ですけれども、今、民主党のほう、政権のほうは3つポストを用意して、うち1つは沖縄・北方対策担当相ですか、をあてがうということですけれども、今のこの中で必要とされるポスト、新設される閣僚に与えるポストとしてそれが相応しいというふうにはどうも考えられなくて、やっぱり大臣がいらっしゃった、たちあがれ日本に対するポストも視野に入れたような考え方なのかなと。そうすると、連立先にありきで、本当に今回の復興の中で、復興対策で必要だということで連立を募るという趣旨と違うんじゃないかと。まさにさっき大臣が仰ったように、政治がやるべきことをやるということを、きちんと今の政権がやれていないんではないかという、その一方で連立だけ形をつくるということだとかえって混乱するんじゃないかなと思うんですが、いかがですか。
(答)私は、自分が入閣するなんてことは全く予想していなかった時期に、菅総理に呼ばれて何回かお目にかかったわけです。そのときに、やはり日本の社会が直面している色々大きな問題は、1つの党では処理出来ない。自民党が衆参過半数をとっていたときも処理出来ない。やはり財政再建とか社会保障制度とか、その他非常に選挙との関係で機微に触れるような問題は、連立政権をつくって、それも大連立でやることが最も望ましい形だということを申し上げてきました。菅総理もそのことには十分理解を示されていたと思っています。そういう状況が今回の震災で一層加速されて、連立の必要性というものがますます高まってきたというのが現状であって、最初に連立ありきということで始まったわけでは私はないのだろうと思っています。
 連立の運営というのは極めて難しいのですが、我々、自社さ、とやったことありますし、自公、という連立をやったことがあります。お互いに遠慮しがちに謙虚に政策をぶつけ合うので、意外にその連立の運営というのは上手にいくというのが私の経験したところでございます。
(問)少し話は変わるんですけれども、昨日、日銀が震災前後で切り分けた短観を出し直しまして、震災発生後の回答はあまり多くなかったようですけれども、やはり企業の先行きの見通しは急速に悪化しているという状態が明らかになりました。その中で、明日から日銀が金融政策決定会合を2日間行いますけれども、そういった不確実性を抱えている状況の中で、日銀の追加緩和というのは必要なものだとお考えになられますか。
(答)日銀のことは日銀が決めていただくわけですけれども、これから震災復興という具体的な問題が出てきますと、金融政策がどうあるべきかということはもう一度俎上に上ってくる問題だと私は思っています。

(以上)